2013年04月20日放送放送内容まるわかり!

土曜日に授業復活?"脱ゆとり教育"はどこへ行く

「脱ゆとり教育」で学力向上、強い日本社会を取り戻すという動きが活発化しています。
その一環として土曜日も授業を行う「学校週6日制」の導入が進められ、ある調査では、公立中高の親の8割が土曜授業に"賛成"という結果も出ています。
「ゆとり」から「脱ゆとり」へ。土曜授業の是非をきっかけに、日本が目指すべき教育について深読みしました。

今週の出演者

専門家
田中博之さん(早稲田大学大学院教授)
新井紀子さん(国立情報学研究所教授)
早川信夫(NHK解説委員)
ゲスト
桂文珍さん
藤本美貴さん

〈小野アナウンサー〉まずどうして国は"脱ゆとり"教育に舵を切ったのか。
子供たちの教育は何が変わろうとしているのか。中山アナウンサーのプレゼンからお聞きいただきます。

プレゼンテーション①

〈中山アナウンサー〉あのう"ゆとり"、街の皆さんも多くの方が反対していたんですね。
だって学力が下がっちゃったでしょ?という風におっしゃっていました。じゃあ、どうしてこのゆとりがそもそも始まったのか。模型を見るにあたって皆さん、時計の針を20年ちょ~っと戻してみて下さい。

はい、時は1990年代。ここに公立の小学校に通う5年生。深 読み太郎君がいます。
大きなもの抱えてます。中はこうなんですよ、はい。ねえ、いっぱい詰まってます。
この頃どんな教育かというと。まあ、「詰め込み重視」型と言われておりました。これで学校教育現場、どんなことが起きていたのか。

こちらです。いじめ、受験戦争、そして自殺。さらには引きこもり、不登校。
そういった問題がどんどんどんどんとこう、世の中話題となっていったところです。これに対して世の中の大人の方々。

はい、こんなことをおっしゃっていました。
「"学力重視"もうこれやめた方がいいんじゃないの。ねえ!だって子供たちストレスいっぱいだよー!」「もうこれ、詰め込み良くない。新しい形の学力つけていきましょうよ!」という風におっしゃっていたんです。

ということから出てきたのが、これ。 ねえ!教育現場にもっとゆとりを持って、ゆとりを大切に、もっと勉強していったらいいんじゃないの。ということだったんですねえ。

じゃあ、具体的にどういったことがおこなわれていたのか?です。
はい!詰め込みをやめる。はい、詰め込みヤメー。これ話題になりましたぁ。ねえ!「算数」はい。「円周率3.14は3」で計算してもいいよ。「台形の面積」の求め方の公式は...まあまあ、いいからいいから、覚えなくてもねっ!他の求め方だってあるし、いいんだ!

他にもですね、「防災」に関する一部の教科書の記述が無くなっていって。更に更に他にもですよ、「国語(古文・漢文)」の授業ですとか、まあ「理科」ですとか、こういったものがどんどんどんどん...。教えること・覚えることをまずまず減らしていきましょうよ!ゆとりある環境にしていきましょう!これで授業内容としては、3割減ったという風に言われているんですよね...。
その分更にもっと有意義に時間を使ってゆとりを持たせようということなんですね。

こういったものも無くなりましたよね。土曜日の授業。
ちょっとずつどんどんどんどん減らして2002年に完全に無くなったんですけれども。ま、この時間ねっ!もっと有意義に使って下さいよ、子供達は。
という風にどんどんどんどんなっていった訳なんですねえ。まあ、現場にどんどんゆとりを。じゃあ、どうしましょうか?ということで。当時の文部省。

これです。「生きる力」、「考える力」が今後必要になっていきますよ。このように言ったんです。

そこで登場したのが、これです。総合的な学習の時間。
これによって子供たち、ね!地域に出て、例えばお年寄りの方々としっかりとコミュニケーションを取ることで高齢化社会について考えたり、福祉についてしっかり自分の力で考えながら学んでいきましょうよ、という風に考えていったんですね。
更に更に外国人の方ともコミュニケーション大切にしましょうよ。国際交流、これからの時代大切ですよね。そういったことも自分の力で考えていきましょう。

そうして、この子供達いきいきとした社会で成長していくでしょう!という風になっていったと。
実際にこのおかげかどうかはっきりと分かりませんけれども、国の調査で不登校が減ったというデータもあるんですよね。おっし!これ、よっしゃ。これ、OK!バンザイ。これはいいことだ!新しい教育バンザイ!!ということにはなりませんでした。どうしてか?これです。

はい、これピザと呼ばれるですね。世界各地でおこなわれている学習到達度を計るテスト。この結果、日本は2000年の段階では成績は、数学的な分野では1位。読解力8位。まあ、まあ、まあ、上位だったんです。

これが3年後。この頃どうなったのか。はい、こうなったんです。これ順位貼りますよ。こうなった。読解力見て下さいよ!これ平均点並みなんです。ねえ!日本ってだって、勉強できる国だったんじゃないの?日本はね、知識いっぱい凄い国と思っていたのに! これまずいでしょ。日本これじゃ、やばい!ということで「PⅠSAショック」とまで言われる衝撃。大きな、大きなものだったんです。

これに対して20年程前、「学力重視やめろー!」や「新しい学力を!」を言っていた世間の大人の方々、ねえ!保護者の方達。こういったことを言い出します、はい。
「"学力"これうちの子供、頭悪くなっちゃったんじゃないのよ!」、「これゆとりじゃない、"ゆるみ"だ!」、「こんな教育やめた方がいい!」ということで大バッシングがおこなわれていきました。

これに対してね、国もだいぶ困りますよねえ。うーん...どうしようか?ゆとりどうしようかな?っていうことでこのゆとりから、もうこれでいこう!"脱"ゆとり。ということで今につながる流れが出来ているという訳なんです。 じゃあこの"脱ゆとり"。実際にどういった形で進められていくのか?見ていきましょう。

これね。出したもの、削除したもの。戻しましょうかね。これ。また3.14に戻った!
そうそう。これも、これもね、戻さなきゃダメダメ。覚えて、覚えて!覚えて、覚えて!ということになっていき。後、これ「国語、古文・漢文」。小さな頃からやっぱり日本の古きもの、学んで!学んで!学んで!
更にですよ!追加したものがございます。これ、社会、大切です。ねえー!震災、原発の問題、更には領土問題。これもねえ、使う教科書が出てまいりました。
更に、更にあります。追加も出てきちゃった。これ、英語!世の中グローバル化。小学校5年生、週1回。これ覚えてよ!ねっ!覚えて、覚えて。覚えられるよねえー?だって小さな頃からやった方がいいんだもん。ということになっていったという訳なんですよ。

じゃあ、「総合学習」もやめてもう「考える力」もやめるわ。まあ、「詰め込み」これ戻す?じゃあ、国どうする?戻す?戻す?戻す?
戻さないんですよ!「考える力」はこの後、社会としても重要!だって、いろいろどんどんどんどん機械とか進化して、どんどん「考える力」も付けていかないといけない。

じゃあ、じゃあ、じゃあ!どうしようかなあ~?っていうので、これ、理科も加えちゃおうか!「理科」の教科書。「まとめてみよう」という項目を作ってですね。これ、自分で学んだことを自分で更に深く調べて、それを更に皆の前で発表して、知識を皆さんの前で定着したものを披露しましょう。

これもうさすがに溢れちゃう。どうしよう...ってなって。あっ!そうだこれあった!これ。「総合学習」の時間。まあ、いいか。別に3時間から2時間になったって、週。変わんないよね。ということになったんですけど。さすがにこれは重たそうですよね?これだって入りきらないもん。

そうだ!これ、土曜日があった!!土曜日にこの分やってもらっちゃえー!ってなっているのが...。
というのが今の状況なんです。


〈小野アナウンサー〉実際にゆとり世代のイメージを番組で聞きましたら、「円周率が3」、「言われたことしかやらない」、「出世欲が無い」、「レベルが低い」、「仕事よりプライベート重視」、あと「都道府県の位置が分からない」、「英語の筆記体が書けない」、「小数点・分数の計算が出来ない」などなどいろんな声が街頭で挙がってきました。
本当にでも学力落ちてるんですか?

〈新井さん〉1964年から2007年まで日本はですね、全国的な学力調査っていうのをしてこなかったんですね。なので、その頃の学力がどうだったか?っていうことを今遡って把握することが難しいので、それであの比較ができないというようなことはあるんですが。
いくつかデータはあって。あの、これは「TIMSS」ていうところがしている国際テストなんですが。これは比較的なんですかね、皆さんが数学や算数のテストで出会うような数学らしい問題を訊いているテストで。これがですね、あのやはり長期低下傾向にあるという風に文部科学省の方でも言っていますね。
で、これ以外にも先程ちょっと分数ができない大学生というような話が出ましたけれども。一昨年「日本数学会」という学会が全国6000人くらいの大学生に調査をしたところ、"平均"というものが使い方とか考え方を分かっている生徒が学生さんがですね、だいたい3分の2ぐらいしかいないとか。3分の1ぐらいの方はよく分かっていないとか。「偶数+奇数をすると奇数になる」っていうことの訳を説明することが出来ないとか。いろいろなデータはあります。

〈田中さん〉その学力が低下したと言っても。あのう、この知識の量がね、減ったという面もあるかもしれないけれども。本当はもっと「考える力」が育ってないんじゃないか。ということで。実はもうひとつテストを。このPISAっていう先程紹介がありましたね。あれはもう「考える力」。たくさんの資料を見て、自分で仮説を立てて、検証して、しかもそれを記述で答えて、文章や言葉で表現しなきゃいかない。そういう力が減っているというか、なかなか育たない。

〈早川解説委員〉さっき新井さんが「学力が下がっている」っていう話をしましたけど。あれは基礎学力の方の話ですね。だからあの、ゆとり教育で付けさせようとしているのは「考える力」。だけど、「考える力」が育ったか、育っていないかっていうことについては何も証明されていない。
一方でその「基礎学力は下がった」という風に言われるんだけど。じゃあ、それはゆとり教育のせいなのか。っていうと、そんなことを示すデータはどこにもないんです。

〈小野アナウンサー〉ちょっと本当にランドセルの子がかわいそうな気がしてきました。

〈藤本さん〉詰め込むにも、ゆとりにするにも何でも詰め込めばいいと思っている感じもする。なんかずーっと必要ない物もあったんじゃないかな?

〈文珍さん〉いや、詰め込める間に詰め込んだ方がいいということはあると思うんですよね。あの「鉄は熱いうちに打て」って言いますからね。そういう教育すべき時にガーッてやっておく。ただその、最近コンピューターが凄く進んでいるわけですから。そんなものは調べ物をするのは簡単なことですから。それよりもその「考える力」っていう風に重視することが変わっていくんじゃないですか?

〈新井さん〉先程、ゆとり教育が出てきた理由っていうのをいろいろな受験戦争とかイジメとかっていう問題があったからっていうお話がありましたけど。実は本当はちょっと違うんです。
1980年代、思い出していただきたいんですけれども。日本はアメリカに次ぐ経済大国2位になって、アメリカに迫る勢いだったんですね。で、その時までの日本っていうのは新興国のキャッチ・アップ・モデルっていうので、ずーっと教育っていうのは来てきたんですね。でも経済大国になった時にはもうそのモデルは使えない。キャッチ・アップ・モデルは使えないので、新しいタイプの教育モデルが必要になった。
で、その時はまだ大変日本も経済状態が良かったので、ゆっくり考えましょうということだったと思うんですよね。だから、いろいろなことを試してながらゆっくり考える。その中のひとつがあんまりギチギチ言わないで、天才のような子を青天井で伸ばして。例えば、ええと...飛び級入学をさせるとか。そういうような考え方も出ました。
で、或いは「日本の経済力によって海外から留学生たくさん呼んで、そこの中で天才を育てましょう!」みたいな話もありました。だけれども、その後日本の環境っていうのは激変したわけですね。
あともうひとつ文珍さんがおっしゃった機械が物凄い進歩を遂げた。技術革新の速さがあまりに速かったので、それに教育改革が追いつかなかったということですね。

〈小野アナウンサー〉学校とか教育って、もうちょっとちゃんと厳密に調べた上で決めたり、舵切ったりしなきゃいけないことじゃないんですか?

〈田中さん〉実際はね。でもなかなか国の未来を作る教育行政はね、中央教育審議会とか話し合ってる訳ですから。やっぱりなかなかデータで国の全体の状況説明するのは難しいですよね。
ですから、いろんな識者の方が集まって「これだと妥当だろう」というところでやっていかざるを得ないというところはある。まあ、残念ですが仕方ないところもありますよね。

で、ここのちょっとフリップ見ていただきたいんですけれども。
今、"脱ゆとり"というのも賛成という人が多いのは、ちょっと私には驚きで。つまり"脱ゆとり"と言っている人達はこういった小学校・中学校・高校で教えるやっぱり内容を元に戻す、増やす。こういう知識の量とかばっかり、こう議論して"脱ゆとり"賛成。
でも、もともと先程、中山アナウンサーが説明してくれたように、ゆとり教育の中には総合的な学習で福祉とか人権とか国際問題だとかコミュニケーションだとか、いろいろな21世紀型学力と呼ばれる新しい時代の力も入っていたはずです。それを止めようってことになると、それはちょっとOK!ということにはならないし。
また、「考える力」、「問題を解決する力」、「チームで考えて発表する力」なんかは"脱"してもらうと困るわけですよね。ですから何を"脱"するか?というところは、もうちょっと慎重に幅広く考えていかないと、またミスリードしてしまう可能性がありますね。

〈小野アナウンサー〉じゃあ「考える力」ってどうやったら育つのか?ここで、文珍さんに届いたメールをご紹介します。

視聴者の声
  • ●「国語教育と落語に関心がある日本語教師です。PISAテストで『読解力』が上位に入るのがフィンランド。その国語の教科書にヒントがあるように思います。それと、文珍さんの落語を聞いて想像力を膨らませることも大切だと思います。」
    《埼玉県・30代・女性》

〈小野アナウンサー〉このメールをヒントに次のプレゼンを作りました。
「考える力」ってどういうことなんだろう?っていうのをこんなプレゼンで皆さんにもお考えいただきたいです。中山アナウンサーです。

プレゼンテーション②

〈中山アナウンサー〉ハーイ!フオメンタ。フィンランド語で「おはようございます」。ワタクシ、フィンランドから来ましたフィンランドの金髪先生こと、フッカ・ヨミネンでーす。
こちら、フィンランドの実際の国語の教科書です。持って参りました。小学校5年生用です。中を見るとこんな感じ。もちろんアルファベットなんですけれども。まあまあ、日本の国語の教科書とそれほど変わらない。
これをどのようにフィンランドの方々教えているのか?どうやって考える教育をおこなっているのか?ご説明しましょう!

こちら、今の中身を翻訳したものが載っています。パブロ・ピカソの伝記といえる文章です。
これ日本の教育でしたら...「はい。えー、みんなまずは本、教科書開いてもらいます。じゃあ、何ページ?ここから読んで下さ~い」「ピカソは、1881年に、スペインのマラガで生まれました...」など読んでいきますよね。そして途中、例えばですけど「ピカソは大人になってから、なぜ計算ができるようになったのか」この一文は重要ですよ!覚えておいて下さいね!とか。後、例えばここら辺の「美術学校」この単語、この言葉はテストに出るかもしれませんよー!ねえ、忘れないようにして下さいよ。書いといて!っていうような形で授業が進んでいくと、私は聞きました。

フィンランドは、こうです。はい、はい、はい。こうなんですねえ。
この状態からスタートします。教科書は綴じておいたまま。先生がこういった物を前で用意して「このタイトル見て!みんな、どうかな?どんなストーリーか想像してみて?考えてごらん!」からまず入ります。そして、その後じゃあ本文とはいかずに、こっちなんです。

そう挿絵。これよくありますけれども。この絵を見てみんなどんな事を考えるか。っていうのを更に質問するんですね。これちょっと、ねえ?再現してみますけど。藤本さん、ちょっと生徒役でお願いします。
藤本さん。この絵を見てどんなことを感じましたか?

〈藤本さん〉ええっ...?その、なんか凄い人だったんだなっていうことと。なんか虫取りが好きだったのかな?ってことは凄く感じます。

〈中山アナウンサー〉虫取り?どうして虫取り好きだったという風に感じました?

〈藤本さん〉あ、網持ってるので。

〈中山アナウンサー〉網を持っていますね。

〈藤本さん〉はい。虫取りの網持ってるんで。あの少年は凄い遊ぶのが大好きで、虫取りをして、なんかこう虫に対しての気持ちが深まっていったのかなって。

〈中山アナウンサー〉いい考えですねー。だってこの虫取りからいろんなこと今、想像してくれましたよ。これどっちの絵の方が好きなんですか?

〈藤本さん〉そっちの右側の絵の方が好きです。なんか自由な感じがして好きです。

〈中山アナウンサー〉なぜ自由な感じという風に思いました?ピカソの絵。両方共そうなんですけど。右の方が自由な感じに思う?どうして?

〈藤本さん〉なんかこう...目の配置だったりとかもそうだし。色合いだったりとか。左側の方はなんか普通に写真を描いたような感じがするんですけど。右は自由に思ったことを気持ちのまま描いたような感じがするので。なんかこう気持ちが現れていて好きです。

〈中山アナウンサー〉気持ちが現れていて。確かにそうかもしれませんよね。みんな、拍手!拍手!

というように授業は進んでいきます。 これがどういったことで考える教育なのか?まとめました。

はい、今おこなった事です。自分で絵からさまざま推論、考えてもらいました。その上、それを自分の言葉でしっかりと表現してもらいました。そして、私が「なぜ?なぜ?どうして?」とあえて聞きましたけれども。この中で自分の考えがどうしてそこに至ったのかな?どうしてかな?っていうのを改めて自分の中でも考えて、考えて、ひたすら考えるから、この「考える授業」なっていると。結果、考える力が非常に高まると言われているのがフィンランド式です。


〈田中さん〉このフリップは「考える地図」、フィンランドでは「カルタ」と呼ばれていますけどね。こういった形でピカソを巡る様々な情報、知っていること、或いは自分の今、藤本さんが言っていたような感想とか、評価意見だとか、そういった事をまとめて構造化して、そこから更に文章を書いていくんですね。例えば、あの教科書に載っていない段落を新たに作って書いて作家になって、自分も伝記作家になって発表しよう!という風な授業になっていくわけですから。
で、しかももちろん綴りや漢字もやっていきます。その中に組み込んでやっていきます。それだけを取り出してトレーニングするのではなくて、作家になる中で必要な単語や綴りを覚えていきましょう。ですからフィンランドの国語教育はもう、書いて創作して表現して発表する。
ここまでいくと「考える力」がつくということですね。

〈藤本さん〉でもあたし、今までの国語って、いつも読むのにドキドキして。あんまり内容が入ってきてなかったんですよ。だから「赤ペン引いて下さい」って言った所を後でテストの時に「赤ペンが出る」って言って、そこを一生懸命覚えるって感じだったんですけど。
今のだと、なんか「自分もこうだったけど、違ったな」とか。思い出すきっかけにもなるから。だからとてもいいな!とは思いましたね。

〈小野アナウンサー〉こういう事って日本でやろうとするとできることですか?

〈新井さん〉できますよ。実は今、全国学力調査でやっている「A問題」っていうのは比較的まあ計算とか漢字とかで、「B問題」というのが、考える問題なんですけど。「B問題」の正答率が低い事がとても大きな問題になっいるんですね。なかなか教えられない。
でも、それをうまく教えた県があるんです。これが秋田県です。秋田県はこの「B問題」を非常にうまく学力を上げているっていう実績があるんですね。で、それはどういう風にやったかっていう事なんです。それはですね、これなんです。
高校入試にそういう"PISA型"あるいは"活用型の問題"を導入していった。そのことによって「あっ!これを勉強しないといけないんだな」っていうことを中学生もあるいは中学校の先生も認識をすることで、そういう授業がより学校の中に取り入れられるようになったようなんですね。

〈小野アナウンサー〉いや確かに視聴者の方からもそういう声は届いていて、

視聴者の声
  • ●「問題は勉強がテストや入試のためのものであること。社会に出てどれだけ役立つかが教育の本来の目的なのではないか?」
    《千葉県・50代・男性》
  • ●「受験システムそのものを見直す必要がある。教科書と受ける試験の内容の差が大きすぎる。」
    《東京都・20代・女性》

〈小野アナウンサー〉どうやってその入試を変えるってことが出来るものなんですか?

〈文珍さん〉あのう、採点し易かったり、そうやった方が教えるのが簡単だったりするんですよ。で、あのB問題のやり方の方が手間暇掛かるし。教える側もね、テクニックがいるんですね。で、A問題の方やっている方が楽なんですよ、授業進めるのに。ほいで、試験問題も穴埋めとかチェックするやつだけにした方が採点も早いですから。それやっているとダメになっていくんです。

〈小野アナウンサー〉この話の流れは、先生が楽をしているっていう事ですか?

〈文珍さん〉いや"楽"っていうより、先生にゆとりないですからね。

〈小野アナウンサー〉それですよね。先生たちは可能なんでしょうか?

〈早川解説委員〉フィンランドの場合、どちらかというと少人数の教育なんですよね。それで子供達自身が子供達同志が教え合ったりするっていう様な仕組みがあったりして。だから、学力を付けるっていう意味で言うと、先に理解した子がちょっと遅れている子に教えてあげたりとかっていう事やるわけですよね。教え合うっていうか。そうすると、分かってしまったと思っている子もちょっと遅れている子に教えることで、自分が本当は分かっていた様なつもりになっていたことが、いや分からなかったということも分かるっていうことなんですね。そういうことが手間暇掛かる。そのためにはやっぱり時間を掛けたりとか、人手を掛けたり。少人数学級にしたり、先生の力をつけるとか。いろんな条件をキチッ、キチッとしていかなくっちゃいけない!っていうことなんですね。

〈田中さん〉しかもその条件整備は今、中山アナウンサーがやっていただいた様なフィンランド型の教科書に実は日本の教科書も今なってるんですね。で、もう小学校は2年前、中学校は去年、高校は今年からですが、「考える授業」のための教材とかがたくさん載って。実は分厚くなったって言っているのは内容が増えているのではなくて、「考えるページ」が増えているというのもあるんです。
ただそれを先生方がなかなか使いこなすためのトレーニングを受けていないので、フィンランド型の授業はちょっと出来ないな、とか。或いは普段、先生忙しくてもうね、放課後たくさん保護者の電話もかかってくるし。クラスのお子さん達がなかなか落ち着いて授業聞いてくれないし。もう先生の方が大きいリュックサック背負って頑張っているところがありますから。なかなかそういう教科書もやりこなせないということですね。

〈小野アナウンサー〉それどうしたらいいと思われますか?

〈田中さん〉ですから、もしやるとすると幾つかの方法があって。やっぱりまず"研修"ね。先生方のそういうフィンランド型の授業のやり方を教えるためにいろんな国や行政がたくさん研修をうって、実際のやり方のシミュレーションをする様なそういったこともやる必要があるし。実際に土曜日までとなるともう先生の数が足りませんから。もう、先生の数をフィンランドの様にひとつのクラスを3つに分けて少人数でやると、先生の数が倍ぐらいいりますよね。

〈藤本さん〉でも昔はクラスの数も多かったじゃないですか?それが今、少子化で減って。それを分けて同じ、昔と同じぐらいのクラス数で出来たりはしないんですかね?

〈田中さん〉まあ実際そういう風に出来たらいいんですけれども。なかなか今、教えることがたくさん増えてますから。なかなかそういう風に出来ないところもあるんですが。実際には教える内容が、考えて、総合的な学習やって、フィールドワークやって、発表になると、もう45人とか50人。昔の様なクラス体制は無理だし。まあそういったことも全部考え直す必要があるということですよね。

〈早川解説委員〉実際ね、日本の先生達の授業っていうのがどうなっているのかということは、アンケートで聞いているんですね。その時に日本は「課題について話し合う授業をやってますか?」っていうと9%ぐらいなんですね。で、フィンランドは、まあ37%なんです。随分差があるっていうことですね。しかもその、野外学習をするっていうことになりますと、日本は30%に対してフィンランドは94%。日本は世界の中で最低水準なんですね。こういった事が出来ていないという事なんです。で、そのために必要な事をこれから考えていかなくちゃいけないという事なんですね。

〈文珍さん〉すると、教育の現場にその教育者に対する予算配分なんていうことを増やしていくっていうことがやっぱり考えないといけない?

〈早川解説委員〉そうですね。これからあの、人材っていうのは育てるのに時間が掛かりますね。それは、成果が出てくるまでには時間が掛かるんだけれども、目の前の瞬間風速のところでばっかり議論するわけなんですね。だからあの、お金掛けられないみたいな事になっちゃうんですけど。やはりそういったところ、必要な事、必要なだけ、キチッキチッとやっていくって事が大事なんじゃないかなと思いますね。

〈小野アナウンサー〉先生達の処遇とか。先生達のリュックサックの中身をどう軽くするかみたいな事もあるわけですね。

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