2014年05月31日放送放送内容まるわかり!

ニッポン経済 期待の星!?“ヤンキー消費”って何だ?

増税から2か月。消費回復が課題となる中、企業が注目するのが「ヤンキー」層といわれる若者たち。でも「ヤンキー」といっても、その実像は"暴走族"や"不良"といった従来のイメージとは大きく異なるよう。新たな「ヤンキー」層は、外見よりも、育った地元を愛し、仲間との絆を大事にし、地元で買い物や娯楽をすますなど、地域密着型の"気質"や"行動"が大きな特徴とされています。「ヤンキー消費」を読み解き、日本の消費を活性化するヒントを探ります。

今週の出演者

専門家

原田 曜平さん(博報堂ブランドデザイン若者研究所)
速水 健朗さん(編集者・ライター)
関口 博之(NHK解説委員)

 

ゲスト

桂 文珍さん(落語家)
鈴木 紗理奈さん(タレント)


小野 アナウンサー
そもそも"マイルドヤンキー"とは一体どういう人たちで、その人たちがなぜ日本経済のカギをにぎると言われているのか? 中山アナウンサーのプレゼンです。

中山 アナウンサー
待たせたな。これぞ、ヤンキー。

小野 アナウンサー
似合いますね。

中山 アナウンサー
似合いますか?

文珍 さん
中途半端に似合うね。

中山 アナウンサー
きょうご紹介するのは、ヤンキーはヤンキーでも、これじゃありません。いわゆる悪さはしませんし、暴走行為もいたしません。こういう人たち。

マイルドなヤンキー。

文珍 さん
意味分からん。

中山 アナウンサー
マイルドヤンキーということで。
きょうゲストの原田さんがいうには、このマイルドヤンキーがこれからの消費の主役になると。
そのマイルドヤンキーがですよ。どんな方々なのか?
きょうは原田さんの調査とNHKの取材をもとにご紹介していきます。

こちらにいらっしゃるのは、東京郊外に住んでいるマイルドヤンキー、深 読哉くん23歳です。
高校を卒業した後、地元の建設会社で働いていて月収は20万円ほど。
地元の祭りには必ず参加するような若者なんですね。
こうした読哉くんのような方がとても大切にしていることがあるんですけれども。
どうでしょう?何だと思います?

文珍 さん
友だちかな?

鈴木 さん
うん、地元。

中山 アナウンサー
まさにそうしたところです。

絆。人とのつながり。昔のヤンキーもこの絆、とても大事にしていたわけです。
読哉くんも悪さはしませんけれども、この絆をとても大事にしている。
つまり実は、読哉くんのような方が大事にしている絆が消費に結びついていくというわけなんです。
一体どういったことなのか?まず、この絆です。

家族。読哉くん、一人暮らしではありません。実家暮らし。お父さんとお母さんと一緒です。
お父さんとお母さんと一緒にいると非常に楽しいんですね。洗濯してもらえるし、食事も作ってもらえる。
一人暮らしで掛かるアパート代はかかりません。もうけたお金、稼いだお金は、すべて自分で使っているということなんです。
他にも絆があります。紗理奈さんがおっしゃっていました、仲間との絆です。

中学校時代からの仲間たち。
別々の高校に行っても、別々の職場で働いても、ずっと仲間関係を続けているんです。
こうしたみなさんと一緒に休日を過ごすというわけで。
まさに毎週のように一緒に遊びに行っているわけなんですね。
何で移動するのか?電車やバスではございません。

これです、車です。これ、スポーツカーじゃありませんね。
ワゴンタイプを買いました。重視したのは走りの性能ではなくて、居住性。

というのも、広い室内で仲間たちにゆったりと楽しく過ごしてもらいたいという思いがあるからなんです。
一緒になっていざ出発。流れる曲は、EXILE(エグザイル)。 絆を大事にしているスタイルのグループ。
仲間の息がピッタリ合って、盛り上がっていくわけです。で、着いた場所は。

近くのショッピングセンター。近所です。

で、何をするのかというと、フードコートで食事をして、一緒にずーっとお話していたり、映画館で一緒に映画を観たり、ゲームセンターで一緒に遊んだりということで。
ここで一日を過ごしていくわけでございます。
都会には出て行かないんですよ。もうここで事足りる。

娯楽施設ですとか、働く場所ですとか、住んでいる場所とか、みんな家の近くの5キロ四方の範囲内で十分満足できるということなんです。

で、こういった方々がみなさんご結婚されて、お子さんができる。
そうすると、この後も仲間と家族同士のつながりをずーっと続けて、地元でお金を使っていってくれるということなんです。

絆、先ほどお話ありましたが、地元の絆、仲間の絆、家族との絆。
それが消費につながっていた。

でも最近の若者って、このようにも言われていましたね。『消費しない若者』
実際に車を持たない、お酒飲まない、高級ブランドにも興味がない、ということでしたが。
原田さんの調査によると、マイルドヤンキー、この読哉さんたちのような方に関してはちがう。

車が欲しいし、お酒もよく飲むし、高級ブランドだって欲しい。

つまりは『消費したい』らしいんです。
こうした消費意欲の高いマイルドヤンキーのみなさんに向けて、すでに企業の中では動いているところがございます。

例えば、ここ。大手自動車メーカーのホンダです。
となりの家族だったり、仲間だったり、みなさんが乗れる広い空間を持った車をどんどん今、開発していっているわけなんですね。
さらに特別バージョンも用意しました。

やんちゃな若者を意識したような車なんですね。
ボディカラーを見ると、深めの紫色。そしてフロントグリルを見てみれば、存在感のある、輝くこんなパーツも付いている。

鈴木 さん
渋いです。

文珍 さん
渋いと思うか、恥ずかしいと思うか、ギリギリだなぁ。

中山 アナウンサー
ノーマルな仕様に比べますと、20万円近く高いのですが。
これが売れに売れているんだそうですね。

鈴木 さん
どうせ乗るなら、とがっているほうがいいですね。

文珍 さん
きょうは、ピッタリのゲストやね、アンタ(笑)。

鈴木 さん
マイルドヤンキー代表で来ました。

中山 アナウンサー
さらに、こちら。生活雑貨を取り扱う『ドン.キホーテ』
八王子店では、地元愛に目を付けて商品を開発したんです。これです。

「I❤(LOVE)八王子」Tシャツ。
若者を狙ったこうした地元のTシャツというのが、月に150枚以上売れている。

鈴木 さん
すごい。

中山 アナウンサー
他にもタオルもあります。
八王子ライターですとか、八王子カップラーメンという物もあると。

こうしたご当地グッズを取り扱いはじめて、3年前に比べると、売り上げが40%近くアップした。
今や埼玉県の川越店や千葉の店などでもご当地のこうしたグッズの販売、広がっている。

小野 アナウンサー
マイルドヤンキーの消費って、本当にそんなにすごいんですか?

原田 さん

今、自治体がゆるキャラ作ったりとか、B級グルメ作ったり、いろんなことをやっているじゃないですか。
木更津の例ですが、ヤンキーでまちおこし、というので、『C‐Style』これ千葉スタイルらしいんですけど。
リーダーの子が千葉舞凛(まりん)ちゃんというらしいですけど。この子たち自体はヤンキーじゃないんですけど。
そういうので、まちおこしをという例があったりとか。
昔あった、80年代の漫画ですけど『ホットロード』とかいうのがね、映画化されたり。注目はすごく浴びている。
私もいろんな企業からですね。ヤンキーというかマイルドヤンキーを狙った商品開発というのが、物すごく来ていますね。

小野 アナウンサー
どういう商品が好まれるんですか?

原田 さん
消費欲おう盛なんで。車ももちろんありますし、タバコだってあるし、コーヒーだってあるし。
なんでもオールジャンルありますけどね。
今の若い人たち全体的に悟り世代といわれて。若いのにちょっと悟ったような言動をとる、というのがたぶん多くの人の印象だと思うですね。
その若者のタイプをいろいろ分けてみると、消費欲がおう盛な人がいるんじゃないか?というので分類してみたところ、このマイルドヤンキーという人は、かなり消費欲がおう盛なので。
若者全体には買ってもらえないけれど、この人たちを狙おうということ。
量的な調査ってすごく難しいので。大ざっぱなイメージとしてとらえていただければいいんですけど。
マイルドヤンキーの特徴として、わりと地元にこもっているので。
社交的か内向的かというと、ちょっと内向的な傾向があると。
あんまりITを得意としていないというか。スマホが結構難しいという意見が多い人が多いんですよね。
内向的か社交的か、ITスキルが低いか高いかで分けると、全部がこの層がマイルドヤンキーではないんですけれど、全体でいうと36%ぐらいいると。
正確な数字ではないんですけれども。大体のイメージとしてとられていただければいいですけど。

関口 解説委員
企業からの視点でいうと、やっぱり大きな意味があるのは。
子どもさんいるでしょう?結婚早いんですよ、わりと。
だから子どもさん持つのも早いから、2人目、3人目ってお持ちになったりするでしょう?だから家族が人数が多い。
そうすると先ほど、どういう商品?と言ったけれども。
まず食料品。たくさん食べる。家族が多いから、子どもたちも多いから。
それから、お父さんわりと早く帰って夕食を食べたりするから。食材も使うし、調味料なんかも使う。
だから、高い物に特別にお金使うというよりも、本当に日常的な生活必需品をコンスタントに買ってくれる、安定したお客さん。
そういう意味では企業にとっては大事な存在。

速水 さん
意外に数が多いと思うんですよね。今まさに家族という話をしましたけど。

これね、マイルドヤンキーが好んでいるというか、支持されているグループ。湘南乃風。
これすごい支持されていて。
ちょっと歌詞を読んでみると「大親友の彼女の連れ」まずこの時点で、地元とかいわゆる仲間とか、そういう彼女というのがすごい身近にいる。
昔の歌謡曲とか、J-POPだったら、都会に上京して故郷をかえりみたり。『東京だョ、おっ母さん』みたいな感じとかありましたけど。
そうではなく、最初から地元に残っているような歌詞。
で、非常に保守主義というか、共同体主義といってもいいんですけど。地元に根付いた生活。 歌詞で「おいしいパスタ作ったお前
家庭的な女がタイプの俺」って、ちょっとフェミニズムの方々とかに怒られてもおかしくないような、旧来の女性像みたいなものを歌にする。
これって、あんまり今までのJ-POPでなかったと思うんですよ。
これが最新のヒットというか、ちょっと前ですけど、55万枚売れているんですよね。

文珍 さん
ちょっと昭和の風がなんか匂うんですけどね。

速水 さん
そうです。保守的なんです。
かつて昭和の時代であれば、いわゆる家庭的な女性というのは、まあ、ありだったわけですよね。
今それをJ-POPはどちらかというと「翼広げて」とか「夢をかなえて」とか、そういう方法に行っていたんですけど。
むしろ家族とか地元とか友だちを大事にしようという思想がこの歌詞に表れているんじゃないか?と。

文珍 さん
しかし、そういう層を狙った商品開発をして、物が売れたとして、国は豊かになっていくんだろうか?という気がしますが。

原田 さん
例えば今の時点で。ずっと戦後の日本が都会を目指して、わりとインテリジェンスな方向で商品開発してというのを企業がおこなってきたんですよ。
要はオシャレな人たちに向けての商品開発。
だから、マイルドヤンキーの人たちをちゃんと見てこなかったんですよ。
この人たちを幸せにする商品開発をすれば、ひょっとすると経済は活性化する可能性があるんですよね。

速水 さん
「昔からいたんじゃないか?」と、さっき紗理奈さん、おっしゃっていたじゃないですか?やっぱりいたと思うんですけど。
彼らに満足できるような商品が、実は僕らはメディアの側であったりとか、発信する作る側が対応していなかったんじゃないか?
事例でいうと、本。小説って、ものすごく三大都市圏とか都市部でしか、売れない商品だったんですよ。
それが、もう5~6年前になりますけど、携帯小説ブームってあったじゃないですか?
あれは都市部の出版社には、どこで売れているのか分からなかった。
調べてみると、地方の郊外型書店で物すごく売れていて。
売れている作品になると、100万部、200万部というものが。
あれっ?こんな消費者どこにいたんだろう?と。
出版社みんな東京にしかないので。面食らったんですよね。
今まで自分たちには都会にしかいなかったと思っていた、いわゆる本を読む層が地方にもいたんだと。
地方で売れる本。例えば血液型の占いの本とか、100万部以上売れた本とかあるんですけど。
あれは都心ではいっさい売れていなくて地方で売れている。
そういう新しい商品が、なるほど都会にはない読者層がいるんだと、初めて発見があった。気づかなかったんですね。

関口 解説委員
文珍さんのご質問は、要するにマクロの経済にどの程度影響があるか?プラスになるか?というお話でしたけれども、そういう意味でいうと、まず定番商品をしっかり買ってくれるボリュームゾーンのお客さんだという意味では大事です。
ただ、こういう方々の消費も当然、収入に影響しますよね。
だから、今は20代でそんな所得の格差もないから、自宅で暮らしていたりすると使えるんだけれども。
30代、40代になっていったときに、あんまり収入増えないということも出てくると思うんですよ。今後、10年とか経ってくると。
だから、ずっと彼らが本当に消費の主役。倹約で経済を持ち上げてくれるか?というと、ちょっとそこについては疑問がつくところもある。

原田 さん
ちょっと消費の主役は言い過ぎかもしれませんね。
ただ、彼らをハッピーにするための物があまり作られてこなかったのは事実なので。「止血」ぐらいにはなるかもしれませんね。
あと「昔からいた」とおっしゃるんだけど、いたとは思うんですよ。
いたけど、増えてはいて。経済が成熟してくると、あんまり昔の矢沢永吉さんみたいに成りあがりみたいな感じで、都会に行きたいみたいな気持ちが、若者全体減ってくるんですよ。
地元でいいや、となってくる。これ80年代後半でアメリカでもうすでに言われていたことなんですよ。
私が言ったのは、全然新しくなくて。実をいうと、日本より後進国である中国とか。
例えば上海、台湾の台北、韓国のソウルとね、マイルドヤンキーが出てきているんですよ。
わざわざ都会行かなくていいわ、とかね。郊外に住もうみたいなね。東南アジアはまだ少ないですけど。
経済が成熟すると、こういう層って出てくるんですよ。
つまり今のマイルドヤンキーを満足させる商品開発ができれば、多少お国柄でかたちを変えなくてはいけないけれども、他のアジアの国に持って行けるんですよ。
今、彼らをしっかり狙うと。だから市場を増やすことができる。

速水 さん
あと、やっぱり。日本は不況が続いたわけですよね。その中で過剰に適応した。
それこそ景気がいいバブル時代を知らない世代の消費形態。デフレが生んだ文化という側面も絶対あると思うんですよね。

視聴者の声

神奈川県・30代・女性
「都内に買い物なんて、行ってらんないっす。子育てしていると、車で行けて「近い」「安い」地元での買い物が一番」

群馬県・20代・女性
「都会への憧れなんてない。地元にいたほうが親がいて安定している。お金も自由に使えるし」

小野 アナウンサー
この見落とされている消費者をどう見つけて、掘り起こしていくのか?マイルドヤンキーから得られるヒントだと思われます。
その辺をこのプレゼンの後に考えてまいりましょう。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
マイルドヤンキーのみなさんが大事にしていたもの、ありますね?絆。
この絆にビジネスチャンスがあるのでは?ということで、2つの動きありますので、ご紹介していきます。

地元の絆を大事にしているというマインドありましたけれども。
地元を大事にしているみなさんは、郊外に暮らしている。
その郊外にポイントをしぼったということで、この方です。

きゃりーぱみゅぱみゅさんは「"郊外"に見ないともったいない」とおっしゃっているんです。
どういうことか?

原宿から世界に羽ばたいた歌姫のきゃりーさんは、これまでライブをニューヨークやパリ。そして日本でも日本武道館ですとか、主要都市など大きな町で開いてきたわけなんですね。
でも、来ている方々を見て、こんなことに気づいたんです。

あっ、小さな子どもが来てくれている。そのお父さんやお母さんも一緒に来てくれている。
家族で来てくれているんだ。
だったら、ファミリー層の多い郊外でコンサートを開けば、親子たちにもゆったりと楽しんで観てもらえる。
もっと触れ合えるようになるのではないか?と考えたんです。

そこで、この7月からもう積極的に郊外でライブをおこなうことを決めています。
東京郊外の埼玉県の戸田市とか、八王子市とか、松戸市。
きゃりーさんは、こうした町の家族のみなさんが楽しめるように、ちょっと工夫をしているんです。
選んだ会場というのが、親子でゆったりとくつろいで楽しめるように、座席がしっかりしているところ。これまでのスタンディングのライブとは、まったくちがうような雰囲気。
そして、スタート時間。開演時間を2時間早めて、午後4時からにした。早く帰れるようにしたということなんですね。
都会に来てもらうのではなくて。郊外に出向いて、みなさんのハートをつかもうとしていらっしゃるというんですね。

鈴木 さん
ありがたいですね。子どもいたら。

中山 アナウンサー
次は、「仲間」も見ていただきます。
仲間、絆が大事ということで、こんなことが言われております。

題して「広告よりも仲間の『いいね』」
都会で発信されたトレンドじゃなくて、仲間の「いいね」を大切な基準にして物を買うのがこんな方々。

主婦のみなさんですね。主婦のみなさんというと、ママ友という仲間がいて、絆がとっても強い。
その絆の強さ、仲間意識がハッキリと表れたのが、これです。

シンプルなこれ、トートバッグ。ひとつ1800円。
これですね、メーカーはもともと年に6000個売れればいいかな、というふうに思っていて、特に宣伝をしていませんでした。
が、なんと売り出したら、こういうことになった。

年に17万個も売れたんです。しかも全国の主婦が買ってくれた。
びっくりしたメーカー、どうしてこんなに売れたのか理由を調べました。
まず、ママ友が同じバッグを持ってくれていた。買ってくれていた。
じゃあ、なんで買ってくれたのかというと、きっかけがあった。
あるママが「アラ、これ。意外に使いやすいわよ。サイドポケットだって付いているし。これ、いいじゃない」ということを言ったんですね。
すると、それを聞いた方。「あっ、あのママがそういうふうに言うんだったら、私も使ってみようかしら」と買う。

そして評判が評判を呼んで行くんです。
「それ、意外に生地もいいのよ」とか「シンプルでいいわね」とか、いろんな声が出てくる。
すると「あっ、私も、私も」とみんな買っていったんです。

さらに、この中のママが投稿したんですね。
これ、意外にいいわよ、ということで、雑誌に投稿してみた。

すると全国のママが使ってみたい、このバッグ買いたい、ということで、ママ友にどんどんどんどん広がって、17万個売れるようになったということだったんです。
最近の商品って、カリスマモデルさんとかタレントさんとかがね、いろいろとお勧めするよりも普通の主婦の方が「いいね」と言ったところが人気に火をつける傾向がある。
ここにビジネスチャンスがあるのではないか?ということなんです。

文珍 さん
友だちから聞いたという。
そういう安心があるのかも分かりませんね。

鈴木 さん
今までは、流行りとかをメディア側が作っていて。それを見て、これをマネしたらいいねというものから、メディアではもう作れなくなったというか。
流行りは自分たちの流れで作るという時代になったので。メディアの力が弱まったと考えるのか?

速水 さん
まさにおっしゃるとおりだと思います。

今、都会にあこがれというものがあって。
昔よく広告の世界で言ったことなんですけど「地方にCMを流す必要はない」と。
東京に流して、そこで流行れば、みんな地方の人たちは都会にあこがれているので、勝手に3か月後には流行っているよという。
同心円状の電波モデルというのが、広告ではよく言われていたんですよ。
今は、そういうあこがれがあまり機能しない。
すごく都会にあこがれない若者たちが増えている。

逆になっている。例えば全国にあるショッピング・モールに入っているメガネチェーン。
もともと都心から始まったところが、ガアーッと店舗増やして、ショッピング・モールで何十店舗、何百店舗になっている。
その理由を社長さんに聞いたことがあるんですけど。「都会で売れる物よりも、地方で売れる物のほうがアンテナとして役に立つんだ」という話なんです。
地方のショッピング・モールで売れている物が逆に全国に流れる。
全国の地方のショッピング・モールがあるような市場のほうが画一化しているんですよね。
さっきのバッグの例もそうですけど。例えば僕が調べた例ですと、都心のコンビニエンスストアのお弁当。例えば、都会は多様性があるので。
丸の内のOLは自然、健康のいわゆる「五穀米弁当とか作って欲しい」という声がすごくあがってくるんですけど、絶対続かないんですよ。
なぜかというと、コンビニエンスストアチェーン全体でみると、5万店舗。いろんなチェーンを合わせてですけど。いわゆる多数派は、地方郊外にある店舗で。
例えば肉体労働者の方とかが使うと、高カロリーのもの。そっちのほうがサイレント・マジョリティーというんですかね。
いわゆる要望はなくても、結局売れるのはこっちだと。こっちしか生き残らないみたいなことが起こっている。大きい市場のほうがやっぱり勝つんですよね。

原田 さん
メディアの話が出てきたんですけど。メディアは、いまだに強いです。

マイルドヤンキーは、テレビもすごく見ていますし。
だから、ちょっとそこはちがうかなと思ったんですけど。
それとは別に、"地縁消費"っていうのがあるかなと。例えば車のディーラーの営業マンは、地元の2、3コ上の先輩であったら「あ、俺この車買おうかな」というふうになるんですよね。
先輩だとか友だちが売っていたら、買おうとかですね。
あと、例えば今、学割ってありますよね。大学生だと映画館に行くと安くなると。
ところが、このマイルドヤンキーの子たちにインタビューすると、もちろん大学に行っている子もいますけど。
例えば高卒の子とか、高校中退の子とかいうと、学割が使えないんですよ。
「なんで同級生の大学生が学割使えるのに、俺たち使えないの?不公平じゃないか」というふうによく言うんですよね。
で、地元友だちがすごい大事になってきているから、地元友だちと行くと割引にしてあげるとかね。
いろんな発想ができるんですよ。この"地縁消費"の中でどう情報を与えて、どう消費していただくかというのが、キーになってくると思います。

関口 解説委員
結構そうすると、地元というところで固まって、そこでまた仲間というので固まって。
そうすると、さっきのあの例もそうなんですけど。
口コミで広がっていって、商品が売れるというのは、それは売る側からしたら、いいことなのかもしれないけど。
ちょっと考えてみると、やっぱりみんなと同じ物を持っていないと、なんかイヤだなとか、仲間意識が強い分だけ、そこから疎外されたくないとか。
そういうふうになるという心配もあるんですけれど。どうですかね?

原田 さん
都会の高学歴の子もそういう状況になっています。
ソーシャル・メディアでつながっているんで。別に地方だとか都会だとか関係ないですよ。
東京の人たちもとがった格好をしている子って、すごい少ないです。みんな似たような感じになっている。
それはまた別の視点でマイルドヤンキーだけじゃなくて、全体的に考えていかなきゃいけない。

文珍 さん
今までは広告のありようというのが、大都市から地方へ発信するというのが。
ネット社会になって、今までと逆のボトムアップのような感じなんですか?

速水 さん
実はファッションモデルというのが、例えば昔であったら、表参道にマンションがあったりみたいな、都市的な消費意識と結びついていたんだと思うんですけど。
今それこそブログですよね。90年代はいわゆるストリートファッションの時代。
渋谷の109の前に歩いている子みたいなものが、雑誌の読者モデルになっていた。
それ以前はファッションモデルの時代ですけど。
その次の段階に今、行っていると思うんですけど。
みんな、どこで服を買う。誰を見て買うのか?というと。ブログを見て。
そうなると住んでいる場所、関係なくなっているんですよね。買う環境も、ギャルといわれる人たちがどういう消費をしているかというと、通販。
たまに渋谷に行って、そこのブランドのサイズだけを把握しておいて、買うのは通販。
通販といっても、オークションで買ったりするんですよね。
なので、かつてのように高い服はみんな買わなくなっていますが。
安い服を3か月で買って売る、みたいなことを平気でやっているというふうになると、結構消費しているんですよ。
ただいわゆるお店で直接買いに行くわけではなくて。中古品を友だちに売るみたいな感じですよね。

関口 解説委員
今回、原田さんが、言ってみればマイルドヤンキーというのを発掘して「こういうライフスタイルあるよ」と言って。
まあ、ちょっとネーミングは過激だったかもしれないけど。見つけ出したでしょう?このやり方そのものだと思うんですよ。
つまりフィールドワークですよね。実際に歩いて回って、いろんな人に会って。
だからやっぱりそこでいうと、オフィスで考えたらダメだということにつきるんじゃないかな。

原田 さん
大企業のマーケティングって、ほとんど東京で調査がおこなわれていたり。せいぜい行っても大阪。もっと行っても福岡・仙台。
要するに大都市部でしかやられていないのが現状なんですよね。
ところが、例えば車メーカーさんであれば、もっともっと田舎のほうが足として必要だったりとか。人口ボリュームは少ないんですけど。

速水 さん
一方で、僕ちょっと危惧する部分があって。
本当にヤンキー経済、今後発展するものとして考えていいのか?ということがあって。
今、日本で起こっていることって、いわゆる地方から都市部への人口流入が始まっている一極集中の時代といわれているんですよ。
ブルーカラーというか建設業とか、いわゆる製造業とかというのは、今後あまり発展しない産業といわれていて。
そうではない第三次産業、サービス産業。都市部に特に地方の若い女性がいなくなっているということで、そういう状況で。
いくら若者が地元が好きでも、そこに残る経済基盤がなくなってしまうと、東京や大都市に移動して来なきゃいけなくなってしまう。

小野 アナウンサー
マイルドヤンキーの人たちがたくさん物を買ってくれたら、地元の企業がうるおってとかならないんですか?

原田 さん
でも仕事がないんです介護の仕事とか、あるものもあるんですけど。
やっぱり企業が圧倒的に少ないんで。本当は地元に残りたい志向はいいことなんですけど、出ざるをえないという若者たちも非常に多くなっていて。
しっかりと雇用を作っていかないといけないというのが、大きな問題だと思います。

速水 さん
もうちょっと発想を変える必要があるかなと思っていて。日本で改造車という文化があって。
パーツメーカーとかいっぱいあるんですけど。
彼らが今、注目しているのは、中国のマーケットなんですよね。
日本の漫画、いわゆる『頭文字(イニシャル)D』とか映画化されましたけど、香港で。
ああいう日本のマイルドヤンキーを描いたような漫画が、中国でもすごい受け入れられている。
次の段階は、当然クールジャパン戦略の一環として、ずっと日本はオタクコンテンツを海外に売ろうとしてきましたけど。
むしろヤンキーもコンテンツなんですよ。コンテンツを海外に売るという意味では、僕はヤンキーコンテンツは絶対売れると思います。

原田 さん
東南アジアで『クローズZERO』が大人気。みんな知っている、ホントね。
あとね『サムライX』と『るろうに剣心』ですか。
結構ヤンキー物は東南アジアみんな好きだったりとかね。

関口 解説委員
今、議論があったように、地方と一極集中どうするか?という。大きい課題ですよね。
地方にちゃんと働く場もある、ママがちゃんと地方で子育てしながら、仕事もできる、そういう場を作ってあげたいなと思いますね。

文珍 さん
それ一番重要だと思いますね。

小野 アナウンサー
きょうはどうもありがとうございました。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る