2014年01月18日放送放送内容まるわかり!

大学入試×改革=グローバル人材!?

大学入試センター試験の改革案が政府の教育再生実行会議によってこの冬、示されました。
学力だけでなく多面的・総合的な能力を判断するため、複数回のテストや各大学の面接や論文などで選抜するいうものです。この改革の目的は、世界や日本を担う「グローバル人材」の育成だというのですが...。
果たして大学入試の何がどう変わるのか、入試改革でグローバル人材は生まれるのか、とことん深読みしました。

今週の出演者

 

専門家

吉田文さん(早稲田大学 教授)
八尋俊英さん(日立コンサルティング 取締役)
早川信夫(NHK解説委員)

 

ゲスト

カンニング竹山さん(タレント)
山口もえさん(タレント)


小野 アナウンサー

グローバル人材とは一体どういう人材なのか?
そして今大学のなにをどう改革しようとしているのか?
中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。

プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
はい、おはようございます。
いろいろな疑問が生じるという、その"グローバル"な人材を入試改革で生み出そうとして考えているのは、こちらの方ですね。国の教育再生実行会議。
メンバーは、大学の先生などもいらっしゃるんですけれども、日本の大企業の重役の方なども名をつらねていらっしゃるというところなんです。

この会議のみなさんがこんなことを言っていたんです。
「世の中はグローバル化がどんどん進んでいるよね。だったら日本も世界市場をねらって。だから、グローバル人材が必要だ」ということで、グローバル人材を求めると。

そのグローバル人材、どんな方なのか?というのを、こう考えたんです。
夢がある。志もしっかりともっている。
リーダーシップ必要でしょう、グローバルですから。
自ら課題を発見して解決する力もあって。
語学力、英語なんかもちろんできる。
さらには幅広い教養もないとね、グローバルですからね。ということなんですが。
今、日本にこういう方が必要。で、少ない。

その問題がここにあると。大学の入口、入試だろうと考えたわけなんですね。
皆様ご存じの大学入試というのは、大きく分けると人物重視と学力重視というふうに二つあると言われております。

では、まずこちらいきましょう。学力試験を重視する一般入試です。
受験生、きょうも明日ものぞむセンター試験ですよ。はい、受けます。
これね、1点刻みの戦いですよ。750点、800点、850点とですね、もう1点、1点、1点なんとか積み重ねて、積み重ねて。多ければ、多いほど。高ければ、高いほど有利になると。

受験生はこの後さらに、大学のそれぞれもうけている試験にものぞむと。
ここでも1点刻みの試験。これをなんとか通過して、点数が高かった人が大学に入れるということなんですが。

これだと、こうだと言うんです。
知識あまりに偏っているんじゃないの?これ、問い過ぎなんじゃないの?これだとリーダーシップって育つかな?使える語学力って、これ本当に作れるのかな?というようなことで、これは仕組みの問題じゃないの?ということなんですね。

一方のこちらいきましょう。AO入試。
知識偏重をやめようよ、ということで、どんどん広まってきた試験なんですが。
これ、必ずしもセンター試験受けなくてもいいんですね。
大学がもうける面接、小論文などの試験を受けて、入ることができるというものなんですが。

これだとこうなるんじゃないの?こうなってきちゃったんじゃないか?と言われております。
学力がどんどん低下してきた。
学力が低下するということは、知識がそもそもないんじゃないの?だったら自ら課題発見・解決することなんて、なかなかできないよねと。幅広い教養ももしかしたらないんじゃないの?ということで、それぞれに問題がある。
だから改革いたします、となったわけです。
実際にその改革とはどういったものなのか?私も子どもがいますので、非常に気になるところなんですが。

こうしようということなんですね。テストを新たに作ります。
二つあります。達成度テスト、基礎と発展です。
基礎というのは、なにか?というと。高校在学中の方は、みんな受けてもらいますよと。高校1年生や2年生は、みんなに受けてもらうという試験。小中学生が全国学力共通テスト、そういったものを受けていますが、それに近いもの。
高校の学力、どれくらいまで皆さん身についているかというのを、確かめるテストになるだろうということなんです。高校生はみんな受ける。

だから、これをここにしっかり利用してもらいましょうよということで、AO入試などを受ける方もこれをふまえて面接にのぞんでくださいね。
このテストを受けています。テストで学力をチェックされます。
ですから、この学力は低下を防げるんじゃないかということですね。

一方、こちらの発展はどういうことかというと、こうです。
センター試験に置き換わります。で、受験生はこれを受ける。なにが違うのか?

ここです。評価が1点刻みではございません。A・B・Cとランク評価なんです。
800点だろうと850点だろうとAランクということ。
さらには受験生。これですね、実は何度も複数回受けられる試験になるだろうということなんです。
つまり1回目がBランクでも2回目がAランクだったら、あなたAランクという評価になるということなんです。一発勝負じゃなくなる。

さらに、ここの試験も変えようというんですね。変えてもらおうと。
各大学の試験はこうなる。もちろん試験が残ることは残るんですけれども。こういったところも評価しましょうよ。
面接はします。高校時代のこういった活動も評価の対象といたします。点数だけじゃなくなるよということなんですね。ですから、この知識偏りもなくなるよね。

さあ、こんな入試改革制度にすれば、入学、出たグローバル人材。
さらにこっちからもグローバル人材だ。どんどんグローバル人材増えていく、というふうに国は考えているわけでございます。


山口 さん
おめでたいですね。なんかね、入試の改革だけでそんなに育つのかな?と思っちゃいますよねえ。

竹山 さん
そうねえ。わかりづらいのもあるし。そういう答えにはならないでしょうという。
なにか大事なところがちょっと抜けているような気がするんですけどね。

小野 アナウンサー
ちょっとそのあたりは専門家の方にどんどん聞いてみましょう。
八尋さんは、銀行、メーカー、そして経産省を経て、IT企業のコンサルティングをなさっていて、留学経験もお持ちです。
この入試制度改革でグローバル人材は育つというふうにお考えですか?

八尋 さん
変えることは、いいと思います。
というのは、僕も昔、留学をしたときに。日本からイギリスに例えば留学するというと、世界中からいろんな人が応募してくると、いろんな高校・大学を経ますよね。その成績は全然共通じゃないんだけど。「優」や「良」をそれぞれ5点、4点と計算して、平均何点と出したり。
プロフェッサー=教授 にこんなことやりたいんだという思いを書いて。それは一人一人全然違うけれど、ちゃんと読んでくれて。わからないとまたお手紙がきて、書き直して出して。そんな中で審査されて。
向こうに勉強しに行って、やっぱり付いて行けなかった人は降ろされて、戻って来る人もいるんだけど。そういうほうがいろんな人と出会えて、面白かったし。日本もそういうふうに変わっていくのかなという、ちょっと予感はします。

小野 アナウンサー
一方、吉田さんは入試制度にも詳しい。そして政府の委員も務めていらっしゃいます。
吉田さんは、今回の改革でグローバル人材は育つとお考えですか?

吉田 さん
いや、ひと言でいえば、むずかしいですね。
なぜかと言えば、まさしくあの示している大学の中がブラックボックスですよね。大学の中で何をするのか?ということが語られないまま、入試をいじったら、それですぐに人材が生まれるのであれば、大学はどこに行ってしまうのでしょう?

早川 解説委員
この議論は企業側からの議論なんですね。
つまりグローバル化、グローバル化というのは、世界がグローバル経済に巻き込まれている中で出てきた議論ですね。ですので、大学改革を求められるというのは、そうした人材が欲しいんだ。グローバル化に対応できる、世界との競争に打ち勝てるようなということなんですね。
かつては世界とごしてやっていけるような若者を育てるんだと言ってきたんですけど。今の教育改革の中では、「世界に打ち勝つ」という言葉に替わってきたんですね。それだけニュアンスが変わってきているということなんですね。

山口 さん
でも「世界に打ち勝つ」というのは、すごいことだと思うんですよ。
それが大学の入試を改革するだけで成り立つのかな?と思うんですけど。

早川 解説委員
経済界の人がよく言うのが、大学が自ら改革するのを待っていたら、いつまで経ったって変わらないじゃないか。
だから入試から変えちゃえという、そういうことなんですね?八尋さん。

八尋 さん
それは確かに安易かもしれないですけど。
例えば、海外の勉強の仕方って、高校を出て一定の基準を満たした人に、こんなことを聞いていて。

なんかすごく哲学っぽいことで、答えもないのに。なんていうことが答えられるかどうか。
でも、例えば今、日本はこういう問題を出していないけれど。僕がたまたま前、役所にいたときに、カナダから高官で来ていた人なんかは、向こうの公務員試験ってこんなものらしいんですね。その職業経験を経て、あなたはどんなふうに人生観を持っているのか?それを答えなきゃいけないから、大学出てすぐじゃ全然受からない試験で。やっぱり30歳くらいまで働いてから、カナダの役所に入るそうですけど。
それが例えばグローバルの一つのあり方とすれば、日本もそんな考え方の人もいていいのかな、みたいなことを思っていると。

小野 アナウンサー
でも、大学の試験に面接というものが重きを置かれるようになると、不公平になるという可能性はないんですか?コネが考えられたり。

吉田 さん
不公平というのは、何を平等に考えるかによって、何が公平でないかということに決まってきますけれども。今までの日本の試験のシステムというのは、ある意味、客観的なテストで、それでもって判断するのが平等であるということがあったので、それがこれまで使われてきたという側面がありますね。
今の議論というのは、客観的なテストが知識の詰め込みであり、それが受験競争であり、それが知識偏重であるという議論は、くり返し、くり返し出ているんです。今に始まった話ではないと。

八尋 さん
ちょっと企業側の立場からわざと言ってみると。なんとなく今、企業って、いろんな人が地球は一つみたいなグローバル・ヴィレッジなんで。いろんな人が意見戦わせて、新しいものをつくるという時代なので。
できる限り、昔は、一つの工場で一貫性に。まあ、みんなができる、みんな平等に同じことぐらいは軽くできるよねという時代から、いろんなとんがった人がいたほうがいいよね、みたいなことになってきているので。
そういう意味では、むしろいろんな方々がキャラクターのエッジの立ったような人もいていいよねという。ただ、それが全部ですか?というと今、先生がおっしゃったような話もあるのかなと。

竹山 さん
確かにグローバル化というのも必要だと思うんですよね。で、もっともっと海外にもっと行ったりとか、いろんな人と交わったりとか、そういうことをもっと学べばいいと思うんだけど。
それは、大学時代でも高校時代でも中身でできることで。そっちをもっと変えていって、いろんな考えを持っている人間を育て上げていかないと。受験変えても別に入っちゃうと何も変わらないし。
あと次は面接のための受験勉強みたいな。面接の勉強みたいなものをやる可能性があるし。

吉田 さん
やはり面接というのは、相性というのがどうしても出てきます。で、どういう人が必要なのか、どういう人が必要なのかをどうやって判断するのか、ということがきちんと決まっていれば、それはそれで可能かもしれません。
しかしそれ以上に、やはり面接をすることによって、面接を選抜する側のほうが、きちんとそういう判断基準を公平に持てるかどうか?これ非常にむずかしい話ですね。

八尋 さん
大学もキャラクターをもっと立てればいいのと思うんですよね。
多分、企業からすると、この企業は何をしたいんだと。ライフスタイルを変えたいとか言わなきゃいけないみたいな。
僕たまたま行ったイギリスの大学は、世界中の将来、例えば政治家や企業の幹部になった人たちがネットワークを作って欲しいという思いで作ったような大学でして。
そうすると、例えばアジアから来る人とヨーロッパから来る人と、全然勉強量が違うけれど。アジアに戻ったら幹部になるかもしれないんだったら受け入れようというんで、多分入れただけだと思うんです。
それで、向こうの先生はそういう人とも人脈持ちたいし、授業でやっぱりアジアのことも語って欲しいから、たどたどしい英語でもそれが教材になるし、ヨーロッパの人たちには刺激になるみたいです。

小野 アナウンサー
でも、それで一人枠が埋まっちゃって、落っこちてしまう人もいるわけですよね?そういう人から不平は出ないんですか?

八尋 さん
ちょっと日本の取り方違うの。大体、倍ぐらい取っていて。ちゃんと卒業できる人が半分ぐらいしかいないというのも事実ですし。
医者だったイギリス人なんて、すごい優秀だったのに、途中で「僕、気が変わった」と「一回職場に戻る」と言って。えっ、こんな優秀な人。「なんで今、論文書かないの?」と言ったら「一旦戻ってみないとわからなくなったから」なんて言う人もいたりします。

早川 解説委員
まあ、日本の場合、入試で客観性を求められるということがあって。今、高校入試なんかだと情報公開とか言われていますよね。だから、なぜ落ちたのか?ということを、自分が何点足りなかったから落ちたんですか?みたいなことを、開示請求するようなことが各地で起きているんですね。
こういうことが、大学入試でもし客観性とかいうことが言われ出すと、また元に戻っちゃうとか、そういうことになりかねないんですね。だから、ちゃんとした物差しがどうやってできるのか?というようなことが大きな課題なんですね。

小野 アナウンサー
ツイッターにもグローバル人材を育てるには、大学やそしてその先の企業の責任じゃないのかという声がたくさん届いているんです。どうなんでしょう?

吉田 さん
今のグローバル人材の要請は、企業から中心的に出てきているわけですね。
企業はグローバル経済の中で戦える企業になりたい。そうすると、英語で仕事ができる人が欲しい。ある意味、非常に手段的な考えでグローバル人材の話が出ています。
でも、じゃあ、それが大学がやる役割かどうか?というのは、もう一度考える必要があると思うんですね。大学は企業のための人材を輩出するだけの役割かどうか?大学はもっと広い意味で、人の養成というものを考えていると。そうすると、必ずしも企業のために役立つ人材ではないような側面というのがありますね。
例えば、これからの日本社会どうかんがえるのか?というのは、日本社会の経済が良くなればいいだけではないですし。グローバルな問題というのは、日本企業が戦えればいいわけではなく。むしろ例えばグローバル問題というのは、環境の問題とか、資源の問題、エネルギーの問題。そういう問題、それこそグローバルに広がっている問題がありありますよね。そういうことを考える人材、というのもグローバル人材になるわけですね。

八尋 さん
秋葉原のオタクとか、そういうのにもクール・ジャパンとか今いっているじゃないですか。あれでせっかくそれにひかれて。YouTubeで日本のダンスやアニメを歌って踊るという、そういうのを見せる。そういうのにも心がシンパシーがわく、なんてことがすごく今、実は企業人としても大事で。
その辺もドイツなんかで、例えば世界を代表するような会社が、わざとオタクとか引きこもり系の人のインサイトというか、考え方が違うから。そういう人も集めて開発をさせようとしたり。そんな時代なんですよね。
だから、もっともっと大学も変われるんじゃないかな?って期待をちょっと言っていて。僕が気になるのは、再生改革みたいなところで、みんな同じ、日本の大学はみんなそうしなきゃいけないというのは、ちょっと危機感を感じて。
僕行ったロンドンって、たまたまそうなんですけど。イギリスの大学で違う意思を持った人もいるので。地球全体に対してアジア特化の大学もあっていいし、みたいな。

小野 アナウンサー
なるほど。じゃあ、実はここからは、大学の取り組みをご紹介しようと思うんです。
もうその入試制度改革なんて待っていられないよと。グローバル人材の育成にいち早く着手した大学をご紹介します。中山アナウンサーです。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
はい。探してみたらグローバル人材を育てようという大学いくつかあったんですね。きょう2つご紹介いたします。

まずは吉田先生も教壇に立っていらっしゃる、このグローバル人材を大学で育てようというところ、早稲田大学でございます。

ここは、こんなことを目標にかかげました。「全学生を留学させます」と言うんですね。
それで世界に貢献できる人材を育てようというわけなんです。
グローバル人材、これでいけるんじゃないかということで。その数は年間8000人になるよと。10年以内にやろうよというふうに言っているんです。
これだけ多くの学生がいますので、提携先の大学もいろいろあるわけですね。
世界各国、420以上の大学あるという。ちょっと一部ご紹介いたしましょうね。

こちらです。アメリカやイギリスの有名大学はもちろん、あのマケレレ大学もございます。
えっ?ご存じない?アフリカです。すいません、私も知らなかったんです。
アフリカ、中央部の東側にあるウガンダの大学でして。アフリカ各国の大統領が、このマケレレ大学出身という方多いんだそうですね。
優秀な大学なんです。この大学などもふくめて、全世界いろんな大学にどんどん行ってもらって、日本と海外の違いを早い段階でつかんできてよ。それでグローバル人材になっていってねという考えなんですね。
今、日本で6万人近くが留学するんですけれども。8000人ですよ。すごい人数ということなんです。

さあ、一方でこちら、千葉大学も取り組みしております。
千葉大学では、学生たちにこれを学んでもらっております。国際○○学。
200人のもうすでに学生が学んでいる学問でございます。

これ教えている方は、ガイタニディス・ヤニスさん。ギリシャ人です。
こちらの国際○○学、この方が教えているのは、こんなことなんですね。
そうギリシャ人、外国の人が見た、その視点の日本。

『国際日本学』というわけなんです。
このギリシャ人のヤニスさんは、イギリスの大学で日本について様々な疑問を持って、日本の社会・文化・歴史などを様々学んできた方。
その方に、どう見えますか?日本。これらについてどう考えますか?どう疑問があるんですか?ということを討論形式で、しかも英語で学生たちは学んでいくんですね。
それで、どんどん改めて海外視点で自分たちの日本人のことについて考えていく。
そうしたら、実践です。

実践は、こうですね。外国の方と話すわけです。留学かな?と思いきや、留学じゃない。
留学しません。ここに行ったんです。まあ、空港留学みたいなものですかね。
海外から訪れた人たちに、ガイドとして案内役をしつつ。例えば成田山。お寺について「お寺はこうです」というようなことを外国の方に学んだことを話すということなんです。

すると、もう自らのことをどんどん知ることができる。
しっかりと日本のことを世界に発信できる人間。
まさにグローバル人材になるだろうということなんだそうですね。いろいろしているんです。


山口 さん
大学の中で勉強だけしているよりも、やはりいろんな経験をさせるということがすごく大事なのかなと思うので。すごくいいアイデアだと思います。

小野 アナウンサー
早稲田大学の年間8000人は、ちょっとお金掛かりそうですけど。

吉田 さん
そうですね。一応そういうのを、早稲田では『Waseda Vision 150』という、これからの早稲田大学のあり方を考えるビジョンがありまして。その中でうたっているわけなんですけど。いかんせん、日本の大学で今、話が出ましたように一番の課題は、いろんな取り組みをしようと思うと、お金がないということなんですね。
特に私立大学の場合には、ほとんどが家計に依存している。すなわち親からの授業料でもって、大学が運営されているという状況ですね。
そうしますと、こういう取り組みをやると、やはりそれが非常にお金の問題。難しいですね。

早川 解説委員

確かにそうなんですね。日本って国が教育に掛けているお金って、OECD諸国の中で、OECD、先進国ですね。の中で34か国中最下位なんです。
何で補っているかというと、家計の支出で補っているんですね。だから、家に余裕がないと大学で学べないという国なんですね。
そこをどうするのか?というのは、大きな課題なんです、実は。だから、国がしっかりと支援しないと、入試改革だけやっても大学で学べないよということになっちゃうんですね。

竹山 さん
そうですよね。なんか極端な話すると、じゃあ、低所得の家庭で育った子どもたちは、ずっと勉強もそんなにできないし。できないって、やる機会が富裕層よりも少なかったりするし。じゃあ、受験しようとすると、結構不利になるような気がするんですよ。
そういう面接だ、ボランティアだとか、そういうのやっちゃうと。そこを軽率にしちゃいけないと思うんですよね。

早川 解説委員
だから、そこをちゃんと奨学金とかね。仕組みをしっかり作って、学べる環境を作れるかどうか?それは国が支出しないといけないので、それだけの覚悟をしないといけないということなんですね。

八尋 さん
企業も変われるといいなと思います。
日本の中というよりも世界の中だと、例えばYouTubeみたいなものを使って、ハーバードからケンブリッジまでいろんな有名な大学の講座がどんどん流れているんですね。
しかも見るだけじゃなくて、直接先生の指導をコンピュータ上でインターネットつながって受けて。ある種の認定証をもらえて。それを出すと、採ってくれるような世界の企業ってあるんですよ。
日本は、まだこれからかもしれないけど。必ずしもこういうことばかりじゃなくて、勉強したいという人は、インターネット通じてどんどんアピールできるということにもなっているんで。
ぜひ日本の改革は待たずに。これがスピードが遅かったら、外に行っちゃうなり、インターネット使うなり、というくらいのほうが。僕はそういう人もいていいなと思いますけど。

小野 アナウンサー
話し戻すようなんですけど。
こんなふうに大学自身も変われるのであれば、別に大学入試は変えなくていいんじゃないか?というような疑問はありませんか。

吉田 さん
大学の教育というのは、大体皆さん、自分の経験で大学の教育って語るんですね。
ですので、大学入ったら勉強しなくてもいい、というような、おそらくご自身の経験があったのではないかと。

小野 アナウンサー
先生、私のほうを見ないでください。

吉田 さん
私自身も大きなこと言えないんですけれども。少なくともわれわれぐらいの時代までは、授業に出なくてもあんまり変わらないと。やりたいことは自分でやれ、と言われた時代ですね。
でも今、大学というのは、非常に大きく変わっていまして。
例えばですね、授業は半期で15回。これは必ず15回やらないといけないんです。学生も休めないんです。休んだら単位が取れなくなる。そういう意味で、なおかつ、その授業が本当に良かったかどうか、学生による授業評価というのも入っています。
従いまして、大学の教育というのは、特に90年代以降、すごく大きく変わってきていて。今、こういうような取り組みの話も出ましたけれども。これ非常にめずらしい例ではなく、いろいろな所からこういうことを聞くことができるんですね。

早川 解説委員
改革を進める人たちの意見というのは、それだけじゃなくて。大学に入ったところで、高校までの学びをしてきた学生たちがつまづいてしまうんじゃないか?ということなんですね。
例えば、ちょっと古いデータなんですけれども、こんな調査もあるんですね。大学生に大学に入って必要だと感じたことで、高校までに身に付いていなかったもの。つまり、やっておけば良かったということは、どういうことか?ということを聞いているんですけれども。
そうすると、発表などのプレゼンテーション力であるとか、自分の考えをわかりやすく説明できることであるとか、自分の考えを筋立てて主張できる力、こういったことが、大学に入ると突然求められるんだけど、高校までであまりやってこないんで、そこでつまづいちゃうよというわけですね。
だから、入試を変えることで、高校以下の教育も少し変えていこうじゃないかというのが、改革推進派の人たちの言い方なんですね。

八尋 さん
産業界からすると、最近いろいろカタカナの会社のほうが勢いがあって。それは韓国でもアメリカでも。そういう会社って、日本の大学ではなくて、海外のアメリカやイギリスやフランスの大学を出た人たちが多いじゃないですか。
そうすると、これで僕らがもし中学・高校生の立場に立てば、本当に今日本でいいという大学を出て、一流会社に入って活躍するのと、海外のもっとグローバルな会社に入ろうと思ったら、日本の大学の名前じゃないほうが入りやすいかもしれないと思い始めている人がいっぱいいて。現に中学・高校から向こうに直接、そんな時代ですよね。
僕がちょっと気になっているのは、もしかしたら、海外のほうがもっと日本のグローバル企業はお金出しちゃうかもしれないですよね。それぐらいグローバルに発展する企業からすると、日本だけを見ているわけじゃないから。どんどん今、外国人も採りますよ。日本はグローバル人材をあんまり出せないんだったら、海外の人材を使って海外で活躍すればいいんで。だから、そういうときに日本って、取り残されるというわけではないけど、ちょっと遅れている。

小野 アナウンサー
でも、グローバル人材ってそもそも本当に何なんですかね?

「夢を持ち、それを強い志に高め、実現に導く情熱や力...」教育再生実行会議は提議しているんですけど。
この海外の市場を開拓することができる人材というようなことなんですかね?

吉田 さん
でもそこの中で、例えば「語学力、交渉力」等々を除いてしまうと。その「夢」とか「志」とか。あるいは下のほうにある「多様な能力」というのは、要するにグローバルじゃなくても。大学の役割として今までもそういうことやってきている。
それをミッションにしてきたというのは、ありますね。

竹山 さん
なんかこれを書いてあること全部兼ね備えた人間になると、結局丸くなっちゃって個性がなくなるという可能性もあるような気がしますけどね。

小野 アナウンサー
うーん、そうですね。
一番大切なことって何なんですかね?どうあればいい、というふうに長年大学を見つめてこられた方々は思いになっているんですか?

八尋 さん
僕なんかは今やっぱり、あんまり日本の中だけで考えないというのは。別に大きな企業だけじゃなくて。
例えば九州にある企業だったら、当然東京のことも考えるけれども。シンガポールとか韓国に輸出したらどうだとか、台湾って考えていますよ。だから、あくまでも九州でそういう新しい人材育成の話なんか聞くと、グローカルというか。九州のことを考えると当然アジアを考えます、みたいな。

山口 さん
学生の立場を考えると入試をどう変更するか、改革するかよりも、学生が何かをしたいとか、目標を持ったり、夢を持ったりできるような大学づくりが一番大切なのかなと思うんですけど。

八尋 さん
そういうときは、出会いがあったほうがやっぱりいいと思います。もっと思いがある、日本人だけじゃない人がいっぱいいる所。
早稲田のさっきの取り組みも面白いと思うし。もっともっとそういうことを外国人にしゃべってもらって。意外なところを発見するとか。アニソンの楽しみ方とか。初音ミクは日本から出していても、その楽しみ方は海外の人が上手いかもしれないし。刺激はすごい受けると思いますけど。

早川 解説委員
こうやって議論すると、グローバル化ってなんかエリートのことを議論しているんじゃないか?というふうに思いがちなんですけれども。必ずしもそうではないんですね。
日本中がグローバル化していく話なので、偏差値の高い大学もそうでない大学もみんなグローバル化に巻き込まれていく。その中でじゃあ、どうやっていくのか?ということなんですね。


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