7月11日

知っておきたい!ヘルプマークと見えない障害

予告画像

最近、電車・バスの車内や駅構内でよく目にするようになった「ヘルプマーク」についてお伝えしました。これは、心臓や脳などの内部障害や人工関節、発達障害など、見た目にはわかりにくい病気や障害、つらさがある人がもつマークです。全国に広がりつつある一方で、「ヘルプマーク」をつけている人を見かけたらどうすればいいのかわからないという声も多く寄せられました。そこで、見えないつらさや障害のある人たちがどんなことを求めているのかを具体的に見ながら、適切な行動や支援を行うためのヒントを探りました。

ヘルプマークの普及状況

ヘルプマークは6年前に東京都が作り、現在、24の都道府県で導入されています。また、市町村単位で導入している自治体もあります。誰でも無料でもらうことができ、医師の診断書なども必要ありません。各都道府県庁などで配布していて、これまでにおよそ22万個が配布されています。

ヘルプマークの都道府県地図

ヘルプマークを見たらどうすればいい?

求めているものはその時々で変わる

都内の大学に通う河髙素子さんは自閉スペクトラム症からくる「聴覚過敏」があり、授業中も雑音をカットするイヤホンをつけています。しかし、音楽を聴いていると誤解されかねないため、机の上にヘルプマークを出し、「イヤホンは必要な道具である」ことを周囲に伝えています。
また、河髙さんにはもうひとつ想定しているヘルプマークの使い方があります。外出中、聴覚過敏からくる疲れなどで急に具合が悪くなったときに周囲に助けを求めるためです。
このように、ヘルプマークを表に出している人が何を求めているかは、その時々によって変わります。河髙さんは「ヘルプマークという名前だけれども、常にヘルプを必要としているわけではないので、ぜひ、助けが必要かどうか本人に聞いてほしい」と話していました。

もしものときはヘルプカードを探そう

福島市の民間福祉施設で働く吾妻祥彦さんは、去年、帰宅途中に脳出血で救急搬送され、高血圧からくる腎硬化症が見つかりました。現在も週に2回の人工透析を受けています。またいつ倒れるかわからないと不安な吾妻さんは必ず見えるところにヘルプマークをつけていますが、もうひとつ持っているのが「ヘルプカード」です。ヘルプカードには緊急時の連絡先や病名、かかりつけの病院、倒れたときの対処法などが記入できるようになっていて、もしものとき、どう対処すればいいかが分かるようになっています。吾妻さんは、「具合が悪くなった人がヘルプマークをつけていたら、ヘルプカードを持っていないか探してほしい」と話していました。

災害時のSOS

見えない障害のある人たちがより困難に陥りやすいのが、災害時です。2年前に熊本で震度7の地震に襲われた発達障害の当事者グループによると、「集団が苦手で避難所に入れない」「行列に並んで食事をもらうことができない」など、周囲からは理解されにくい困り事や苦労がありました。メンバーの一人、自閉スペクトラム症で「聴覚過敏」がある宮田麻美さんがいちばん苦しんだのは、避難所の音。100人近い人が身を寄せていたため、宮田さんにとって耐えがたい音があふれていました。静かな場所で落ち着きたいと思いましたが、わがままに聞こえるのではないかと思い、つらさを訴えることはできなかったと言います。
震災当時、熊本にはヘルプカードが導入されておらず、見えない障害やつらさについて伝える方法はありませんでしたが、去年8月に導入されました。宮田さんたちはまた起きるかもしれない災害に備え、周囲に分かってほしいことや手助けしてほしいことについて話し合っています。

支援する側がつけるマークも登場

愛知県東郷町の町役場では、職員全員が「サポートハートマーク」を身につけています。これは、サポートが必要な人に対して「手助けします」という意思を表明するためのマークです。作ったのは町内に住む大学生の酒井晃太さん。酒井さんは3年前に自閉スペクトラム症の診断を受け、見えない障害に対する理解を広める活動をしています。その際、「手助けしたい気持ちがあるのに伝え方が分からない」という声を聞き、ヘルプを出す側と支える側をつなぐマークがあればと、「サポートハートマーク」を作りました。ホームページから自由にダウンロードできるようになっています。

専門家ゲスト:春名由一郎さん(高齢者・障害・求職者雇用支援機構)、菊池彩水さん(片耳難聴当事者)
ゲスト:柴田理恵さん、前川泰之さん
リポーター:古野晶子アナウンサー