2013年09月07日放送放送内容まるわかり!

年間800万トンももったいない! どう減らす"食品ロス"

今、まだ食べられるはずの食品が大量廃棄され大きな問題になっています。
その量は、年間500~800万トンと米の年間生産量にも匹敵します。こうした"食品ロス"は賞味期限切れという理由で起きているだけではありません。賞味期限まで日にちがあっても、多くの食品が店頭に並ぶ前に捨てられる現実があります。なぜそんな「もったいない」ことに!?
私たちが"食品ロス"を減らすためにできることは?徹底的に深読みしました。

今週の出演者

 

専門家

牛久保明邦さん(東京情報大学 学長)
石川友博さん(流通経済研究所 主任研究員)
井出留美さん(セカンドハーベスト・ジャパン 広報室長)
合瀬宏毅(NHK解説委員)

 

ゲスト

ドン小西さん(ファッションデザイナー)
山口もえさん(タレント)


小野 アナウンサー
食品ロスは、年間800万トンともいわれています。
私たちの知らないところでも大量の食品が処分されているというのですが、いったいどういうことなのでしょうか?

プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
いろいろなところで食品ロスが起きているという現状が分かっているんですけれども、スーパーでは、売れ残って賞味期限が切れてしまった物。これらは、処分されてしまいます。
でもこれってまだいいほうかもしれない。お店に並んで皆の目にとまったから。というのも、実は賞味期限が切れたわけでもないのに捨てられてしまう食品もあるんです。

例を見ていきましょう。賞味期限3か月のお菓子です。
今、9月です。店頭には賞味期限が10月までの物、11月までの物が並んでいます。もえさんだったら、どっちを買います?

山口 さん
そりゃあ少しでも長く食べられるほうがいいなと思うので、
11月かな。

奥から取ったりして。こう、賞味期限が長いほうからどんどん売れていくんですね。
買われて棚が空いた。ここで小売店はどうするかというと、どんどん売りたいですから商品を補充します。
となると、ここが出てきます。

流通業界。
商品を作っているのは、メーカー。そのメーカーから卸、問屋さんを通って、各地の小売店に商品が納められていいます。小売店は卸に補充してくださいと発注します。そして卸はメーカーから常に商品を補充しています。
この流通システムの中に、賞味期限がまだ切れる前なのに捨てられてしまう原因が隠されているんです。

月日が10月になります。すると、スーパーでは賞味期限が比較的長い物からやはり売れていくんですね。

そのスーパーは補充するために、卸に「新しい商品送ってよ」と頼みます。卸はスーパーに商品を出そうとするんですけれども、小売側はこれは「いらないよ」となるんです。

なぜか? 賞味期限以外にも、まだある期限があったんです。納品期限というもの。
この期限を過ぎると小売店は卸から「この商品買わなくていい」というものなんです。小売店はなるべく新しい物を商品として揃えたい。だから納品期限というのを定めているんです。

この納品期限いったいどのように設定されているのか?これでご説明します。
このお菓子って賞味期限が3か月ですね。この賞味期限が11月までの物でいえば、作られたのは9月。9月~11月の間に納品期限があります。どこにあるのか?
実は9月。賞味期限から2か月も前なんです 。

これが『3分の1ルール』といわれる流通の中での慣習なんです。
この日を1日でも過ぎるとこの商品は小売店に並ぶことすらない。その商品は卸からメーカーに多くの場合は返品されます。

この商品をメーカーはどうするのかというと、まあリサイクルなどされることもありますけれども、多くの場合処分されてしまう。卸に残っていた物も処分。1か月も賞味期限まであるのに。

この『3分の1ルール』って賞味期限の長い加工品を中心に適応されているもので、他にもこんな物が。
賞味期限3年の缶詰です。賞味期限の3分の1、1年が経過したものの、まだ2年間賞味期限が残っている。けれども、捨てられることもある。
こうした『3分の1ルール』もあって、食品メーカーに返品されている食品を金額にしますと、1年間でおよそ1,100億円以上といわれています。


山口 さん
もったいなーい。なんとかならないんですかね?

小西 さん
ぼく洋服屋さんですけど。近い現象ありますよね。
要はね、消費者に迎合しちゃって。"メーカーいじめ"って言うんですかね。
不都合なことを全部卸とかメーカーの方におっかぶせてしまう。こういうことがありますよ。

小野 アナウンサー
でも消費者としては賞味期限があと1か月の物と2か月の物だったら、同じ値段だったら2か月の物を取りますよね?

山口 さん
例えば賞味期限が今日までの物って、わたしなんかよく"延命療法"をするんですよ。
きょうまでの食パンだったら、きょう食べきれないなと思ったら、それを冷凍庫に入れちゃうんです。冷凍庫に入れて命を延ばしてあげる。

小西 さん
ぼくも、加工したりする。熱を通したりして。

山口 さん
そういう工夫をして、消費者はなるべく消費するようにがんばっているのに。消費者の手に届くまでに、そんなに無駄があるというのがちょっと驚きですね。

小西 さん
でもわれわれもスーパーに行くときに、牛乳が1週間後のと10日後との賞味期限。絶対に長い方の物を買っちゃう。奥のほうから取っちゃったりするもんね。

牛久保 さん
年間800万トンの食べられるにも関わらず捨てられる食品ロスがある。その半分がメーカーサイドからのもの。半分が家庭からなんですね。
で、ちょっとドン(小西)さんと(山口)もえさんにご質問なんですけれども。期限表示というのは、この2つがあるのをご存じでらっしゃいますか?

『賞味期限』は、非常に期限が長くて、要するに食品の品質がゆっくり劣化していく、悪くなっていくという物なんですね。
その他に、『消費期限』といって、お弁当ですとか、サンドイッチですとか、そういった物はすぐ食べますよという感覚がありますよね。
『賞味期限』については、本音と建て前があって、なるべくもったいないという精神を発揮して購入しようと思われますけれども、購買行動となると、結局新しい日にち、いわゆる長い日にちの物を購入してしまうと。頭の中の観念に行動が伴っていない。

小野 アナウンサー
値段が違えばぜんぜん違う行動をとるはず。そんな工夫はできないんですか?

井出 さん
メーカーから卸店、小売店に行って、本来であればどんどん売り切られていきますよね、小売店で。でも賞味期限、販売期限、納品期限の問題でメーカーに戻ってきた。でも戻って来た物は、メーカーで、温度管理とか品質管理をしていた物ではなく、もう外に出て行ったしまった物。
メーカーは品質を担保しなければならないので、もう一度流通させないほうがいいと判断する。

小西 さん
われわれの業界もそうなんだけど、過剰生産し過ぎじゃないですか?
必要以上に商品を作ってしまっているから、そういうことになる。

牛久保 さん
われわれも買いに行ったときにですね、ある商品がないという、いわゆる「欠品」って言うんですけど。そうだと不愉快ですよね?
他のメーカーの物はあるけれども、「私はこのメーカーの物をおいしく食べているのにそれがないと困る」ということになると、ある程度生産が過剰にもなる。

小西 さん
昔、八百屋さんなんか行くとさ、時間遅いと歯抜けになってたじゃないですか。ところが大手メーカーの売り場行くと、スーパーなんかだと、きれーいに並んでいるよね。

視聴者の声

「こういう無駄により回っている経済もたしかにあるはずだ。そこで利益が確定されているのなら、排除するのはむずかしいだろう。」

小野 アナウンサー
返品された物に関してメーカーが廃棄するにもお金がかかるのでは?

石川 さん
納品期限を過ぎても受け入れてくれるお店というのもありますので、そういったところに再販する努力というのはメーカーのほうでも可能な限りやっている。
ただ再販の努力というのは、非常にコストがかかっているんですね、実際には。ですから、最終的にそのコストというのは、消費者の方に転嫁されているという側面もあります。

返品された商品がどうなったか?というデータ。卸や小売から納品期限切れ等で返品されてきた商品は、74%が品質管理等の問題もあるので廃棄されている。転売が16%、フードバンク等への提供が1%。返品された商品はなかなか転売できていない。

視聴者の声

「値引きしたら値引きするまでみんな待つから、元の値段では売れなくなる。」

合瀬 解説委員
メーカーとしては賞味期限がくるまでは同じ品質で売っているわけですから、できれば安く売りたくない。安く売ったら、みんなが安くなるまで待つ。それは、メーカーとしては困るわけです。
しかも、さっき井出さんがおっしゃったように、品物を回していくと、もしかしてその間に品質的に悪くなって食中毒が起こるかもしれない。そのクレームはメーカーにくるんですよね。
メーカーとしては、そういうリスクは取りたくないと。だから、売るよりは全部捨てちゃったほうがいいと考える。

石川 さん
日本の棚の欠品率というのは、世界的に言うとものすごい低い水準になっていて。それは小売業の方はやはり品切れしないように。流通のメーカー・卸も努力をしているんですね。
狭い家の中にたくさん買いだめできませんので、お店に行ったときにないというのは、ものすごく不満が大きいんです。

山口 さん
廃棄されている分も考えて、作る量を減らしたら、価格ももしかしてその分少し安くなるのなら、消費者側は欠品していてもそっちのほうがうれしいと思います。みんながハッピーになるんじゃないですかね。

牛久保 さん
今、製造・卸・小売・外食産業とかも含めてですね、食品リサイクル法という法律がありまして、われわれが食べるような非常に付加価値の高いものは、エサにしたり、肥料にしたり、はたまた再生化のエネルギーというエネルギー化しようという努力もされている。
焼却するにも費用がかかります。物をリサイクルするということは、改めて新しい製品を作り直す、他の物に再資源化するわけですから。そうすると、製造のところでコストをかけ、原料代を払い、それからエネルギーを使ってという、同じぐらいのことがどうしてもかかる。
ですから、やっぱり自分たちが全部食べきる努力をすると。川の流れのように、物が流れて消費をしていくということを消費者も含めて考えていかないと、なかなか解決できない。

視聴者の声

「海外に数年住んでいたことがありますが、卵の賞味期限は3か月ありました。日本では生で食べることを考えて2週間しかありません。もう少し賞味期限を長く設定できないのでしょうか?」

石川 さん
いくつかの加工食品でも海外と日本の物を比べると日本の方が賞味期限が短く設定されている場合も多いようです。ただ気候もだいぶ違います。日本は高温多湿。

牛久保 さん
賞味期限がどう設定されているかというと、製造された食品について、科学分析とか、微生物、菌がどの程度繁殖するかとか、いろんな検査をするわけですね。そうしますと、例えば『検査に基づいた品質が保持できる期限』というのが科学的・客観的に出る。

ところが、これに『安全係数』、つまり安全を担保するための係数を掛けていいということになっている。0.8掛けたとしますと、8か月で売られているのがそもそもなんですね。

合瀬 解説委員
これは、一定温度の元で運搬したときに賞味期限が保証しますよ、ということなんですね。
ところが運んでいる途中に、例えばお店に問屋さんに運びますよね。ところがお店屋さんが開いていなければ、そこに置いて帰ってしまうと。そうすると常に10度以下で保存しなきゃいけないということを前提に作ってあるのに、そうでないときが時々あるわけですね。そういうことも勘案してじゃあ、0.7とか0.8とかも作ろうと。
実は今の包装技術だとか製造技術の中で、ものすごく衛生管理というのは徹底していて。今みんな横並びだとか6か月とか12か月とかやっていますけど、本当はもっと使える物も出てきているんですね。
ところがこれを短くすると消費者が逆に、もしかしてなにか変な添加物を使っているんじゃないか?とかいうふうに疑われちゃうと。

小野 アナウンサー
この食品ロスの問題は、メーカー側、卸、小売店、業界側としてもなんとかしなきゃいけない問題として捉えているんですよね?

合瀬 解説委員
日本人だけではなくて、海外でも食品ロスは大変な問題になっています。
今もう栄養不足人口が世界で10億人いるといわれていますけど。世界の食糧生産の3分の1の13億トンが同時に捨てられているという実態があるわけですね。
日本は世界からものすごい食料を輸入している輸入大国ですから、捨てているようでは、国際的にみっともない。これはなんとかしなきゃいけないということもあって、今盛んに取り組みが進んでいるんですね。

小野 アナウンサー
では、どうやって減らそうとしているか?プレゼンをお聞きください。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
動き始めた取り組みをご紹介いたします。
号令をかけたのはこの方々。経済産業省、農林水産省です。「みんなで一緒に食品ロス減らそうよ」って言ったんですね。
すると、名立たるメーカー全18社。さらに卸売業の全9社。おなじみのスーパーなど24社。合計すると、50社以上が賛同したんです。

どう食品ロスをへらすのか、ここに注目したんです。『3分の1ルール』このルールがあるがために、賞味期限が切れる前に処分される商品がたくさんある。
ルール変えちゃえばいいんじゃないかと。まず納品期限を延ばそう。
3分の1じゃなくて、2分の1にしてみたらどうなるのか?
納品できる期限が延びると、これまで処分されてしまっていた物も店頭に置けるようになるかもしれない。

でもこうすると、ちょっと心配な方がいるんです。小売店です。
納品期限が延びることで、賞味期限に近い商品を店頭に並べることになる。新しい物をほしがるだろうという消費者たちに、売れるんだろうかな?というふうに思ったんですね。
実は、先月から実験が始まっています。処分されてきていたお菓子、また飲み物など実際に並べています。

そして、こんな表示も用意しているんです。
「食品ロス削減のため、商品を店舗に納める期限の延長実験を実施中」
しっかりと消費者にも、期限近い物を並べていますよと知らせているんですね。
半年間実験をおこなって、結果しだいでは、3分の1じゃなくて2分の1になるかもしれません。


小野 アナウンサー
これで抜本的な改革になりますか?

合瀬 解説委員
メーカーは、欠品してはまずいと、見込み生産でやらざるを得ない。
しかも毎日作っているわけじゃなくて、1つの商品を月に1回ぐらいしか作らない。

山口 さん
欠品しているところに、それこそ「食品ロス削減のため」って書いたら、ハッ、なるほどメーカーさんもこういう努力をしているんだ、じゃあ私たち消費側もそれを理解しようとなると思います。

牛久保 さん
1995年までは製造年月日という作った日が記されていて、食べられるか食べられないかは消費者が判断していた。匂いをかいだり、いろんな様子を見てですね。
これがそのいわゆる期限表示という、賞味期限とか消費期限とか導入されてから、『3分の1ルール』みたいなことが発生してきた。

石川 さん
たしかに納品期限を2分の1まで緩和しているんですが、なにも2分の1ぎりぎりの物ばかりが入ってくることじゃなくて、メーカーも卸もこれまでのオペレーションの数字は保とうということで、今までどおりのオペレーションでやっていますから、新しい商品が多く入ってきています。
それから、小売店のほうが困った顔をしていますが、実際には消費者の方に対してきちんとした鮮度で売れるように、先ほどお話があった販売期限の管理とか商品の管理をしっかりやっていますので、消費者の方にはまったくご心配なく店頭で通常どおり買い物をしていただいていいというふうに思います。
いろいろなスーパーの店頭、あるいは百貨店の一部などで、賞味期限が切れた物を集めて安く提供するような動きも広がってきています。それから卸のところで商品があまってしまったのであれば、それを転売する努力というのを今でもかなりやっています。 それをやった上で、1000億円の返品がメーカーに対して発生しているので、納品期限の問題に着手し始めたということなんですね。

牛久保 さん
お中元それからお歳暮というのは、箱にいくつも詰めた物がありますよね。賞味期限は十分にある物は、ばらして1個1個で買っていただくようなそういう努力も。

井出 さん
裏事情があって、もしメーカーが小売店に対して欠品を起こすとペナルティがあるんですよ。だから、例えば罰金とか科せられるから、やっぱりメーカーは必要最小限ではなくて多めに多めにつくる。それでないと欠品を起こす。

山口 さん
わたし今、子どもがいるんですけれども。
ご飯を食べるときに、とにかく「もったいない」っていう言葉を使って「最後の一口でもきれいに食べなさい」って教えているんですね。そういう教えを子どもにも伝えたいと思っているのに、社会を見たらこういう状況だっていうことがあったら、もう示しがつかない。

合瀬 解説委員
メーカーの食品ロスというのは大きいですが、一方で家庭から出ている食品ロスもかなり大きい。

これは京都大学の浅利(美鈴)先生が京都市内で家庭ごみがどのぐらい出ているのかというのを調べたデータ。実は調理くずとか、もちろん作り過ぎとか、廃棄される物が83%あるんですが、手つかずの食品もやっぱり17%くらいあるんですね。

これ内情を見てみますと、もちろん期限切れの物もあるんですが、賞味期限前のやつも4分の1ぐらいあるんですよ。

井出 さん
やっぱり消費者の方に知っていただきたいのは、企業だけに責任があるのではなくて、食品ロスの500~800万トンのうちの半分は家庭から出ている。

だから誰が悪いというよりも、社会の構造とか仕組みがそうさせているので。それぞれの立場でやっぱり意識を高めていくことが必要だと。

小西 さん
みんなが心がけて、ロスをなくしていきましょうということをすれば、大手メーカーなんかの売り上げは確実に落ちていきますよ、ということを覚悟していかなきゃダメだということね。

石川 さん
問題を切り分けて考えていく必要があると思います。
やはり、まず根本的に食べられる状態で廃棄されてしまっている食品ロス、これは問題だという観点で減らしていく活動というのは、企業の責任としてやっていく。
各企業はそういった観点で皆様考えていらっしゃるので。まあ、ちょっと問題を切り分ける必要があるのかなと思います。

牛久保 さん
食料の自給率という言葉があるのをご存じだと思いますけれども。

これ、100%というのは、自国で生産して自国民を養えるだけの量なんですね。日本というのは39%なんですよ。ということは、約6割は輸入しているわけですね。
そうすると、外国の土地、水、それからエネルギー、それから餌、肥料、それから労賃ですね。そういうものを買い込んで捨てているということですから。
先進国の中でも最低水準ですので。ですから、こういうことも考えていかないと。

合瀬 解説委員
食品ロスが、自給率が下がる原因にもなっているんですが。
その無駄を少し減らせば、輸入する量も減っていくと。そうすれば自給率も上がっていく。

石川 さん
これからどんどん食品の調達がむずかしくなってきますので。やはり国内で無駄になる物を削減していくことが望ましいと思います。


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