1月16日

逆境から心が成長!知ってる?PTG

HP予告画像に同じ

病気・事故・災害・家族の死・・・。つらい出来事が起きたとき、悩み、もがくことで、心に前向きな変化が起きることがある、ということが、最新の研究で分かってきました。「PTG(Posttraumatic Growth)」トラウマ後成長と呼ばれ、アメリカを中心に研究が進んでいます。

PTGって何?

植松秋(うえまつ・みのり)さんは24年前の阪神・淡路大震災で被災し、姉の素(もと)さんを亡くしました。震災からしばらくたって、フラッシュバックなどの症状に悩まされます。秋さんは精神科医のもとで、震災の記憶とみずから向き合い、繰り返し語るという治療を受けました。すると自分が「姉を守れなかった」と悔やんでいることに気づいたといいます。そのことが、秋さんの心を変えました。「客観的に自分の心を整理すれば、怖くない」。自分を責める気持ちも、当時の自分はよくやったと考えられるようになりました。その経験をもとに、さらに自分の心を知るため、臨床心理士になりました。時間をかけてつらい出来事と向き合い、気持ちを整理していくことが、PTGのはじめの一歩だと言われています。

植松秋さん

PTGを経験した人の“心の変化”

飯野幸(いいの・みゆき)さんは、2年前にすい臓がんと診断され、手術や抗がん剤治療を受けました。死の不安にさいなまれ、助けを求めて、「心の回復」の治療を受けます。これまで自分がどう考え、行動したかを治療の過程で思い起こすうち、「今を大切に生きたい」と気持ちが変化していくことに気づきました。それは、そば屋さんで出会った親子の何気ない言葉に心が和んだり、道行く人の優しさに気づいたりという、「小さなかけがえのないものとの出会い」でもありました。飯野さんの心の変化を診て、がん専門の精神科医・清水研さんは「一生懸命に生きようと考えることもひとつの成長。PTGでいう成長とは、どんな形でもよい」と話します。

飯野幸さん

語ることで、PTGへ

医師の水谷和郎(みずたに・かずお)さんは、24年前の阪神・淡路大震災が起きた1月17日、淡路島の病院で当直医を務めていました。大勢の人が自分のすぐそばで亡くなっていくのを目の当たりにした水谷さんは、心に大きな傷を受けます。震災から10年間、誰にもそのことを話せずにいました。2005年の1月17日、水谷さんの心を動かす出来事が起きます。テレビの追悼式典を見て泣きながら黙とうをささげる水谷さんに、看護師が慰めるように「地震が起きても、この病院には、けが人なんか来ないよ」と言ったのです。被災した経験がある人と、ない人では、危機感に大きな違いがある、と痛感した瞬間でした。水谷さんは震災を知らない病院のスタッフに向けて、「大震災のときに何が起きるか、どう備えるか」を語りました。その講演をきっかけにこれまで100回以上の講演を行うなど、震災の記憶を語り継いでいます。

水谷和郎さん

専門家ゲスト:開浩一さん(長崎ウエスレヤン大学社会福祉学科 准教授)
ゲスト:風見しんごさん、生稲晃子さん
リポーター:田村直之アナウンサー