2015年01月17日放送放送内容まるわかり!

介護報酬削減 誰が担う?どう担う??

14日に閣議決定された平成27年度予算案。 一般会計96兆円のうち特に割合が多いのが医療や介護にかかる31兆円です。 こうしたなか政府は、介護サービスを提供する事業所や施設に支払われる報酬、いわゆる「介護報酬」の引き下げを決めました。 ますます高齢化が進む一方で、ヘルパーなど介護職員の人材不足や財政難から経営に行き詰まる介護施設などの問題... これからの"介護"を誰がどう担っていくべきか、深読みします。

今週の出演者

専門家

結城康博さん(淑徳大学教授)
井口 明さん(NPO法人校舎のない学校 理事)
村田 英明(NHK解説委員)

 

ゲスト

桂 文珍 さん(落語家)
ブルボンヌ さん(タレント/エッセイスト)


徳永 アナウンサー
介護保険制度、深読みらしく、一からおさらいしていきたいと思います。

ご存じの通りこの国はどんどん高齢化が進んでいます。
介護の必要なお年寄りは現時点で600万人。
かつては介護は家族が家でして当たり前、という時代だったんですが、それはもう限界だよね、これからは社会みんなで支える時代にしようね、って始まったのが介護保険。

つまり、こうしたプロの方、ヘルパーさんなどの介護職員の方にもっと増えて活躍してもらってこのピンチを乗り切りましょうというのが介護保険です。
プロが増えていくということはお金の流れもしっかりルールを決めなきゃいけない。

そこで介護保険制度のルールが15年前、しっかり出来たということです。
実は、国がメニューを事細かに決めてるんですよ。
例えば、特別養護老人ホームがお年寄りを一日預かって介護サービスを施すとだいたい一日8,000円もらえますよ、とか、施設じゃなくてお年寄りの家に訪問して、例えばお風呂、トイレなど体のサポートを1時間すると4,000円ぐらいしますよ、とか。
掃除、洗濯を助けるとちょっと安めで2,400円ですよ。
これ、介護した事業者がもらえる額で「介護報酬」と言います。

で、その「介護報酬」を負担するのも社会みんなだよねっていう考え方なんですね。
実際、利用者本人の負担は原則1割でいいです。
だからこの表に照らし合わすと、訪問介護だと300円とか400円。施設だと800円になります。
残りはどうするかというと、私たちの収めている国や自治体などの税金、そして、40歳以上の人が毎月毎月収めている介護保険料。
月々だいたい全国平均で5,000円ぐらいするんですけども、こうしたお金から介護事業者に支払われています。

で、施設とか訪問介護の業者さんというのは、この介護報酬をもらってやりくりをするんです。

例えば、介護施設の維持管理、建てたり直したりするお金もやりくりしますし、一番多いのが人件費。

6割が人件費ということですので、介護報酬からうまくやりくりして、ヘルパーさん達にお給料を支払う。
だから、介護報酬=ヘルパーの給料じゃないんですよ、ややこしいんですけど。
で、施設全体に支払われている「介護報酬」を削りますというのが今回のニュースなんですね。
ちょっとその前に分かっておきたいことが一つあります。
制度ができて今で15年、他の社会保障に比べて歴史が浅い介護保険の制度、問題の多いのも事実。その最たるものがここです。

仕事が比較的長続きしないと言われていて、介護職の方が勤務する年数はだいたい5年半。
これ、他の仕事の平均の半分にもいってないそうです。

その理由は様々ありますが、例えば、昼も夜も関係ない重労働。
加えて人の命を預かる、大変な重責です。

にも関わらずこの現実。介護職の方の平均年齢が40歳ほどなんですが、平均年収がだいたい300万円。
いろんなデータがありますが、他の産業全部合わせた平均値より100万~160万円ほど下回るというのがあります。

この状態だとせっかくやる気があるヘルパーさんが抜けていくという現実が今起きていて、実際、東京都内にある特別養護老人ホームを調べると、その半数で職員が定員割れしている。
施設としては預かれるスペースはあるんだけど、人がいないから預かれないっていう状態です。

今の時点でも全国で特別養護老人ホームに入りたいけれど入れてない順番待ちの方が52万人もいると言われています。
この現状を分かった上で、今週のニュースをもう一回整理したいと思います。
政府は新年度の予算案を決めました。つまり春からの1年間、税金を何にいくらつぎ込むかの方針を示したんです。
それを決める時に目を光らせるのが、当番組初登場のこの方!

財務省です。財務省は国の金庫番です。甘くはありません。
無駄はないかな?削れるところはないかな?と、鵜の目鷹の目で探していて、今回ここに目をつけた。
介護報酬を削っちゃおう、となったワケです。
いろんな予算があるんですが、なんでまた介護報酬に目をつけたのかということですが、財務省はこう言っています。

「ヘルパーさんのお給料を狙ったわけじゃありませんよ。お給料を下げようと思っているわけじゃありません。」
「施設さん、結構お持ちじゃないですか。」実はここを狙っていると言われています。

職員じゃなくて事業者のほう。
この言葉、よく聞きません?"社会福祉法人"って、老人ホームとかを経営している団体なんですけれど、これ、地域の福祉に貢献してくれているという理由で、法人とはいいながら、法人税を収めなくていいんです。
それから建物や土地についても固定資産税は原則収めなくてもいいとなっています。恵まれてるんじゃないですか?と言い始めた。
結局、出費も税金も増える一方ですからっていう財務省の事情もあります。
で、ただ目をつけたわけじゃなくて、根拠があると言っているんです。

「われわれが調べたところ、特別養護老人ホームさんは平均して1施設あたり3億円はお持ちだと分かりました。じゃあ、介護報酬を少なくしてもやってけるんじゃございませんか?」
で、ほんとにそんなにお金あるの?っていう議論もあったし、あったとしてもそれは必要なお金なのか、ただ、だぶついているお金なのか?っていう議論もさんざんあったんです、この半年ぐらい。

で、今週、政府はいろんな意見がある中で、介護報酬の2.27%カットという方針を決めたというわけなんです。
そうなってくると、心配の声がやはり多く出ています。その代表的な例です。
事業者が介護報酬をやりくりすることで、ヘルパーさんなどの処遇ができてるわけですよね。

っていうことは、また処遇がきつくなったりするんじゃないか、そうすると、またやる気のあるヘルパーさんが、またいなくなるんじゃないの?という声まで出てはいるんです。

ブルボンヌ さん
やっぱり外枠が狭められたら、いくらね、人件費はちゃんと守ると言っても、現場ではいろいろな不都合出てきちゃうんじゃ...。

徳永 アナウンサー
今の話ばっかりしていますが、問題は、介護の世界の10年後と言われています。

10年たつと団塊の世代がみんな75歳を越えて、多くの方が要介護でこの行列に並ぶんじゃないかと見られています。
このままの状態で行列が増えると、もうとてもじゃないけどヘルパーさん、足りません。

"待機"どころじゃなくて"介護難民"というぐらいなるんじゃないか?
そうなるとお子さん、ご家族、若い方が家で見なきゃいけなくなって、バリバリ働ける人が職を離れなきゃいけなくなる、"介護離職"がもっと深刻化するんじゃないか?

で、みんなが家族いるわけじゃありませんから、最悪、こんなこともありえるんじゃないかと危惧されています。

このピンチを乗り切るためには、今いるヘルパーさんがみんな仕事を続けたとして、あと10年でさらにこれだけ必要と言われています。

70万人。果たしてこれから先、大丈夫?っていうお話なんです。

小野 アナウンサー
今よりさらに70万人必要。仕事を辞めている場合じゃないんですね。
これはブルボンヌさんがおっしゃったように、介護報酬全体が2.27%カットになった、下がったところで人件費、給料がやっぱり下げられてしまってヘルパーさんたちのなり手がなくなっちゃうんじゃないのっていう心配から始めたいと思いますが?

村田 解説委員
介護報酬は3年に1度見直されています。今回が5回目の改定で、1回目と2回目のとき、今回と同じように2%以上引き下げたんです。
何が起きたかというと、やはり給料が下がりました。
そうすると、特に若者が介護職から離れて、介護離れというのが起きたんですね。

だから、今回もそういうことが心配されているわけですが、今回の制度の見直しのポイントを説明すると、全体としては介護報酬を2.27%引き下げます。
でも、それではやはり給料が下がるかもしれないので、月給を1万2千円ほど加算という形で別に配分しますということを言っています。
だったらいいじゃないか、という思う人もいるかもしれませんが、私は3つの点で問題があると思っています。
一つは、この1万2千円の対象というのがすべての介護職ではない。
対象となっているのがヘルパーさんとかの介護職員が対象であって、施設の中では看護師さん、調理師さん、いろんな方が働いている。その方は対象にはなっていない。
その方たちの給料を上げるとすれば、事業所の持ち出しでやらなきゃいけない。
二つ目は、1万2千円の支給には条件があって、処遇を改善することが条件なんです。
給料を上げるとか、パートなど非正規労働の方を正社員にするとか、スキルアップのために研修をやるとかの処遇改善を行うことを条件に支給するとなっていますので、処遇改善をやらない場合は支給されない。
そして、もう一つ。月給は上がるかもしれませんが、全体の介護報酬が下がる中でやりくりしてやらなければいけないので、もしかしたらボーナスがカットされるかもしれない。

小野 アナウンサー
ここをクリアしておきたいんですけど、施設に3億円もあるんですか?

結城 さん
もちろん一部の老人ホームは貯金みたいな基金があるかもしれないですけど、これは平均ですから。
しかもその3億円のうち、施設って古い施設もあれば新しい施設もあって建て替えやメンテナンスとか、例えばクーラーが壊れたりすると直さなきゃいけないですよね、そういうもののために一応取ってあるんで。
マンションだと建て替え積立金っていうのを持っているじゃないですか、そういうものをひっくるめて3億円なんで、これがほんとにいっぱい持っているか持っていないかはもっと検証すべきであって、赤字のところも結構いっぱいありますから、介護報酬を全部下げちゃうとそういうところまで非常に割を食ってしまうので問題ですよね。

ブルボンヌ さん
上手にやられてるところもあるかもしれないけど、今回のことで、ほんとに真っ当にやられているところがしんどい思いしちゃう?

結城 さん
ですから、一部は確かに持っているかもしれないですけど、多くはトントンか、ちょっと利益があるぐらいでマイナスっていうか。
どんどん給料は上げていかなきゃいけないので、たとえ1万2千円上がったとしてもなかなか介護人材集められないんじゃないですかね。

文珍 さん
なんとなく、企業内留保という言葉に似ているような気がちょっとするんですけれどね、社会福祉法人は、他の事業はやってはいけないんですか?

結城 さん
別に普通の事業をやってもいいんですけど、ただ、ある程度決められたサービスをやると税金がかからなかったりとか、お金をもうけていくと税金がかかったりとか、そういう住み分けはあります。

小野 アナウンサー
そもそも、どうしてこんなにもともとの給料が低く設定されているのか?

結城 さん
もし給料を上げるんだったら、要は介護保険のところに国とか自治体がいっぱいお金を出してくれれば。
結果的には国民が出せばいいんですけど、なかなかそれを意思合意ができてなくて、それだから上げられないっていうのがありますよね。

村田 解説委員
そもそも介護の仕事が評価されていない、評価が低いという問題があると思うんですね。
もともと介護は、家庭の中でやっていた、いわゆる家事労働的なものだったんです。
やはり最初から高い賃金を設定していない、低い賃金を設定してますから、そのままの流れで今まで来ているといったところあってなかなか上がらない。
だから、先ほど"命を預かる仕事"とありましたけども、これだけ大変な労働に対してどれぐらいの賃金、報酬を出せばいいのかということを改めて考える必要があると思います。

ブルボンヌ さん
Eテレの「ハートネットTV」で仕事をしたときに、まさしく私が読み上げさせていただいた文章が、1950年には20人に1人が後期高齢者の方だったのに、今は4人に1人になってるってことは...。
19人で1人のお年寄りを支えましょうっていうのから、3、4人が1人を支えましょうってなってきたら、やっぱり無理が出てきているのがわかるので、簡単なことではないと言うのがほんとにあるんですけどねぇ。

小野 アナウンサー
このままではほんとになり手がいなくなっちゃうんじゃないかと。

結城 さん
私も介護士とか社会福祉で働く人を大学で養成しているんですけど、社会全体が労働力不足、少子化なので、人の奪い合いなんですよね。
だから、社会福祉を勉強した学生ですら、一般企業に一部就職してしまうんですね。
一般企業もコミュニケーション能力とか、あいさつが自然に出来る子がほしいので、だから福祉の業界の子をほしいっていうのもある。
介護人材がどんどんいなくなっちゃうと、結局、お年寄りのサービスがどんどん減っちゃいますので、どうやって介護職の人を増やすか。いろんな業界と奪い合いですよね。
だから、他の業界から、ある意味、人を奪ってでも介護人材にしないといけない。

文珍 さん
ロボットとかは、どうなんですか?

結城 さん
もちろん介護ロボットの開発は必要なんですけど、ロボットが介護してくれるっていうのは、開発するのはまだ難しい。
やはり基本的には、人を育てることがまず大事だと僕は思いますね。

ブルボンヌ さん
日本だとロボットが早くいけるのかなぁと思ってたんですけども、そうでもないんですね。

結城 さん
もちろん一部、介護の負担を軽くする機械ぐらいは直近で開発できますけど、ほんとにロボットのサイボーグが全部介護してくれるというのは、100年、200年先だと僕は思っています。

小野 アナウンサー
ええ!?

視聴者の声

「すでに介護ビジネスには東南アジアの人たちが参入してきているが、今後、ますます外国人に頼らざるをえなくなって来ると思う。」

結城 さん
外国人の方に来ていただくのは大事なんですけど。

介護する人がいないいないっていうんですけども、実際、ヘルパー2級の資格を持ってる方ってこんなにいっぱいいるんです。
資格を持っている人はこんなにいるんですけど、例えば会社員をやったりとか違う仕事している人がいっぱいいる。
介護職の給料とか待遇の改善が悪いので、資格を取った人の一部しか介護の現場で働いていないと言う現実もぜひ国民の皆さんに知ってほしいなぁと。

小野 アナウンサー
外国人の方のパワーに頼ろうという声については、可能性はあるんでしょうか?

村田 解説委員
私はやっぱり人手不足であれば、ちゃんと条件を整えて受け入れることも一つの方法としてあると思うんですよね。
その際問題になるコミュニケーション能力をどういう風にして高めてもらうかということもありますし、介護の技術をどう身につけてもらうかという問題もあります。
もう一つ条件があって、外国人の労働者を得る時に、やはり日本人が働いている労働条件と同じような形の労働条件、ルールを作らないと。
今、問題になっているのが長期間労働とか安い賃金だったり。
そういう問題が起きると、やはりうまくいきませんから、労働条件のルールを作ることがまず前提だと思いますね。

井口 さん
ロボットにしても、外国人の方も、現場に導入することについて、いいとか悪いとかじゃなくて、ほんとに介護を受ける方の尊厳がきちんと守られて、そして、働く人も受ける人も安全で安心できて、そして、出来れば心楽しく、関係が持てるようなものであればいいかと思うんですけども。
結城先生がおっしゃったみたいに、人を育成するということは時間がかかるようですけど、結局、大きな力になりますので、ここを手を抜いてロボットの開発だけに...というのは違うかなと思います。


プレゼンテーション②

徳永 アナウンサー
どうすれば介護の担い手を増やせるのか?そんな答えが簡単にあるわけじゃないのは重々承知ですが、考えるヒントになるものはないかなと探してきたので、紹介させて下さい。

東京のNPO法人グレースケア。
ここは、「人が集まらないのは賃金が安いからだよね」って考えました。

先ほど、ヘルパーや介護職員の方の平均年収が300万ほどって言いましたよね。
ここで働いているフルタイムの方の平均年収を聞きました。

400万を超えています。
その秘密です。介護サービスを利用する方の負担って、訪問介護だと1時間300円とか400円って言いましたよね。

ここは正直、ちょっとお高いんです。

これ、意味があります。実はここがやっていること、介護保険が、適用されないことにもサービスとして取り組んでいるから。
代表の柳本さんは、大手の民間の介護業者にお勤めだったんですが、こんな処遇ではやる気があっても続けることはできないということで、10人の仲間を連れて独立したんですね。

そこで目をつけたのが、介護保険制度に限定されないサービス。

介護保険って税金や保険料から出しますから、メニューが細かく決まっているってありましたよね。
だから、同じようなことでも、これは保険OK、これはダメと、線がどこかに引かれます。

例えば、外出のサポートをしてあげたい。病院に行くのはいいでしょう。
だけど、親友のお葬式に行きたい、それは介護保険ではダメ。

掃除をしてあげたい。寝室はいつも介護している場所で生活の援助になるからOK。
だけど、庭は関係ないでしょ。

同じ洗濯でも、介護されているご本人は困ってるからいいでしょう、家族は関係ないでしょう。
線をどこかで引かないといけないので、必ず線からもれるものがあります。
でも、ここは保険外で少々高くなってもやってほしいという人は一定はいるんじゃないかと柳本さんたちは考えた。それが当たって、何十人もの方が希望した。

例えば、お化粧の手伝い、やりましょう。それから、旅行に行きたいんだけど付き添ってもらえませんか?やりましょう。中にはこんな方もいらっしゃる。
家でどうしても死にたい。私の最期のみとりをやってくれません?と契約する方も出てきた。
ニーズもいろいろあるんだという話。

ブルボンヌ さん
心のケアがすごくできているオプションが多いと言うイメージですよねぇ。

徳永 アナウンサー
おっしゃる通りです。それにちなんだ珍しいサービスも。

ヘルパーご指名制度。料金は2割増しなんですけども、好きなヘルパーを指名したいって言う人が出てくるんですって。
そうした、心の問題っていうのはほんとにあるみたいで、毎回人が変わると一から関係を作らなきゃいけないんだけど、いつも気の知れたこの人でいてほしい、それを指名できる。
これも人気なんです。

こうすることで処遇は上がってきていて、最初10人で始めたんですが、今はヘルパーの数が9倍。
他の介護事業所では続けていけないと辞めた方が、こちらに流れてきているんです。

小野 アナウンサー
介護保険の適用内のこともやるんですか?

徳永 アナウンサー
両方やります。

小野 アナウンサー
両方やることで全体の収入をあげると、みんなの年収もアップした。

文珍 さん
なんか最後は金目っていう、介護の現場までそうかいっていう。
格差社会っていうけども、介護格差っていう言葉も生まれるんじゃないかなぁというような気がしますけれど。

徳永 アナウンサー
確かにサービスを受ける人が限られるんじゃないかっていう指摘もあるようなんですが、お年寄りにも様々いらっしゃって、お金をちょっと出してでも充実したいという方がいる以上は、そういうサービスがあってもいいんじゃないかと柳本さんはおっしゃっていました。

小野 アナウンサー
介護事業を立ち行かせるためのアイディアとしては、全国各地の社会福祉法人もこういうサービスをやったらどうなんですか?

村田 解説委員
社会福祉法人も、オプション的な感じで、介護保険制度以外のもので自己負担を求めるという形でサービスの時間を延長したりとかは出来るんですが、最初に説明があったみたいに、人手不足でそこまで余裕が回らないというところが、なかなかそういう新しい事業に踏み出せない状況になっていると思いますね。

結城 さん
これは一部の地域ではすごく有効で、成功してるところはどんどんやっていただきたいんですけど、やっぱりこれはオールジャパンで考えた時に、なかなかこれを普遍的にやっていくのは難しい。
保険外サービスと保険内サービスをミックスして介護人材を増やしてやっていくという方法は、限られた方策かなと僕は思います。

徳永 アナウンサー
みんながみんな蓄えがあるわけじゃないですよね。
そういった時にどんなものがあるか、もう一つご紹介するのが岐阜のNPO法人の取り組みです。
ここも、保険外サービスを専門にやります。さっきは3,000円から4,000円でしたけど、こちらは1,000円でいいんです。比較的お値段が抑えられています。
どうしてそんなことができるのか。実は今日お越しの井口さんがやっていらっしゃる取り組みなんですが、なんで安く抑えられているか、ちょっとそのワンシーンご覧ください。

こういう風になってるんですが、実はこのお二人の関係、近所の人。

「ライフサポーター」と呼ぶんですが、近所の年配の方でまだまだ元気っていう人が支えるという仕組みです。
例えばこんな事例。

お年寄りの方がちょっとうつむき加減でちょっと、表情も悪い。
理由は、家がどんどん荒れ放題になっているから。介護保険外で、家の掃除ができない。

でも、ライフサポーターがみんなで協力して家をピカピカにしてあげたら、おじいちゃん、ものすごく元気になっていきいきしてきた。
張り合いが出て、要介護でも重症化しなかったっという話があるんだそうです。
実はさっき見てもらった×の部分、とても注目されています。

「介護予防」と言われて、ここの生活が充実すればお年寄りも要介護度が上がることが避けられて、むしろ元気になっていくことが注目されて、大事だと言われています。
つまりですね、1個目の模型に行っていいですか?ずっとわれわれはヘルパーさんをどう増やすかという話をしてきましたが、この井口さんたちの取り組みが教えてくれたのは、こちらに並ぶ人を作らない、介護されるお年寄りを減らすことができれば、こういう問題もクリアできるかもしれない。

そのサポートだったら、長年の介護のプロじゃなくても、私たち地域でもそこはできるんじゃないですか、って教えてくれている取り組みなんです。

井口 さん
結果的に介護予防に繋がっておりますけど、サポーターの方が来る日はお化粧して待っているとかサービスを受ける利用者の方も元気になったり、それからサポーターの方も、一週間に一時間でも行くなら、一週間、自分で健康管理するんですね、それで非常に元気になったり。
そして皆さん、すごくおキレイになるんです。そして、自分が必要とされてるということでやりがいになったり。
また、高齢者は80年、90年、生きてきてますから、いろんなものをお持ちなんですね。
それをエプロン一枚かけていくだけで、その80年、90年の他人の人生に触れることができるからほんとに学ぶことも多くて、結果的にはサポーターの方の介護予防にもなっている。

小野 アナウンサー
最後は金目じゃなく、介護。

井口 さん
そうですね。先ほどご近所の方と言いましたけど、まだ私の地域では、ほんとのお隣、ご近所さんとはそういう関係作りにくい。今までの社会の意識ってありますよね。
ですから、学校をはさんで、校区をはさんで向こう行くぐらいの距離でコーディネートしていきます。

小野 アナウンサー
うちの地域でもやろうと思った人に、井口さんからアドバイスするとすれば何ですか?

井口 さん
そうですね、私たちも始めた時から、あの、地域にある特別養護老人ホームや在宅介護をやってる事業者の専門職の方とセットで、というか、むしろ教えていただきながら、地域住民を育てたと言いますか、一緒に育ち合ってきてるんですね。
まったくの素人が志だけでやろうと思っても、なかなか介護の現場って難しいものがありますので、お掃除一つにしても、専門家からきちんと理念だとかいろんなプライバシーの問題、保護の問題だとか、様々なものを身につけていって、そして、定期的に会議もして、自分たちもいろんな問題をテーブルの上に持ってきて、みんなで話し合って、決めていく。
それからいろんな勉強会も組んで、やっぱり昭和世代ですから、皆さん経験も豊富で非常に前向きですので、きちんと勉強して自分たちのやっている社会的な役割を認識した時にはさらにしっかりと強いものになっていくという。

小野 アナウンサー
こういう取り組み、ご自分でやろうと思われますか?

ブルボンヌ さん
私みたいに都市部に住んでると、お隣の方の入れ替わりも激しくてどうなのかなって思ったんですけど。
話を伺っていたら、逆に今、血縁のコミュニティーがどんどん狭まっている。
私たちみたいな性的少数者も下の世代の血縁が作りづらい状況ですし、"おひとりさま"も増えているので、地域がつながっていくというのは大事なことかもしれないですね。

小野 アナウンサー
でも、実際、じゃあやりますかっていう時に、私、自分で旗を振る自信がないんですよね。
誰が旗を振って、どうするのがいいですか?

結城 さん
僕は井口さんの試みは非常にすばらしいなと思うし、全国でどんどん広まってほしいと思うんですけど。

ただ、考え方として大事なのは、井口さんみたいな取り組みをどんどん推進する質からの側面と、やっぱりそうはいっても、担い手をちゃんと確保して公的なサービスをしっかりしていかないといけないという量からの側面と二枚看板でやっていかないと。
どうしても質の部分を頑張ってると、量の部分でちょっと甘えてしまって、政策当局がお金を増やさないとかいうことがあるので、ここのバランスが大事ですね。

小野 アナウンサー
そうすると、財源問題になっていっちゃうので、じゃあ介護にもっと税金を出すのだったらどうするのか。
例えば法人税を下げる議論がありますけど、法人税を下げるんだったら、介護のお金を出してとか、いろいろこれから国民の皆さんも考えていかないといけないかなと思います。

井口 さん
1人ずつが自分の老後のことも考えなきゃいけませんし、それから、地域で協力して連携しあって、自分の住む街をいかに住みやすい街にするのかっていうことは1人ずつに責任があると思うんですよね。
今、そういう意味で、1人ずつが参加しなければならない時期が来てるなって思います。

文珍 さん
私は団塊の世代なもんですから、いつも団塊の世代が高齢化になると...とか社会のお荷物のように言われておりますけど。
でも、よくよく考えると、団塊の世代同士で支え合って、そこでやりがいを感じていきいきできるという社会が理想ですね。

村田 解説委員
私が取材したある町の話ですと、井口さんのところのように高齢者が高齢者を支えるボランティアをやって、例えば70歳を超える元看護師の方がリーダーになって地域の健康づくりの健康教室を開いて活動される。
で、そういう方を見て、周りの方も私も元気になりたいと参加者がどんどん増える。
そうすると、その町の場合は、要介護、要支援と認定された人がもともと20%ぐらいいたんですが、10%台になったという効果も出ているんです。
お年寄りが元気になる、やっぱりこれは取り組んでいかなければいけないと思いますね。

井口 さん
それと担い手を増やすという点では即効性はないかもしれませんが、私どもが関わる池田町というところでは、小学校のうちから介護施設とか介護サービスを提供しているところに出向いて小さいうちから体験するということをしているんですね。
そこから介護の世界に入る人たちもいますので、時間はかかりますけど教育も大事じゃないかなと思います。

視聴者の声

「人員配置を+1するだけでも雇用は増えるし、介護職員の心身の負担も下がって安全な介護ができるんです。1人勤務中は家族が倒れても駆けつけられません。」

小野 アナウンサー
1人増えるだけでも変わる世界なんですね。
いい機会ですからみなさん、介護の"量と質"考えてみましょう!ありがとうございました。

寄せられたご意見・ご感想はこちら

■番組では随時ご意見を受け付けています。現在募集中のテーマはこちらから。

ページの先頭へ戻る