1月25日

あなたの家は大丈夫? 住宅耐震の落とし穴

去年、全国各地で震度5以上の大きな地震が起こりましたが、皆さんがお住まいの木造住宅やマンションは大丈夫でしょうか?去年4月、震度7の地震に2度襲われた熊本県益城町では、1981年(昭和56年)から2000年(平成12年)に建てられた「新耐震基準」の住宅でも、なんと8割が被害を受けたことが明らかになりました。さらに、2000年に強化された最新基準の住宅でも、「直下率」が低い家は倒壊しやすいことがわかりました。また、リフォームによって、耐震性が大きく損なわれているケースも少なくありません。地震に弱い家とはどんな構造なのか、そして、地震に強い家にするにはどうすればよいのかを特集しました。

木造住宅の耐震について

3つの「耐震基準」

住宅の「耐震基準」は次第に強化されてきました。1981年(昭和56年)までの「旧耐震基準」、1981年から2000年(平成12年)までの「新耐震基準」、そして、「新耐震基準」にさらに細かい規定を加えた、2000年以降の「最新基準」です。熊本地震を受けて日本建築学会が行った益城町の被害調査では、「旧耐震基準」と「新耐震基準」の時期に建てられた住宅には大きな被害が出ましたが、2000年以降の「最新基準」の住宅は比較的軽い被害にとどまりました。

直下率とは

「直下率」とは、2階の壁(柱)の真下に1階の壁(柱)がある割合です。「直下率」が高いと、1階と2階の壁や柱がつながっているため、地震で受けた力をスムーズに地面に流すことができます。しかし、「直下率」が低いと1階と2階の壁や柱がつながっていないため、地震で受けた力の流れが複雑になり、住宅にダメージが出てしまいます。1階より2階が小さい家や1階に駐車場などの広い空間がある住宅は直下率が低くなっている可能性があるので、注意が必要です。また、「直下率」は法律に規定がないため、設計図などにも記されていません。気になる場合は、家を建てた住宅メーカーや建築士に相談してください。

広がる新しい指標「耐震等級」

最低限の基準を定めた「耐震基準」とは別に、国が2000年に定めた任意の指標が「耐震等級」です。「耐震等級」には3段階あり、「耐震等級1」は耐震基準と同等、「耐震等級2」は耐震基準の1.25倍、最高の「耐震等級3」は耐震基準の1.5倍の耐震性があることを表します。強い壁の量を増やしたり、床や天井を強くすることで耐震性がアップします。「耐震等級3」を標準仕様にしている熊本市の住宅メーカーや全国展開している住宅メーカーを取材しました。

低価格が魅力の「耐震シェルター」

費用などの問題で家全体を耐震化することができなくても、家の一部を部分耐震する方法や「耐震シェルター」で身を守る方法もあります。鉄骨や頑丈な壁などを使って、部屋の中にひとまわり小さな部屋を作る方法で、万が一、2階が崩れても、その中の空間は保たれます。耐震シェルターの価格は部屋の広さや使われている材質、販売メーカーなどによりますが、20万円台からあります。補助金を支給する自治体もありますので、お住まいの自治体にお尋ねください。

マンションの耐震について

地域によって耐震基準が違う!?

鉄骨・鉄筋造りのマンション、木造でも3階建て以上の建物の耐震基準は、地域によって差があります。「地震地域係数」という国が定めた制度で、市町村ごとに1割から3割、耐震基準を引き下げることができるというものです。これは、海中の地盤の動きによって起こされる「プレート型地震」の発生頻度を考慮して戦後まもなく作られ、1980年に最後の改定が行われました。しかし、熊本地震や阪神・淡路大震災のような断層のずれによって引き起こされる地震は予測が難しいため、考慮されていません。

マンションの構造による違い

鉄筋コンクリートのマンションには2つの工法があります。壁で建物を支える「壁式構造」と、柱や梁などの骨組みで建物を支える「ラーメン(枠)構造」です。壁が多い建物は地震があっても建物が変形せず踏ん張ってくれます。しかし、ラーメン構造は柱や梁を変形させながら揺れを吸収する造りなので、壁式構造に比べると揺れやすく、ダメージを受けやすいと考えられています。中でも、耐震壁が少ないラーメン構造のマンションや、柱や梁の鉄筋の量が少ない1981年以前の旧耐震基準のラーメン構造のマンションは揺れやすいので、特に注意が必要です。

注意!「ピロティ型」マンション

地震に弱いマンションの一つに、1階に壁が少なく、駐車場などに利用されている「ピロティ型」と呼ばれるものが挙げられます。1階に壁がないため揺れやすく、重みが加わると潰れてしまうこともあります。「ピロティ型」マンションを補強するには、1階部分に鉄骨を入れる方法や、鉄板や特殊な繊維を柱に巻きつける方法などがあります。

長時間長周期地震動とは

高層マンションで注意しなければいけないのが、「長時間長周期地震動」と呼ばれる、ゆっくりとした地震の揺れです。東日本大震災では、東京だけでなく大阪にまで揺れが伝わりました。ビルの高層階は大きく揺れるため、立っていられなくなったり、家具が転倒してくるなど、命に関わる恐れもあります。免震技術などが使われている高層マンションが多いですが、家具を固定するなどの対策も重要です。さらに、停電やエレベーターが停止する可能性もあり、水や食料の備蓄をしておくことも大切です。

ゲスト:松本明子さん、千鳥・ノブさん
専門家ゲスト:福和伸夫さん(名古屋大学 教授)、長嶋修さん(不動産コンサルタント)
VTRゲスト:宮澤健二さん(工学院大学 名誉教授)
リポーター:佐藤俊吉アナウンサー