発達障害プロジェクト

当事者のリアル告白
みんな発達障害を誤解してます!

発達障害は「見えにくい障害」
周囲からは「怠けている」「自分勝手」などと思われがちですが、当事者にしかわからない理由がありました。

6月27日公開

神山忠さん
LD(学習障害:読み書き障害)
文字の読み書きが苦手
  • ①「読めなくてもいいよ」と言ってほしかった

  • ②「読んでもらえますか」と気軽に頼めたら

動画① テキストで読む↓
  • 「読めなくてもいいよ」と言ってほしかった

    学習障害のひとつ、読み書き障害の人は、話すことも聞くことも問題なくできるのに、文字の読み書きだけが極端に苦手です。

    神山忠さんが特につらかったのは子どもの頃。授業で教科書やプリントを読むことが求められるため、学校に行くのが嫌でしかたがなかったと言います。

    「小学校のころ授業で、先生から配られた読み物のプリントを1時間かけても4行目の途中までしか読めなかったことがありました。周りの友達からは「うそやろう。俺なんか、もう2回目を読んでいるのに」とか「お前は何をやってもだめな奴だな。ばかな奴だな」とか、責められたりばかにされたりしたことで、自分は「一生懸命やってもできない子」、「だめな子」、「ばかな子」なんだという気持ちになりました。」

    担任の教師からは「やればできるはずだから頑張れ」と声を掛けられましたが、どんなに頑張っても一向に読めるようにはなりませんでした。

    「「頑張れ」と励まされるよりは、「読めなくてもいいんだよ」と言ってもらいたかったです。「たとえ字が読めなくても物語を楽しむことはできるし、読むのは苦手かもしれないけど、あなたには他にとてもステキなところあるから」っていう言葉をかけてもらえたら、うれしかったかなと思います。」

    大人になった今は「文字を読むのが苦手」という自分の特性を受け入れていると言います。

    「小さいころは親や先生たちを恨んだりしていましたが、今はこんな自分もありかなと思うようになりました。これは苦手だけど、こういったところは得意だとか、こういう作戦を使えばやっていけるというものがつかめたときに、やっとそんな風に思えるようになってきたと思います。」

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動画② テキストで読む↓
  • 「読んでもらえますか」と気軽に頼めたら

    学習障害のひとつ、読み書き障害の人は、話すことも聞くことも問題なくできるのに、文字の読み書きだけが極端に苦手です。

    神山忠さんは、文章を読むには覚悟がいると言います。

    「読まなきゃいけない、理解しなきゃいけないと思うと、相当な気構え、覚悟を決めて向かってかなきゃいけない。」

    長い文章は、途中で読んでいる場所が分からなくなるため、指でなぞりながらでないと読むことができません。

    「緊張感と、自分の持ってる能力をフル回転させて処理していくという感じで、疲れますね。」

    しかし、文字では理解できなくても、音で聞けば理解することはできるため、パソコンを使うときは、音声読み上げ機能を利用しています。

    「読み上げ機能を使うのは手間はかかりますが、こうすれば理解できる、こうすれば他の人と同じように仕事ができるように思えるようになったので、負担感をそんなに感じることもなく、ごく当たり前の作業だという風に感じています。」

    こうした工夫によって、今は生活に支障が出るほど苦労することは少なくなりました。しかし、苦労が全く無くなった訳ではありません。

    「役場の手続きなどはいつも苦労します。決まった書式に正しく記入しなくちゃいけませんし、この欄は何を書かなきゃいけないのかなどはすぐに分からないため、その場で理解して正しく書くには相当なエネルギーを使わないといけません。気楽に、「項目だけでいいので読んでもらえますか」なんて頼みやすい雰囲気があったり、そうした配慮が得られる窓口になってもらえるとありがたいと思います。

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広野ゆいさん
ADHD(注意欠如・多動症)
片づけが苦手/忘れ物が多い/集中が続かない
  • ①「ずっと“普通”の人になりたかった」

  • ②「“普通”を目指すのはやめました」

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  • 「ずっと“普通”の人になりたかった」

    発達障害のひとつ、ADHD(注意欠如・多動症)の人には、物事を計画立てて実行することが難しく、注意が次々と移ってしまう特性があり、整理整頓や片づけが苦手な人が少なくありません。

    広野ゆいさんも、片づけができないことにずっと悩んできました。
    特に片づけられないのが書類や本などの資料類と衣類。棚やタンスに収納することができず、床や机に山積みにしています。

    「どうしても、書類は山積みになっちゃうんです。でも、一応この辺が書類、向こうが服っていうエリア分けはしていて、混ざらないようにはしています。」

    片づかないのは部屋の中の物が多すぎるのが原因では、と考えたこともありますが・・・
    「捨てるのがやっぱり怖いんですよね。」
    Q:こわい?
    「だって、必要な物が混ざってたらどうしようって思ってしまうんです。捨てないと片づかないことは分かっているんですが。」

    片づけが苦手なのは、子どものころからでした。物心ついたときには、どんなに頑張っても他のみんなと同じようにはできないと感じていたと言います。

    「もう物心ついたときには片づけられなかったです。自分はダメな子だっていう感じがすごく強くって。もう小学生のときには“みんなみたいにできなきゃいけない”っていう脅迫観念があったような気がします。“普通の人にならないといけないんだ”っていう感じがすごくありました。」

    結婚後は専業主婦になりましたが、相変わらず片づけはできないまま。夫からは、そのことを責められたと言います。
    「結婚してからは、自分のことだけじゃなくて旦那さんのことも子どものこともやらないといけないということで、一気にキャパオーバーになっちゃいました。たとえばダイニングテーブルは結構大きかったのに、モノがいっぱい載っちゃってて、御飯が食べられないとか。夫は「こんな家に帰って来る俺の気持ちになってみろ」って言っていましたが、私自身も「そのとおりだな」と思っていました。片づけできない人間は人として認めてもらえないという感じがずっとあったんです。だから当時は、片づけさえできるようになったら、自分も普通の人になれるんじゃないかなって思っていました。普通の人になりたかったんです。」

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  • 「“普通”を目指すのはやめました」

    広野さんがADHDだと分かったのは27歳の時です。診断によって、初めて片づけられない原因が分かりました。

    「それまでは努力不足だから片付けができないって思ってきたんですよ。でもADHDが原因だということや、普通の人は特別に頑張らなくても片付けができてるんだということが分かったときは衝撃でした。私はいくら努力をしても普通の人にはなれないんだっていうことに気づいたんです。だから、普通の人になるための人生はやめなきゃいけないなって思いました。普通の人になることをあきらめてADHDである自分を受け入れないといけないと思ったんです。」

    「普通の人のようには片づけができない」ことを受け入れた広野さんは、部屋全体を片づけるのをあきらめ、自分にとって大事な場所だけを片づけることに考え方を変えました。リビングはぐちゃぐちゃでも、子どもと食事をする食卓だけは、きれいに保つように心がけるようにしました。

    「ちゃんとご飯が食べられて家族で話す場所があるっていうのを一番大事にしようと思っています。自分のできる範囲っていうのを大事にしないと生活が全部崩れちゃうので、食卓だけが片づいているというのは自分にとって良い状態なんですよ。」

    発達障害であることを受け入れ、“普通”であることにとらわれなくなったことで、広野さんは考え方が大きく変わったと言います。

    「ADHDだと分かる前は、ずっと自分を否定してきて、自分のことが大嫌いで、もういなくなればいいのにと思って生きてきたんですけど、自分はこういうタイプの人間なんだって受け入れることによって、自分にも何かできることがあるかもしれないとか、自分なりのやり方とか生き方をしてもいいんだってことが分かって、すごく大きく見方とか考え方とかが変わったなと思います。
    みんながどうしているとか、普通はどうだって考えるとうまくいかなくなっちゃうんですね。普通じゃないとだめなんだって思っている人には「普通じゃなくてもいいんだよ」って言ってあげたいし、周りの人も「自分なりのやり方でいいんだよ」って言ってあげてほしいなって思います。」

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笹森理絵さん
ADHD(注意欠如・多動症)
忘れ物が多い/家事をうまく回せない/片付けられない
  • ①自尊心なんて かけらもなかった

  • ②だらしないんじゃない 困っているんです

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  • 「自尊心なんてかけらもなかった」

    発達障害のひとつ、ADHD(注意欠如・多動症)の人は、物事を計画立てて実行することが難しく、注意が次々に移ってしまい、日常に様々な困り事を抱えています。

    夫と3人の子どもと暮らす、主婦の笹森理恵さん。
    笹森さんが苦手なことは、片付け。
    ダイニングテーブルの上には、調味料や飲みかけのペットボトルが雑然と置かれています。

    「どうすれば整然とした形になるかっていうことが、イメージできないんですよね。 どこから手を付けたらいいかが、まずわからない。それに、捨てる、捨てないの判断ができないんですね。積み重ねたものが雪崩をおこすなんて、しょっちゅうですよ。」

    一度に2つのことをするのも苦手です。
    夕飯のカレーを煮込む間、洗濯を始めた笹森さん。しばらくすると、台所からなにやら不穏な音が――。

    「なんか、すごい音してますね。沸いてる」
    Q)大丈夫ですか?
    「大丈夫じゃないですね……(笑)。大体、何かをしながら何かをするっていうことができないので。ちょうどいい集中っていうのがどういう状態なのかがわからないです。自分でも困ってるところなんですけど」

    自分でどうコントロールしようにもできない問題。しかし、そうした事情は周囲には分かってもらえませんでした。

    「毎回通知表に『集中力がない』『注意力散漫』って書かれていて。そこに関して理解をしてくれる先生はいなかったです。先生に怒られて、同級生からは白い目で見られて。家に帰ると今度は親から『こんなんやったらしいなあ』って怒られる。もう三重奏なので、居場所がない感じでした。自分って、どうしてこうなんだろうと思って」

    笹森さんがADHDの診断を受けたのは33歳の時です。それまでは、出来ないのは自分のせいだと、自分を追い詰めてしまっていました。

    「自尊心なんて、かけらもなかったですよ。私なんてダメな人間で、生きていてごめんなさいって思っていましたからね、ずっと」

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動画② テキストで読む↓
  • 「だらしないんじゃない 困っているんです」

    家事や子育てにおいて特に求められる、注意力や計画性。そのため、笹森さんは、結婚してからADHDの診断を受けるまでの間がいちばん辛かったと言います。

    「崖っぷちって感じですね。自分の人生、希望が全く見えなかった。もうダメだって。」

    笹森さんにとって《診断》は、人生の大きな転機となりました。

    「すごくほっとしたんですよね。それまでは、『我慢が足りない』『努力が足りない』と幼稚園のときからずっと言われてきていて、自分を責めに責めてきたんですけど。先生から『これは発達障害の特性だよ』って言われて、『できないことはできないで、できることを伸ばして長所にして変えていけばいいじゃない』って言われたときに、あ、それでいいんだって思ったんですね。」

    それ以来、笹森さんは「できることを少しずつ」を合い言葉に、自分の苦手なことを少しずつ改善していきました。

    片付けに関しては、服を洋服ダンスにしまわずに、全てハンガーにかけて整理することにしました。

    「(タンスにしまうと…)奥に物がいくと、もう見えないので、ないのと一緒だし、溢れてきたときにはどうしたらいいかがわからなくなってしまうので。それなら吊ったほうが物が落ちなくていい。」

    忘れもの対策は、ふせん紙にメモをして、いつも気にして見ることの多いスマートフォンの画面に貼っておきます。

    「絶対に忘れるので携帯電話に貼っとくんです。もうこれが一番です。手に書いたりとか、別にメモに書いたりとかしたんですけど、結局忘れちゃうので、もうこれが一番効果的です。」

    怠けていたり、いい加減なわけではなく、障害特性のために自分ではどうにもできないことがある。本人を責めずに、理解して欲しいというのが笹森さんの願いです。

    「どうしてもADHDとかっていうのは、だらしなくてみっともないって見えることが多いので。でも、そう見られてしまうっていうところがつらいので、そうではなくて、困っているというところを知ってもらったら、ありがたいですね。」

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河髙素子さん
ASD(自閉スペクトラム症)
感覚過敏(視覚、聴覚、触覚)/疲れやすい/文字が読むのが苦手
  • ①私の世界は、まぶしく、うるさい

  • ②外からは見えないだろうけど 実は相当疲れてます

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  • 「私の世界は、まぶしく、うるさい」

    あまり知られていませんが、発達障害のひとつ、ASD(自閉スペクトラム症)のおよそ半数以上に、「感覚の過敏性」があると言われています。

    定時制高校に通う河髙素子さん。
    天気の良い日はカーテンを閉め、あえて部屋を暗くして過ごしています。

    「外の光まぶしいので、下向いて歩いていることが多い。カーテン開けるとまぶしすぎて、まず目が痛い。今日ぐらいの天気だと目が痛いです。光が刺さる感じです。」

    部屋の中の照明でも、場合によっては河高さんの視覚を襲う強烈な刺激になります。

    「私は学校の蛍光灯だと紙に書かれた文字を読めないです。白い紙だと、文字が反射してしまって読めないんです。」

    こうした視覚の過敏性以上に河高さんが辛いと感じているのは、聴覚の過敏性です。

    「外の公園の声とか、空調の音とか。ちっちゃいときから、すごいうるさがり、うるさいのは嫌いでした。 一番苦手な音は、拍手の音です。破裂音みたいなのがびっくりしてしまう。人一倍大きく聞こえてるので。」

    多くの人にとっては何てことのない音が、河髙さんを苦しめているんです。
    さらに、過敏性は触覚にも。

    「食器洗いする水が流れているのを、触るのが嫌ですね。水の感覚が気持ち悪いんです。全身つかってしまえばいいんですけど、部分だけ水が触れるのが嫌。 自分の感覚過敏が強すぎて、人と手をつなぐの、ものすごく苦手です。とりあえず早く離したい、失礼なんですけど、早く離したいっていうのがあります。
    あとは自分の周りだけかもしれないですけど、今の高校生ってみんなすぐハグするんですね。あれは、私、避けますね。わーって来たら、キュッって避けます。あれだめです。ゾワァッとする。」


    他の人には理解されない、障害ゆえの感覚過敏。これから社会を生きる上で、河髙さんが心配に感じていることは、感覚という自身にしか分からない困り事を、いかに周囲に理解してもらい、人間関係を築いていけるかです。

    「今高校では人間関係がうまくいっていますけど、次また変わるじゃないですか。 社会に出てからも変わりますし。もう一回、いちから作り直せるのかなっていうのが不安です。」

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動画② テキストで読む↓
  • 「外からは見えないだろうけど 実は相当疲れてます」

    視覚や聴覚の過敏性が強い河髙さんは、様々な場所でストレスを感じています。 たとえば、スーパーマーケットの野菜売り場。

    「光が野菜に反射しちゃって、痛い、光が。
    売り場のポップは、見ないですね。字を読めないことはないんですけど、長時間見ていると疲れるんです。」


    売り場を明るく彩る清潔な照明も、河髙さんにとっては辛い刺激です。なるべく見ないようにして避ける一方、どうしても防ぎようもないのが音の刺激。なぜなら――。

    「冷蔵庫から、音もしているし。店全体からゴーって鳴ってて、なんかわからないけど、人の声がするみたいないろんな音が一気に入ってくる感じです。疲れてきます。」

    どうしても意識して避けることのできない刺激から身を守るため、河髙さんは普段から、特別な道具を使ってカバーしています。

    「ノイズキャンセラ-っていうイヤホンがあって、周りのノイズを消してくれるイヤホンがあるんですね。それを日常ずっと着けています。聞こえてる音全部、人の話し声とかも含めて全部、音量をちょっと下げてくれる。外を歩くときは、特にこれがないと歩けないです。」

    ただ、いくら工夫しても、町中に溢れる様々な刺激を完全に避けることはできません。身体にかかる負荷は大きく、外出から帰った後はいつも、疲労感に襲われます。

    「すっごい疲れています。耳も脳も疲れている感じで、耳の後ろが圧迫されている感じ。」

    刺激の少ない室内で、ブランコに揺られながら、リラックスをして回復を図る河髙さん。感覚は共有できないまでも、過敏性によるつらさがあることを知って、「疲れている」というサインに思いを寄せて欲しいと言います。

    「表面には出ていないけど、思ったより負荷がかかってる。それだけでも分かってくれたら・・・」

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  • 当事者が感じる
    世の中のイメージとのギャップとは?
怠けていたり、わざとミスしていると思われがちで、やる気がないように誤解されているけど、まったくそうではない。
(男性40代 当事者)
まず理解してほしい、悪気がない事
(男性30代 当事者)
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  • 発達障害のある子を持つ親が感じる
    世の中のイメージとのギャップとは?
甘やかして育てていると思われた。
(女性30代 当事者の家族)
見た目が普通だから、親が過敏なだけでは、と言われる事もあります。
(女性40代 当事者の家族)
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