10月16日

※きょうのあさイチはアンコール放送をお伝えしました(一部地域での放送)

どうすれば返済? コワ~い“睡眠負債”

わずかな睡眠不足が、まるで借金のようにじわじわ積み重なる「睡眠負債」。命にかかわる病気のリスクを高め、日々の生活の質を下げていることが明らかになりました。どう予防・対策できるかをご紹介しました。

日々の注意力や集中力も低下?!

米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験です。
研究者たちは、被験者を徹夜のグループと、睡眠時間6時間のグループに分け、注意力や集中力がどう変化するのかを調べました。

まず徹夜のグループを見ると、初日、2日目と成績が急激に下降しています。一方、6時間睡眠のグループでは、最初の2日間はほとんど変化はありません。しかしその後、徐々に脳の働きが低下していきました。そして、2週間後には、徹夜グループの2晩経過後とほぼ同じレベルになってしまったのです。すなわち、「6時間睡眠を2週間続けた脳は、2晩徹夜したのとほぼ同じ状態」ともいえることになります。
しかも驚くことに、6時間睡眠のグループは、脳の働きの衰えを必ずしも自覚していませんでした。徹夜した場合と比べ、わずかな睡眠不足がじわじわ蓄積した場合、なかなかその影響について自覚できないのです。

参考文献:Van Dongen HP et al. Sleep. 2003 Mar 15;26(2):117-126.

睡眠負債とがんのリスク

東北大学が、宮城県の女性24,000人あまりを7年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人では、7時間寝ている人に対して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかりました。また2014年に米シカゴ大学が行った研究では、実験的に長期間睡眠を不足させた(睡眠負債の状態にした)マウスでは、がん細胞が増殖しやすくなっていることがわかりました。本来ならがん細胞を攻撃するはずの免疫細胞の働きが低下するようになる可能性が見えてきています。

参考文献:Kakizaki M et al. Br J Cancer. 2008 Nov 4;99(9):1502-5
Hakim F et al. Cancer Res. 2014 Mar 1;74(5):1329-37.

睡眠負債と認知症のリスク

アメリカのスタンフォード大学の西野精治さん(睡眠生体リズム研究所長)の研究によると、睡眠負債の状態に置いたマウスではアルツハイマー病の原因といわれるアミロイドベータが脳に蓄積しやすくなったことが分かっています。アミロイドベータは認知症が発症する20-30年前から蓄積するといわれていますので、働き盛りの時期の睡眠負債に留意したほうがよいと考えられます。

参考文献:Jae-Eun Kang et al. Science 326, 1005 (2009);

睡眠負債危険度チェック

睡眠障害(不眠症)の臨床の場で一般的に利用されている「アテネ不眠尺度」の質問項目をもとに作成しています。回答をそれぞれ、A:0点、B:1点、C:2点、D:3点として、8問の合計点によって、睡眠負債の危険度がわかります。
睡眠負債の危険度が「中」「高」と出た場合の最大の対策は、「これまでより長く寝るようにする」ことです。
ただし「週末の寝だめ」に頼ろうとすると生活リズムが乱れ、平日の睡眠に支障が出てかえって負債を増やしてしまう危険があります。無理して一度に返済しようとするのではなく、「コツコツ地道に返す」のがベストです。目安は、1日7-8時間の睡眠をとることです。もし、どうしても眠れず、日中の気分の落ち込みなどで生活に支障があるほど重度な場合は、医師など専門家への相談をお勧めします。

監修:滋賀医科大学・角谷寛教授

眠りのリズムを整えるポイント

私たちが眠気を感じるのは、脳から、覚醒を妨げ眠りやすくするホルモン、メラトニンが分泌され、血中のメラトニン濃度があがっていくことで起こります。ところが、新聞を読んだり、スマートフォンでのメールやSNS、動画の閲覧などで感情が動くと、メラトニンの分泌を抑制させる指令が送られます。そのため、せっかくたまった眠気を妨げてしまうのです。
また、日光を浴びることは、体内時計の調整・改善に効果的とされています。夜更かしを続けると、体内時計がずれ、メラトニンの分泌も遅くなります。曇りの日でも、空の明るい方角を見るだけで、効果は得られます。室内の蛍光灯では、光量が足りません。

※注意:直接、太陽を見るのは目を傷める危険性がありますので避けてください

専門家ゲスト:白川修一郎さん(睡眠評価研究機構代表)
ゲスト:勝村政信さん(俳優)、渡辺満里奈さん(タレント)
VTRゲスト:岡島義さん(臨床心理士)
リポーター:瀬田宙大アナウンサー