2014年11月08日放送放送内容まるわかり!

お店が遠すぎる... 都市でも増える"買い物弱者"

食料品の買い物に不便や苦労を感じる"買い物弱者"。 先月21日、農林水産政策研究所はその数が2025年には全国で598万人に達すると発表しました。 しかもその半数以上の349万人は、店が多く便利だと思われがちな三大都市圏や地方都市だというのです。 さらに、生活が不便だというだけでなく、健康にまで大きな影響が出るとの指摘も。 なぜ町なのに買い物弱者が増えるのか? 暮らしにはどんな影響が出るのか? 深読みします。

今週の出演者

専門家

秋川 卓也さん(日本大学商学部 専任講師)
有友 フユミさん(NPO法人お互いさまねっと公田町団地 理事長)
後藤 千恵(NHK解説員)

 

ゲスト

髙田延彦さん(元総合格闘家)
安田美沙子さん(タレント)


プレゼンテーション①

中山 アナウンサー
「買い物弱者」、山あいの、過疎地でのお話じゃなかったんです。
今や、こうした都市部。三大都市圏ですとか、地方都市の市街地で増えていて、2025年にはその数598万人になる。
この後、更に増える見込みであるということが明らかになりました。
その実態を掴むために、1000人以上の方にご協力いただいて、アンケートを行いました。
そこから見えてきた、都市部の典型的な買い物弱者を皆さんにご紹介いたします。

都市部郊外の団地にお住まいのこの方でございます。
深 読惠さん。年齢80歳。運転免許はありません。70歳の時に返納しました。夫に先立たれて一人暮らし。年金をなんとかやりくりして生活している方で、都市部の団地に住んでいます。
さて読惠さん、食材を求めてスーパーへ買い物に行ことにしました。
確かに町にはスーパーがありますね。では、出発!

♪買い物しようと読惠さん、で〜かけた〜ら。

閉店。撤退していたんです。団地の隣にあったスーパーです。

かつては団地って、こうした家族の方々住んでいましたよね、子どももたくさんいた。
でも、その子ども達は成人した。残ったのが高齢者。

今、一人暮らしの高齢者が増えてるんです。
で、店側からすれば、そうした高齢者は食べ物を買う量が少ない。
高齢者ばっかりじゃ、モノが売れない。採算取れない。撤退、となります。
でも、まだスーパーはこの先にも、この先にもございます。ある。そう。あった、あった。

まさにあたたた、となったんです。マンション、ビル化進んでいます。
都市再開発で、商店ですとかスーパーは軒並み無くなっているんですよ。
読惠さん、しかたなくさらに歩き続けます。

小野 アナウンサー
そこに赤い線がありますね〜

中山 アナウンサー
これ、ポイントですよ。500メートル、もう家から出て歩き続けるんです。

歩き続けてこの500メートルを超えた、この瞬間に読惠さん、買い物弱者になりました。

小野 アナウンサー
え〜、どういうこと

安田 さん
500を超えるとなっちゃう?

髙田 さん
距離が関係あるの?

中山 アナウンサー
説明しましょう。距離が重要なんです。
国の研究機関が定めた、いわゆる「買い物弱者」の定義が3つあります。

「65歳以上の高齢者」で、「車をもってない」、そして、「家から生鮮食品のお店までの距離が片道500メートル以上離れている」。
この500メートルって、高齢者が一度に不安なく歩けるとされている距離。分数にすると,10分強くらいです。
でも、読惠さん、その距離を遥かに超えまして、歩いたのは結局、その先についたスーパー。

距離は714メートル、今、都市部の買い物弱者の平均値では、家から生鮮食料品店までの距離が714メートルあるということがわかってきました。

ようやくの思いで着いたスーパー、ここで買い物をします。選び出したのがこれ。
魚に牛乳にお肉に卵にお野菜に果物などなどなど、すごい量なんです。買いだめ1週間分するという方が多いんです。
で、中ではですね、取材で伺うとこうした牛乳、袋にこう、持つだけでももう大変で仕方ないという方が多い。

だから、自宅からこうしたカートを持って来て、この後、帰り道へとなっていくわけなんです。
でも、この帰り道。まだまだまじってここに大変な事が潜んでるんですが、どんな事かというと...

髙田 さん
歩道走る自転車。

中山 アナウンサー
あー、もう、するどい!そうなんです。歩道は人で一杯です。

そこへ自転車が急に近づいて来る、とっさによけると、転んでしまう。
ぶつかりそうになった自転車をよけて怪我をしてしまったという方、今回、取材でお会いしました。
さらに、こうした歩道と車道の間に段差もありますよね、中にはマンホールの蓋が怖い、ですとか、この横断歩道の白線の部分がちょっと浮き上がっていて、ここで転びそうになって、怖いんですよという方もいらっしゃるんです。

髙田 さん
雨が振ると滑るしね。

中山 アナウンサー
滑るんです。で、更に行くと、横断歩道。まだ大変な事があるんですね。

安田 さん
あー、間に合わないんだ。

中山 アナウンサー
そうなんです。青信号が点滅し始めてくる。でもお年寄りまだ渡りきれない。
だって、都市部の道路、広いですから。もう間に合わなくて交通事故にあう、ということも。交通事故のうち、高齢者が占める割合は実に5割に達するそうで、特に歩行中が多いんだそうです。
でも、更にですよ。この後もまだまだ大変な事がありました。行くだけで普通に歩いて15分、帰ると更にもう家の近くまで来たら30分くらい立っている。
ずっーと立って歩いているともう疲れてヘトヘト。ヒートアイランド現象の都市部、熱中症になってしまうという高齢者もいらっしゃる。
70歳を過ぎるとですね、その割合ってどんどん増えるんだそうです。
若い人達からすれば、一見、普通の町かも知れませんが、お年寄り、高齢者にとってはもう恐ろしいところ、それが今の都市なんです。
読惠さん、ようやくへとへとになりながらお家に帰ってきました。
こうなると、「はー、もうこんな大変な思いして買い物したくない」「もう食事の量を減らしてでも買い物に行きたくない」っていう方もいらっしゃる。
その先にどんな事があるか。

買い物行かないで栄養が偏ってしまう。体力、気力も低下する。

で、家に引きこもりがちになってしまって、要介護状態になりうる、その果てにはですよ、先にこんな事も心配される。

孤立死。孤立死になった方、実際のケースでは、現金が家に残っていたのに、冷蔵庫が空っぽになって、餓死してしまっていたなんていうケースもあるんです。

こうした都市部の買い物弱者が2025年に今の倍近く、349万人になる。
そして、この後、高齢化が進んで更に増えて行くだろうというのが今の現状だったんですね。

安田 さん
大変な事がいっぱい出て来るんですね〜。

髙田 さん
そう簡単に解決する問題じゃないんじゃないですか?そのスーパーに行くまでの間にずいぶんストレスがかかるわけじゃないですか。
我々だって、この年齢で元気な状態であっても道歩くの最近、怖いですからね。
後ろから猛スピードで自転車がバッーと通り過ぎたり、ながら歩きをする人、我々がよけて歩かなければいけないっていう。

小野 アナウンサー
実際こんな声が届いています。

視聴者の声

「町は物価が高すぎる。年金だけでやっていくには毎日心細い限りです。
遠くに遊びに行った帰りに、安いところで買い物をして、大きなリュックにたくさん詰め込んで汗びっしょりになりながら杖を頼りに帰ってきます。」

「足が悪いんです。買い物に困っています。外出はタクシー以外、困難です。コンビニ以外になく、暮らしていて、一番困っている事が買い物が出来ない事。」

小野 アナウンサー
コンビニではだめなんでしょうか。

中山 アナウンサー
1000人以上の方に私たちが行ったアンケートですと、7割くらいの方々がやっぱり生鮮食料品はコンビニでは買えない、とお答えなんです。
品揃えが少なすぎるとおっしゃる。

安田 さん
料理するとなると足りないですよね。

小野 アナウンサー
秋川さんが物流の専門家で、都市部の買い物弱者の問題解決の方法を研究されていらっしゃいます。お願いします。

秋川 さん

買い物がお困りの方にアンケートとると、徒歩圏内にコンビニはあるって方がほとんどなんですよ、でも、見ていただくと、でも、食料品を買いたいというのはダントツスーパーマーケットなんですね。
特にその、都市部の場合は地価が高いのでなかなか大きなお店が作れないワケですよね、で、コンビニは作れるんだけども、ただ商品が豊富なスーパーマーケットが作れないと、ま、作ったとしても地価が高いので、あと、人件費とか高い、割高で、でやはり閉店してまうなどの問題があるわけです。

小野 アナウンサー
それでも他に便利な手段があるんじゃないか、思う気持ちも、ありますよね。
こんな声も届いています。

視聴者の声

「買い物する場所が減少しているのは事実ですが、その分、ネットスーパーなども急増しています。そういったサービスを上手に利用すべきではないでしょうか」

「今でも買い物には行けますが、宅配業者にほとんどの必要品を注文しているので、今しばらくは不便な感じはしません。」

小野 アナウンサー
有友さんはスーパーが撤退した横浜市の団地で買い物支援を行うNPOの理事長務めていらっしゃいます。
こういう声についてはどういう実感をお持ちですか?

有友 さん
そうですね。ネットスーパーって、結局はパソコンとかできないと使えない。
あとはやっぱり、コミュニケーションが大切だと思うんです。
ネットで、届けてくださるだけっていうよりは、お買い物する場所がコミュニケーションの場所で、人と人とがやりとりする場所だと思うので、私は表に出る事で出来るだけ、ま、出来ない方は仕方がないとしても、その方がいいのかなと思ってますね。

秋川 さん
あの、実際にやっぱりネットスーパーっていう選択肢もあるんですけども。

小野 アナウンサー
ネットスーパーも少ないですね...

秋川 さん

いやはや、13.9っていう感じで、そうなんです。困ってる方に聞いてもこういう事なんですね。
という事はまず一つは届けるには人手がかかる、人件費がかかると、それを誰が負担するかとなると、やっぱりそこに例えば、お客さんが負担すると、って話はなかなか難しい、と。
じゃ、かつ企業側が負担するとなるとこれ、薄利多売の世界なので、すぐに利益が飛んでしまうんですね。
そういった中で企業側としては撤退する所もまあ、出てくると、ネットスーパーが。
なかなかそうもいかないと、というのが現状ですね。

髙田 さん
スーパーとコンビニ比較したらもう、圧倒的に選択肢が違うでしょ。

安田 さん
そうですね。決まってなくてもスーパー行ったら、あれとこれ買ったらこれができるとか、考えながら買えるから、あれは楽しいですよね。

小野 アナウンサー
でもネット販売じゃなくても、その毎週注文用紙が来て、これとこれ選んでとか、私の実家の母もよくやってます。

有友 さん
いやたぶんね、高齢者はあんまりやってないと思いますね。
私たちはその、注文用紙で買い物の注文を受けたら、品物をお届けするいうお手伝いをやったりはしますけれど、実際はモノを書くことすら大変になる場合もあるんですよねぇ。

髙田 さん
ああ、それ字が細かくてねぇ。

有友 さん
そうです。そうです。二重に注文してしまったり、間違いがあったりとかっていうのは聞きます。

後藤 解説委員
都市部のお年寄りが買い物に行くのから遠ざかってしまうのは、やっぱり距離の問題だけではないんです。
実は、お年寄りが抱えている、大きな困難が3つあると言われています。

「健康」の問題、「経済」的な問題、そして、「孤立」の問題。もしも特に都市部のお年寄りであればですね、こうした問題がなければ、多少遠くてもですね、大丈夫って言えば、大丈夫なんです。
例えば、健康であれば、ちょっと遠くても自転車で行こうとか、バスや電車もいっぱいありますから、乗り継いで行こうっていうことはできます。
あと、経済的に余裕があればですね、ほんとにネットスーパーでも宅配でもお金さえあればかなり贅沢な物やいいものも買う事ができます。
あと、孤立してなくて、すぐに頼りにできる近所の人とか、家族がいらっしゃればですね、支援を頼む事もできる。
だけど、今、都市部の高齢者ではこうした困難を抱えている人達が少なくない。だから今、問題なんです。

例えば、東京都港区が、一人暮らしの高齢者の調査をしました。
多くの人は健康の問題を抱えていたんですけども、それ以外にも経済的な面でいうと、年収が150万円未満という方が32%、つまり月々10万円ちょっとの収入でなんとか暮らしているっていう方が3人に1人です。
あと、貯蓄も、200万円未満という人が5人に1人で、港区ですと4割の人が民間の住宅とか公営住宅に住んでらっしゃるので、家賃も払わなければいけない、月々10万円ちょっとの収入の中から家賃も払って、その残ったお金の中から買い物ってなるとほんとにもう気楽にネットスーパーで、宅配でとは、いかないっていうお年寄りも少なくないんですね。

小野 アナウンサー
ちょっとでも安いお店に行って買いたいと思いますよね。

後藤 解説委員
あと、もっとも大きな問題がこれ、孤立の問題ですね。
「近所の人とまったく付き合いがない」「あいさつを交わすぐらい」という方、あわせて港区では38%です。
同じ調査を山形でしたら15%でしたので、2倍以上だったんですね。
孤立しがちで経済的にも余裕がないという背景があるからこそ、都市部のお年寄りっていうのはほんとに買い物が難しくなっているということがあるんです。

小野 アナウンサー
私たちだって、今、健康で収入があるから大丈夫と思っていられるけど、わかりませんよね。

安田 さん
そうですね。

後藤 解説委員
まあ、都市部だとやっぱりお金があるとなんとかなるっていうケースはけっこう多いんですけれども、まあ、そうじゃない方がいらっしゃるっていう事に私たち、目を向けなければならない。

秋川 さん
一人暮らしが多いというのがポイントで、やっぱりこういった方は外に出てもらいたいんですよね。
やっぱり買い物って最後の砦なんだと思うんです。
ある程度使い分けて、使っていただくのはいいんですけども、それを全部宅配に切り替えるっていうのはいささか乱暴な考えだなという事ですね。

有友 さん
あと、孤立しがちになると、やっぱりどうしても家に閉じこもりがちになって、なんか生きる張りとか、生き甲斐みたいなものが失われる、そうすると何か食べたいとか、こんなものを買って食べたいという意欲すら失われていくっていう方が多いっていうのはありますよね。

小野 アナウンサー
どうすればいいのか、ということですよね。 買い物弱者が増えている今、高齢者が生き延びるためにいち早く都市部で動き出した例があるそうです。
実は一つは有友さんところの例です。中山アナウンサーからプレゼンをお聞きください。


プレゼンテーション②

中山 アナウンサー
そうなんです。都会で行われている買い物支援。
いろんなヒントになりそうだという事で、まず、後藤解説委員からもお話があった東京港区の例から行きますね、ここでキーワードになるのが、「自治体の力」。

港区のお年寄り、一人暮らしが多いんですよ。」

およそ1万人、で、買い物困っている方が43%いる。

小野 アナウンサー
ちょっと意外ですよね、港区虎ノ門ってもう、いかにもオフィスの町で、そもそも住宅もそんなにあったんだって思うくらい。

中山 アナウンサー
そう思いますよね、私、行ってみました。意外と多いんです。

昔から住んでる方の家っていうのが、ビルの間に入って、あるんですよ。
そしてビルの谷間に商店も、ほんのわずかになっていますが、残っているんです。
でも、距離もあり、そして、道が広いのですよね、お年寄りがなかなか買い物に行けない。

そこで、港区の職員の島田さんという方がですね、ここに目をつけました。

なんとか残っていた商店と区の福祉施設。
区の施設ってカルチャー教室ですとか、入浴サービスなどを行っていて、高齢者の集まる所なんです。
ここで商店に店を開いてもらって、週に1回売ってもらいましょうかと。

小野 アナウンサー
いや、それは普段からそこに行ってる人はいいかも知れませんが、そうじゃない人にとってはただ歩いて行くしんどい場所が商店から福祉施設に変わるだけじゃないんですか?

中山 アナウンサー
そう思ったんですよ、でも、実は。

この施設、区内を巡回しているバスが来るところなんです。
町中回ってるから、だれでもここに来られる。

商品は商店が仕入れをいつも通り行う、商店が行うのはそれだけ。
その商品を運びこんだり、売ったりするのは区が委託したシルバー人材の方々にお願いをする。
その販売している様子も見てまいりました。

お年寄りがお買い物に次から次へと訪れていました。
販売するシルバー人材の人たちとお話しながら、買い物を楽しんでいる。
野菜、果物、調味料、お菓子などが並んでいて、お年寄りが買いやすいように1つずつ小分けにされたものや、サイズも小さめのものが販売されている。なので、お年寄りも喜んで買っていく。
事前に注文すればお米や、トイレットペーパーなど、大きな物等も家に一緒に届けてくれると、いうサービスも行ってるんです。
お年寄りたちに好評なんですが、この中で一番売れているものってなんだと思います?

髙田 さん
売れてるもの?

安田 さん
意外とお菓子とかですか?

中山 アナウンサー
おお、正解!こんな感じなんだそうです。
「ああどうも、久しぶりです。お元気でした? 」「せっかくだから家でお茶していきましょうよ」と、お菓子を買って行く。
「じゃあ次は家に来て下さいよ」って事でまたお菓子を買って行き、お年寄り達の交流の場にもなっていく。

ここに来るお年寄たちは、商店からするともともと昔よく来てくれたなじみのお客さん達。

商店の売上も結果、少しはこう、売上アップしたという事だったんです。

小野 アナウンサー
でも、このー、シルバー人材センターの人件費は誰が払ってるんですか?

中山 アナウンサー
これは区が負担しております。だから、自治体のパワーという事で、この取り組みだったんですね。
自治体が商店と組んで、盛り上げたという事です。
さらに、もう一つ見つけました。

私、中山が都会で見つけた買い物支援ということで、今日起こしの有友さんの団地での取り組み、神奈川県横浜市の栄区で、住民達が中心となって取り組んでいる事がポイントです。

有友 さん
はい。

中山 アナウンサー
こちら、ご紹介しましょう。

行ってまいりました、公田町(くでんちょう)団地。
ここは高齢者が住人の30%以上を占めるようになった、まさに先ほどの模型にあったような団地なんです。

有友さんもおしゃっていましたが、スーパーがあったのに撤退、その後、コンビニも入ったのに7年前に撤退したんです。

時を同じくして、団地の高齢者の孤立死が相次いでいた。
住民の皆さんどうしようかと、お話になったんですよね?

有友 さん
そうです。自分たちの事ですのでね、特にやっぱり関心は高かったです。

中山 アナウンサー
高齢者の孤立をなんとかせねばいかんという事で、住民はこれを作ったんです。

週に一度、あおぞら市を開いた。ここで食品など買えるようにしたわけなんです。
仕入れなども住民達が担当しました。品物を仕入れて、5円とか10円ですとか、ちょっと上乗せして販売してわずかながらも運営資金はしっかりと確保して、6年間続いています。
今や、お年寄りが出買い物に出て来るようになった。
で、有友さんたち考えたんです。スーパーが撤退した空き店舗のスペースを使ってもっと高齢者集まれる場所にする事ができないか。

すると、国や市などの行政が、そんなに効果を上げた取り組みをしている皆さんだったら、補助金を出しましょう、ということになった。
空きスペースがどうなったか、見てまいりました。もとスーパーがこのような形に。

中、広いですけども、食堂ついてる。

安田 さん
食堂まである〜。

中山 アナウンサー
夕ご飯、日々、いろんなメニューに変わって日々食べられて、日用品も取扱い、更には広いスペースの中で。

安田 さん
わー、すごい!

中山 アナウンサー
ヨガ教室もあり、こんなダイニングでは将棋も。
このお父さん、「家にいたらもう相手いないんだけど、ここにくれば次から次へと対戦相手が増えて楽しくてしょうがないよ」とおっしゃておりました。
この運営はすべて有友さんたちが行っているんです。

小野 アナウンサー
みなさんのお給料も払える状態なんですか?

有友 さん
ええ、食堂では、独立採算制をとってまして、ほんとに半分くらいですけども、利益も上げてってやってるところなんですね。
で、私たちスタッフはほんとにお弁当代くらいは出せるように頑張っているんです。
まあ、夕食ぐらいですけどね。でも、自分たちもいずれ高齢になっていくじゃないですか、今は少し元気だけど、今困っている方とお互いに支え合える場所って思っていただければいいと思うんです。
困った方がいらして、で、それを支えることは、ここで住民の中でやれていくっていう場所なんですね。

小野 アナウンサー
いや、素晴らしい事なさっていると思うんです。
でも、港区の方は税金の持ち出し、有朋さんたちの取り組みも成り立たせているのは善意の持ち寄りと言えばそうですよね。それでいいんでしょうか?

有友 さん
あの、我々住民はすごいやる気はあったんだけれど、お金もないし、そう言った力もないしっていう所を行政さんが助成してくれて、団地の運営元も力を貸していただいて家賃を下げてくださって、この取り組みができておりますのでね、これを私たちは自分たちの力でずっーと続けてきたいと思うんです。

小野 アナウンサー
実際問題、続けて行けそうだと思ってらっしゃるんですか?

有友 さん
はい。思ってます。今のところ。
行政の助成金というのは限られた期間しかなくて、うちは最初の時は2年いただいて、その後は毎年申請しているんです。
我々がこの憩いの居場所を維持するには、家賃として11万6300円くらいは払わないといけない。
そのこともあって、今は一年で170万ぐらい行政からの助成金としていただいているんです。

小野 アナウンサー
170万?

有友 さん
はい。それはほとんど賃貸の経費になるんです。

小野 アナウンサー
どっちにしても公のお金が掛かって来るんですね。

有友 さん
はい、そうです。

髙田 さん
でも、あれじゃないですか、やっぱ民間とか個人商店になると、これ、もう採算が合わなければ撤退するのも当たり前の話じゃないですか、ボランティアじゃないわけだから。自分たちの生活もあるわけだから。

小野 アナウンサー
採算は絶対立たないんですかね、高齢者がこれからどんどん増えていくときに、その高齢者を対象としたビジネスというものが、成立しないものなんですか。

秋川 さん
ビジネス側も、そこはやっぱり、変わらざるを得ない、ところがありまして。
企業としても、ここ数年、高齢者をきちっとマーケット、市場として捉えた上で、例えば生鮮食品を扱うコンビニが増えてきている。
あるいは、価格が高いと言われていても、実はけっこうプライベートブランドの食品を使って、ちょっとある程度、割安な商品を提供するという風に、今、変わっています。

そういった中で、行政とか住民だけで取り組むっていうのは、なかなか難しい。
採算ベースで出店や撤退する企業側は確かに、ちょっと悪者に見えてしまうんですが、一方で物流ルートとかですね、仕入れルートとかですね、きちっとしたものを持ってます。
だから、そういった力も使いながら、この3者がやっぱきちっと協力しあった上で、考えて行くっていうのが、今後、やっぱり絶対に必要な事だと思います。

髙田 さん
行政も高齢者の課題はずいぶん前からわかっているわけだから、今、手をつけるっていうんじゃ遅いよね。

秋川 さん
まあ、ただその、補助金っていう話がいっぱい出てきたんですけど、買い物弱者は今後600万人になるわけですよ。
それじゃ、全部補助金を出すかってなると、財政難なのでそこは難しい。だから有友さんたちの活動のような地域資源がポイントなんです。
高齢者の方って弱者じゃないんですよ。労働者としても働ける方がいっぱいいますし、あるいはその空き店舗とか、地元には使えるものがいっぱいあるわけです。
そういったものをうまく使えば、うまくコストダウンできちゃう。よく考えてみるとプロでも撤退したわけですよ、そこで有友さんたちがこうやって継続性をもってやるっていうのはすっごく大変な事です。

髙田 さん
そうですよね、驚きですよね。

後藤 解説委員
民間の業者だと、やっぱり経営がうまくいかない、成り立たないってなるとすぐ撤退してしまいます。
だけど、住民の方がやる場合、撤退して困ってるから始めるわけですよね、全国の団地でいろんな取り組みやってる所、今、出てきてるんですけども、たとえばひたちなか、茨城県ひたちなか市のNPO「なかよし」っていうところでは、売上によって皆さんのもらえる賃金を決めてるんです。
有償ボランティアの方が90名くらいいて、このぐらいの売上あるから、じゃー、時給240円ね、としている。だから、絶対に潰せない、じゃ、ここを成り立たせるためにはどうするかっていう事で、みなさんで知恵を持ち寄り、汗を持ち寄り、なんとかやってらっしゃるんですね。
お客さんがたくさん集まるように、例えばお惣菜にしても、スーパーとかだといつも同じようなメニューになりますけど、そこでは毎朝会議を開いて、今日はどんなのにするか工夫する。
結果、創作料理みたいなお料理が並んでですね、大人気だという事なんです。
そこを立ち上げた後に、近くにスーパーが出来たんですけど、お客さんが「なかよし」に来るんだそうです。
それだけ人気の店になって、経営もなんとか黒字でやってるという所も出てきてるんです。

小野 アナウンサー
有友さんはどうして、やれたんですか?

有友 さん
いや、最初にありましたね、孤立起きて、ちょっとなんとかしなくっちゃっていう、みんなの声があって、住民の中で集まって、で、買い物が一番困ってるよね、じゃ、やっちゃおうみたいな形でやったので、ほんとにこういう形になると思ってはやってないんですよ。
一つずつのステップアップで、まず買い物をお互いにやりながら、そのうちに、こういう居場所もほしいね、とか、ほんとにみんな想いが一致して、その中で一つずつステップアップしたのが、この今の居場所なの。

後藤 解説委員
有友さんのところのようにですね、全国から注目の取り組みをしている所のリーダーの方に伺うと、やっぱり最初はそんなに注目を集める物になるとは思わなかったと、ほんとに困ったから、どうしようもないからやり始めたんだと。
そして、みんなでこう力をもちより始めたら、どんどんうまく回るようになった、ということのようなんです
例えば、大阪の和歌山台団地での取り組みでは、団塊の世代の男性も多いそうですが、もう困ってるからスーパーをここに呼んできましょう、という事で一緒にやりませんか、と呼びかけると、わずか数日のうちに26人のメンバーが集まって、やり始めた。
だから、なんかやりたいけど、やれないと思ってらっしゃる方がいらっしゃって、で、じゃあやろうという、言い出す方がいらっしゃって、そうすると、なんかこう、回って行く。
しかも、ただ、買い物支援だけじゃない、生き甲斐作りとか、地域の溜まり場とか、なんか、そういう事、合わせてやろうっていう事になる。

有友 さん
買い物だけじゃないんですね。
買い物にいらっしゃる、そこがもう昔あったスーパーとかコンビニでその、それこそ、井戸端会議やりますよね、そういったのが全然なくなったわけなんです。
だから、お買い物に来た所でお茶をしたり、みんなでしゃべる、その場所を始めて、やっていった中で、こういう居場所も、という感じになっています。

安田 さん
最初のコミュニケーションがなかったら、発展しなかったわけですもんね。

有友 さん
そうです。

安田 さん
そこが作るのが難しいような気がします。

小野 アナウンサー
そこをどうやって作ったんですか?

有友 さん
なんとかしなくっちゃっていうので行政と私たち住民も一緒になって、5回ほどタウンミーティングをやったんです。
そのときは75名くらいだったんですけど、その後、実際やろうということになったら29名になった。

小野 アナウンサー
ひとりひとりがどれくらい頑張らなきゃいけないか、収入がどれくらいあるか、わからないで始める・・・。

有友 さん
はい、そういった事をやるとやっぱり、そこまではという人が、やっぱへっちゃうんですね。
でも29名は確実に、なんとかしなくっちゃってという人たちが残ったんですよ。

視聴者の声

「地方在住から見ると、都会は便利すぎる街のイメージなのに、違うみたいだなぁ」

「将来の自分たちへのサービスになると思って、働く世代がもっと考えないといけないんだと思う。他人事ではないのだがら」

「買い物弱者は老人だけじゃないよ、乳児抱えて買い物いくのも大変だよ」

「ビジネスとして成り立つかは客単価も大切かも」

小野 アナウンサー
有友さんたちのところでは、その団地の人だけじゃなく、周りの人たちも買い物に来るようになったんですか?

有友 さん
来て下さいます。バス停がちょうどこの「いこい」のちょっと上にありますので、そこを利用される方はときどき寄って下さったりとか、お茶もして下さったり、もうその地域でという事になっています。

髙田 さん
後はその、自分から玄関開けて外、歩き出す事が出来る人と、要するに体が悪くて出れない人ってわけなきゃダメですね。

有友 さん
そうですそうです。ほんとに来て下さいっていう、ほんと来れる方はなるべく一日に一回はお外に出るとか、そういった事が一つの健康作りにもなるし。
それからほんとにね、もうお家でいたらコミュニケーションもなんもないでしょ?
逆にこう、痴ほうの方に行っちゃうことがある。なので皆さん、一緒に出ましょうってよく声かけするんですよ。

秋川 さん
もうこれから人口減るんですから、お店が勝手に作られるって時代ではなくなっていくんですよね。
だから、どうやってお店を地域に呼び込んでいくかっていう努力が大切なんです。
これはもう、行政だけじゃない、企業だけでもなくて、住民が考えていかないといけない。その地域のあり方ですね、これは先ほど子育て世代って話がありましたけど、じゃ、子育て世代がそこに住みやすい環境をどうするのかと繋がってるんですね。

視聴者の声

「両親の様子を見ている、どんなに小さな買い物であっても、買い物には選ぶ楽しみ、迷う楽しみがある、商品の手の、商品を手に入れる、その手に入れやすさと同時に充実感を味わう機会も失われているなら、それも買い物弱者になるのではないかと思う。」

後藤 解説委員
困ってらっしゃる方はただ買えないってだけじゃなくて、ほんとにいろんな困難を抱えてらっしゃる。
だから、その買い物が問題解決するってことはほんとに地域作りにもなりますし、その方の生きるって事を支える事にもなる、とても大きな取り組みなんですよね。

秋川 さん
買い物弱者が今後600万になるって、一つのシグナルと捉えてほしくて、これから地域が衰退する可能性があるということと、今後、団塊の世代に対してある程度福祉が必要になって来るようになってしまうと、もっともっと深刻な、買い物だけじゃなく、より深刻な問題になる。
なので、ぜひ、これをきっかけにみなさんで、いろんな事考えてくれればと思います。

後藤 解説委員
買い物って地域づくりなんだと、その取り組みをどんどん広げて行く。

有友 さん
そうですね、そうですよね、買い物だけじゃなく、ほんとにみなさんとのコミュニケーションを作る場所であったり、そういったほんとに元気になるほんとに仲間作りなんですよ。

髙田 さん
野菜とって選びますもんね。

小野 アナウンサー
あれこれ選ぶ楽しみって、人間の大事な権利って気がしますね。

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