2014年04月19日放送放送内容まるわかり!

“配偶者控除”見直し? どうなる女の生きる道

日本に“専業主婦”がいなくなる!?政府は成長戦略の一つ「女性の就労拡大」を実現させるため、「所得税の配偶者控除」などの制度見直しを検討しています。これまで女性に期待されてきた「家事、子育て、介護の担い手」という役割が、「働き手」へと大きく転換していくかもしれません。 でも本当に企業や社会で女性を支援する仕組みがつくれるの?男性の意識は変えられるの?そして、女性はどう生きていくことが幸せなの?徹底的に深読みします。

今週の出演者

専門家

落合 恵美子さん(京都大学教授)
水無田 気流さん(社会学者・詩人)
飯野 奈津子(NHK解説委員)

 

ゲスト

ドン小西 さん(ファッションデザイナー)
春香クリスティーン さん(タレント)


小野 アナウンサー
配偶者控除見直しについて、たくさんご意見が届いています。
いくつかご紹介します。




今、なぜ配偶者控除を見直そうとしているのか?中山アナウンサーのプレゼンです。

中山 アナウンサー
女性の方々にいろいろお話聞いてみたらですね。非常に皆さん配偶者控除に注目されているんですね。
この制度は、そもそも、いつ頃できたのか?その辺りからお話しスタートいたします。

1960年代。日本がまさに上をグングン向いて、発展していった時代でございました。
高度経済成長の時代ですね。
この時代は大きく日本の産業構造が変化した時代でございました。農村部見てくださいね。

こちらの若者たち、農業に従事などされていたわけですが。

サラリーマンになった方、多かったんですね。
じゃあ、女性はどうなったのか?

主婦になっていった方が多いわけなんです。
男性が都市部に出て、働いていく。

会社に勤めて、サラリーマンでございます。
女性の方はなにをしているかというと、お家で子育て・お料理・掃除・洗たく、いろいろされて。
そしてクタクタになって帰ってくる夫を迎えるというわけです。
そして「お風呂になさいます?お料理になさいます?」
そういう言葉あったんですか?ドンさん?

小西 さん
いいねぇ。覚えてますよ。

中山 アナウンサー
そういったおかげで、男性も翌朝には元気になって、また働く。猛烈に働く。
"モーレツ社員"なんて言葉が生まれたのもこの時代です。
つまりは、この主婦なくしては日本の経済が向くということはなかったとも言われる。
そこで国は、そのがんばる主婦のためにある制度を作ったといえるわけなんですね。
これです。

所得税の配偶者控除、1961年にできたものでございます。
所得税、つまり旦那さんのお給料にかかる税金を安くしまして、家計を楽にしてあげますよ、というものなんです。

つまりは、「内助の功を評価しましょう」というふうにも受け取れるというものだったわけなんです。

時代と共にいろいろと制限が変わってきまして。
今では妻の年収が103万円以内だったら控除の対象にします、というものです。
そうなると主婦の方どうなるか?というと。
ちょっと外に働くのもいいのかなぁと思いきや、損しちゃ嫌だもんねと。
家で家事をしっかりがんばろうというふうになっていたわけなんでございます。
そして、60年代、70年代を過ぎまして、時代はここに移ります。

小野 アナウンサー
バブル時代。

中山 アナウンサー
1980年代、まさにこの頃、日本が元気になった時代です。
女性の中には、こういった方も出てきた。

スーツ姿になって私も働きたーいということで。
男性陣が働いておりましたが、それに負けじとバリバリ働く"バリキャリ"なんて言われ方もするような女性も登場してきたという時代でございます。
で、主婦の方をみれば、パートをする方もこの時代たしかに増えてきたところだったんです。
ですが、国はそこで内助の功を認めるような制度をさらに作りました。
これだったんです。

サラリーマンの妻が年金保険料を本人が納めなくても、将来年金を受け取れますというもの。
年金第3号被保険者という言われ方をしておりまして。
これも条件が今ではこうなっています。

130万円未満、妻の年収。ということになっております。
そうすると、主婦の方々がどう思ったかというと、年金保険料払って損するのもなぁ。
年金もらえるんでしょ?じゃあ働かないで、家で家事をしっかりやろうと。
そして中にはパートの方がいらっしゃいましたけれども。なんとか130万円は超えないようにしよう。
というふうになっていったわけでございました。
ところが、時代がさらに進んで。そうも言っていられないことになって来ているわけなんです。

右肩上がりの経済が終了し、どうなるか?というと。
企業戦士として働いていたお父さんたち。
この頃どうなっていきますか。

続々お年寄りが増えてきたということにもなっていくわけです。
お年寄り増えると、年金がどんどんかかりますよね。
社会保険もどんどんかかっていくわけです。誰かが支えないといけない。
でも支える人たちって、こんな状況。

中山 アナウンサー
少子化です。
見てください、働いている方が、生産年齢人口が1995年はピーク。

その後どんどん下がって、この先も下がる一方と言われております。
こうして働く人が減ってしまうと、どうなるのか?こんな世の中になってしまいます。

働く人ってお金使う人でもありますので。全体としては、消費が減っていきます。
消費が減れば、会社の業績も下がっていく。買う人減りますからね。
そして会社の業績下がれば、給料も下がっちゃう。
給料下がったら、さらにお金使える分が減っちゃう。
そしたらさらに会社も儲からない。給料も下がる。
ということで経済がどんどん悪循環になる、縮小していってしまう。
税収が下がっちゃうということにつながっていくわけですよ。
だから今、働き手に注目。労働力はどこかにないか?と思われているわけでございます。
います、います。たしかに日本にはおります。
若者がおります。若者がんばってよと。みんな思う。

思いますが、少ない。少子化です。
じゃあ、どうしよう?他にいないか?
元気な方いらっしゃいますよ。最近ね。

お年寄り、65歳まで定年制にしちゃいますか。働いてください。
ああ、でもまだ手薄な部分がある。どうしよう?
あっ、いらっしゃいましたね。皆さん、お気づきでした。
この主婦の皆さん。

じゃあ、働いてください。お願いしまーす。
あれれ?

小野 アナウンサー
なんかひもが付いている。

中山 アナウンサー
これ、じゃまか。外してしまおう。
じゃあ、分かった。これを見直すか。

ということになっていくわけですね。
そうしたら、主婦の皆さんも働いてくれるようになるよね?
というのが最近のニュースになっているわけでございますが。
さあ、主婦の皆さん。
これ、どうでしょう?働きますか?

小野 アナウンサー
まず質問したいんですけど。
130万円あるいは103万円の壁があるから、このぐらいの働きでとどめておこうと思ってきた人たちがいるとします。
その主婦A子さんが、働くわ。少し多めに、と思ったとき。
年金を自分で納めなければいけない、夫の配偶者控除はなくなる。
得なの、損なの?家計全体としてはどうなんでしょうか?

飯野 解説委員
これ制度がなくなってしまうと、夫のほうの税金は余計に払わなくちゃいけなくなりませんし。
130万円を超えて働くと、自分で妻が保険料も払わなくちゃいけないということでいうと、家計にとってはやっぱり負担が重くなりますよね。
たとえば配偶者控除の場合ですと。
子どもが2人いて、専業主婦世帯で、夫の年収が500万円の場合、配偶者控除がなくなると、1年間の負担増は2万円ぐらいと試算されているんですね。
時給1000円でいうと年間20時間働かないと元が取れない。
年収1000万円の場合ですと負担増は7万6000円というふうになっているので。
76時間、年間余計に働かないといけなくなるということですよね。時給1000円だとすると。
130万円のほうの制度がなくなったとすると、主婦は自分で保険料を払わなくちゃいけなくなるので。
今、国民年金の保険料ってすごく高いんですね。
1年間に18万円ぐらい負担増になるし。
実は年金の保険料、これ夫の扶養から外れてしまうと、健康保険も自分で払わないといけなくなるので、やっぱり負担増。
これを乗り越えようと思うと、もっともっとたくさん働いて収入を得るようにするか。
年金のほうは、厚生年金に入れれば企業は半分保険料を払ってもらって、将来受け取る年金も増えることになるので。
すごくたくさん働かないといけなくなるということですね。

小野 アナウンサー
自分の家が豊かになるためには、そうとう時間数多く働かないとダメだということですね?

クリスティーン さん
そうすると、子育てとの両立が大変になりますよね?

小西 さん
この配偶者控除というのは、これ61年でしょう?この時期って環境が今と違うよね。
女性が働ける環境ってなかったと思うよ。
旦那さんが働きやすい環境を作って、子どもを作って、子育てをして、というような環境だったんだからさ。

小野 アナウンサー
水無田(みなした)気流さん。社会学者で、子育て支援のNPOを運営なさっています。
水無田さんは今回の制度の見直し、どうみていらっしゃいますか?いい?悪い?

水無田 さん
まあ、中長期的には必要な改革ではあるんですよね。
97年にサラリーマン世帯であっても、被雇用者世帯であってもですね。
専業主婦のいる世帯とそれから共働き世帯ですね。
90年代後半に共働き世帯が抜きまして、今200万世帯以上共働き世帯のほうが多いんですよ。
その背景にあるのは今、女性の問題ばかり出てきましたけれども。
若年層を中心とした男性の給与水準の低下、これが言えるのではないかと。

97年をピークに、日本の給与ってだんだん下がってきているというか。
さっきバブルのお話出ましたけれども。
バブルが崩壊したあとも、今、正社員で勤めている人たちというのは昇給ベース鈍化させるわけにはいかなかったんですよ。
97年まで上がり続けたわけなんですね。
そのあと下がってくるときにちょうど共働き世帯が増え始めていったと。
その働いている女性というのは、多数が既婚の中高年以上のパート就労の女性なんですよね。
だから働かなきゃいけない。でも制度が守られた中でという。
まさにそういう人が増えてきた。現状で考えると、制度の見直しは中長期的にはたしかに必要なんですけれども。
パート就労で働いている主婦の方に関していえば、103万円以下が56%ぐらいですかね。
17%ぐらいが130万円以下ぐらいに調整して。
過半数の人が調整しているとも言っていますし。
というわけで7割の人たちが、制度の改革の影響をこうむるんですね。
この問題を考えるには、一番背景にあるのは、女性の家事・育児・介護などの家庭責任の重さ。ただ働く時間だけが増えていったら、もう時間いっぱい、いっぱいになってしまうということなんです。
ただでさえ日本の女性、既婚女性って、すごく働き者なんですね。
実はパート就労していて、家事・育児・子育てなんかしている場合ですね、男性よりも平均睡眠時間短く、働いている総労働時間はむしろ長いんです。
もうひとつ言えば、男性が長時間過ぎて、家事・育児に参加できないという問題すごく大きいんですね。
実は男性の雇用環境の見直しと同時に進めるべきなのに。
どうも女性の問題だけに収れんしてしまっている。

小野 アナウンサー
落合恵美子さんは、専門が社会学で、長年にわたって家族のあり方を研究なさってこられています。
どうみていますか。

落合 さん
私も同じ考えですね。今、水無田先生とおっしゃったこととね。
本当に今すぐこれ変えなければいけないことだと思っています。
すごく大きな変化というのは、90年代に起きているんですよね。
日本が高齢化したということで。
80年代までは、日本は世界の中で働き盛りの人が多い社会でしたけれども。
90年代に急速にそれが変わりまして。
今は4人に1人が高齢者という社会になりました。
だから、本当に働く人を増やすには、女性が働く、外国人の方に入って来てもらう。
それから、高齢者がもっと働くということしかなくなって。
だから、女性が働くというのは、今本当に定番の政策なんですよね。

クリスティーン さん
ただ、なんでしょう。
やっぱりこれだけでは済まないのかな?という感じがするんですけど。
女性の方がじゃあ、子育て中。なかなか働くの両方できるのって難しいじゃないですか?
となると、子育てのほうもいろいろ支援とか必要になるのかな?と思ったり。

飯野 解説委員

家事とか育児とか介護は、アンペイド・ワークといわれていますが、今お話にあったように女性に全部押しつけておいて、それで仕事もしてくださいということになると。
かつての時代、高度成長時代は女性は家事、男性は仕事だったけれど。
これからこれがどんどん女性も働けというと、女性だけ家事・育児、アンペイドワークをやりながら仕事もしてと、すごく負担になっちゃうわけですよね。
やっぱりおっしゃるように、ここの部分をどうするのか?ということがすごく大きな課題だと思うんですね。
でも、欧米諸国なんかを見ると、女性が働くように支援していくと同時に、この男性の働き方を変えて、長時間労働については、男性も女性も両方とも規制をして男性がこのアンペイド・ワークもちゃんと負担できるように。

小野 アナウンサー
介護や育児や家事を社会で支えていこうという仕組みづくりは欧米に比べるとずいぶん遅れている。
なんとかするきっかけって、もっと前になかったんですか?

落合 さん
1980年代ぐらいに働く女性が増えてきていましたよね。
そのときに欧米のほうでは、保育所をたくさんつくったりとか。
それから、男女平等ないろんな税制とか改革を進めていきました。
男女ともが働けるようにしていったんですね。
ところが日本は、そのときに対応するのが遅れました。

小野 アナウンサー
日本もでも男女雇用機会均等法って。

飯野 解説委員
1986年ですね。

小野 アナウンサー
あれっ?"年金第3号"と同じ年にできているじゃないですか。
これ、どういうことなんですか?

落合 さん
80年代というのはね、本当に矛盾に満ちた政策をした時代でね。
同じ時代に派遣法もできているんですね。
ですから、そのときに女性が3種類に分けられたと言われています。
ひとつはバリバリ働くキャリアウーマンですね。
それから、もうひとつは主婦ですね。
それから、補助的な労働をする、パートとか派遣の人たち。
その3種類に女性が分けられてしまったのが、この80年代のこの政策のせいだったんだと言われています。

飯野 解説委員
男女雇用機会均等法はね。女性の深夜業を撤廃して、女性も深夜も働けます。
ということで男性と同じ働き方もできるようになったんですけれども。
高度成長時代のモーレツ社員、男性型の働き方が女性が参入できるようになっただけで。
そっちの全体の働き方を男性もふくめてどうしようか?ということはまったくやらずに。
だから、女性は男性と同じに働けなければ、けっきょくパートでまた働かざるをえないという状況が続いてきたということですよね。

小野 アナウンサー
バリバリ働く女性は増えたけれども、逆に家事や育児や介護をするために働き方をセーブする男性は増えなかった。

飯野 解説委員
増えなかった。
で、女性も結局バリバリ働いた人たちでも出産するとやっぱり辞めざるをえなかった、というのが今の時代ですよね。

水無田 さん
次世代が再生産できなかったんですね。ある意味では。
雇用機会均等法以降に、女性も必ずしも家事・育児にしばられる専業主婦にならなくてもいい。
好きな生き方、選んでいいんですよと言われたんですけども。
結局、じゃあ自分が仕事を続けようと思うと、子どもが産めないんですよ。
そうすると働きながら自分の自己実現というか、自分の仕事にまい進した人というのは、結局、次世代が産めなかったり。
で、その時代に家庭におさまって子どもを産んだ人たちというのは、あえて専業主婦を選んだ人たちが多分、多かったと思うんですよね。
今までは、もう猫もしゃくしもというのは失礼なんですけど、専業主婦ほぼ一択だったんですよ、ライフコースが。
それが必ずしも専業主婦にならなくてもいい、福音だと思った層は働き続けたんですけど。
そうではない層が、むしろ再生産していった。
その結果、今の20代の女性は、専業主婦志向がすごく高くなってしまっていて。
30代から50代の女性よりも高くて、60代と同じようなレベルになってしまっています。

小野 アナウンサー
厚生労働省の調べたデータですが。

独身女性に聞いた「専業主婦になりたいですか?」これに対して答えは、3人に1人がなりたい。
これは高齢の方と同じぐらいの割合ということですか?

水無田 さん
専業主婦肯定派で調べるとそれぐらいになっていて。
あと、この層の男性。同じぐらいの年の男性に聞いたところ、5人に1人なんですね。「専業主婦になってもらいたい」が。

クリスティーン さん
えー、合っていない。

水無田 さん
若年男性はもう昇給ベース鈍化していて。
そもそも男性を歓迎する職場自体がだんだん減りつつあるんですね。
高度成長期を経由していたので、二次産業なんですよ。製造・建築風なんで、若い男性の筋肉量を必要とするんですね。
ところが今、主流となっているのは、第三次産業、サービス業とか。
特にのりしろがあるのは医療福祉なんですよ。
これ圧倒的に女性が働ける場が増えている。
男性は相対的に働ける場も減って、なおかつ給与水準は若年層ほど下がってきている。
で、若い男の子たちは、とても一人で一家の大黒柱をやるのは難しい。
女性に働いて欲しい。
でも女性は、残念ながら雇用機会均等法以降のバリバリ働くバリキャリとおっしゃいましたけれども、そういう働き方の女性が幸せそうに見えなかったのか。

クリスティーン さん
一回子育てとかで会社休んで、戻ろうと思ったら、戻れるのかな?という不安というか。

飯野 解説委員
一回辞めてしまうと、また正社員で働こうと思っても。
もう年齢的に、とかいうことで、やっぱりパートとかの仕事しかなくなってしまうのが今の現状なんですね。

水無田 さん
だからそれを変えないと。
配偶者控除廃止とか、いろんな女性の働き方の見直し重要なんですけど。
総合的な雇用環境を改善していかないと。
ひたすら女性の負担ばかりが増えていくという社会が訪れるんじゃないかと。

小西 さん
少子化もすごい問題になっているわけで。
子ども作るときはちゃんと作る。そういうような女性を国も手厚くしていくとか。
で、子育ても終わればすぐまた復帰できるという。
そういう制度みたいなものをもうければ。ある程度解決できると思う。

クリスティーン さん
なんか両立するのって、すごく難しそうな感じがする。

水無田 さん
一回キャリアに抜けがあると、日本の会社というか雇用環境って、終身雇用と年功賃金が前提になっていますよね。
そうするとキャリアに抜けがあると同じレベルの職に復職するの、すごい難しいんです。
だから本来だったら、正社員で勤めていた女性が出産・育児を機に辞めたとして。
試算にもよりますけど、本来だったら得られていたはずの生涯所得、1億円分損しているといわれるんですね。
ところが勤められる女性自体がそもそも少ない。
だいたい結婚を機に働き方を変える女性が半数ぐらい、結婚で。さらに子どもを産むと、その残ったうちの半数が働き方を変えるんですね、パート就労などに。
だから25%ぐらいしか残らない。
さらに子ども育てあげて、みたいなことを考えていくと、本当にいばらの道になってしまう。

飯野 解説委員
NHKが集めたデータでね。

「配偶者控除見直し、賛成か?反対か?」と聞いているんですが。
賛成の方が19%、反対の方が37%ということで。
世帯の手取りの収入も減ってしまいますし。
やっぱり内助の功。子育てとか、家事をやっていることを、これまで評価してきたところを「これどう考えるのよ?自分たち、やってきたじゃない?」という声も一方でありますね。

小西 さん
なるほど。だから、どちらともいえないというのは、ホントそうよね。
働きたいけれども...というような。

小野 アナウンサー
「配偶者控除を引き下げ、廃止するのではなくて、思いきって引き上げちゃダメなのかな?」というご意見もきているんですけど。
どうなんですか?

飯野 解説委員
これは壁があると、103万円とか130万円とかの範囲内で働こうというような人がいるんだとしたら、これ400万とか500万とかに壁を上げれば、気にせずにもっと働けるじゃないかというお考えだと思います。
ただ、実際問題。日本の財政、今とても大変なので。
もっと税金をゆるやかにして、優遇してあげましょうというほど、余裕はないのでね。
その壁をもっともっと上げるというのは、現実問題としてはやっぱり難しいのかなと。
財政、ホント大変です。

小野 アナウンサー
落合さんは、別の税金の納め方を考えたらどうか?というご意見ですね。

落合 さん
世界的にはずいぶん広まっているんですよ。
イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国などでも、ある制度なんですけれども。
家庭でやっている仕事を評価しないわけではないと。
むしろきちんと評価して、本人に利益がくるようなかたちにしていく。
夫の控除というような中途半端なことではなくてです。

小野 アナウンサー
ここで、もうひとつ中山アナウンサーのプレゼンをお聞きいただいてから、議論を続けましょう。
子育てと仕事を両立できる仕組みが整わない中、女性たちはこんなことを始めているぞ、というプレゼンです。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
自ら立ち上がって新しいことをしているという女性がいたので、ご紹介させていただきます。

まず、新たな専業主婦でキャリアをアップさせたと。
さっきアンペイド・ワークというお話がありましたけれども。
その辺りでキャリアアップなんですよ。

アメリカの方なんですけれども。
今アメリカって、実はかなり多くの方、一流企業を出た後に、どんどん専業主婦になっていっているというんですね。
その辺りが書かれている本がございました。これです。

『ハウスワイフ 2.0』と。エミリー・マッチャーさんという方が書かれているもので。
この中にいろんな方の専業主婦、キャリアアップの例があって。
リー・ドラモンドさん。

使っているのはブログでございます。
ブログで何を載せているかって?料理がお上手な方なんですね。

いろんなお料理のレシピが載っているんです。
で、これ、ただのレシピじゃないですよ。
どれも本当においしそうなんですけれども。

すべて16分で作れちゃう。

クリスティーン さん
あっ、すごーい。

中山 アナウンサー
そう。この中にはですね、ハーブとジャムのローストポークなんていうものもございまして。
これ調理すると、テンダーロインって、ずいぶん何時間もかかるようなものなんですけれども。
これがね、16分でできちゃうというもの。

多くの方がこれで大注目で今や200万人が月で見ていると。
いろんな意見が寄せられていて、注目されています。

今や書籍化が進み、今後映画化の動きなんかもあるそうですよ。
こうした専業主婦の方というのがそれぞれいろんな独自の技術を生かしてですね、ブログに投稿している。

このブログが家庭菜園ですとか、ジャムを作ったり、手作りの洗剤を作ったり、養鶏の方法なんかも書いている方もいて、非常にこれが企業の目にとまる。
いろんな人が見ますから、だって広告の収入になるんです。

これでお金がどんどん入ると。
つまり新たな専業主婦の働き。
まさに今までがんばってきた皆さんの技術が活かされて、アップというものなんですね。

小西 さん
家庭にいる分、ボーッとしてちゃダメよね。
時間があるんだから、いろんなことを考える、収益が上がるような方法を考えた一例ですよね。

中山 アナウンサー
さらにはですね。働いている方、こんな方法もございました。

子育てをしながらキャリアをアップしている方でございます。日本の例です。

横浜の1人娘さんがいらっしゃるという甲田恵子さんの取り組み。
もともとこの方、投資会社で働いておりまして。

同僚たちを見ていても、子育てをすることでキャリアが犠牲になってしまうという姿をよーく見ていたんですね。
でも、これをなんとかしたいと。
そこで、思いついたのがネットでございます。

このネットで子育てをシェアしちゃおうというふうに考えたわけです。
どうシェアするのか?皆さん、登録というものをまずしてもらうわけですが。
名前・住所・メールアドレス、ご自分の顔写真を登録してもらいます。
そして、ここポイント。子どもの学校・保育園名などの登録もおこなう。

こうしたことで今や、1年で会員数8000人となったという取り組み。どうすごいのか?
たとえば、こんな例がございました。

息子がいる働くお母さん。
学校迎えに行かないといけないけれど残業が急きょ入っちゃった。
ああ、どうしよう?息子迎えに行けない。だって仕事だもん。
仕事も大事。どうしよう、自分のキャリアも気になります。
「息子だれか迎えに行ける人いませんかー?」とメールで登録する。すると送られる。
すると同じ学校や近所の人たちに、いっせいにメールが送られるんですね。

この中で「私、手空いていますよ」という方がいた。その方が申し出る。
すると、この方、同じ学校のお母さんだったりするんですね。
だから「あっ、○○ちゃんのお母さんか。じゃあ、お願いしまーす」とお願いができちゃう。
安心してお願いができるということで、今や超人気。

つまりは"ご近所さん"というかたちで、昔は地域の方などで助け合うなんて話もあったかもしれませんが、それを現代的に置きかえてやっているというものなんです。

ちなみにお値段は頼んだ方が頼まれた方に1時間500円。
ワンコインでお願いできるというもの。甲田さんご自身も子育てして。

まさに子育てしながらキャリアアップできたというものなんです。

小野 アナウンサー
これは個人の努力としては、すばらしいと思いますけど。
一方でここまで個人がやらなきゃいけないのか?という気持ちもしてきます。
すばらしいけども、みんなができるとは思えないんですが。

クリスティーン さん
特にブログなんか、ものすごい才能がないと。
なかなかアクセス上がらないですもんねえ。あたしもブログやってますけど。

飯野 解説委員
でも専業主婦でいること自体、やっぱり夫の収入が高くないといれないことなので。
すごく才能のある方だと思うので。やっぱりこれ個人の取り組みに任せずに。普通に働けるように。
こういうネットワーク子育てというネットワークすばらしいんですけれども、やっぱり公的な保育サービスとか、そういうことも必要ですよね?
国がやっていかなくちゃいけない部分もあるだろうと思いますしね。

水無田 さん
待ったなしですから、子育てはとにかく。
待ったなしの部分にボランティアというのは、止むに止まれぬ事情や熱情から生まれてくるものなんですね。
それをやっているからといって、たとえば私も参加させていただいていますけど。
安価な行政の下請けになってしまうという問題点もあるわけですよね。
だから、行政のほうもそこに甘えずに。
というのも失礼なんですけれども。そういったものと連携して。

飯野 解説委員
あと、男性が変わってくれないと。
男性も働きバチじゃなくて。家庭責任を負って一緒にいたほうが。

クリスティーン さん
やっぱり理想としてはね。こうやってネットでサポートされるんじゃなくて。
夫とかに預けて両方共働きでというのが。

小西 さん
でも、それは働く男性もまたね、ある組織にくくられているわけだから。
そういうことを受け入れられるような環境ができないと両立できないね。

小野 アナウンサー
男性の働き方って、どうすれば変わるんですか?

落合 さん
結構ね、変わろうとする人たち多いんですよ。
若い人たちで育児休業取りたい人すごくいるのに、実際に取れている人は少ししかいない。
それから多分、こういうネットで商売したりとかいうのは男性もすごく憧れいるけれども、なかなかできていないと。
だから男性が変わろうとする気持ちはあると思うんですけれども。
ちょっと制度が付いていっていない。
ヨーロッパなんかで、80年代からすごく制度が変わったのはなぜかな?と私、調べたんですけど。
それ男性の仕事が不安定になったからなんですね。
で、女性も働かなきゃいけない。男性も非正規とかで暮らしていかなきゃいけない。
そのときに、そういう非正規が2人という働き方で、子どもが産めるような制度がヨーロッパでできたんです。
今ね、日本はホントそういう状況になったんで。
同じような環境があると思いますね。

飯野 解説委員
やっぱり企業だけにゆだねていたら、なかなか進まないので。
もう思いきって、北欧のようにパパ・クオータとかいって、男性も育児休暇を強制的に取りなさいとかね。
北欧、ヨーロッパの国のように、24時間の中で11時間は連続してちゃんと休めるように法律でしばっちゃうとか。
そこまでやらないと変わらないんじゃないですか?

水無田 さん
育児問題よりも緊急性が高いのは、介護問題だと思うんですね。
今まで落合さんがおっしゃったことと、こちらともすごく関係があるんですけれども。

今まで配偶者控除というのは、妻という立場に対して支払われるというか、控除されるだったんですけれども。
個別に部品化して、モジュール化したほうがいい、子育てとか介護とか。
なおかつ、妻の立場に限られないという。
未婚の男性がこのまま今、生涯未婚率男性がすごい上がっていて。
今、50歳時点で結婚していない人、生涯未婚とみなすんですけど、これが2割超えていますから。
そうすると、お嫁さんが介護するんじゃなくて、自分が老人の介護をみなければいけない。
そういう男性も今後増えるんですね。
男性が単身のまま老人の介護をするような社会もやってくる可能性がある。

落合 さん
あと、後ろ向きにならないということですね。発想を変えていく。
だから配偶者控除で今何万円か得をしていると。
それにしがみつくんじゃなくて。
いや、待てよ。もうちょっと先に行けるんじゃないか?新しい社会の仕組みを作って、自分も夫も変わっていけるんじゃないか?
ちょっと一歩踏み出すというのが大事なんじゃないですかね。

飯野 解説委員
やっぱり社会の制度をちゃんと整えるように。
それも「やってください」と声を上げることも重要ですし。
あと、個人でいうとね。
私、女性って今環境が整わない中では、高校生とか大学生の時代に、自分がどういう生き方をしたいのか?って、早く考えておいたほうがいいと思うんですよ。
何歳ぐらいで子どもを産もうかなぁとか、どういう家庭を持ちたいかなぁと考えておけば、就職するときに、こういう制度がある会社に勤めようとか考えるチャンスになる。

クリスティーン さん
でも今から全部決める。あたし今、大学生ですけど。
今から全部決めたくないんですよね。
だって、なんかいろいろ選択肢って人生あるじゃないですか?
いろんな働き方とか。それ決めちゃうのって。

飯野 解説委員
でも、制度を知っていて得になることってあるのでね。

落合 さん
生き方を選べるためには、そのときは同一労働、同一賃金とかね。
柔軟に変えられる仕組みを作るのも大事だと思いますよね。

水無田 さん
多様な働き方と、それから暮らし方ですね。
それを認められなきゃいけない。

小野 アナウンサー
ありがとうございました。

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