2012年06月23日放送放送内容まるわかり!

これでいいの!?ニッポンの"就活"

今年、大学生の就職戦線に異変が起きています。就職活動の期間が2ヶ月間短くなり学生が人気企業に集中、会社説明会にさえ参加できない事態に。親たちの世代では考えられなかった驚きの選考方法も。
今年の就職戦線、一体何が起こっているの?学生、親はどう対応すればいいの? 企業が求める人材とは?
様変わりする就職戦線の今をとことん深読みしました。

今週の出演者

専門家
岡崎仁美さん(就活情報サイト「リクナビ」編集長)
坂倉昇平さん(NPO法人 POSSE 理事)
今井純子(NHK解説委員)
ゲスト
桂文珍さん(落語家)
鈴木紗理奈さん(タレント)

〈小野アナウンサー〉来年春に卒業する学生の就職活動が、今まだまだ続いているという状況なんですが、文珍さん、この問題については?

〈文珍さん〉はい、私は就職活動、一度もやったことがなく今日まで来ましたのであまり発言力がないんじゃないかと心配しておりますけども。

〈小野アナウンサー〉紗理奈さんは、小さなお子さんのお母さんですものね。

〈鈴木さん〉はい、そうですね。親として見つつ、私も就職活動をしたことないんですけれど、偉そうに言っていきたいと思います。

〈小野アナウンサー〉視聴者の方からは、こんな声が届いています。長男がいまだに内定を取れず苦労している、岐阜県の55歳の男性からです。

視聴者の声
  • ●「受けた企業はすでに200社ほど。今では就活評論ができるほどになっています」
    《岐阜県・55歳・男性》
  • ●「大学でキャリアカウンセラーをしています。企業研究が不十分なまま応募、落ちてはがっかりし、自分を見失っている学生がいます」
    《東京都・50歳・女性》

〈小野アナウンサー〉今井解説委員、今年の就職戦線の傾向は。

〈今井解説委員〉求人倍率を見てみたいと思うんですけれども、これは今、ちょうど就職活動をしている、来年春に大学を卒業する予定の人たちの求人倍率なんですけれども、これ、1.27。就職したい人1人に対して、企業の採用枠が1.27あるということなんですね。

〈今井解説委員〉前の年と比べると改善しているということなんですね。ただ、厳しいことは厳しいと。

〈小野アナウンサー〉にもかかわらず、ものすごく困っているという声がたくさんありますね。

〈今井解説委員〉というのは、もうひとつ今年特徴があってですね、それは、就職活動がスタートする時期が2か月遅れたと。これ経団連の倫理憲章に基づいてなんですけれども、要するに、就職活動の期間が2か月短くなってしまったということで、新たな混乱も起きている。

〈鈴木さん〉なんで短くなったんですか。

〈今井解説委員〉学生さんにもっと勉強してもらおうと。就職活動に翻弄されるのではなく、勉強に力を入れてほしい、ということからなんです。

〈小野アナウンサー〉とはいえ、就職活動が厳しいのは今も昔も同じだ、という声も聞こえてきそうですが、現代の就職戦線にどんな傾向や特徴があるというのか、何が問題なのか、 徳永アナウンサーのプレゼンです。



プレゼンテーション①
これでいいの? 日本の就職活動

若い人たちが今どういう状況かをちょっと一から見てみましょう。

この人、今、就活中の深読太郎くんです。今、大学生。来年の春に入社したくて就活中です。そういう大学生または大学をすでに卒業した人は44万人ほど。少子化とは言いますけれども、大学への進学率が昔に比べて高いので、ライバルは増えているんです。 プラス、今、こんな意識が芽生えていると言われています。「とにかく安定した生活を送りたい」と。なぜなら年金も社会保障もこの世代、どうなるか分からない。彼らはバブルの後に生まれ、景気がいいなんて感じたこと、一度もないんですね。

せめてこのゴール、就職先は大企業に入りたいって人が増えていると言われています。

しかし、頼みの大企業も変わってきていて、ここだって厳しいので、いい人材を厳選して、採用する。もう基準に達していなければ採りません、というふうになっています。

実は、大企業というこだわりを捨てれば、全員計算上は入社できますが、大企業志向が強いというのが今の特徴です。

もうひとつ、大きなポイントがあります。昔の就活と違うのはインターネットの存在です。私が就職活動をした13年前も、インターネットはありましたが、今はスマートフォンや持ち歩きできるインターネットの端末が増えています。

それから、フェイスブックとかツイッターとか、個人同士で交流できる便利なものもできました。これ、ソーシャルメディアって呼ばれるので、就活ならぬ「ソー活」なんて言葉も登場しています。

段階を追って見ていきます。3年生の12月に事実上の就活が始まる深読太郎くん、まず何をするかというと、企業の資料を集めます。 昔ならハガキで請求したかもしれませんが、今はインターネットです。 「いいね!」なんてボタンを押したり、いろいろクリックすると、すぐに情報が入ってきます。平均60社ほどの情報を集めています。

〈小野アナウンサー〉昔は会社訪問したり、ハガキを出したりしないともらえなかった資料ですよね。

そうです。でも今は違うんです。ネットだから企業が情報を更新するたびに、どんどん新しい情報が入ってきますから、全部読むことができないくらいというのが現状なんですね。

さあ、ひいひい言ってる読太郎。次の段階にいきます。あっという間に企業説明会。 これ、採用試験ではありません。どんな企業かというのを、説明を聞きに行くだけです。聞きに行くのもひと苦労と言われています。

理由はこれです。今、ネットで申し込みます。人気企業は予約制、あっという間に埋まります。さて、募集開始から最短でどれくらいで定員オーバーになっていると思います?

番組調べだと、1分。 だから、クリックするのに必死です。読太郎は、買ったばかりのスマートフォンで、手当たり次第、一生懸命押しまして、やっと滑り込むというのが現状です。

そして、4年生の春、4月がやってきました。やっとここで採用試験が始まります。これは昔と変わりません。エントリーシートといって履歴書を、ネットで書いていきます。

その後、やっと面接試験です。読太郎は、とにかく大企業に入りたい、安定した生活を送りたいと真面目に勉強してまいりました。人事の人が好きな言葉も一生懸命覚えて、この面接をクリア。あ、もう就職じゃないかと思ったんですが、まだ続きがあります。

面接の回数が今、増えております。多いところでは10次面接まであるといいます。 聞くことはこういうことだそうです。同じ質問をどんどん掘り下げます。企業は厳選採用です。本当に思っているのかを確かめるために、同じことをどんどんと掘り下げて聞きます。 これで全部クリアして、10次面接までいけばいいじゃないかと思うかもしれませんが、 まだ、続きがございます。忘れていませんか。「ソー活」って言ったでしょ。人事はこんなところも見ていると言われております。今、ツイッター、フェイスブックなどで若い人の多くは、毎日の日記をネットに上げています。

〈鈴木さん〉ええ、これも見られる?

深読太郎ドキッとしました。さあ、対策に乗り出します。まず、プロフィールの写真にペットの写真を貼っていましたが、イイ人に見られたいから、爽やかな自分のブロマイドみたいな写真を貼り付けます。
本音を書いている「面接に疲れた」っていう言葉も全部隠して、本当は違うんだけど「面接がんばるぞ!!」ってポジティブな人間を演出します。
就職セミナーの中には、こういうことしたほうがいいですよって教えているところもあると言われています。

〈文珍さん〉それだけ頑張ると、就職したらもうヤル気はなくなるでしょうね。

〈鈴木さん〉疲れきっちゃってね。

じつは、そういうことが起きていると言われています。 企業は厳選に厳選を重ねたんで握手を求めているんですが、読太郎のような学生の中には果たしてこれで良かったのか、この道で良かったのかと悩むというケースもあるんだそうです。


〈今井解説委員〉実際、そういう人は多い。大学を卒業して就職をした人のうち3人に1人が3年以内に辞めているという国の推計が出ています。
さらにそもそも就職できなかった、あるいはアルバイトをしているという方もいます。そういう人を含めると、大学に行ったのに2人に1人が、きちんとした仕事に就けていない、続けることができていません。これもやはり就職に問題があるからと言わざるを得ないですね。国の宝である若い人たちがこういう状況だと、これからの日本、大変なことになりかねない、深刻な問題です。

〈岡崎さん〉3年以内に3割が辞めるっていうのは、1995年から続いている事象です。非常に根は深いと思います。

〈坂倉さん〉就活をしている時に、若者が苦しんでいるという声をいろいろ聞くわけです。僕たちはいろんな若者の労働相談を受けるNPOをやっていまして、その中で就職に関する調査をしています。
そこに3つの特徴があります。1つ目が金銭的な負担。エントリーシートを書いて、説明会に行ったりすると交通費とかもかかりますし、さらに自分が受かるかどうか分からないので、資格に走るとかですね。資格セミナーとかたくさんあるんですよね。
僕らが調査した中では、例えば100万円ぐらい資格セミナーに使っている人がいます。
2つめは採用基準が不明ということです。会社がどういった人材を求めているのかということ。「人間力」とか「コミュニケーション能力」とか、その会社に対する「意欲」とか、非常に抽象的で、何を求めているのかよく分からないんですね。

〈小野アナウンサー〉今、インターネットで就職活動するような時代だからということもあるんですか?不採用の時に「あなたは不採用です」と言われて、なぜ不採用なんだろうって思うのは、いつの時代も変わらないような気がするんですけど。

〈坂倉さん〉このハードルがどんどん高くなっているというか、面接でも、非常に高度な、難しい質問をどんどんして、準備できないような質問もけっこう出してきたりするんですね。その中で、人間性が問われるみたいな「あなたは一体これまで生きてきて、どのような生活をしてきて、どのような人生を送ってきて、この会社では何ができるのか」ということを根掘り葉掘り聞かれるということは多いです。
さらに3つ目が入社後の「不安」。「内定切り」というのもあるんですよね。会社が内定を4月の前に取り消してしまうと。すると若者は、春から就職できると思っていたら、いきなり切られてしまって、そこから慌ててもう一回就活をしなければいけない。

〈鈴木さん〉内定切りっていうのは、企業はなんでするんですか。

〈坂倉さん〉例えば、内定を出してから経営状態が悪くなってしまったりという時に、 切ってしまったりするんですよね。

〈文珍さん〉一番切りやすいところから切るからね。

〈坂倉さん〉ただし、最近はさらに悪質化しているところがあって、内定切りだと大学がけっこう抗議してくるんですよ。
そうすると、会社は何するかというと、大学生の時に切るから問題だということで、入って1年目で切る「新卒切り」というのが話題になっているんです。
入って最初の6か月ぐらいは試用期間だから、あなたはまだ会社に本格的には採用されていないから切られてもしょうがないなどと言って切ってしまったりとか。

〈小野アナウンサー〉だから「就活うつ」という言葉も出てくるんですか。

〈坂倉さん〉私たちのNPOの調査で、就活をした学生100人のうち7人に1人、15%がうつ状態。WHOが「この基準を満たしていると、うつだと判断される」と決めているものを質問項目にして学生に聞いてみたものです。

〈文珍さん〉たくさん受けているうちに、全部ダメになっていくと、人間を否定されたような気持ちになっていくというね、そんな話をよく聞きますね。

〈坂倉さん〉まさに今のお話のとおりで、なぜダメだったのかと思った時に「あなたの分析、自分に対する、自分のアピール度が足りない、自分の人間力が足りない」と、人間性そのものが否定されてしまったりする。

〈鈴木さん〉それは自信なくしちゃうよね。

〈小野アナウンサー〉就職情報を提供する側の岡崎さんは、現状をどう見ていますか。

〈岡崎さん〉こういう方がいることは非常に良くないと思うんですが、学生の皆さんにお話をする時に言っているのは、「受験」と同じだととらえてしまうと、いろんなことがずれてきてしまって、受験よりはどちらかというと恋愛に似ているんだよってお話をしているんです。だから、基準が各社それぞれで、合う合わないがあるので、受かる落ちるではなくて、「残念ながら」って言われたとしたら、それは合わなかったんだから、合う人を探しましょうと申し上げるんですけど、なかなかそこも、ピンとくる方とそうじゃない方がいらっしゃると思いますね。

〈小野アナウンサー〉岡崎さんは、問題の根っこはどこだと考えますか。

〈岡崎さん〉就職活動が始まってから、初めて将来のことや社会のことを考え始めると、やっぱりいろんなことが矛盾してしまうんだろうな、と思います。ゴールっていうさっき表現があったと思うんですが、内定をもらうとか、就職するってゴールじゃないですよね。ところが、途中からやっぱり内定獲得が目的になってしまう。そうすると、企業とのコミュニケーションがずれるんですよね。そうすると、自分は頑張っているつもりだけれども、うまくいかない。で、どんどんバッドスパイラル(悪循環)になっていく。

〈文珍さん〉昔は、より先輩を頼って就職をお願いに行ってみるとか、人と人っていうか、フェース・トゥ・フェースというかね、顔を見て、ここへかけてみようかな、というような気持ちになったんですけど、今、どうしてもネット社会になってしまってからというものは、どうもなんか、人間のその、なんか、体温がこう下がってしまっているような気がしますね。で、情報に振り回されてしまって、大事なものが見えてこないという、そのうちに、真ん中の核がなくなっていくという、そういう状況ではないかと思いますけどね。

〈小野アナウンサー〉しかも不採用の時に、メールで通知が来るらしいですね。

〈坂倉さん〉そもそもメールが来ない場合もあるんですよ。採用されたかどうかも分からなくて、そのまま不安のまま過ごすケースもあったりして、ほんと不安なままなんです。

〈小野アナウンサー〉「お祈りメール」っていうんでしたっけ。

〈坂倉さん〉「今後の活躍」や「別の会社で採用されるようにお祈りしております」ということで、そういう皮肉なメールが送られてくるということ。

〈岡崎さん〉インターネットがいろいろな景色を変えたっていうところは、これは就職に限らず、経済活動も、家庭生活も、いろいろ変わったと思うんですが、それと同じことがやっぱり就職に起きているというのは言えると思います。
ただ、もうひとつ大きな変化としては、じつは、企業も採用難なんです。44万人ぐらいの学生が就職をするというふうにお話がありました。実際に企業は、採用予定よりも1.5割増しぐらいで実は内定を出しているんです。ところが最終的には、7万2000人ぐらいの空席ができてしまっているんです。それは何かというと、採用数に満たなかった場合にも、人材レベルは下げない。企業は内定を出すとか、採用することを目的にしていません。 求める人材が、グローバル競争だとか、変化のスピードが激しいということで、レベルが上がっているんだと思います。基準に満たない人をとるというのは企業としては矛盾しているわけですから、採りたいけれど採れない、というようなことが企業の側にも起きているんですね。

〈小野アナウンサー〉そうすると、ますますたくさん受けておかないと不安になるのではないですか。

〈坂倉さん〉インターネットで情報を開示して、誰でもオープンですよ、誰でもこの会社を受けられますよ、というふうに、就職活動がどんどんこの数十年、二十年ぐらいですね、変わってきているんです。ところが、じつは最初からそれはウソなんですよ。大企業なんかは、最初から例えば東大とか、一橋とか、京大とかですね、そういう学生しか例えばとらないつもりなんだけれども、それをやっちゃうと明らかな学歴差別になってしまう。
とりあえずオープンに募集してますよと、そこに「僕にもこの大企業を受けられるチャンスがあるかも」と思って受けるんですけれども、もう落ちる、と。それはもう、最初からそういうつもりでいるからなんですよね。

〈今井解説委員〉実際そういうデータがあるんですね。オープンですよ、と言っておきながら、じつはターゲットの大学を決めて活動、採りにいっている。先ほど岡崎さんのほうからお話がありました、企業の側にとってみると、欲しい人材がなかなか来ない。数万の応募があっても、自分の欲しい人材が来ないということで、それだったら自分のほうから大学に出向いていって採ろうという動きが、今、強まっているということなんです。2年前は33%だったんですけれども、この春の就職活動している学生については、半分近くの企業がターゲット大学を決めて、そこの学生を対象に説明会をする。あるいは研究室をまわって、いい学生さんいませんか、と、たずねる。

〈小野アナウンサー〉このことを学生たちは知っているんですか。

〈岡崎さん〉これは重点大学っていうことなので、ここからしか採らないってわけではないんですよね。
企業の方は金太郎ではなくて桃太郎が欲しいって言うんですね。だから、サルもキジもイヌも欲しい、いろんな人が欲しいので、実際にいろんな人をとりたいのは事実なんだけれども、結果として、わりとどこかの大学とか何かを学んでいる人に、結果的に偏ってしまっているというところがあって、学生の側からしてみれば、最初から、採らないんだったら排除してほしいっていうふうに言うんだけど、最初から排除したいわけではないんです。その中にいい人がいれば、もちろんとりたいんです、というところにも、すれ違いがあると思います。

〈小野アナウンサー〉その分、ものすごく学生のほうに手間としわ寄せがいっている感じはしますね。

〈文珍さん〉企業はもう長い間ね、その派遣さんだとかね、それからフリーターだとか言いながら、要は雇用調整をしてきたというところが否めないと思うんですけどね。で、新卒採用ということになった時に、果たして、そこまで採る余力が今あるのかどうかっていうところですね。

〈今井解説委員〉学生が大手志向という言葉がありましたけれども、現実の問題を見てみると、これは就職を希望する大学生の数、もともと就職を希望する大学生の数が20年間で1.6倍に増えているということがあります。
一方、企業の採用の数はそこまで増えてないわけですね。ですから実際に大手企業に就職できる人というのは、就職希望者の15%ぐらいに過ぎないわけですね。また、ターゲット大学、重点大学を決めて採用活動をしているということを考えると、やっぱり、可能性がないとは言いませんけれども、じゃ、可能性がどのぐらい高いかということを考えながら就職活動をする。で、可能性が低いよ、という場合は、それだったらやっぱり、中堅、中小企業のほうに早くから、そういう可能性もあるんだよ、ということを気付いて振り向かせる、それもやっぱり大事ではないかと。

〈鈴木さん〉中小企業で頑張って、自分が影響力を持つ...小さければ小さいほど影響力を会社に与えられたりするわけじゃないですか。そっちのほうが学ぶことだって多いかもしれないし。

〈坂倉さん〉若者の大手志向ということはよく言われていて、最近ミスマッチ論ってのがよく言われるんですよ。これは何かっていうと、中小企業は日本にたくさんあって、その人たちは若者を求めているんだけれども、若者の多くは大企業を志向してすれ違いが生じてしまっていて、だから就活は問題になっているんだっていうふうな議論があるんですよね。これは国の雇用戦略なんかでも議論が出ているんですけれども、一方で、生活が不安定な、非正規雇用の若者も増えてきたりする中、やっぱり安定したいっていう気持ちはあるわけです。だから、単に中小企業にもっていったほうがいいですよ、というふうに言っても、不安定じゃないような企業を選べるのかっていうと、なかなかそれは難しくて、その中で大手を選んでしまうのは、ある意味当然というか。

〈今井解説委員〉50社100社受けて、本当にへとへとになって、もしかしたら可能性が本当に少ないかもしれないわけですよね。それを知らないで、やっぱり50社100社受けているということが問題ではないかと。

〈鈴木さん〉そのほうがよほど不安定な気がしますよね。

〈坂倉さん〉実は大企業を最初みんな目指して、だんだん何回か落とされていくうちに、「自分は中小企業に合っているんだ」というふうに思ってきて、最終的に中小企業に行くケースが増えてきているという見方が今あるんですよ。ところが一方で「自分は大手企業じゃなくて、中小企業が身の丈に合っているんだ」というふうに思っていると思われがちなんですが、僕らが調査したところでは、何回か大手企業から落ちていくうちに、単に中小企業でいいということだけではなく、労働条件が悪くてもいいと思ってしまうんです。例えば、ワークライフバランス、働き方と自分のいろんな生活のバランスが悪くなったとしても、ま、しょうがないや、とかですね、あるいは過労死しそうなぐらい長時間労働してもしょうがないとか、自分には中小企業しかないからしょうがないっていうふうに、ある意味、大手を最初に志向することによって、あきらめてしまう。

〈文珍さん〉イメージだけでね、ボワーッとしたイメージだけでこう就職していこうというね、で、現実に当たるとうまくいかないと言う...

〈小野アナウンサー〉だからなんとかしようっていう動きも今、始まっています。徳永アナウンサーのプレゼンをお聞きください。


プレゼンテーション②
学生も企業もWinWinに!こんな採用始まってます

学生は個性がないって言いますが、企業の採用にも個性がないとも言えるわけでして、新しい試みをしているところが増えてきているっていう話をします。岡崎さんが、就活とは恋愛みたいなものと言ったんで、ハートの模型を作ってみました。タイトルも恋愛っぽくしてみました。

こんな企業が出てきています。例えて言うなら、じっくり恋愛をしましょう。出会ってすぐに結婚なんてしない。ちょっとずつ試してみる、相手がどんな人か。どんなことかといいますと、ある企業なんですが、就活って3年生の時から、ある時期からせーの、どん、で短期でやる、そういうのはやめましょう。

場合によっては1年生から試験もOK、いつ来てもいいですよ。しかも毎年1回じゃありません。1年365日、いつでも受けに来てください、というスタンスの企業もあります。
で、ここの企業、インターンを必ずしてください、と言っています。これ政府も今やりましょう、どんどん、と言っていますが、つまり、試しに働いてみてください、アルバイトなどで。もう、面接でスーツ着てきても私たちの会社わかんないでしょ、ほら早く脱いで、ここで一緒に働いてみましょう。

で、社風が合っていると思ったら、面接にもう一回来てください、良かったら内定ですよ、というスタイルです。これ、どこかっていうと、今一番大きく取り上げられているのは、ユニクロです。
最近始めて、1年生2年生でも10人ほどの人に内定を出しているといいます。

もうひとつ、恋愛に例えるとね、こんなものも最近出てきています。逆告白型。あの、就活っていうのは学生が企業にプロポーズするみたいなものですよね、私と結婚してください、みたいな感じでね。その逆が起きています。インターネットのサイトで最近こんなものが出始めました。

就職支援サイト、普通は企業の情報ですが、学生の情報が載っているサイトが出てきています。これを企業の人が見てチェックして、うちに入ってきてください、ってプロポーズしてくるというスタイルが出始めています。

〈小野アナウンサー〉学生からお金を取って運営されているサイトですか。

いえいえ、学生はただです。
企業が会員登録で年間50万円ほど支払う。払ってでも、いい学生をここで見たいという企業が増えてきているということなんです。
企業の興味が湧くように、このサイトでは学生を取材して、キャッチコピーまでつけてくれます。例えば「ぬくもり演出人」「チャレンジ精神」「超高速アイディアマン」なんて、ちょっと見てみたいなっていうタイトルをつけてくれます。

それで、これ誰だろうってポチッと押すと、なんと、この学生のインタビュー動画、インタビュー記事、性格をチャートで表してる、なんてものも出てきてて、こういう人どうですかっていうふうに売り込むサイトができている。つまり、旧態依然の就活をちょっと改革しませんかっていう動きが今、実は出始めている。

〈小野アナウンサー〉こういう新しい動きは広がっていきそうですか、岡崎さん。

〈岡崎さん〉そうですね、「じっくり恋愛型」のインターンから就職につながっていくっていうケースは、じつはアメリカとか、中国とかでは一般的なんですよね。うちにも中国で生まれ育って、中国の大学を出た新入社員がいるんですけど、話をしていたら、日本の会社がポテンシャルを見て採用するというのに驚いた、と。
中国、アメリカもそうだと思うんですが、インターンで働いてみて、そこで働きがよければその先があるし、悪ければない、と。ですので、学生はわらしべ長者のように、まず、労働条件は悪いかもしれないけれども、先ほどおっしゃられたようなところは、もう、ちょっと法に反するってことですから、それは論外だと思うんですけれども、そういうところで働いて力をつけて、ついた力でまた次のところにチャレンジしていくっていうのが、アメリカ、中国で進んでいることですね。

〈坂倉さん〉それが問題なんじゃないですかね。アメリカって、インターンシップを使うのは、これ採用基準が人間性とかそういうのじゃなくて、この仕事ができますよって、具体的な仕事ができるってことなんですね。日本で人間性みたいなところでインターンシップを導入しても、ますます無茶苦茶な働かせ方になってしまうっていうですね。 アメリカのものをそのまま導入できないんですよ。

〈鈴木さん〉そんな無茶苦茶な働かせ方している企業はいっぱいあるんですか、実際。

〈坂倉さん〉ブラック企業っていう単語がですね、最近話題になっているんですけれども、要は、正社員で就職したのに、ほとんど非正規と同じ、変わんないとかですね、例えば入って、1年で辞めさせられるとかもそうですし、給料も上がらないし。

〈文珍さん〉そういう会社はやがて潰れますけどね。

〈一同〉そうですね、そうだと思います。

〈坂倉さん〉情報がぜんぜん公表されてないんですよ。それこそ就職情報サイトにも、そういうのって載っけてもいいと思うんですけれども、ぜんぜんそれはなんか公表されてないので、だから選べないんです。入ってから気づいてしまう、みたいなですね。

〈今井解説委員〉だからこそ、とくに中小企業なんかでは、いったんインターンシップみたいな形で、大学もからんで、ある程度、目を光らせながらインターンシップで体験してみて、働いてみて、それで良ければ就職するという形でやっていけば、事前にチェックできる。

〈鈴木さん〉こっちもチェックするっていう気持ちで。

〈文珍さん〉機械かロボットに皆、仕事を取られてしまうんじゃないかとかっていうようなことがあって、特殊な技術とか才能がないと、生き残れないという時代は来るんでしょうか、どうなんですかね。

〈今井解説委員〉やっぱり今、実際、日本の企業、どんどん単純な作業は海外に移していってますので、やっぱり求める人材像も変わってきている。それだけに、グローバル競争に耐えられる人材を教育していくということも、就職を良くするっていう意味では非常に大事。

〈文珍さん〉そこの教育のほうが大切なのではないかと。

〈岡崎さん〉一人ひとりが力をつける。

〈坂倉さん〉それが人間力とコミュニケーション能力ではないと思うんですよね。もっと具体的な、それこそ専門的な力とか、そういったものをもっと身につけられるようにしていかないといけない。

〈文珍さん〉それプラス人間力なんでしょうね。


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