12月18日

今日からできる “患者力”アップのコツ

最近、新しいタイプのお医者さんが増えているのをご存じですか?従来であれば、どんな治療をするかは医師が決める場合が多かったんですが、今は、医師が患者に治療法の選択肢を示し、相談のうえ、最終的には患者に決めさせるケースが増えているんです。まさに、「患者中心の医療」。患者にとってみれば、自分が望む医療を受けられるようになりつつあるんです。
でも、実際、治療法を選ぶのは結構大変な面も。例えば50代のある女性は、ひざの痛みで医療機関を受診したところ、医師から「手術」「リハビリ」の選択肢を示されました。手術の内容やリハビリのメニューについては説明されましたが、医師は、どちらの方がいいのかオススメはしてくれなかったといいます。自己責任で治療法を判断しないといけなくなったこの女性は、答えを出せないまま何か月も悩んだといいます。これがもし、がんなど、命に直結する病気の治療法を選択するとなると、患者や家族にかかるプレッシャーはなおさらです。
番組では、患者自身が治療法を選択・判断するコツや、そのために必要な医師とのコミュニケーションのとりかたを具体的に紹介。「患者力」をアップさせ、よりよい医療を受ける方法をお伝えしました。

今、なぜ“患者力”が必要なの?

実は「治療法を患者が選択する」という医療は1990年代半ばには始まっていて、いまでは当たり前になっています。つまり、“お医者さんに治療法はお任せ“はもう古いんです。
ピンとこない人もいるかもしれませんが、例えば頭痛で病院に行ったときに、以前なら医師が「痛み止め出しますね」と言っていたのが、今は「どっちの痛み止めにしますか?」と希望を聞かれたりするなど患者の「選択」の機会が増えているんです。(※ただし緊急の手術などでは医師が治療法を決める場合もあります。)
医師の常識が大きく変わっているにもかかわらず、患者の意識が変わらず「医師が治療法を決めてくれる」というお任せ状態のままだと置いてきぼりになってしまいます。
そこで自分の病気の治療法を選んだり、情報を見極めたりする力を番組では「患者力」とし、医師とのコミュニケーションで役立つ技やインターネットの情報を見分けるなど具体的にお伝えしました。

“患者力”実践編(1)質問力

治療法を判断するには、情報が必要。そこで大事なのが「質問力」。そのために必要なのがメモです。
たいしたことないと思うかもしれませんがポイントがあるんです。番組に出演した山口育子さんによると「余白たっぷり」が、そのポイント。

  1. 「伝えたいこと」「聞きたいこと」をすべてノートに書き出しておく。
  2. 3~4つに絞って、箇条書きにしたメモを作る。その際、メモにびっしり書くのではなく、質問と質問の間に書き込めるよう、余白をたっぷり作るのがオススメ。
  3. このメモを見ながら医師に質問する。これで医師も本気になるんだとか。

さらに、医師に専門用語を使って答えられたとき、「どんな漢字を書くんですか。ここに書いてもらえますか?」などと言ってここの余白に書いてもらったりすることができます。加えてこれをファイルにとじておくだけで自分だけの治療記録を作ることができます。
そして、もうひとつ、医師に「今後の見通し」を質問しておくことも重要です。特に長期間にわたる病気や命にかかわる病気で必要になってきます。治療のスケジュールとどの程度までよくなるのかを確認し、医師と治療のゴールを共有することが重要です。

“患者力”実践編(2)ネット情報の見極め方

治療法を選択するとき、多くの人が参考にしているのが、インターネットの情報。インターネットで調べるときのコツもご紹介しました。
オススメなのが、検索画面に、病名を打ち込んだあと、「site:go.jp」や「site:ac.jp」を加えて検索すること。「site:go.jp」で厚労省などの行政機関のサイト、「site:ac.jp」で大学や研究機関のサイトに絞って検索することができます。「誰が」「何のために」出した情報か知ることが重要です。
さらに更新日に注意をしてください。病気のガイドラインは3年から5年で更新されているので、その期間を目安にあまりにも古い情報には注意が必要です。また体験談に引きずられないすぎないようにしてください。個人の書いた経験は自分に当てはまるとは限りません。特にマイナスの情報に振り回されて不安ばかりが膨らんでしまうこともあります。
ネットの情報を見て悩んだ場合は、VTRに出演した医師によると「ネット情報で悩んだら何を見てどんな不安を感じているか医師に伝えてほしい」ということです。その際、ページを印刷して医師に見せるとベターです。ただし、忙しいお医者さんも多いですから、何件も印刷してもっていくのではなく、1~2点に厳選したほうがいいでしょう。

効果・リスクが数字で出されたら?

リスクのとらえ方は同じ数字でも人それぞれです。また同じ人でもそのときによって判断が変わります。
そこで、効果・リスクや数字が出されたらどう決めたらいいのかをご紹介しました。
臨床現場で患者と一緒に治療法を選択している医師の大野智さんによると、リスクの数字を考えるときのポイントは「数字を考えるのは最後に」。です。
まず考えるべきは「自分にとっていちばん大切にしたいものは?」「自分はどう生きたい?」ということです。VTRに出演した山下さんの場合、「子どもとの時間」でした。
次に考えるのはいちばん大切にしたいものを守るにあたり、「いちばん困っている病気の症状は?」です。
山下さんの場合「足が痛くて子どもの面倒が見られない」ということでした。
そして最後に考えることが「リスクは許容できる?」。例えば10%のリスクを恐れて手術しないよりも、今、この痛みを取ることがいちばん大切!だから手術する、と山下さんは決心することができました。

専門家ゲスト:大野智さん(医師 大阪大学大学院 寄付講座准教授)、山口育子さん(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)
ゲスト:福田充徳さん(チュートリアル)、坂下千里子さん
リポーター:瀬田宙大アナウンサー