2014年06月14日放送放送内容まるわかり!

どう見つける?誰が守る? "消えた"子どもたち

先月神奈川県厚木市のアパートで死後7年以上放置され白骨化した子どもの遺体が見つかりました。 児童相談所や教育委員会は異変に気づきながらも、子どもの所在を確認できないまま、十分な対応が取れていませんでした。 去年5月の時点で1年以上所在が分からない小中学生は全国で705人。 国は実態を把握するための全国調査に乗り出しています。 なぜ子どもの居場所がわからなくなってしまうのか?子どもたちを誰が、どう守るべきなのか?深読みします。

今週の出演者

専門家

山田 不二子さん(NPO法人子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク)
藤田 孝典さん(NPO法人ほっとプラス)
川﨑 二三彦さん(子どもの虹情報研修センター)
西川 龍一(NHK 解説委員)

 

ゲスト

林家 正蔵さん(落語家)
藤本 美貴さん(歌手・タレント)


小野 アナウンサー
なぜ子どもが「消えて」しまうのか?
きょうは中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。

中山 アナウンサー
こうして幸せそうにしている家族のお子さんがよーく調べてみれば、消えてしまっている。

というのが、"居所不明児童"の問題であるということなんです。
よく見れば周りには家がある。

近所の目もある。

警察官もいる。

役所を見れば住民票もある。登録されている。
誰か気づくことができなかったのか?どうして気づけなかったのか?というのを、今回さまざまな事例を調べました。
こんなことが分かってきたんです。

まず、こちら。お母さんが子どもを連れて、別の町に消えます。
だんなさんがDV、家庭内暴力をしていたので、逃げ出したんですね。
向かった先は、誰も知り合いのいないB市なんですね。
で、住むような場所というのは、こうしたところ。

住民票がなくても住めるようなところなんです。
というのも、夫に居場所がばれたくない。
だからA市に住民票は残したまま、こちらに暮らしている。

こうなると、B市に住民票は出していません。
ですので、お子さんも基本的には、学校にも通わせないということになる。

お子さん、母親以外の人と接することもなく、社会との関わりが消えてしまったというわけなんです。
これが居所不明児童といわれるケースの一つなんですね。

考えてみてください。学校行けないとか、他の人にも会えない、閉じこもりの生活だと、こういう能力が育たないし、なかなか人と接しないと精神的にも不安定になる。
ですので、居所不明児童というのは、こうした子どものすこやかな健康もおびやかすような危険性があると。ここも大きな問題であるわけですよね。

もう一つ、ケースをご紹介します。
お子さんが住民票のあるところで暮らしているケースです。
ここでは、お父さんと息子さん。お母さんは出て行った。息子さんは残されていると。
お父さんが育児放棄をしてしまっていた。忙しかった、などなど理由がいろいろあるそうなんですけれども。
お子さんの食事の世話とか身の回りの世話はしなかった。

それで、家に閉じ込めている。世間の人に自分が育児放棄をしているというようなことを知られたくない。
そんな思いがお父さんにはあるそうなんです。

でも、なんとかならないか?保健師さん。この方が家に行きました。
というのも住民票がありますので、これに基づいて、行政はさまざまサービスを行います。

こんなサービスがあるわけなんですが。
3歳児の乳幼児健診に読哉ちゃんの場合は、来ていなかった。
お子さんが来ていなかったということで、保健師さんは今回、家に行ったんですね。

すると、お父さんは出てきます。対応します。でも、ちょっと後ろめたく出てきます。
保健師さんは「息子さん、いらっしゃると思いますけど。健康状態いかがですか?」
「そうですね。健康は大丈夫です、大丈夫です。元気にしています。親族の家にちょうど行っているところなので、健診はまた今度受けさせてもらいますので。大丈夫です」というような回答をする。
すると保健師さんは、お父さんと接触ができたので、大丈夫だろうと安心してお帰りになるということなんですね。

正蔵 さん
「お子さんにちょっと会わせてください」と聞かないんですかね?

小野 アナウンサー
親戚の家に行っていると言われたら。

藤本 さん
今いないんだぁと思いますよね。

中山 アナウンサー
そうなんですよね。他にもこういう方が出てきます。

学校です。学校の先生が家に行く。
これ住民票にもとづいて、小学校入学予定の子どもたちには、手続きをしてくださいという案内を送るんですね。
読哉ちゃんもその年齢になったところで、送られてきた。けれど返事がなかった。
となると、先生が家に行くことがあるんです。
すると「読哉さん、ちょっと来ていないんですけど。どうでしょうか、大丈夫ですか?」と聞くんです。
でも「そうですね。今、妻と別居をしているところで、子どもはそっちにあずけています。妻の地元の実家のほうの学校に行っているので、安心してください」というような答えをする。

小野 アナウンサー
また、ウソついちゃった。

中山 アナウンサー
そうなんです、ウソをついた。
すると先生としても「まあ、そうですか」と。

正蔵 さん
踏み込めないんですか?うーん。

中山 アナウンサー
結果的に小学校の場合ですと、1年経つと文部科学省の通達によって、読哉くん、この小学校の児童ではないと見なされるようになる。
で、その学校に気づかれない。学校からも見られなくなってしまうと。担任の先生も受け持ちの生徒じゃなくなる。
先生が行くこともなくなる。でも、この中を見てみれば、いますよ。読哉くんが。

藤本 さん
あっ、やせている。

中山 アナウンサー
やせているんです。虐待につながるようなことになってしまっている。
なんとかできないか?この方がいます。

皆さま聞いたことがあると思います。児童相談所の児童福祉司。
この方は家のカギを開けて中に入って、子どもを救い出すことができる。
そんな権限を持っている方なんです。

じゃあ、児童福祉司の方が行くかな?

いやいや。行かないんですね。行けない。
児童相談所というのは、虐待のおそれがあるという情報をつかんだ上ではないと、動かない。

藤本 さん
まあ、そりゃあそうですよねぇ。

小野 アナウンサー
でも、保健師さんも小学校の先生もおかしいぞと思って、行ってくれたわけじゃないですか?

中山 アナウンサー
情報共有というのが、うまくできていない現実があるそうなんです。それぞれの情報が残念ながら。
近所の方も、ちょっとなぁ。あそこの家、心配だなと思っていても、思っているだけで、なかなか情報として送らないという現実があるんです。

周りの目がこんなにあるのに、気づかれずにいるお子さん。
今後どういったことになっていくのか?というのも分からない。

こうした居所不明児童の生徒さんもふくめると、小、中学生なんですけれども全国で少なくとも705人。

正蔵 さん
少なくても...。

中山 アナウンサー
乳幼児ですとか、高校生以上のお子さんもふくめたら、もっとたくさんの方が分かっていない方いるんじゃないかというふうに言われているんですよね。

正蔵 さん
犠牲になるのは子どもたちですから、なんとか救いたいんですけど。
本当にどこまで入り込んでいいのかな?というのが分からない。

小野 アナウンサー
「近所づきあいがあれば行政や児童相談所に"おんぶにだっこ"状態でなく、周りの人が異変に気づけたはずです」というようなメールも届いています。

藤本 さん
でも、なかなか電話するというのも難しいという気がしますね。

小野 アナウンサー
山田さんは、子どもの虐待相談に取り組んでいらっしゃる方なんですが。どうですか?

山田 さん
私たち身近な立場の住民としては、通告の義務が国民全員に課されているということですね。

正蔵 さん
通告の義務があるんですか?

山田 さん

義務があるんです。ここには、児童虐待防止法と書いてありますけれども。
児童福祉法というもう一つの法律もあって。
二つの法律で、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、市町村や児童相談所に通告しなければならないというふうになっています。

正蔵 さん
例えば近所のマンションとか、家でもって、物すごく親のどなり声、子どもの泣き声がひんぱんにあった場合。
でも、しつけなのかな?と思ってしまって。どうすればいいのか?

山田 さん
虐待かどうか?というのは、通告者が判断する必要はないんです。疑ったら通告をして。
通告を受けたところが、虐待であるかどうか?ということを判断するということです。
もし、調査をした結果、虐待じゃなかったということが分かっても、通告した人には、なんら責任は問われません。
通告者を特定させるような情報は、もらしてはならないということになっていますので。
どなたから通告がいったかということは、特に一般市民の場合は知られないということが保障されています。
ですので、安心をして。そして、間違っていたらどうしよう?と思うことなく、心配なお子さんがいたらぜひ通告をしてください。

西川 解説委員
一般的な市民の場合は、どうしても密告をしているんじゃないか?という感覚があるじゃないですか。
そういうふうな感覚は捨ててもらっていいということですね。
だから、とにかく子どもの安全ということを考えて。
もし心配事があったら、お知らせをするということのほうが大事だという。

小野 アナウンサー
どういうときに通告したらいいんですか?しつけかな?とか、迷うじゃありませんか。

藤田 さん
どんな子どもさんだったら気にかけて、虐待の疑いがあるんじゃないかと通報したらいいのか?という目安が大体決まっていまして。
このようなお子さんが近くにいたら、ぜひ児童相談所に電話いただけたらと思っていますので。

例えば、髪の毛がベタついていたりとか、何日もお風呂に入っていないというケースがあったり。
あるいは、何日も同じ服を着ているというケースだったり。
極端にやせている、身長が低い、発育が十分ではないというんですかね。
あとは、食事与えてみると、むさぼるように食べるというんですかね。
食欲が非常におう盛だという状態で、食事が与えられていないんじゃないか?とか。
少しでもそういった要素が見受けられたら、気にかけていただけたらと思いますね。

小野 アナウンサー
児童相談所全国共通ダイヤルというのがあります。

きょうお越しいただいている川﨑さんは、実際にその児童相談所で長年相談を受けていらっしゃった方です。

川崎 さん
今回の問題は少しちがうと思うんですよ。

虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、通告しなければいけないんですが、今回の居所不明というのは、そこに姿かたちもないと。
住んでいるというふうにも、まったく思えなかった。先ほどお父さんがいて、そこに子どもがいるのに。ということになると、これは、そこに子どもがいるんだからということで、すごく調べなければいけない。
でも、本当にまったくいないわけですよね。
だから、虐待か否か分からない子どもを見失った場合には、どうしたらいいか?ということは、これなど日本ではまったく仕組みとしてなかったんですね。
そこが今回、大きな問題になっているんと思うんですよ。

山田 さん
ただ、いくつか事件が起こっているので、平成24年の11月30日に厚生労働省が通知を出していて。

その所在が分からない子どもの情報をどう集めるかということで。
要保護児童対策地域協議会に情報を集約しなさいということを伝えているわけなんですね。
ところがなかなか自治体で、それが徹底されていなくて。例えば学校に来ていないという情報を学校や教育委員会が持っていたり。
それから、乳幼児健診を受けていないという情報を市町村役場の母子保健の人が知っていたとしても。
それは自分たちでなんとか家庭訪問をしたりして解決しようということはするんですけど。
もう手づまりになったときに、ここに情報を集めれば、他の自分たちが取れない情報が入って来るかもしれないのに、これを活用していないというのが、また次の問題だと思います。

西川 解説委員
さっきの事例などを見ていただいても分かると思うんですけど。
例えば市役所。市役所は市役所で、ちゃんと役割は果たしているわけです。保健師さんも行っていると。
学校は学校で、入学の適齢期になったときに、いちおう教育委員会が通知を出して。
事前の健診に来ていませんよとか、入学していないじゃないですかというのは、やっているわけですね。
児童相談所は相談所で、情報があれば行くということになっているわけですね。
ところが、それぞれがそれぞれの役割を果たすだけで、他のところに情報が行っていないと。
だから、例えば児童相談所と教育委員会がしっかり連携をしていて。
来ていませんよ、というふうな情報が流れていれば。あっ、ここ前にそういう情報があったよね、ということで、もしかしたらもっと早く。
今回の厚木の事件の場合には、もう亡くなっていましたけれども。
遺体の発見には、もっと早くつながったかもしれない。

正蔵 さん
小学校や市役所など、横の連絡がうまく取れていないということなんですか?

西川 解説委員

さっきの協議会は、いちおう立ち上がってはいるんですけれども。
あくまでもこれは情報の共有ということになりますと、こんなおかしな事案がありますということが、あがってくるという状況ですね。
発生した事例同士を共有し合うというのには、強いんですけれども。
分かっていない事案をここで、じゃあ取り上げるかというと、なかなかそうはならないというふうにも言われているのと。
あと、定例会化していますよね。年に1回か2回こういう協議会を開いて。
だから、不測の事態が起きたから招集するというふうには、なかなかなっていない。
そこが問題点だといわれています。

川崎 さん
いなければ、どこかの場所で暮らしているはずだと。
これでもそんなに大きな間違いは、あんまりなかったんです、これまで。
ところが、居所不明児童がすでに700人もいるとか。あるいは数年前からそういった兆候は出ていたんですね。
だけど、それに対して、虐待のおそれがあるというふうに、まったく見えないわけです。
つまり、いないということは、こういうことが何も見えないわけですね。

藤田 さん
私たちのところに相談に来られる方もそうなんですが。
やっぱり家族とか親族とかいない方がほとんどでして。
もうシングルマザーといわれるような母子家庭のお母さんであるとか。
母子家庭のお母さんも借金だとかDVだとか、いろんな事情で各地を転々とするというんですかね。
背景には貧困問題があったりとか。居所を移せないという事情があったりしますので。
行政機関は、そういった住民票でちゃんと移してくれればサービスはするけれども、移していないと難しいですと。
これまでは発見システムをうまく構築できてこなかったと思うんですよね。
なので、居所不明児童の問題というのは、どちらかというと、お父さん、お母さんをどう支援するか?という問題だと思っていて。
お父さん、お母さんもこういった事件が起こると、とんでもないという話になるんですが。
けっこう相談に来られているお父さん、お母さんは苦しんでいるんですよね。家族も頼れないし、友人もいないし。

正蔵 さん
でも、親としての自覚と申しましょうか。
すごく身勝手なケースがあって、それは腹が立ちますよね。

山田 さん
両方あるんだと思うんですよ。親御さんたちに支援をすれば子どもを守れる、そういう親子関係の家と。
親を支援しても関心がなかったり、もしくは虐待をしていて、親の支援が直接的に子どもの支援につながらない家庭とあるので。
両方のリスクがあるから、両方の視点で関わっていかなきゃいけなくて。
子どもが先ほど見えなくなっちゃって、とにかく閉じ込められちゃったら分からないんですけど。
分からないということ自体をリスクだということを、これだけ事件が起こっている以上、みんなが共有していかないとですね。
虐待を疑われるような兆候がなかったとしても、姿かたちが見えないという、それはハイリスク状態なので。
要保護児童対策地域協議会に情報を集めていくということを本当にクセにしていかないと、こういう子たちを見つけてあげることはできないと思うんですね。

藤田 さん
でも、あまり機能していないんですよ。実態としては。

山田 さん
虐待だと要保護児童という概念につながるだと思うんですけど。
姿の見えない子どもも要保護児童なんだということにならないと、ここに情報が入っていかないんだと思うんです。
最初は児童相談所だけじゃなくて、市町村も通告先になったということもあって、この制度ができたんですけれども。
もともとは虐待やネグレクトの子どもたちをどう守るか、ということだったんですが、死亡事例検証とかやっていくと、ハイリスクの家庭から支援していかなければいけないということが分かってきた。
じゃあ要保護児童対策地域協議会では、虐待を疑われる子どもだけではなくて、まだ虐待ないかもしれないけれども、ハイリスクの子どもたちもちゃんとここで守っていきましょうよというふうに変わってきているのに。
それが、周知徹底されていないということだと思いますね。

西川 解説委員
行政そのものが、どうしても待ちの姿勢というんですかね。住民票の話なんかもありましたけれども。
住民票があって、そこに住んでいるということが分かっていれば、その住民にはサービスはするんだけれども。
住民票がない。つまり、うちの市に入っているかどうか分からないというふうな住民に対しては、積極的に手を差しのべるということがなかなかできないという。

川崎 さん
住民票がないとサービスできないと。基本的にそうではないんです。
そこに実際に住んでいるということが明らかであれば。そこの自治体。児童相談所だって別に住所があっても、そこにいるということで、支援をするんですね。
移せない場合、例えば「住民票がA市にあってもB市の学校に通えないか」と言えば、それは通えるわけですね。手続きすれば。
DVで逃げて来て、住民票移したくないという人。お子さん連れて来ている場合は、ちゃんと学校へ。
住民票を例えば、だんなさんがチェックできないように届出もできますし。
そういったかたちで、ブロックします。

小野 アナウンサー
でも、そうされていないのが現状なんですよね?

山田 さん
怖いからですね。

藤田 さん
守秘義務が行政側にありますので。
これも絶対秘密はもれないので、気軽に相談していただきたいと思っているんですね。
それができない理由が、やっぱり情報がもれてしまうとか、恐れていたりとか、あとは自分自身が責められてしまう。
こういった子どもさんをかかえながら、転々としていることを責められるんじゃないか?という気持ちも持っていて。
ですので、まずは行政機関も責めないし。あるいは、行政機関の人たちも配慮してくださいますし。
守秘義務という、秘密を守るということもやってくれますので。なので気軽に相談を。

川崎 さん
今、問題になっているのは、そうして逃げて来て、子どものことがあるので、教育委員会に行ったとか。
住民票は移せません。サラ金に追われているために住所移せない方もありますからね。
だけど「ここで暮らしているの、お願いします」という方は、そこで支援が始まりますよね。
いろんな事情があって引っ越したけれども、居場所も言わないで、ひっそり暮らしたいという。
こういう人たちが、やっぱりかなりリスクが非常に高くなりますよね。

視聴者の声

神奈川県・30代・女性
「子育てをして、届出や健診に行くたび、いろいろな助けを受けました。でも、そこに電話をできない親こそ助けを必要としているのではないか?声をどう拾い上げるかを考えていかねば」

東京県・40代・女性
「なんらかのかたちで、外から家の中に対してヘルプできるよというメッセージを届けることが必要ではないかと思います」

小野 アナウンサー
どう孤立する家庭に手を差しのべるか?このプレゼンをごらんください。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
孤立している親子って、なかなか自分からSOSを発信することができない。
SOSをなんとか見つけ出す、発見するヒントになる二つの例をご紹介していきます。

一つ目はこちら。お母さんの"SOS"を見つけるです。

取り組んでいるのは、三重県の桑名市にあります『みっくみえ』というNPO法人。

こちら、助産師さんとか看護師さんとか栄養士さんなどの資格を持った方々が、悩みを持つお母さんの電話相談を14年365日ずっと続けてきている団体です。
でも、虐待してしまうかもしれないという悩みを持つお母さんって、なかなか電話してこなかったんですね。
そうしたお母さんとつながるにはどうしたらいいか?

人の集まる場所、ショッピングモールで子育て相談会を開こうとしたんです。みなさんに集まってもらうある工夫があります。

これを置いたんですね。赤ちゃん用の体重計。

藤本 さん
いいですねえ。家で、ああいう体重計ってないので。体重や身長を知る機会がない。
本当に何グラムとか、何百グラム単位での成長しかない時期もあったりするし。
それがわかる。あっ、もうこんなに大きくなった、みたいなのがうれしくて。
ちょっと減ったら、また心配だったりとか。みんな、子どもの体重を知りたい。

中山 アナウンサー
早い段階で関係を持てるようにということで。
実際、お母さんたちが、赤ちゃんの体重はかりにいっぱい来てくれた。
すると相談員の方がいろいろと気軽に、話をしていくわけなんです。いきなりは重い話はしない。

相談員の方は子育ての経験があるから「この時期って、夜泣き大変ですよね」とか「今、その授乳だとおっぱいが痛む。まあ、大丈夫よ、痛んでも」というような声かけをするんです。
すると、お母さんたちの警戒心が少しずつ解けていくそうなんですね。

中には、なかなか打ち明けられなかったという方が、ポロッと相談員の方に「実は私、少し子育てでイライラしちゃうことがあって。きつく子どもにあたってしまうことあるんですよね」というようなことを言ってくる。すると、もう気軽にみんなで相談、話し合って。気を楽にまずさせてあげる。というような取り組みをしているんだそうです。
実際に、本当に虐待につながってしまうようなことが予想される場合は、しっかり行政側との連携も取るようにしていて。
本当に大変な場合は、行政側とのサポートを続けるようにというアドバイスをしたり。
すると、お母さんたちは、みずから相談するようになって。
結果的には、ずっと電話の相談をする方も増えているということなんです。
まさにお母さんのSOSをうまくつかんだ例なんですね。

もう一つの例は、お母さんではありません。こちら、子どもの"SOS"を見つける。

東京・豊島区のNPO法人『豊島子ども WAKUWAKUネットワーク』活動拠点はプレーパークと呼ばれる公園です。
見た目、公園というよりも原っぱ。ここで子どもたち、木登りしたり、たき火をしたり、ときにはボーッと過ごしたり。
自分がそのときやりたい遊びを思いっきり楽しめる場所となっているんです。
ここに地域の子どもたちは、いつでも遊びにやって来る。
家庭に問題があって、家に居場所がないような子もフラーッと遊びに来るようになっているんだそうです。そこで、この方が登場します。

プレーリーダーと呼ばれる町の大人たち。
このプレーパークには、プレーリーダーがつねにいて。
子どもたちと一緒に遊んだり、子どもたちの様子を見守る。

で、子どもたちを会話をするんですね。「今日はひとりなのかい?」とかですね。「お父さんと一緒じゃないの」とか。
何度も気軽に会話が続くので、家庭の様子がちょっとずつ分かるようになってくる。
子どもたちも何度も遊びに来るので、関係ができる。
すると、子どもたちから家の様子を伝えるようなこともある。
例えば母子家庭の子どもがいたんです。「僕の場合、僕の世話のために、お母さん病気なんだけど、入院することできないんですよ。どうしたらいいんでしょうか?」というような相談を受けることもあったということなんですね。
親との関係に追いつめられていてもですね。
プレーパークに行けば、子どもたち安心してSOSを言える大人がいると。
子どもにとっては、とても心強い存在なわけなんですね。

こうしたプレーパークですとか、ショッピングモールですとか、どちらもみんなが集まる場所を利用して、見えなかったSOS、孤立していた家族の思いをくみ取るという取り組みなんです。

藤田 さん
窓口できっちりとした相談となると、ハードルが高いんですね。
気軽に日常会話の中で悩みとか、つらいこととか、そんなことを話せる場所が、地域にいくつも増えてくると話ししやすいかなとは思いますね。
何気ない話の中から相談って出てきますから。

西川 解説委員
だから"おせっかい"というのが今回キーワードになるかなと思いますよね。
さっきのプレーパークの話なんですけど。

このバッジ、分かります?

藤本 さん
あっ、カワイイ。貝だ。

西川 解説委員
おせっかいバッジ。こういうのを付けて、地域の人たちが、「私はおせっかいをしますよ」ということを、まずお知らせしている。表明するんですね。 こういう地域の人たちのおせっかいが大事。
例えば、私の近所のフルーツ屋さんなんですけど、子どもとすごく仲良しなんですよ。
子どもにとにかく店の前通ると「おはよう」とか「こんにちは」とか声かけてくれて。
声かけながら、やっぱりその子の様子観察しているんですよね。
お店の人だから、親御さんも知っているわけですよね。
「あっ、今日ちょっと様子がおかしかったよ」とか「今日はすごく元気で学校行っていたよ」とか、お母さん方に声かけたりしていて。
そうすると、そのお母さんも、あっ、この人が見守ってくれているんじゃないか?というふうに思って、すごく安心すると言いますよ。
だから、別に大した話じゃないんですけれども、そういうひと言ひと言がけっこう効いてくるというふうなことまでありますよね。

山田 さん
一人一人の近所の大人がお母さん方に声をかける、お父さん方に声をかけて。
それで「話を聴いてあげるよ」と言って。いろんな環境を作っていきながら。
自分でかかえ込むのではなくて、ちゃんと支援の先につなげていくという。
そのやるべきことを多くの人が知れば。なんか団体がやるというのではなくても、一人一人が関わっていけることだと思うんですね。
だけど間違った知識というか、子どものためにと思って、近所の方がすごく入れ込んでしまって、かかえ込んでしまうとか。
私だけに話しなさい、みたいなかたちで関わっていって。結局どこともつながらなくなってしまうというような。
間違いが起こらないような、基本的な対応の仕方というのをキチッとメディアを通して、いろんなかたちで知らせていくことだと。

川崎 さん
こういう取り組みって、すごく大事だと思うんですよね。
でも、居所不明になって深刻な事態になっている人たちというのは、ある意味では自分の秘密を守って話を聴いて欲しいという気持ちもあるじゃないですか?
でも、何か相談をすれば、きっと何らかの解決策というのは、つながればあるんですよね。
そこはやっぱり多くの困っている人たちに、私としては訴えたいところだと思いますね。

藤田 さん
児童相談所もいざ相談を受けたら、ちゃんと相談を対応できるだけの人員と。
あとは、ちゃんとした質も担保しないといけなくて。
今、児童相談所すごく忙しいんですよ。虐待件数もすごい数ありますので。
ちゃんと人をそろえたり、予算を付けていただけたらと思いますね。

西川 解説委員
一つですね、こういう言葉があります。

アメリカの小児科医の方の話なんですけれども。
「虐待であるのに、判断を誤り保護せず、命を落とした子どもに謝罪するくらいなら、間違って保護した時に親に謝罪する方がいい」
これって、おせっかいに置きかえても大丈夫ですよね。
おせっかいだと思って迷惑がられるのなら、その時にあやまればいい。
だから、おせっかいを積極的にしましょうということだと思います。

小野 アナウンサー
じゃあ、もう一回だけ、これご案内しておきます。

きょうはみなさん、どうもありがとうございました。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る