2013年07月06日放送放送内容まるわかり!

つつぬけ?丸見え?ネット時代の"個人情報"

前回の「"ビッグデータ"で暮らしはどう変わる?」放送後、「ネットの中で個人情報がどのように見られているか不安」「どうすれば良いの?」など、もっと詳しく知りたいとの声をたくさん頂きました。
そこで今回はネットやSNSなどを利用する暮らしの中での"個人情報"についてお伝えします。
どのようにして個人情報がさらされる恐れがあるのか、どれだけ危険なのか、どのような対策が考えられるのか。徹底的に深読みしました。

今週の出演者

 

専門家

夏野剛さん(慶應義塾大学客員教授)
生貝直人さん(国立情報学研究所特任研究員)
中谷日出(NHK解説委員)

 

ゲスト

桂文珍さん(落語家)
山口もえさん(タレント)


小野 アナウンサー
前回『ビックデータ』の放送後、みなさんから個人情報について様々な不安の声が寄せられました。いったい何がどう怖いのか?どう身を守ればいいのか?専門家の方々に教えていただきたいと思います。
まずは中山アナウンサーのプレゼンです。

プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
みなさんにも起こりうることを、実際に起こった例でご紹介していきます。
こちら35歳の会社員、深 読太郎クン。『ツイッター』を始めたんです。
ツイッターはインターネット上につぶやくように短い文章で書き込めるもの。友人たちもやっています。
でも自分の本名は出したくない。
そこで本名ではなくアルファベットと数字を合わせた名前「ハンドルネーム」で登録しました。ペンネームのようなものです。
写真や家族の情報、自分の名前などは書かないように気をつけました。

ところがその3ヶ月後。友人が驚いて連絡してきました。
「読太郎、大変だぞ。インターネット見てみろ」。
インターネットに読太郎クンのいろんな個人情報がまとめられたサイトができ上がっていたのです。
「ハンドルネーム」しか入れていなかったのに、趣味や住所、電話番号、会社や家族の情報まで個人情報が出ている。

この間なにがあったのか?きっかけはここでした。
念願のマイホームを買った読太郎クン、買った日にこんなつぶやきをしました。
「都心に念願のマイホーム購入。俺ってセレブ?借家の諸クン、乙!」。
「乙」とはインターネット上で「お疲れさま」ということ。友人に向けてのつもりで、ちょっと自慢げに書いてみたんです。

このつぶやきに過剰に反応したのが「ネット住民」と呼ばれている、見ず知らずの他の利用者たち。ある人が「これ、世の中なめているのか?ちょっと偉そうだなあ」と思った。そしてこんなことを書き込んだ。

「こいつ 叩こうぜ」。
個人情報のあぶり出しが始まります。

まず使われるのが、言葉を入れるとインターネット上にある同じ言葉が載っているサイトを紹介してくれる『検索エンジン』。
インターネットの住民がツイッターのハンドルネームを「検索」したところ、出てきました。読太郎クンが書いていたブログ。
ブログはインターネット上の日記ともいわれています。誰でも見ることができます。
読太郎クン、ここでも匿名です。

でもこれを見た人が「ブログの中にキーワードがある。『7月6日・同窓会・神南大学』。これで検索!」。
次に行ったのが『フェイスブック』。これは友達が実名で利用していた登録制のサービスです。
日々の出来事などを書き込み、登録すれば誰でも見られる。
ここに同窓会の写真があり、名前が出ていた。

「深 読太郎クンというのがいるな。DEEP=深い READ=読む。深読み。
1978年生まれかな?これ西暦だとしたら...。深 読太郎クンがこの人だ、キター!」ということで本名が特定できました。
自分は匿名にしていましたが、友達が載せていたのは実名です。こうして本名がバレてしまった。

こうなると「深 読太郎」で検索です。するとこのページを見つけました。
「深 読太郎クン。同じ人だ。『株式会社フミエンヌ企画』に勤めているの?」。
これ、社長さんが社員を鼓舞するために、小野社長が社員の魅力をアピールするページだったんです。
こんなことが書かれています。趣味...フットサル部。奥様がいる...。長女読惠ちゃんにメロメロ...。

まとめサイトの情報がどんどん増えます。
会社や奥さんの情報が加わった上、さらに住所や電話番号も見つけようと思えばできちゃった。

どうやったのか?というと、ブログに愛車を自慢しているページがあった。ナンバープレートは隠していましたが、この写真を撮ったのは最新モデルのスマートフォン。
写真を撮ると撮影した日時や撮影した場所の緯度・経度が記録される『GPS機能』が付いていた。コンピュータで見ると分かってしまうのです。

「この緯度・経度どこだろう?渋谷区神南2丁目付近。どんなところかな?」と思って、インターネットに地図をクリックすると実際の風景が見られるというサービスを使って見てみる。「キレイな家がある。これ、マイホーム?」。
ということで、自宅も特定できてしまった。
住所と住んでいる人の名前が分かれば、インターネットのサービスで電話番号が分かる場合もあるんです。こうしていろんな情報がまとめられていきました。

それだけじゃありません。こんな書き込みも。
ちょっとやんちゃしていた学生時代の写真が載った。
その上、「犯罪歴アリ、強盗をしたことがあるぞ」と勝手に書き込まれていたんです。
読太郎クン、犯罪歴はありません。実は読太郎クンと同姓同名「深 読太郎」という犯罪者がいて、インターネットで検索したら出てきちゃった。
「この容姿だし、これは読太郎のことじゃない?」となってしまった。これも書き込みに加えられる。

さらに、この情報はコピー、コピーでインターネット上にどんどん増えていって、いろんな所にたくさん広がっていってしまいます。
普段便利と思って使っている機能でも使われ方によっては、このように読太郎クンの個人情報だけでなく、誤ったことまで勝手に言われるようになってしまうというのが、起きうることなんです。


小野 アナウンサー
怖いです。深読太郎さんはこの後すごく困ったことになっちゃいそうですよね?

中谷 解説委員
事実を再構成して説明してもらいましたが、他にも個人情報がさらされた会社員が退職や解雇に追い込まれたり、大学生が内定の取り消しとか再就職できなかったり。
それから極度のストレスから心を病んでしまったり、家族に迷惑がかかったりすることもあった。
何気ないつぶやきだと思っていても、その人の人生を左右するような大きな問題に発展する可能性がある。

小野 アナウンサー
そもそも、なんでこんなことするんですか?

文珍 さん
暇なんでしょうね。面白がっているんでしょう。
だから「あっ、こんなことしたらこんなこと出来るわ」と、どんどん奥へ入っちゃう。結局どこでやめるかというところの線引きが難しいですね。
自己管理能力というか。倫理観というか。

山口 さん
さっきの「こいつ 叩こうぜ」という言葉から始まっているじゃないですか。
人のねたみとかを買ってしまったがために進んでしまったことなのかな?と思って。
その負のパワーをプラスに持っていったら、世の中すごくいいのに、なんでそっちに持っていっちゃうかな?と残念ですね。

夏野 さん
プラスの方を持っていっていることも山ほどあるんですよ。
今回は負の側面だけを中心に取り上げていますけど、そもそもインターネットがない時代には、検索をしてすぐ調べがつくことはなかったんです。便利な部分はたくさんあるんだけれども、こういうことに気をつけなきゃいけないという風に考えないといけなくて、負の部分だけを見ていくと、ちょっと違ったメッセージになっちゃう。

生貝 さん
僕たちはこうしたことが起こる背景やリスクについてまだちゃんと理解できていない。
インターネットの上で発言するときは、つい友達にしゃべるような感覚で書いちゃうんけれども、それはインターネットの上で、世界全体に聞かれること。
よく僕たちは「新宿の交差点の真ん中でしゃべっても叫んでも大丈夫なようこと、あるいは上司や先生のいる会議室で大声で言っても大丈夫なことだけをネットに書くのを前提にしてくださいね」と言うんです。
まず今の情報の世界にあったマナーを身につけたい。

小野 アナウンサー
ぜひそのマナーを教えてください。
具体的に何を書いちゃいけなくて、何を書いて良くて、何に気をつければ、深 読太郎さんのような目に合わずに済むんですか?

夏野 さん
例えばマイホーム建てたら、それ社会全員に向かって自慢したいですか?

文珍 さん
しないんでしょうけどね。それを自慢しているという意識がなくなるというところが、これの落とし穴みたいなところがないですか?

小野 アナウンサー
自分の友達しか読んでないと思って書いているし。

夏野 さん
ツイッターを使っていて自分の友達しか読んでいないと思って使っているという人は、最初から勘違いしているということです。
ツイッターがどういうものか?というサービスの特性を分かった上で使うということですね。

中谷 解説委員
スマートフォンの場合、扱うのが手元だったり、パソコンは机の上だったりで、どうしても自分の内面的なことを書いてしまったりすることが多いんです。

小野 アナウンサー
普通は自分の知り合いしか見ていないしないし、興味を持って見たりしないし、返事もくれないし、という世界なんじゃないですか?

夏野 さん
ソーシャルネットワーク、いわゆるSNSというサービスとメールとの違いはまさにそこで、いろんな知らない人ともつながれる。あるいは、そういう共感を持つ人といろいろつながることができるということがソーシャルネットワークサービスのメリット。
逆に友達とだけでやるのであれば、メールとか他の人が入れないような掲示板というのもある。
このケースの場合は、サービスの特性をあまり理解しないで自慢めいたことを言ってしまったことがきっかけになっている。

生貝 さん
インターネットでの情報発信の場合、難しいのは、どういった情報がどういう人にどう受けとられるか?というのを自分で予測することができないことです。
世界の裏側の人がどう思っているのか分からないですし、自分自身の書いたことでも、5年後、10年後に自分の価値観も社会の価値観も変わっていますよね?インターネットの上では残り広がり続けるんです。
だから、本当に安全に使いたいのなら、安全を考えて書くことが前提として必要なんだと思います。

小野 アナウンサー
具体的にどうやったら安全なんですか?

夏野 さん
先ほど「新宿の真ん中で叫べますか?」というのは、僕はすごくいい比喩だと思うんですけど、みんなが見ているところでこういう意見を言ったらどう思うかな?という、それだけの話です。
「借家のみなさん、お疲れ。乙」て、これケンカ売っているようなもんですよね?これが治安の悪い国でしたら強盗にあいますよ。「私は家買いました~」てね、街の真ん中で叫ぶわけですから。
街の真ん中ですから、インターネットって。

中谷 解説委員
SNSの情報の発信の基本というのは、まず共感を得る発言をしなければいけないんですよね。共感が度を越えると反感に変わってしまう。そこは注意しなきゃいけないところだと思いますね。

山口 さん
そうですね。芸能界の方でも反感を買って大変な方もいますから。
それは有名税だからそういう反感を買ってしまったけれども、有名じゃなくてもやはり、いいと思わない方もいらっしゃるということをちゃんと頭において発信しないと、こういうことになってしまうこともある、ということですよね。

文珍 さん
街中で大きな声で言える程度のことにしましょうとおっしゃるのとても分かりやすいんです。
ただ、街中だという意識がないじゃないですか?指先で操作していたら。誰にも分からないと思っているけどそうではない、というところが落とし穴でしょうね。

中谷 解説委員
自分が盛り上がってしまっている状況というのが、例えばお酒を飲んでいる時とかですね。
深い時間になるとラブレター書いても涙出たりしますよね?

山口 さん
わかる、わかる。

中谷 解説委員
読みかえすと恥ずかしかったりする。

山口 さん
お月様がきれいだったら、ちょっとツイートしてみようかなという気持ちになりますよね?

中谷 解説委員
「飲んだら書くな」とかね。

山口 さん
ああ、いいかもしれない。

夏野 さん
それはいい標語ですねえ。

文珍 さん
なるほど。コレ使おう。

生貝 さん
まず「世の中に向けて書き込んでいる」という意識がないんですね。
実際問題、こういうことはそう頻繁には起こらないんです。だけれども起こる。それこそ交通事故と同じなんです。運転するにしても交通事故が起こるようなことを軽視しませんよね?そのために、どうしたらその可能性を減らすことができるか?という努力をいろんな形でします。
しかし、まだ僕たちはそういうリスクのあるものを使っているんだという認識がない。例えば写真にGPSがあるなんて知らないですよね?それは運転している車の特性を知らないのとまったく同じなんです。
完全にリスクを無くすことはできない。でも、どこにリスクがあって、どういったことをすればある程度安全なのか?ということをできるだけ勉強してリスクを少しでも減らしていく。

小野 アナウンサー
カメラを買ったらまず説明書をよく読んで、GPS機能を使いたくないなら切っておくとか。

夏野 さん
特にスマートフォンになってからそうです。
前の携帯電話の時に僕も作っていましたが、知らないユーザーさんが使うことを前提に作っていたんです。例えば、普通の携帯電話でも写真が撮れてGPS機能も付いていますが、何もしなければ情報が出ない設定に全部してあるんですよ。そういう風に消費者側に安全な方に振っていたんです。
ところがスマートフォンの時代になって、消費者側より、企業側の都合に全部振れています。

小野 アナウンサー
基本は開示?

夏野 さん
はい。そういう風に設定がなっている。
逆にちゃんと特性を理解して使わないと知らない間に情報が出ているということが起こりうる世界になってしまっている。これは気をつけないといけないですね。

生貝 さん
学校でも、こうしたストーリーはちゃんと勉強しておくべきだと思います。

山口 さん
ちょうど今はピンチでチャンスなんですね。
ネット社会の怖さも学ぶ機会にちょうどいいのかもしれないですね。

夏野 さん
今の内ですよね。早めにやった方がいいですよね。

小野 アナウンサー
ただ、新宿の横断歩道のど真ん中で大声で叫んでもいいようなことばっかり、みんなが書くようになったらそれ面白いんですかね?

文珍 さん
いいこと言うね。とってもピュアなことばっかりになっちゃってですね。人間というのは、そんなもんかい?というようなところの話までなっていくとですね。
今おっしゃるように、それって面白い?という感じになる可能性もありますね。

夏野 さん
そこから始まったのがエジプトの政変だったり、チュニジアの政変だったりするんですね。
あれは「この政権なにかおかしいんじゃないか?」というみんなのつぶやきがこれが、だんだんだんだん社会の波を動かしていって。
誰も組織していないデモが起こり、そしてエジプトの政権が倒れるところまでいくんですね。

文珍 さん
アラブの春のようにザーッと一気に広がるんですけれども、それが体系づけられてなくて、一瞬の思いだけで炎上してしまうというようなことになって、それが長続きしないというのが今の状況だと思うんです。

夏野 さん
それもそうですね。ただ前の方が良かったのか?ということと、どちらがいいか?『民主主義』という言葉から言うと、今の方がまだマシかもしれない。

小野 アナウンサー
ちょっと深 読太郎さんに思いを戻していただいて、深 読太郎さんは、絶対消して欲しいと思っていますよね?自分がイヤな情報を書き込まれてしまって消したい時はどうすればいいのか?ここに話を進めてまいります。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
自分のイヤ~な昔の写真を出されてしまった、読太郎クン。
書き込んだ人物X氏に、どうにかこの個人情報を削除してもらいたいと思っております。

「個人情報」といえば、日本にはこの法律がございます。『個人情報保護法』。
これでなんとかできるんじゃないの?と思うのですが、これじゃダメ。というのも個人情報保護法が保護しているものは、事業者、これ会社や病院・学校だと思ってください。
その事業者が管理している、個人の情報。電話番号、住所、年齢などなど。そうした情報をしっかり管理してね。流出でもさせたら、それは処罰の対象になりますよ、というのが『個人情報保護法』。
X氏が載せた写真に関しては『個人情報保護法』の対象外なんです。

ではどうしよう?となったら、こちら『プロバイダ責任制限法』という法律があります。
プロバイダというのは、インターネット上のサービスを提供している会社と思ってください。サービスの一つは情報を書き込む場所を提供するということです。
X氏が書き込んだ読太郎クンのまとめ情報は、ここにあります。ということはプロバイダはX氏とつながっている。

ならば読太郎クン「なんとか消してもらいたい。僕傷ついたし。損害賠償したいな」と思っている。するとこの法律の下、プロバイダに対して「X氏の情報を教えてください」と言うことができます。

するとプロバイダは、書き込んだX氏に「読太郎さんにあなたの情報教えますよ」と言う義務が発生します。X氏は教えるかもしれないし、教えないかもしれない。
つまり、法律で決めているのは、この「教えて」ということまで。「削除をしてください」とか「削除を強制する」法律にはなっておりません。
仮に「教える」と言ってくれた場合は、削除の要求をX氏にすることになりますが、削除してくれるか、してくれないかもわからない。

「削除しますよ」と言って削除してくれたとしてもインターネット上にはいろんなところに写真が広まってしまっている。しかも、それぞれプロバイダがある。ひとつひとつ連絡して情報教えてもらって、書き込んだ人と連絡取り、削除まで...という話には、なかなかいかないですよね?しかもこのX氏と連絡が海外に行っているとか取れないこともある。

ヨーロッパではこんな考え方が出てきています。"忘れられる権利"。
例えば読太郎クンのこうした写真を「見たいな」と思った人は、検索をサイト使いますね?これで「読太郎」と検索すると情報が取れるようになる。そこで検索しても検索結果を出ないようにしちゃう。検索しても写真が出ない。インターネット上に情報は残るんだけど、なかなか見ることはできなくなる。となると、いつの日か忘れられる、とこういう考え方なんです。

これ実際に、フランスのある女優さんで以前若い頃に撮ったヌードの映像があったんですね。それが出回ってしまった。もう見られるのはイヤだなということで、アメリカの大手検索会社を訴えて、そこで勝訴"忘れられる権利"を勝ち取ったんです。
この"忘れられる権利"は実際に、ヨーロッパでは法制化の動きもあって、法律としてこの後、運用していこうというように進められているものなんです。


山口 さん
日本もぜひやっていただきたいですね。

小野 アナウンサー
どうなんでしょう?日本では"忘れられる権利"

夏野 さん
でも、都合の悪い発言を昔した政治家がそれをあまり表示してほしくないと思ったら"忘れられる権利"で訴えることもありえますよね。線引きが難しい。

文珍 さん
みんなが政治家じゃないですけどね。一般の方がほとんどなので。

夏野 さん
でも一般の方がそんなにリンク張られることは、それほどない。
やっぱり社会的存在が大きい人。例えば芸能人の方とか、政治家の方とか。そういう人ほどさらされやすくて、一般の人がこういう目にあうのは、すごくレアケースではあることは事実です。

生貝 さん
"忘れられる権利"を強くし過ぎると、NHKとか、ニュースサイトの過去の情報から有名人も含むいろんな人の情報が見られなくなったり、本当に僕たちの知る権利とか表現の自由とかと直接ぶつかったりしてしまう可能性がある。
でも何かしら必要だと思うんです。一般の人の事例が数は少なくてもある。1回起こっちゃったら誰も助けてくれなくていいのか?これからすごく問題になってくるのは、今まさにビッグデータのサービスとして医療情報とか生活の情報をどんどん企業さんに渡して、分析をしてもらって、すばらしいサービス届けてもらうということをやっています。それは1回出したら忘れられない。もしかしたらネット上に散らばっちゃって、永遠に消せないんだったら、僕たち安心して出せないじゃないですか?
消費者が安全に安心して情報を提供できるためにも、やっぱりなんらかの制限はある程度、必要だと思うんです。

中谷 解説委員
せっかくEU(欧州連合)がやってくれている制度ですから、これを利用してさらに日本にとって良い制度を作っていくような方向が必要なんでしょうね。

小野 アナウンサー
日本に良い制度ってどんな制度ですか?

中谷 解説委員
僕は『第三者機関』を作った方が良いと思う。
作る動きはあるんですけど、それをさらに確立して国の情報も監視ができるようにするとか。
欧米では『情報コミッショナー』と呼んでいるが、そういう制度、機関が必要なんじゃないかと思う。

夏野 さん
企業は情報漏えいが起こったときに、自分のブランドが大変なことになりますよね?
「もうこの会社信用できない」となると、本当にビジネスができなくなるので。やっぱり一部の会社では個人情報については、直近何ヶ月分しか持たない、あとは全部消していくという自主的なルールで運営している企業もあるんです。
ですからそういった例も出ていますので、参考にしながら全体的なルールを作っていくのが大事だと思いますね。

小野 アナウンサー
生貝さんはどんなルールがあったら良いとお考えですか?

生貝 さん
例えば医療に関する情報や、一部のセンシティブな情報については、ちゃんと普通の情報よりも迅速に消すような義務化をするとか。
僕たちどうしても個人情報とかプライバシーといったときに、全部の情報を名前から住所から同じに取り扱ってしまうところがあるんですけれど、「いろんな情報ありますよね」と考えたときに、『第三者機関』が中立公正な立場から判断して、これを消すことが社会のためであり個人のためだ、といったような判断を積み重ねていくことが日本には必要なんだと思います。

山口 さん
あとやはり見る側の立場としてもその情報が"すべて正しい"という見方ではなくて、これはもしかしたら間違っているかもしれないという目で見て欲しいですよね。
さっきの読太郎クンもそうでしたけど、まったく違う方の犯罪歴が自分のものとして載ってしまったときは、それを見た方が「そうなんだ」って100%信じるのではなくて、やはり実際に読太郎クンに会って、そのときに聞いたことを信じてあげて欲しいと思います。

中谷 解説委員
リテラシーでよく言われる「批判的な判断力を持つ」ということなんですよね。

文珍 さん
私ら、年なんでしょうかね?何ごとも「ほんまかいな?」と思ってますからね。そういう精神性というのか、判断基準は、大切にしたいと思っておるんですけどね。

夏野 さん
あとは判断できないものとか、わからないものとかは使わないと。これ別に使わないと生きていけないものではないので。

文珍 さん
そうそう。ない時代から人は生きているんですもんね。

山口 さん
でも、やっぱり悪意をもって書かれたものに対して言えば、やはり傷つきますし。やっぱり、人間としての良心を持ってちゃんとして欲しいなというのはありますよね。

小野 アナウンサー
視聴者の方からもたくさんのツイッターが来ています。
「そもそも情報を出すのは"自己責任"ということを忘れたらアカン。怖いと思ったらやめればいいのに」
それから「見られている人数が問題なのではなく、不特定の人に見られているということを意識することが大切」など使い手側の意識のことをおっしゃっている方が多いです。
でも、インターネットの話って、いつも使う側が気をつけなさいという風になりますよね?
それでいいんですか?その結論にいつもたどり着いて終わっていいのか?という気がするんです。

生貝 さん
個人のメディア・リテラシーだけで解決できれば、政府も法律もいらないんですね。
でも、それだけじゃ解決できないから、政府が法律を作って僕たち個人の力を強くしてくれる。"忘れられる権利"を与えてくれたりとか。
でも、インターネットって政府に全部作ってもらうんじゃなくて、やっぱり企業の側が努力するべきだというのが最初にあるべきだ、という考え方というのが最近出てきています。
『プライバシー・バイ・デザイン』という言葉なんですね。これは「プライバシーを保護するためのデザイン」という意味。

例えばネットに情報を載せるときに、今だと最初なにを登録しても世の中に「見せる」となっていますけど、最初は全部「見せない」として、自分の判断で名前と性別だけは「見せる」ようにするとか。書き込みする欄に「世界が見ているゾ」と、一言表示してもらうだけで変わるのはないか。タバコの健康注意書きみたいに気をつけるようになりますよね。

自動車を作るときも、企業はすごく安全のために配慮した設計をやって自動ブレーキ機能付けたり、あるいは「気をつけてくださいね」としゃべるような機能をつけたりしている。それと同じような努力をメディアの企業自身がやっていく。
政府だけに頼るのでもなく、リテラシーだけに頼るのでもなく、企業自身ががんばっていくというのが必要だというのが、まさにヨーロッパでも言われ始めている考え方ですね。

山口 さん
悪意をもって書き込む人たちに対して言いたいのは「お天道様が見てるぞ」って。ぜひ書き足してほしいですよね。

文珍 さん
インターネットの話とお天道様の落差が面白かったです。目がテンになりそうに。
でも大事なことですよね。

山口 さん
それぐらいの気持ちで。その誰かを誹謗中傷するとか、個人情報を明かしてしまうとかって。それぐらいの気持ちで持って筆をとってほしい。

夏野 さん
本当にそのとおり。企業の方も、ダメージが大きいんですね。個人情報がもし自分のサービスを通じてもれてしまった場合には。ですから、こういうことに非常に積極的に取り組んでいくと思うんです。
個人のモラルの方を上げていくというのは、やっぱり教育と啓蒙とそして法制度。これが必要だと思うんです。これはもう何もしないと生まれないので、やっぱりかなりのことをやっていかないといけない。

山口 さん
私なんかも小さい頃から誰かをおとしめようとか、何か誰かのことを悪く言おうものなら、両親とか祖父母が「お天道様が見てるよ」「悪いことをしたら全部自分にはね返ってくるからね」って育ったんですよ。
それがなにかこう、人対人ではなくて対パソコンとかそういうものになってしまった途端に、そういうことができるようになってしまった世の中にも責任があるのかな?って。

夏野 さん
ただ、こういう人たちはリアルな世界でも絶対やっていますよ。僕はネットだからこういうことが起こると、あんまり思わない方がいいと思うんです。
人間の本質として、嫌がらせとか嫉妬とかイヤな気持ちがあって、それが学校のいじめの問題とか、世の中いたる所に起こっているわけです。その鏡がネットだという風に考えた方が良い。

文珍 さん
私ね。ネットからの情報を聞くときに、いつも玉石混交と言いますかね、同じレベルで出てくるじゃないですか?
これが本物、これがニセモノという判断がつかない。「プライオリティー=順位」がわからない。あの辺はなんとかならんもんですかね?

夏野 さん
実はこのソーシャルネットワークサービス、ツイッターというサービスですと、何人の人がフォローしている、つまり何人の人がよく見ているというのが、人数で出るんですね。
そうするとやはりフォロワー数というのが多い人は変なことが言えないですよ。いつも常に10万人の人が見ている。それがひとつの信用になります。
やっぱり誹謗中傷的なことを書く人のフォロワーというのは、ほとんどいないです。ヒントはいろんなところにあるのを、うまくちゃんとみなさんに伝えていくことも大事だと思いますね。

生貝 さん
今までの世界だと、何か悪いことを言ったりしたら評判が残って、その人の評判も悪くなりますよね?ツイッターのようなものでも、できるんです。やっぱり名前、つまりツイッターのアカウントがあるからこそ評判が残っていて、その人はいろいろ気をつけるんですよね。そこで対処できる部分はどこまでなのか?できない部分はどこまでなのか?できなければ法律の出番。

中谷 解説委員
でもツイッターの中にも自浄作用があって、やっぱりちゃんとしたこと言わないとみなさんから批判されるというような動きもあるんですよね。ですから、そういう人間の心を大事にしていった方がいいかなという風に思いますけどね。

小野 アナウンサー
法整備も技術の進歩もどんどん進んでくれることを祈りたいですし、みんながやっぱり安心して使えるものにして欲しいというみなさんの声は本当に多いです。



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