2014年09月13日放送放送内容まるわかり!

健康寿命に注目!! "幸齢パワー"を引き出せるか

もうすぐ敬老の日。日本人の平均寿命は女性86.61歳、男性80.21歳になりました。 でもこれとは別に、もうひとつの寿命=「健康寿命」というのがあるんです。 「健康寿命」とは、日常生活を介護などに頼らずいきいきと自立して暮らせる年数のこと。 これが住む地域によって大きな差があると問題視されています。 元気なお年寄りが増え、いわばその"幸齢パワー"を社会にいかすにはどうしたらいいのか、とことん深読みします。

今週の出演者

専門家

大渕 修一さん(東京都健康長寿医療センター 研究副部長)
近藤 克則さん(千葉大学 予防医学センター 教授)
後藤 千恵(NHK解説員)

 

ゲスト

髙田 延彦さん(元総合格闘家)
中村 メイコさん(女優)


小野 アナウンサー
健康で長生きしたい。これはだれでも共通の願いだと思うのですが。
最近「健康寿命、健康寿命」と、やたら言われるようになったのには、ちょっと狙いがあるようなんです。
きょうはその辺りからひも解いてまいります。徳永アナウンサーです。

プレゼンテーション①

徳永 アナウンサー
はい、おはようございます。やたら書いてあるのがこの本です。

厚生労働白書。白書というのは、お役所が今、何に取り組んでいるのかをまとめた報告書のようなものです。
この中に健康寿命という言葉が何度も出てきます。
どういう意味なのかをわかりやすくこの模型でおさらいしておきます。

寿命といわれれば、だれしもピンと来ると思うんですね。
つまり、オギャーと生まれて旅立つまでの何年生きるかの長さですよね。
日本人の今の年齢のデータなどから計算して。

今生まれた0歳の子がこのままいくといつまで大体生きられるか?という平均的なものが「平均寿命」とよく言われるもので。
これがよく世界的にも高い、とニュースになりますよね。
健康寿命はなにが違うかというと、よく考えてください。
平均寿命って、長さだけがわかるけどどう生活するかはわからないわけです 。

みんながみんなすこやかに人生を最期まで過ごせるかというと、必ずしもそうではないですよね。

私の祖母もそうでしたが、やっぱり晩年は病気になりがちの方、入院をする方、介護のお世話になる方などがいて、必ずしも元気とは限らないと。
健康寿命というのは、亡くなる歳ではなくて。そのもっと手前。

これ、どういうことかと言うと。国民にアンケートをとって「あなたは健康だと思いますか?」などということを聞いて、その答えから大体どれぐらい日本人が何歳くらいまで自分は健康と思っているか?というのを出して、計算したものが健康寿命というものです。

気持ちの問題も入ってきています。
いわゆる、どう生きるかという質とか気持ちに寄りそっているのが、この健康寿命だと思ってください。
これが今の健康寿命の最新のデータです。70歳ぐらいなんです。
ここ比べてみてほしいんですが。

男性、引き算すると大体9歳ぐらい。女性の方が13年ぐらい。
裏を返せば、この間というのは平均的に不健康だと思っていると。
今、健康寿命伸ばしましょうというのは、この間をなんとか縮めて、寿命までなるべく元気で幸せに生きましょうよということなんです。
そうすればご本人も幸せだし、家族も地域も幸せだよねというお話なのです。
これでみんな納得しますが。ここで済めば「深読み」と言われません。

こうやって国が最近、健康寿命伸ばしましょうと言っている背景には、いろんな事情があります。主に二つ。

まずは、やっぱりお金です。コレ金庫です。

国の予算で使い道としてとても多いのが社会保障のお金と言われています。
社会保障というのは暮らしを支えるお金だと思ってください。だから、年金だとか生活保護。
それから子育て支援などもありますが、多くは医療や介護にお金をかけています。
私たちは病院で窓口でお金を払っているし、月々保険料をおさめているじゃないと思うかもしれませんが。
実はそれだけでは回していけていませんので、国の税金からお金を出しているんです。
それだけで30兆超えているということです。

今、超高齢社会が来たと言われていますので。
このままのペースでいくと、どんどんとお金を使わなきゃいけなくなっちゃう。
つまり、すこやかな人が減ってしまうと、こうやってどんどん使わなければいけなくなってしまいます。
2025年にこの30兆円がどれぐらいまで上がると試算されているかというと、70兆円。
他のものも入っています。年金とかも入っていますが。それぐらい放っておくと、伸びちゃうよと。

ですから、なんとかこの健康寿命を今できるだけのばして、すこやかな人が増えて、この辺りが節約できたらいいよねという話になっているというわけです。

どうやって実際やるか?というと、企業が働いている従業員に「今よりももっと健康診断受けなさい」とはっぱをかけたりとか。自治体が「一緒に体操をしましょう」とか。
「タバコ吸い過ぎはダメですよ」という健康指導を地域の人ともっと一緒になって市民に伝えていくと。

こういったことを後押しすることで、ドーンと元気になっていただきましょうよというのが今の政策です。
で、目標値があります。

2020年までに1歳。まあ、全体で平均で健康寿命1歳以上のばしましょうよと。
1歳、なんです。1歳のばすと。これあくまで国が言っていることですよ。どれぐらいと言っているかというと。

「このペースで健康な人を増やしていければ、医療や介護にかかるお金を5兆円規模効果が出せるんじゃないの」と言う人もいます。
だから、これいろんな意見があるんですけど。
まあ、やらないよりやったほうが財政的にもいいよねというのは間違いないわけです。これがひとつ。
もうひとつあります。この1、2年。とりわけ声高にこの「健康寿命」と言っているのには、もうひとつ背景があります。よく聞きません?「成長戦略」って。
もっと稼ぐ国にしていきましょうと。経済を元気にして行きましょうというなかで注目されています。
もしシニアの方がもっと健康に関心を持ったり、実際に元気な方が増えると、いろんな業界が元気になるんじゃないか?
実際に動き出したり構想がある業界をちょっとご紹介します。

例えば、美容ヘルスケア業界。
「シニアのみなさん、お元気ですね。私たちの化粧品を買ってもっと美しく生きましょう。私たちの化粧品にするとすこやかでいられるかもしれない。どうでしょう?」という物が売れるかもしれません。
それから、こんなのがあるんです。

健康診断ビジネス。
「シニアのみなさん、今、健康診断受けていますか?時間がない、忙しいという方も、うちで一項目だけ簡単なのをしていきません?」実は最近では、病院だけじゃなくて。
例えば都会の雑居ビルの一室だとか、コンビニエンスストアの中でちょっと血を抜いて、一項目だけ健康診断をやりましょうかというビジネスも始まっているんですって。こんなのもあります。

医療ツーリズム。
実際に始まっています。「シニアのみなさん、健康に関心ないですか?健康になれる観光ツアーをご用意いたしました」
これ実際に糖尿病になりかけていたり、それから初期の方を対象にしたツアー始まっていましてね。
行くでしょう観光地。昼間。近くをウォーキングする。ホテルに帰ったら保健師さんに栄養の指導などしてもらう。夜は豪勢な料理は出ず、低カロリー。健康一番、というのを楽しみながらやりましょうというパッケージが始まっていると。
ビジネスチャンスとみている企業がどんどん増えていて。国もそれを後押ししようとねらっています。

もし、これが本当にうまくいけば、こんな業界も元気にならないかな?と。
スポーツジムにエステに温泉に趣味。実際にスポーツジムの会員の率を見ると、60代以上のほうが若い人よりも多いというところも出てきているんです。
お年寄りだけじゃなくて、現役世代もみんなハッピーになれるという、こんなもくろみも一部にあるということであります。

小野 アナウンサー
なんでもお聞きになっていただくべく、きょうは専門家の方々にお越しいただいております。何からいきましょう?

髙田 さん
健康寿命の1歳。1歳をのばす、ということ。なんか少ないような、けっこうハードルが高いような。
実際むずかしいんですか、これは?

近藤 さん
今までの実績で言いますと。日本というのは世界に例がないほど寿命を伸ばしてきた国です。
健康寿命とは、寝たきりとか認知症にならないで、元気なまま生活楽しみながら過ごせる期間、とも言えるんですね。
その意味では、日本でも定年退職する年齢がこの間伸びていて、健康寿命を少しずつ伸ばしていくというのは、まだまだいけるんじゃないかなと私は考えています。

髙田 さん
可能なんですね。

大渕 さん
健康寿命というのは、身体が動かなくなったという話だけではなく、気持ちの問題も入っています。
「あなたは健康だと思いますか?」という質問にどう答えるかということもあるので、場合によっては、きょうから少し多幸感を持って、あまりクヨクヨしないようにすると、もう明日から簡単に1歳ぐらいは縮まっちゃう可能性はありますね。

髙田 さん
気持ちの持ち方しだいで縮まっちゃうということですね。

小野 アナウンサー
ツイッターではこんなご意見がきています。
「健康寿命が伸びても平均寿命も伸びているから、簡単に社会保障費抑制とはいかないのでは」

後藤 解説委員
そうですね。今平均寿命が伸びていますけれども、実際は健康寿命も伸びているんですね。
ただ平均寿命の伸びの方がちょっと大きいので、その差の幅がどんどん広がってしまっている。
なので健康寿命をより長くすることによって、この差の幅を縮めていこうというのが今、目的になっています。

大渕 さん
寿命の考え方としては、限界寿命と言いますが、人間は最高でも120歳ぐらいまでしか生きられないというのが、遺伝子で決まっているんですね。
ただ、その間健康かどうかというのは、まだまだ変えられる余地がある。
寿命の長さに健康寿命がだんだん近づいていくようになれば、社会的にも財政面でも助けられるんじゃないかと考えられるんです。

近藤 さん
ただそれには論争があって、介護がいらない元気な時間がのびるので、介護費用は減ると思いますが、その間、例えば、ずっと高血圧の薬を飲む方がいたり、年金が必要になったりと、全部ひっくるめて考えると、そんなに全体が大きく下がるというほど甘くないんじゃないかという意見もあります。

小野 アナウンサー
ツイッターには、たぶんご高齢の方だと思われるんですけれども。
「われわれが長生きしたら若い人たちに負担をかけるのかな?」という不安な声がきています。

後藤 解説委員
いえ、高齢者の方がもう4人に1人。全国で3千万人の方が高齢者の方がいらっしゃる。
そういう方が本当に地域、社会のためにいろんな役割を持って活躍していただければ、本当に人口が減ってしまって、どんどん縮んでいくような社会を活性化してくださるすごいパワーになっていくと思うんですね。

大渕 さん
結局、若い人もいつかは歳を取るんで。
高齢者の方が暗く過ごしているんだったら、将来暗いなと思って。気持ちが若い人もなえてしまうと思うんですね。
そんな遠慮をすることなく、どんどん元気に長生きしてもらって、「ああ、いい社会だな」と思えるようになっていくべきだと思いますけどね。

中村 さん
なんかこの頃、活字的にも言葉的にも「高齢者、高齢者」というのが多すぎるのよ。
だから、なんかもう60を過ぎると高齢者意識で過ごしてしまうようになるんじゃないかしら。

小野 アナウンサー
その意識をまず、外したほうがいいということですね。

近藤 さん
世論調査してみると、その方の年齢によって高齢者が何歳からか?というのが変わってくるんですね。
大体80代の方に聞くと「いや、高齢者は85からだ」という。
つねに自分の年齢よりも上の年齢のほうを高齢者と言うというような方は、けっこう多いんですよね。

小野 アナウンサー
メイコさん、こういうふうに「みなさんは大切な国家のお財布なんで、長生きしてください」と言われることって、ちょっとムッとしたりしないんですか?

中村 さん
ムッとしますね。ちょっと失礼よね。

近藤 さん
そういう意味では健康寿命というのは、お金の話が今、先に出てきましたけど。
実はなによりも元気な期間が伸びる、人生楽しめる期間が伸びるというので、ご本人にとっては間違いなくいいですし。
もうひとつはご家族ですよね。親御さんが要介護状態になると、仕事の両立どうするかとか、そういう問題起きますよね。
そういう意味では、元気で子どもたちに世話をかけない。
それは実は、ご家族のためにもなっているという。そういう面も見るべきだと思いますね。

髙田 さん
お金のことがセットで発想しちゃうと思考が止まっちゃうんですよ、僕らも。
成長戦略だから、ビジネスにつながるから健康寿命のばそうとか、そういうところから始まっちゃうとね。
今の話みたいに、じゃあ、年金も、介護費用もかかるし、みたいになっちゃうじゃないですか。
もっとシンプルにピュアに考えて行ったほうが、いろんな発想が出るような気がするんですよね。

徳永 アナウンサー
そこでひとつ紹介したい例があります。
どうやって健康寿命を伸ばしていくか。。実は都道府県ごとに健康寿命って平均値が出ていて、傾向がハッキリ出るんです。
いいところがあるんです。ちょっと見てみましょう。
みなさんのお住いのところはどうか?ランキングです。

静岡と愛知が男女ともに、とても上なんですね。
ちなみに、きょうのお客様お二人、東京都民ですが。こうなっております。

そろって上のところもあれば、どっちかだけ上というところも、もちろんありますが。
大事なことは、今、健康寿命みんなで上げようとしているのは、それぞれの下の県が上をねらうぐらい、みんなで競いあって全体を上げていこうじゃないかということなんです。

小野 アナウンサー
どうしてこんなに違いが出るのか?何をしているんですか?

後藤 解説委員
例えば静岡とかですね。気候が温暖だとかお茶を飲むとか、まあいろいろとありますけれども。

県に聞いてみますと、ふつう健康でいるために必要なものといいますと、運動。
そしてやっぱりバランスのとれた食事、栄養です。
今までこの2つに注目してやってきたんですが、静岡県では『社会参加』に注目しているんですね。
つまり地域の活動とかに参加して、生き生きとハリをもって生きていく。そういうことが大事なんじゃないかと。
それで、実際に調査をしてみました。

1万人あまりの高齢者をおよそ10年間見てみたところ、この何もしていない方の死亡率を100%としたところ、運動や栄養をしっかりやっていましたという方は30%ほど死亡率が下がっていた。
それに加えて、社会参加ですね。週に2回以上、そういう活動に参加していた方の死亡率というのは、なにもしていない方に比べて半分にとどまってると。
運動とか食事とか血圧などに気をつけるとともに、生き生きと参加できる、なにか生きがいを持ってもらうというのがすごく大事だということをおっしゃっていましたね。

中村 さん
あたしね、80歳になったときに調べてもらったら。デビューが、この女優業の2歳半なんですね。
そうすると77年間ずーっと働いているんですよね。
だから、幼稚園が始まったときから二足のわらじですよね。学校は早めに失礼してしまったんですが。
それで、わりに早く結婚して、早めにトントンと3人の子どもができたので、23で結婚してから、そうですね。
2時間半ですね、睡眠時間は。
それで平気なんです。だから、ものすごくいい状態で、深く寝ているんでしょうね。むさぼるように。
それで気持ちよくパッと目覚ましはかけますけども。この頃は目覚ましより先にどんどん目が覚めて。
それで健康なのは、あたし心当たりはね、明るさだけです。
悩まない。ちょっとイヤなことがあっても。まあ、いいや。明日なんとかなるわよと。
本当に「ケ・セラ・セラ」で生きてきてしまって。だから、たぶん私はいまだにどこも悪いところがないんです。
いちおう長期公演の舞台なんかのときは健康診断で全部調べてもらうんですけどなんだか壊れない。
あたしが思い当たるのは、やっぱり性格の明るさだと思うんですね。

後藤 解説委員
働くというのはすごく大事で。静岡県も高齢者の就業率は全国で4位。
やっぱり高いんですよね。あと注目したいのは、高齢者の方はやっぱり働きたいという方、本当に多いんですよね。

何歳まで働きたいですか?という質問です。
70歳、75歳までという方いらっしゃるんですけど。「働けるうちはいつまでも」という方がこんなにいらっしゃって。なんと80歳以上の方は40%以上が「いつまでも働きたい」

中村 さん
でも、昔の日本のおばあちゃまたちって、みんなそうでしたよ。
いっぱいいっぱいまで本当に家事をよくなさって。孫の面倒もみて。
人生ってこういうもんよ、という感じで。すんなり自分の運命を受けとめて。

小野 アナウンサー
そうですね。逆に今現在、あのように健康寿命のランキング上位に入ったりするような自治体などは、どういうことをして、お年寄りの方々を元気にしているんですか?

近藤 さん
地域で健康状態が違う『健康格差』と言うんですけれども、どんな要因がその差をもたらしているか?ということを研究していくと、いろいろ出てきます。
例えば、同じ町の小学校区が10個あって、転んだことがある方の割合どれぐらいか?というのを調べました。
すると、なんと"転びやすい町がある"ということがわかってきて、驚きました。年齢の影響を取りのぞいて比べても、なんと3倍転びやすい町があったんです。
調べてみると、スポーツの会なんかに週1回以上参加している方が多い町は転びにくい。
で、そういう社会参加の機会が少ないところで転びやすい、転ぶ方が多いということがわかってきました。
さっきお話出ましたけれども、社会参加すること、そうすると、行き帰りに歩いたりですね。
そこで人とのやりとりが生まれて気持ちが明るくなったり。いろんな効果があるんじゃないかなと。

髙田 さん
地形の問題じゃないんですね。運動量なんだー。へえーっ。

小野 アナウンサー
こうした、みんなで集まって、何かしましょうというときに地域で取り組んだりしようとするときに、ポイントとなることが実は他にもあるそうなんです。徳永アナウンサーです。


プレゼンテーション②

徳永 アナウンサー
はい。さっきメイコさんが健康のためにはやっぱり明るくいること、悩まないこと、とおっしゃいましたが、そのためにも、一人でずっと出ない、閉じこもりがちになったご年配の方にどうやって生き生きと出て来ていただけるかというのを、いろんな自治体が練っております。

出て来てほしいので、髙田さんに敬意を表してこのタイトルにしました。
さあ、どういう知恵を出しているか?まず東京、北区から。

北区というのは特徴がありまして。

ご年配のシニアの方が多いところ。23区で一番高齢化率が高いんです。

それもあってか、区役所に『健康いきがい課』という専門の部署があるくらいです。
さあ、出て来ていただこうと目をつけたのが古くからやっているある取り組み。

配食サービス。安否確認もかねて、お弁当を作り一人暮らしのシニアの方に配達するのですが、これだと出て来てもらうわけにはいきませんよね?
発想を逆にしようと。こんなものを始めました。

配るんじゃなくて、食べにおいでと。
食事会をいたしました。始めたところ順調だそうです。
ただ、お越しになるだけではありません。

あら、ちょっと人前に出るとなると久々にお化粧を。おしゃれしなきゃいけませんわ。
いやいや、私だけ食べているのは申し訳ないから、私も一緒に作らせていただけませんか?と。
どんどん元気な人が出て来て、上手くいったそうですが、ひとつ悩みがあります。こういうことです。

女性の方は比較的出て来て下さるんです。
男性は「いや、そんなの用意されてもさぁ。行きづらいよ」
今回スタッフもいろんな取り組みを聞かせていただいたんですが。どこの自治体も総じて悩んでいるのは、男性のシニアの方にどう生き生きしていただくか?ということ。
なにかないか?と思って探して、いいところがありました。

千葉県の柏市をご紹介します。柏市の方たちも頭をかかえておりました。

郊外ですから、高度経済成長のときに団地ができた。

その頃、働き盛りだった方がちょうど今、引退される時期なんですね。
豊四季台地区という大きな団地があって。

今、実はここは高齢者率が42%。
この人たちにどうやって生き生きと、出て来てもらうか?閉じこもりの方をどう減らすか?ということなんですが、ここも取り組みはしていたんです。

おせっ会サロン。お茶会。盛況です。が、ごらんください。女性ばっかり。
そこで、なんとかしようと立ち上がります。

団地の運営をしているURというところと柏市、それに高齢化社会を研究している東京大学の部署があるんですが。
ここが一緒になって、どうやったら男性の人に気軽に出て来てもらえるか?知恵をしぼりました。

例えば、ただのお茶会じゃなくて。現役時代、本をいっぱい読んで、新聞も電車で読んでいたでしょうから、活字がお好きなのでは、図書館を一緒にやってはどうか。
やっぱり男性の趣味は昔も今も一緒。囲碁と将棋ができるサロンを開いたらどうか。
いやいや、昔と今はシニアの像の変わってきていますよ。ゲームセンターを作るといらっしゃるんじゃないか。
いろんな意見が出たんですが、団地に住んでいる一人暮らしの男性の方に「どうですか?」とそれぞれ案を出したら「ちょっとねぇ...。行きづらいなぁ」「それをしてもらって申しわけないけど」という感じになって。
「じゃあ、なにがあれば出てきますか?」と聞いたんです。
そうすると、あるキーワードが出てきたんです。
さっき、さんざんお話になったことです。コレでした。

仕事があれば協力します。
ああ、やっぱり何歳になっても働きたいということが、あるというのに気づきました。
みんなで探したところ、いろいろ仕事はありました。

耕作放棄地が増えているんで、農家の担い手がいません。子どもが困っています。
よく聞きませんか?保育所、学童保育。担い手が足りません。
シニアのみなさん、助けてくださいと就職相談会のようなものまで企画しましたら、いろいろにぎやかになって参りました。

農業やりたかった人もいます。それから、子ども好きな方もどこにでもいらっしゃいます。
そして、こんな発見もありました。

英語。いろんな企業で働いた方ですから、世界中渡り歩いた方もいます。英語ができます。
学童保育に今、求められています。なぜかというと、昔と違います。今、小学生も英語を習います。英語を教えられる人を求めています。ピッタリはまった方もいらっしゃいます。

小野 アナウンサー
いや、でもどうなんでしょう?こんなにがんばって引っぱり出さないといけない状態って。

後藤 解説委員
引っぱり出すというよりは、先ほどありましたように役割がほしいというか、なにか役に立ちたいとか、だれかに必要とされるうれしさって、ありますよね。
しかも、いろんなスキルを今まで経験されて持っていらっしゃる。
一方で地域にはああいうかたちで、保育にしても学校の補助にしても、いろいろな担い手がいなくて不足している。
そのニーズとそれをマッチングさせる仕組みとか仕掛けがあれば、どんどん広がっていけると思うんですよね。

小野 アナウンサー
これは相当丁寧にマッチングされていると思うんです。こんなことって自治体で出来るものですか?

後藤 解説委員
自治体だけでは、やっぱりむずかしい。今上手くいっているのは、自治体の方だけがなにか考えてやるのではなくて。
本当に住民の方々を巻きこんで、「一緒にアイデアを出していきましょう。そして、一緒に担い手にもなってください」というように楽しく、いい環境を作っているところ。
住民の方が自分で提案したのは、やっぱり楽しいから、自分も参加しましょうという感じになりますし。

髙田 さん
自分から能動的に行かないとストレスになっちゃうじゃないですか。引っぱり出されるとね。

小野 アナウンサー
実際にね。「こういう政策はっきり言って、当の老人からは余計なお世話という気がする」という声がありました。

大渕 さん
豊四季台団地は今ですけど、これからどの町でも40%ぐらい高齢者がいて。
今、自治体とか地域のみなさんの考え方がこの高齢者を支えなければいけないというか。
そういう意識でいるのが、ちょっと余計なお世話だと。
むしろ、われわれはこれ困っているから助けてくれとか、生かすような感じで。
お願いできませんか?というのを、ひとつひとつ言っていけば、変わるんじゃないかと思うんですけどね。

中村 さん
プライドとか見栄というものは、歳をとってもありますからね。

視聴者の声

熊本県・50代・女性
「高齢者も働き手という視線が生まれている。これが高齢者への温かな視線につながればよいのだが。経済力だけでとらえられて尊敬されなければ、使い捨てだ」

後藤 解説委員
そうですよね。ただ、お金をという、儲けてくださいというのではなくて。
やっぱり本当に地域のために、誇りある仕事やみんなに喜んでもらえるような仕事というものをどう作り出していけるのか?
たくさん、もう小さなものでいいから無数に網の目のように広げていけば。
本当にいろんな居場所、出番、役割が作れると思います。お年寄りも「銀の卵」と今、言われていますからね。
若い頃は金ですけど、今はもうシルバーですから。とてもいい意味でですよ。
銀の卵の方にがんばっていただくというのが、この日本の社会を本当に幸せにできるかどうか?カギをにぎると思うんですね。

中村 さん
でも、あたしなんかの世代って。
ほら、昔を振り返ると、母とか祖母なんかはみんな隣組の何かをやっているとか、今うちはお当番だからとか、せっせと几帳面にやる国民性がありますからね。
だから、声かけていただいたら、そこに参加することは得意な国民だと思いますね。

大渕 さん
同じ働き方でも電車に乗ってどこか行って働くというよりは、65歳を越えたら地域のなかで働いて、面倒を見たり。だんだんに地域のほうに集まって行く。
つながりを再構築するような感じの働き方にすれば。ただ一生懸命働いて今までと同じように続けようとするのは、ストレスもかかりますし。
今メールであったような、働かされている感じがすると思うし。もっと自分が生きていって、社会が楽しくなるために働くような働き方というのを作られるといいと思いますよね。

後藤 解説委員
そうですね。たとえばワークシェアリングというようなかたちで、ひとつの仕事を3人のお年寄りがやることで、みんなで短い時間でも働きやすいようにする。
いろんな多様な働き方を作り出していくのが大事ですよね。

髙田 さん
行政だけに頼ったらダメなんじゃないですか、やっぱり。
民間を巻きこんで、いろんなアイデアを広げていかないと。

後藤 解説委員
団塊世代の方の知恵や工夫ってすごいと思いますから。

大渕 さん
高齢者が持っている力って、まだまだたくさんあるんですね。
それをやっぱりどんどん引き出していって欲しいと思います。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る