2014年05月03日放送放送内容まるわかり!

休めない?休まない? 大型連休に考える“日本人と休暇”

有給休暇は労働者の権利。 休む理由がどんなものでも堂々と休んでよいはずなのに、職場の目が気になってしまうことはないですか? 日本人は休暇を楽しむのが苦手なよう。 ある旅行会社の調査では、去年1年間の有給休暇消化率は世界の中でも最低レベルでした。 休む権利があるのに、なぜ私たちは休むことに遠慮がちになってしまうのか? もっとゆったりと休暇を楽しめるようになるためには何が必要なのか? とことん深読みしました。

今週の出演者

専門家

野田 進さん(九州大学 教授)
上田 紀行さん(東京工業大学 教授)
渥美 由喜さん(東レ経営研究所 研究部長)
今井 純子(NHK解説委員)

 

ゲスト

デーブ・スペクターさん(放送プロデューサー)
山田まりや さん(タレント)


小野 アナウンサー

国は8年前からこんな目標をかかげているって、皆さんご存知でしたか?
「連続2週間程度の休暇をとろう!」

山田 さん
知らないですよ。

小野 アナウンサー

実際に連続2週間程度の休暇を取れた人2.2%です。

デーブ さん
お金持ちしか休めないから、富裕休みという。

小野 アナウンサー
冬休みですね・・。どうやら休暇を考えることは、日本を考えることにつながるらしいんです。
中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。

中山 アナウンサー
実は国は、日本人をもっともっと休んでもらいたいと、あの手この手をこれまで打ってきたんですね。
ときは1980年代後半。バブルの好景気にわいていた頃です。
この頃、会社ではこんな問題がありました。

過労死。働き過ぎて亡くなる方。社会問題になり始めていたんです。
つまり多くの方々が一生懸命、モーレツに働いていらっしゃった。
だから国も、もっと休んだほうがいいんじゃないか?というふうに考えるようになっていったんです。
では、一方でこの頃。バカンス大国、フランスはどうだったか?

休日の量、日本と比べてもいっぱいありますが、こうです。

バカンスですよ。というのも1年に1度、2週間から4週間連続で休ませることが会社に法律で義務付けられているんです。

だからビーチでカクテル片手にのんぶりと過ごせるというわけです。
こういった休みと祝日と土日の休みなどを足すと、フランスでは休みの数、こうです。

143日。
日本は少ないですけれども。こうした国を見習おうということで、日本も休日の数を増やそうとしていったんです。
この頃、まだ日本は100日切っていたぐらいだったそうなんですね。

まずは土曜日も休めるように法律を改正。
週休2日を普及しました。さらに祝日です。

1989年、自然の恩恵に感謝しようと『みどりの日』。

そして1996年には、海の恩恵に感謝しようという、『海の日』がつくられました。
さらに、そして国はこれも充実させたんです。

有給休暇ですね。会社で働く人がもらえるお休みなわけなんですが、文字どおり有給。
休んでも基本給がもらえるという。働く人にとっては非常にありがたい制度です。

小野 アナウンサー
何日ぐらい?

中山 アナウンサー
有給をもらえる休日の日数というのは、働いた期間によって変わってくるんですが。
例えば、半年間働いた方。それまでは6日だったのが、10日もらえるようになったんですね。
6年半働くと20日もらえるというものだったんです。

その有給は、どんな理由でも取ることができる。
で、いつでも好きなときに休みたいと言えるものなんです。
会社側がこの時期忙しいからといって、ちょっと来月に休み変えてもらえる?というようなことは言えるんですけど、原則的にはいつでもOK。
半年以上働いていれば、非正規。パート、正社員関係なく取ることができるというもの。

日本はこれも充実させたことで、休日の数が...137日にまで増えたんです。
フランスに近い。あと6日。

だったら日本もこれでバカンス大国だ。働き過ぎも改善されるだろう。

さあ、皆さん。これでどうぞ休んでいただきましょう。

休んでくださーい。休んでー。休んでよ。
でも、休まないんです。会社から離れられない。
どうしてか?実態はこういうことだったんです。

この有給休暇が取られていない。
こんなデータ見つけました。

これ、有休取得の率。各国の割合を比べたものなんです。
日本、他の国に比べても少なくて半分以下。
バカンス王国のフランスを見てみれば、ほぼ100%有給休暇が取れているというものなんですね。
でも日本は、なにかが引っぱる。これ、なんだと思いますかね?

デーブ さん
罪悪感とか。責任感。

中山 アナウンサー
その辺りの調査結果がありました。ご覧いただきましょう。

まずは、責任感ということで。「周りの目が気になる」。
みんなが休んでいないのに自分だけ有休もらうなんていうことできませんよね、という方いらっしゃる。

他にも「自分がやらないと」。これ責任感持って働いている。
自分の仕事を自分でやらないといけないし。
先ほどね、他の人に仕事取っちゃうかもしれない、というようなこともあって。

さらには、こんな理由。「いざという時のため」。病気にいつなるか分からないし。
不幸が突然あるかもしれない。だったら有休残しておかないといけないよね、ということになっていった。
だから、休んでくださいと言っても休まない。ということなんですね。
でも、こうして休んでいなくて。

それもあって過労死の問題は解決していません、最近ではあらたな問題も増えてきています。
そんな中、先週国会で、こんな法案が話し合われました。

8月11日『山の日』。祝日を1日増やしてみませんか?というんですけどね。

デーブ さん
切りがないですよ。そのうち『ハムスターの日』とか。
なんでもいいじゃないですか。
でも、こういう連休と祭日と正月とあまりにも多いから。気が済んでいる人も多いと思うんですよ。ほどよく休めるという。

小野 アナウンサー
だから、長期休暇を取らなきゃいけないのか?別にもうこれでいいじゃないか、というご意見ですね。

山田 さん
お金も掛かりますしね。
今、日本がこれだけ不景気だと言われている中、そんなにお金使って休んで。
じゃあ、満たされるのか?といったら、そんな保証はないですよね。

デーブ さん
あと、1週間プールとか、外国人たちはそれが好きだけど。
日本人だとイライラしたり、もったいないと思って、いろんなことしたくなるんですよね。

山田 さん
ぎっしりスケジュールつめ込みますからね。

デーブ さん
あんまり向いていないんですよ。なにもしないバケーションというのは。

小野 アナウンサー
長期休暇に向いていない日本人。
もう休まなくていいんじゃないか?という話がまず出てきましたが、どうでしょうか?専門家の方々はですね。
まず、文化人類学者として日本人のメンタリティーを読み解いていらっしゃる上田さんは?

上田 さん
日本人はどちらが合っているか?という話があって。
まず会社にいないと不安という方がたくさんいるわけですよ。
休んじゃって。帰って来たら本当に自分の席がないんじゃないか?
あと「俺この頃、睡眠時間3時間なんだよ」とかね。
「全然休みの日がなくてさー」と言っている人をよく見ると、結構生き生きとしながら喜びながら言っている人が多いわけね。
つまり会社から俺はそんなに必要とされているんだと。
だけどね。本当にもう休めなくて苦しいだと。
もう一歩行っちゃったらメンタルが壊れちゃうと言っている人もいるわけですよ、同時に。
そこの差は、ものすごいギリギリのところで。
「俺はこんなに必要とされているから、もう休むことない。がんばっているぞ」と言う人が、ある日、突然。やっぱり物すごい疲れちゃって。うつになって、来れなくなる。
だから、いい方向だけ見ていると、働いているのが楽しみじゃないか。
これ全然日本人は、そんな苦しんでいないんだと見える人もいるし。
だから、苦しまないで、どんどんやっている人だけが、いい。そのやり方が標準なんだというふうに言っちゃったとたんに、今度は休めない人を物すごく抑圧することになるでしょう?

デーブ さん
上司がまず行かないんですよね。
上司はだいたい社長とか、普段から結構いい思いしているから、行かなくていいと思っているかもしれないけど。
その上が行かないから下の人たちも行く気にならないんですよ。

小野 アナウンサー
4000社もの会社の働き方について調査なさっている渥美さん。

渥美 さん
はい。そもそも日本の職場って、過度な顧客第一主義で。
まあ、お客様を大切にするんだったら休暇を取る社員なんか評価しないという。
そういう評価の仕組みがまだ根強いです。
また、そもそも休暇を取らないことを前提に要員体制を組まれていますから。
だから例えば、毎週誰かが職場にいないという状況があると。
じゃあ、1人いなくても職場が回るんだったら、1人減らして。
というふうに人件費カットしてしまいますね。

視聴者の声

「連休中も同僚は休まず出勤。自分だけ大型連休にしたら白い目で見られるのではと心配で、休みを申請しづらい」

「家族で長期の旅行に出かける計画をしたが、3日以上の休みは同僚に気兼ねしてやめざるを得なかった」

今井 解説委員
やっぱり特にこのところ、休みたくても休めない社会的な状況というのもあったと思うんですね。
というのもデフレが続いていて。そのときには長時間、人を安い給料で働かせていて。
いかに安いもの、安いサービスを提供するか、というビジネススタイルが持てはやされて。
その究極がいわゆるブラック企業ですよね。
だけれども、そういう働き方が嫌だったら、もう辞めてくださいと。
他にいくらでも代わりはいますよと。そういう時代がずっと続いてきた。
だけど今、大きな転換点を迎えつつあるんじゃないかなと思うんですね。
というのも、この1年ぐらい、やっぱり景気回復。
それから団塊世代の大量退職で、人が足りなくなってきている。
深刻な今、人手不足になりつつある。
要するに今度は、人が働く会社を選べる時代に今なりつつある。
そうなってくると、やっぱり給料だけじゃなくて、いかに働きやすいか。いかに休みやすいか。
そこを会社としてもアピールしていかないと、優秀な人材が集まらない。
そういう時代に今入りつつある、大きなチャンス。

小野 アナウンサー
休暇を研究していらっしゃる野田さんは?

野田 さん
どこの国でも休み取らないで働きたいという人は必ずいるんですよね。
いることは、いて。そういう人たちに引きずられていくと、本当に休みが切実に必要な人が取れなくなるというのは先ほどのお話ですよね。
ですから、国の制度でも、あるいは会社の制度でも、なにかそういうことを保証するような制度的な裏付けがないと。
一人で「私、休み取ります」と言っても取れないですよね。

日本の労働基準法というのがあります。1947年にできた法律なんですけれども。
特色なんですけれども。「継続し、又は分割した10日間の」。
10日というか、ほぼ2週間なんですけれども。
「又は分割した」というのが、みそなんですね。
これ、他の国にはそういうものがないんです。

小野 アナウンサー
日本の労働基準法は、分割してもいいことになっている?

野田 さん

国際的な約束であるILOというのがあるんですけれども。
この枠組みの中でも。もともとは1936年にできたんですけれども。
あくまでも「休暇は原則として継続したものでなければダメなんだ」と。
そしてこの段階では、3週間の休暇を認めなさいというのが、国家間の約束なんですけれども。
そのうち「連続2週間は必ず継続して与えなさい」というのが国の約束になっています。

ですから日本は、そういうことができていませんので、まだ未批准という。 そういう状況なんですね。
こういう日本の特色がひとつの大きな制度的な要因であるということはあると思いますですね。

デーブ さん
企業側が長い休暇の付加価値が分からないんじゃないですか?
つまりモチベーションがよくなる。ストレス解消される。充電するとか。やる気満々で帰ってくる。
そういう発想ないですかね?やっぱり上が行かないからなんですよね。

上田 さん
いや、だから本当にね。今、出世している人たちがどういう人たちなのか?企業の中で。
例えば、ものすごく効率的に仕事をやって、バンと2週間有給休暇を取るような人が出世するのかどうか?というとね。
日本の企業は、そこの場に居続けて、いつでもアイツ深夜1時までいるなと。
それで飲み会にも一緒に出て来て。部長に横で「部長なんとかですね」って言いながらビールをついでいると。
だから常に一緒にいるという人がやっぱり出世していくんですよね。
で、なにかその人が自分の視界から消えると、アイツ一体なにやっているんだ?と。
裏で何かはかりごとをしているんじゃないか?とか。
つまりね。見えていることが重要なの、場の中に。
その人が仕事をしていようが、していまいが、あんまり関係なくて。
ここにいつも居て、こいつは裏切らないぞ、というタイプの人が出世をしていくので。
その人はやっぱり出世するためなら、会社から帰るな、休みを取るな。
だから、ここら辺で企業のイメージを変えていかないといけないと思うんですね。
ブラック企業ではなくても我々の意識全体がもうそれをブラックにしてしまっているので。なおかつ経済状況が悪かった。
ということで、ますます取れない。取る人間は裏切り者だと。
あと会社の効率性を下げて利益を下げる人間だということが。
先生がおっしゃったような、我々の権利として持っているのにその権利が行使できないということになっている。

デーブ さん
だから、サラリーマンのあり方そのものを改革しなければならないんで。
最近、企業が夜7時に強制的に帰らせる企業もあるんですよ。
ムダに上司がまだ残っているからいるというお芝居みたいなのはムダだし。
早く帰ったほうがいいんですよ。

野田 さん
フランスでは、バカンスの出発率とバカンスの長さというのが統計にあるんですけれども。
企業の中で地位が高ければ高いほど、よく出かけるし。
かつ、その期間も長いというのがはっきり出ているんですね。
休暇を取るということがひとつのステータス・シンボルになっている。

小野 アナウンサー
このような状況を変えようと立ち上がった社長さんたちをこれからご紹介します。
中山アナウンサーです。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
有給休暇って、労働者の権利なのに取られていない。
その意識にはこんなものがありましたね。周りの目が気になるとか、自分がやらないと。
この意識を変えた取り組み。企業があったのでご紹介いたします。

ナイスアイデアで堂々と休める会社に。
ということで、まず、こちら。

東京のITベンチャー企業の会長。

土屋さんが取り組んだのは、「言い出しにくい雰囲気を変えよう」というものです。
この企業、インターネットショップの会社などに対して、商品が売れやすくなるホームページのデザインを提案するようなお仕事をしているんです。
創業した10年前、仕事を軌道に乗せようとみんな一生懸命バリバリ働いていました。
有給休暇取りたい、なんて言い出しにくい雰囲気。

実際に取った方、ほとんどいなかったんです。
中には、ある女性こんなふうに思っていたそうなんですね。

そんな中、私両親が亡くなっていて。今度、妹の卒業式に出てあげたいと思っているんだけど。
みんな会社こんなに忙しく働いているのに、家族のことで休むなんて、みんなに理解してもらえるのかしら?というようなことを思っていらっしゃった。
それをですね、この会長さん。耳に入ったんです、その情報が。
それ聞いた土屋さん、ちょっと考えました。ならば、みんなに理解してもらえるきっかけを作ったらどうだろう?
そのきっかけに狙いを定めたのは、ここ。

プレゼンです。これ、会社で仕事でプレゼンする機会が皆さん多い。
皆さん、それにも慣れている。
だったら、そのプレゼンで休みたいという思いをみんなに伝えてもらえばいいかな?というふうに思ったんです。

さっそく、こちらの女性。プレゼンにいどみます。
会議の場で休みたい理由をみんなに伝えました。

すると皆さん聞いてみたら「ぜひ休んで」「行ってきなよ」。
大きな拍手が起きてですね。この女性特別な休暇をもらい、休めることになったんです。
で、この女性。妹さんがびっくりするぐらい驚いたということで。
『サプライズ休暇』という名前がこの休暇に付けられています。
これがきっかけとなりまして。社内ではこんな思いが広まっていった。

私も休もうかな...。すると続々プレゼンにのぞむ人が出てきた。

例えばこんな方も。
「えー、僕。彼女の誕生日に彼女の大好きなひまわり畑に連れて行ってあげたい。だから休みが欲しいんです」というようなことを言ったら、同僚の方。「あっ、それ素敵じゃん。いいね。がんばれよ。行ってこ~い。休みいいんじゃない」というふうになっていった。
気軽にまず言い出しやすい雰囲気を作ってあげた、ということで。
どんどん皆さん、自然に「有休ください」と言える雰囲気ができちゃったそうなんですね。

で、今やもうこの取得率が60%までに上がった。

小野 アナウンサー
でも休みたいがために、これやらないといけないんですか?

山田 さん
ちょっとプレッシャーですよね。

中山 アナウンサー
じつは、今もうほとんど使われていないんです。

小野 アナウンサー
もう使われていない?

中山 アナウンサー
皆さん、プレゼン得意な方だったから気軽にやって。
仕事の延長線上として、できたんですね。
もう、だから言い出しやすい雰囲気に変わったということなんですよ。
職場の風土に関連して、もうひとつこちらご紹介します。

静岡県の仏壇仏具の販売会社。社長の浅野さん。
「互いの仕事を覚え合おう」ということで取り組みを進めました。
この会社、悩みがあったんです。

従業員30人ほどなんですが、年に実に5~6人が辞めていた。理由にあげていたのが「だってこの会社にいると有給休暇取れないんだもん」。

実際、取得率が20%ほどだったそうなんです。
その原因を考えてみたんです、社長。そうすると、これか。

仕事の専門性だなと思ったんです。
ひとつの店舗に4つの役割があった。それぞれ専門的。

例えば販売。
これ、仏具の販売。売るというお仕事ですけど。
実際、仏具って宗派ごとによって、いろいろあるそうなんですね。
その宗派ごとにそれぞれの特徴を覚えないといけない。
それをアピールして売らないといけない。なかなか難しい、専門的。
そしてこちらを見ても。設計もそうなんですね。
パソコンで仏具、墓石のデザインをするわけなんですけれども。
お客さんのニーズに合わせて、ひとつひとつ細かくていねいにニーズを聞き取って、つくりあげないといけない。専門性が必要。
だから、それぞれに大きな垣根があった。
従業員の方々も「あー、自分が抜けたら会社に迷惑かかるなぁ」と休みがなかなかもらえなかったという。
そこで、この社長。考えました。

この垣根、取っ払っちゃえー。
みんなで仕事フォローし合えば、休みも取りやすくなるんじゃないか?ということで。

社員の皆さん、猛勉強です。
いろんなお仕事ありますけれども、それぞれのマニュアルをしっかりと読み込む。
100ページ近くあったそうです。そして休み時間にはそれぞれの仕事を教え合う。
これね、一見大変そうですが。実は皆さん、新たな分野を知ることができるということで、楽しかったそうなんですね。
わずか1ヶ月で、それぞれの専門をしっかりと全部覚えることができたそうなんです。
となると、こうですよね。

販売の方が「ちょっと休みをいただきますね。有休もらいます」そうすると、設計の方が販売のカバーができる。

この設計の方がまたお休みになっても、こちらからカバーができる。

ということで、辞める方がいなくなり。
効率アップ、業績アップ。

この有給休暇取得率が97%まで上がったというんです。

渥美 さん
大抵の日本の職場というのは、そもそも仕事という聖域にプライベートを持ち込むなという職場風土って強いんですけど。
最初のIT企業みたいに、あえて自分たちのプライベートライフを見える化して、知ってもらうことによって、それぞれの人生ありますから、お互いさまの意識を持とうという。
『ライフの見える化』と言っているんですけれども。
あと、もうひとつは、『ワークの見える化』。
そもそも仕事はタコツボ化しちゃっていると、抜けたら周りはフォローできなくて困るという状況ですけれども。
あえてそういう職場で、みんなで一人三役のような、となりの人の仕事もできるようにすることによって、助け合う。
これは単に、休みやすくするだけじゃなくて業務の効率化。
そもそも人の目が入ると、もっとこういうふうにしたらいいんじゃないか?あるいは他の人の仕事をやると、仕事のパスの仕方が分かる。
全体の業務が効率化してすごく業績が上がっています。

今井 解説委員
やっぱり経営者のマインドを変えるということが、決定的に重要ですよね。
これまでの大量生産の時代は、みんながいっせいに長時間働いて、またいっせいに休んでという働き方が合っていたと思うですけど。
これからはやっぱり、いかに付加価値をつけて物やサービスを売っていくか。いかにユニークな物。ユニークなデザインの物。ユニークな使い方の物を作っていくかということで。
そのためにはやっぱり、休みやすい環境を整えて、社員に異文化体験をしてもらったり、いろんな人脈を地域で作ってもらったりすることで、それをまた会社に持ち帰って働いてもらう。
企業にバックしてくる。これからの働き方だと思います。

渥美 さん
中小企業は、やり難いという声があった。
実はこれ2社とも中小企業で。
中小企業って、人口減少社会だと人を確保するのが大変ですから。
辞められるくらいだったら、休める、働きやすい職場を作って、それで社員にアピールする。
そういうところが増えていますね。

野田 さん

有給休暇というのが日本の場合には基本になっているんですね。ここにありますように。
有給休暇というのは、非常に便利で。いつでも取れると。
原則として、いつでも取れるということになっていますので。
そうすると、いろんなものに便利に使うんですね。

小野 アナウンサー
日本のほうは、有給休暇の中に、病気、ボランティア、冠婚葬祭、レジャーなどの目的に使いますという意味ですよね。
でもフランスのほうは有給休暇以外に、こっちは無給ということですか?

野田 さん
病気は一部、有給ですけれども。他のものは無給ですね。

小野 アナウンサー
こういうものが他に設定されているから、有給休暇を病気になったときのためにキープしておかなくていい制度になっているということですか?

野田 さん
そういうことですね。

今井 解説委員
国にとってもいいことなんですよね。たくさんみんなが休むと、経済が回っていかないんじゃないかと心配する声もあるんですけど。

実は日本人全員が有給休暇を完全に使うと、16兆円近い経済効果が生まれる試算もあるんです。
財政出動をともなわない景気活性化の手段ですよね。

野田 さん
経営者のマインドを変えることも確かに重要ですけれども。
どこのセクションがすごく忙しいとかですね。
この人は本当に休みが取れないで、ずーっといるよ。というようなのは従業員同士で分かるんですよ、かなり。
自分たちが一番よく分かっているので。そこでやっぱりみんなで話し合って。どういう人がこの部分で足りないので、少し回したらどうか?とかですね。
いろんなかたちで提案するような。従業員同士の話し合いとか、あるいは組織を作るような、そういう取り組みも。
待っているばかりじゃなくて多少やるのも重要だと思いますね。

上田 さん
あと、抜けがけを許すことなんですね。
幸せって、なんなのか?休暇も取れずにギリギリ働いて。
それが幸せなのか?日本人はね、一緒に苦労することというのが物すごく得意なんですよ。
一緒に苦しむこと。だから震災が起こっても、みんな本当にエゴイストにならずに。「あの人も困っているんだから」と言って忍耐することはできるのね。
でも個別に楽しむことを許すのがすごい下手なんです。
だから一緒に苦しむのは、物すごく得意だから。戦後もあれだけ空襲があって、なんにも無くなったけれども、一緒に苦しんでここまで来た。
だけどマインドを変えて。じゃあ、今それをやり続けることが本当に幸せになっているの?ということを考えないと。
それをやり続けちゃいますよね。会社はみんな「苦しい、苦しい。
こんなにしか寝られない」という会話が交わされている会社と、「彼女と花畑に行きたい」と、そういうことの会話がおこなわれている会社と、どっちがいいかという話ですよね。

今井 解説委員
でも、これからはそういう会社に人が集まらなくなるわけですよね?
優秀な人が取れなくなって、逆に会社が困っていく。

小野 アナウンサー
実際そちらにかじを切る、思いきってそこに踏み出すということが、かなりハードルが高いんだと思いますが。
どうすればそのハードルを越えられますか?

渥美 さん
今まで4000社調査してきて。基本的に不祥事がひん発している会社って、きわめて休暇取得率低いです。
これ二つ理由があって。
そもそも業務をかかえ込んでいると。まあ、不祥事の温床ですね。
業務をオープンにして共有する、カバーすることによって、みんなでチェックし合えるということもありますし。
またもうひとつは、これだけソーシャルメディアが発達してしまうと、社員一人がなにか悪さをしてしまうと、会社全体の信頼性がそこなわれる。
だからそもそも休暇というのは、単に仕事をしない期間ではなくて。
人生の質を高めて、充実した思いで仕事をする。集中力が高まる、人間力が高まる期間なんで。
そこを投資すると考え方が重要だと思います。

視聴者の声

「フランスのようにバカンスが習慣になれば、人生をもっとエンジョイできて幸福感が増すのではないか」。

野田 さん
フランスは戦後ですね、ルノー公団という。
当時はルノーは公団だったんですけれども。

小野 アナウンサー
車の?

野田 さん
はい、ルノーの車。そこが協約を結んで。2週間、3週間。
それに追い付いて、法律がどんどんどんどん休暇日数を増やしていったんです。
非常に普及していってですね。そのあと法律が追い付いていった。
だから基本的には、やはり労使がイニシアチブを取って休暇制度を作り上げたというように言っていいと思いますね。
2週間から4週間の範囲内で、夏の期間に与えなければならないという。
最低の連続期間が2週間であるということですね。
上限が4週間。まず夏、与えて。
もちろん、あまれば冬。冬季に行くこともできます。

小野 アナウンサー
でも同じときにみんなが休んだら、混みますよね?

野田 さん
それはフランスでも大問題で。
もう夏になると、高速道路がザーッと混んでということはありますけどね。
で、パリの町は空っぽになってしまうという状況が生まれてきますよね。
それは問題なんですけれども。そういうものと戦いながら。
しかし、それでも休暇はやりたいという。

上田 さん
あと、格差を縮小していかないと。やっぱり厳しい職場で取れませんよ。
だからそこをしっかりと、ちゃんと小さい企業とかを応援していくということもふくめた意味で。
みんなが幸せになっていくということを考えていかないと。
勝ち組だけがいい休暇取れるというのは、まずいんじゃないですか。

野田 さん

もうひとつ。世界にあまり例のない労働基準法の「又は分割した」というのを取っていただきたい。
取れば2週間の。つまり10日間というのは、2週間のことですからね。
それで連続した休暇というのが与えられて。
それで国際的なスタンダードにやっと合うことになる。
誰でも、非正規の方でも、みんな同じように取れるという。
これを取りのぞけば。それだけで大分変わってくるという。

山田 さん
2週間連続って、大きいですよね。
この間、初めて。20年間芸能界にいて、10日間初めて連続で休んだんですよ。初めてだったんです。
だけどそれは、息子。1歳4ヶ月になる息子と、だんなさんと、すごくね、家族の絆が深まって。
帰って来てから、すごくケンカとかもしなくなったし。
お互いが個々のことをすごく尊重し合えるようになったりとか。
いい結果が出ているんですよ。

上田 さん
会社しか人生がない。他に居場所がない。
その人が会社からリストラされたりとか。今度は退職する。もう居場所がなくなっちゃうのね。
だから、いるときから2週間くらい取っておいて、自分の居場所をもうひとつ作っておくみたいな。

視聴者の声

「2週間も3週間も休んでもやることがない。別荘があるわけでもないし、時間をつぶせない」

上田 さん
3年ぐらいやったら、いい休暇の使い方が分かるんじゃないですか。1年目は分からないです。

小野 アナウンサー
家族サービスでへとへとに疲れて戻って来ちゃう、という心配もないですか?

野田 さん
でも、フランスの長期休暇というのは、まったくと言っていいくらいお金使わないんです。
もう自分の車でどっか行って、オートキャンプ場へ行って、1週間2週間をぼんやり過ごして帰ってくるという。
自転車を運んで、そこら辺で自転車に乗るという。

今井 解説委員
自転車文化というのは、長期休暇を取るようになってから育ったということですよね。

野田 さん
そうです、そうです。1936年に休暇制度ができたときに、自転車の大ブームが起こったんですね。
それで今もツール・ド・フランスとかありますよね。

渥美 さん
日本は休暇に今までできなかったことをつめ込みますけど。
海外って放電する期間ですよ。放電する期間があって、改めて充電できるから。
やっぱりそういう時間を大切にしていただきたいです。

山田 さん
それを上手くしないといけないですよね。サイクルを。

小野 アナウンサー
きょうはありがとうございました。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る