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NHK総合 毎週土曜 午前8:15〜9:28

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放送内容まるわかり!

2017年02月18日放送

マイナス金利導入1年 暮らしは?景気は?

デフレ脱却の切り札として、日本銀行が導入した「マイナス金利政策」から16日で1年。住宅ローンの金利が大幅に低下し不動産投資が活発になる一方で、金融機関や個人の資産運用が難しくなるなどの影響も指摘されている。 日銀が掲げる「物価上昇率2%」は達成できるのか。"トランプ相場"で世界的に金利が上昇する中、日本はどのような経済政策をとるべきか。マイナス金利の仕組みを分かりやすく説明しながら、考えていく。

今週の出演者

専門家

飯田 泰之さん(明治大学政治経済学部 准教授)
荻原 博子さん(経済ジャーナリスト)
加藤 出さん(東短リサーチ チーフエコノミスト)
今井 純子(NHK 解説委員)

 

ゲスト

髙田 延彦さん(元総合格闘家)
松本 明子さん(タレント)


徳永 アナウンサー
さあ、始まりました。さて、きょうのテーマこちら。

1年たつんです。マイナス金利。

髙田 さん
よく目にしますね、これ。

松本 さん
よくニュースで聞くんですけど、よく分からない。
われわれの生活に直接関係あるのかな?

徳永 アナウンサー
町の声を聞いてみても、恩恵があったっていう人もいれば、ぴんとこないっていう人もいて、何となく遠い存在なんですけど、

これってね、景気、私たちの気分までを一気に変えてくれる秘策とも一時言われたぐらいのことなんです。
これ、いったい1年たっていま何が起きているのか。やってよかったのか、悪かったのか。皆さんもメール・ツイッターで声や素朴な疑問を寄せてください。僕がぶつけますので。
ということで、きょうのプレゼンは何をするかというと、マイナス金利とは何だったのか、異次元緩和って何だったのか、デフレ脱却って何だったのか、1から説明します。


プレゼンテーション①

田中 アナウンサー
日本の景気を語る上でまず押さえておきたいキーワードが、

デフレ。バブルがはじけてから20年ぐらいずっとこれに悩まされてきた。ものの値段が安くなるということ。

ものの値段が安くなると、企業がもうからない。売り上げが落ちます。売り上げ落ちるから給料が下がり、給料が少ないから、消費者は買い物しないでおこうって思っちゃう。
で、その人たちに買ってもらうにはもっと安くしないとって、これがずっとぐるぐるぐるぐるしてくと、日本の経済ってどんどんどんどん縮こまっちゃう。この「デフレスパイラル」をなんとかしようとしたのが安倍さんですね。

2013年に流行語にもなりました「アベノミクス」。3本の矢で景気を回復しようと。1本目の矢を担ったのはこの方。

黒田さん。日本銀行の総裁です。黒田さんは好きな言葉があって、「躊躇なく」です。 その2人の目標がありまして、これです。

とにかくデフレからおさらばして、逆にものの値段を上げようじゃないか。年間2%上げよう。これを2年間のうちに達成しましょうと、目標を作りました。デフレスパイラルだと、値段が下がると、全部が縮小しちゃう。

じゃあこれを逆回転だ。値段を上げれば、収益上がって、給料上がって、買い物もいっぱいして、景気はよくなるぞ。これを狙った。
そのためにまず、世の中に出回るお金を増やそうとしました。それがこれ、

「異次元緩和」。
何をやったか。日本銀行ができるのは

まず、銀行にたくさんのお金を持たせること。具体的に言うと、銀行が持ってる国債、国の借金の証文を日銀が現金で買います。

すると、銀行に現金がたくさんある状態に。現金って、ただ持ってるだけじゃ増えませんね。何もしませんね。増やすためには?
街の人たちに貸して、利息を取って、増やしていこう。だから、銀行に現金がたくさんあれば、貸し出すことで、結果、世の中にいっぱいお金出回るはずだ。では2013年から去年までの3年間、実際、お金の動き、どうだったか。 実は、むしろ動きが目立ったのは、下のほうじゃなくて、上のほう。銀行は現金持ったんだけど、それをまた国から国債を買う、買い増すといって、こっちに動きだしちゃった。

もう1つ動きがあって、日本銀行のほうにお金が集まってくる。日本銀行って、銀行の銀行。

ここにある程度、一定以上お金を預けるとと、少しですけれども金利がつくんです。銀行のお金が増えるんだと。
いやいや、あなたたちに現金を渡したのは、下の皆さんに貸してくれってやったんだ。
うちのところで、ちょっと利息で取るとか、そういうことじゃないでしょと。

徳永 アナウンサー
黒田さんは、現金を銀行にいっぱい渡せば、もっと貸しやすくなるから、行ってほしいなとは思ってたんだ。そしたら、日銀と銀行の間で行ったり来たりしてるんだ、いま。

田中 アナウンサー
じゃあこの流れ止めよう。これが、去年導入された

マイナス金利。つまり、うちに預けてたら、増やすんじゃなくて、金利をマイナスにして、一定以上、これ以上やったらマイナスにしちゃうぞ。減らすぞ。
そんなこと前代未聞なんですよ、日本では。これ専門家でも相当意見分かれてる。実際去年マイナス金利の導入を決める会議が開かれて、専門家9人出席したんですけど、賛成が5、反対が4。真っ二つに分かれるぐらいの、劇薬とも最後の手段とも言われてるんです。
でも、黒田さんの好きな言葉は「躊躇なく」。2%のためならマイナス金利やるんだ。
それが去年のいまごろだった。ここの流れを止めれば、さすがに今度は下に貸すだろうと。
さあ、1年たちました。実際どうなったか。世の中に出回るお金は増えました。
3年前と比べて3倍以上増え、435兆円になった。
大事なのはこの目標ですよね。2%ものの値段を上げるんだ。
さあ、最新のデータが2か月前のデータです。目標は2%です。さあ、どうなったか。

上がるどころか...10か月連続のマイナス。

徳永 アナウンサー
10か月連続ってことは、マイナス金利導入してから、物価、この数値を見ればだけど、ちょっと停滞気味っていうか、そんなにぐいぐい伸びてはないってこと?

松本 さん
どうして最初の計画どおりじゃなくなっちゃったんですかね。

徳永 アナウンサー
さあ、そこですよね。これがですね、この4年のざっくりとしたご説明だったんですが、きょうはいろんな観点で経済見ている最強の布陣でございます。いろんなこと質問しましょう。これ、何聞きたいですか、まず。これ聞いて。

萩原 さん
いちばん大きいのは、給料が増えてないってことなんです。例えば、2%物価を上げるんじゃなくて、2%給料を上げるという目標で動けば、みんな、この先給料上がるんだから、もの買おうという方向に行くと思うんですが、給料は上がらないのに物価だけ上がったら、まず買えない。だからどんどん消費者指数は下がっていくということなんです。

徳永 アナウンサー
1個質問があるんですけども、435兆円に出回るお金が増えた。どこ行ったの?

加藤 さん
それはですね、、現金、お札とか、それから、金融機関が日銀に預けてるお金の量は435兆で、これは3倍以上になったんですけども、ほとんどが日銀にある口座にたまっちゃってて、なかなかそこから流れないということです。

松本 さん
下に行ってないんですか?

加藤 さん
それは別に銀行としても、ただでもらったお金じゃなくて、持ってた国債と交換したお金なんです。元のお金というのは預金者から預かってるので、ばんばん配ったりとか、リスクのあるものに投資っていうのは、そこはバランスを考えないとならない。

萩原 さん
企業は、いまものすごく内部留保という貯金がいっぱいあるんです。だから、わざわざ大きな企業は銀行までお金借りに行かなくてもいい。それから、個人は、こんな先行き分からない時に大きな借金やめよう、あまり銀行にも行かないということになって、一応投資をしようというお金は動いてるんですけど、なかなか個人のものが動かないので、消費者物価は上がらないっていうことになっています。

飯田 さん
キーになるのが賃金の上昇だっていうのは非常に重要なところで、当初この金融緩和が始まった時、少し景気がよくなると。企業業績も回復して雇用が増えると、例えばこの政策発動前は、雇用者数、雇われてる人はだいたい平均すると5500万人だったんです、。これが100万、150万増えたら、さすがに人手が足りなすぎて、企業は人の引き抜き合いをするために賃金を上げるだろうと思ったんです。この4年間の成果で、結局雇用者数300万人増えた。これ自体はすごいことなんですが、まだその増加が鈍らない。つまり、40代、50代の女性と、60代の男性が、その気になると結構働けるっていうところを見逃してたんです。なので、2年で2%って最初言ってたのは、2年ぐらいして、だいたい150万ぐらい雇用が増えれば、いい加減人手不足で賃金が上がる。賃金が上がるっていうのがいちばん明るい材料じゃないですか。

徳永 アナウンサー
デフレスパイラルの漫画見ると、飯田さんの話が分かりやすくなるかな。逆パターンの方ですよね。

飯田 さん
このパターンでいうと、売り上げアップで、そして、企業側はだいぶ人を雇おう、雇用促進となりました。しかし、いまアルバイトとか一部業界はずいぶん時給上がってきてるんですが、ちょっとだけ給料を上げればまだまだ人が来てくれると思うと、例えば基本給を上げるとか、大幅な賃上げにならないんですよね。

萩原 さん
確かに雇用は増えたんですよ。でも、皆さんの側から見ると、お父さん1人の給料で給料全然上がんないのに、税金も高くなる、社会保険料も高くなる、教育費も高くなる。これじゃあ、うち、どんどんどんどん使えるお金減ってくよねっていうんで、しょうがない、ここでお母さんもパートに行こう、そういう人が増えてるんですよ。
だから、決して自分から働きたい、輝いて、みたいなことじゃなくて、家計助けるためには働かなきゃという人がものすごく増えている。その家計は、お母さん働いてるからばんばんお金使おうってことにならず、お母さんも働いて頑張ってるんだから、うちも節約しましょうってことになって、

消費者物価、やっぱり上がらないということになってしまう。

今井 解説委員
ただ、消費者物価、いまマイナス0.2でマイナスが続いてますが、ちょっと中身をよく見てみると、大きいのはエネルギーの価格、原油の価格が上がって、ガソリンとか、あるいは電気代が去年より上がってしまったという部分が大きくて、そこの部分を除くと、まだマイナスにはなってない。若干のプラスで、いまだと0%。原油価格は下がってるけれども、全体的にその影響を除くと、ずっとマイナスが続くという状況ではなくなってきている。それは確かなんですけれども、まだ2%という目標には全然届いてない。

そこを見ていくと、今回のマイナス金利も含めた大規模な緩和は第1の矢。本当はこの第1の矢と、あと、財政出動、第2の矢っていうのは、短期的に景気をよくして、その間に3つ目の矢として、成長戦略。本当に経済の実力を高める改革をしていきましょうというための時間稼ぎであるんですね。2はあった。結局、3ができてないというのが問題。

飯田 さん
むしろですね、消費者物価の上昇率、一時期1%台半ばまで、まあまあ頑張れたじゃない。
ところが、急に下がってるポイントがあるんですよね。何かっていったら、消費税です。
2本目の矢は、普通は財政政策を、出すほうのはずが、税金を上げる。税金上げて、もちろん負担感が増すっていうのが1つと、もう1つは、あれ? 日銀は頑張ってるのに、政府のほうは逆にお金引き上げるんだ。現在の政策自体で、財政と金融がちぐはぐになってしまって、確信を持って、これはデフレ脱却に向かうわとは思いづらいですよね。

萩原 さん
あとね、家計にとってマイナス金利って関係ないと思ってる方が何人かいましたよね。ところが、皆さんの預金。いま大手都市銀行でも、40万以下預けても、利息つけないというとこが出てきてるんですよ。1円でも2円でも、利息って、皆さんつくもんだと思ってる。ところが、40万以下だったら利息ゼロっていうところが出てきている。

松本 さん
貯金する意味がないんじゃないかって思っちゃう。

徳永 アナウンサー
ぴんとこないっておっしゃったでしょ。募集したらね、具体的なご意見が結構来ていて、

視聴者の声

東京都・50代・男性
「銀行のキャッシュカードの手数料が変更になった。無料ではない。多少物価が上がってるような気もします」

徳島県・50代・女性
「定期預金の金利が下がった。いきなり生命保険から連絡が来て、一部のサービスを中止するので、同意のサインを期限までにしろと言ってきた」

埼玉県・30代
「保険料の値上げ、地味に財布に響いております」

髙田 さん
だから、預けるよりね、たんす預金がいま増えてるんですね。

萩原 さん
結局、銀行が日銀にお金を預けると、利息がついてた。ところが、もうこれ以上預けたら、お前のとこマイナスにするよって言われてる。いろいろあの手この手やってるんだけども、なかなか収益が上がらない。そうすると、収益を上げるのは、まず利息を払わないっていうのが1つあります。それから、皆さんのATMとかの手数料を上げる。そういうところで稼いでかないと、銀行がやってけない。

加藤 さん
日本はまだましなほうで、ヨーロッパでマイナス金利やってる国もありますが、企業の預金口座はマイナス金利になってまして、銀行に預金すると、利息を企業は払わなきゃならないという状況までいっています。ほかに持っていき場がないので、しょうがないと。ですから、ヨーロッパでも基本的には評判の悪い政策なんですが、去年私、マイナス金利をやってるヨーロッパの国、だいぶ回ったんですけども、日本よりはましな面があって、例えばスウェーデンとかデンマークって社会保障が手厚いですから、一般の人たちは、将来不安っていうのは基本的にないんですね。

松本 さん
福祉だったり、病院だったり、学校だったり、ねえ。

加藤 さん
そうですね。ですから、預金金利がほとんどゼロでも、将来の生活費がとか、そういう心配にはつながらないんです。あと、人口構成も若くて、人口が増えてますから、金利が下がると喜ぶ世代も。住宅ローンとか。ところが、日本の場合は高齢化していて、借金する人が少なく、かつみんな、若い人もお年寄りも将来不安がある。たぶん世界でいちばんマイナス金利をやっちゃいけない国だったのではないか。

髙田 さん
銀行が日銀にお金を預けても、手数料を払わなければいけない。なら、積極的に消費者にお金を貸すだろうという見込みがあったわけじゃないですか。でもね、企業にしても、われわれ一般消費者にしても、いろんないい数字、悪い数字、マイナス部分の数字っていろいろあります。結局、空気がね、世の中の空気が、先行き不安、これは除去できないんですよ。

加藤 さん
むしろ、かえって不安をあおっちゃってる。

萩原 さん
だから、結局、老後の問題っていうのはすごく大きいじゃないですか、皆さんにとって。ところが、年金、どんどん減ってくんだという改革をしたり、老後、介護費用も上がるんだとか、そういうことがどんどん政策として出てくるので、皆さん、縮こまってしまう。

今井 解説委員
いままで誰もやったことがない壮大な実験なんです。金融政策だけでデフレは脱却できるんだ、経済よくなるんだといって壮大な実験をやってみた。その結果分かったのが、金融政策だけではやっぱりだめだったということ。もっとほかの、さっき言ったような、第2の矢、第3の矢、特に第3の矢で本当に経済の力を高めていかないと、家庭のほうに賃金として上がっていかない、社会不安なくならないことが分かったっていうことなんでしょうね。

萩原 さん
家庭は、例えば原発再開すると成長戦略とか、カジノが成長戦略だとか言われても、みんなぴんとこない。くるのは、やっぱり年金が削られていくという実感。

実は、個人向けの融資で、賃貸住宅の建設はすごく増えてるんです。これも実は不安の表れで、去年相続税が上がったので、相続してそのまま持っていたら大変なことになる、アパート建てましょう。とものすごく皆さん投資してるんだけれども、それもいま一巡しちゃっている。去年の11月のデータ見ると、対前年比で23%ぐらい首都圏ではマンションの販売が減ってるんです。いまいちばん行われてるのが借り換えです。高い時期に住宅ローン借りた人が、安い金利に借り換える。そうすると、支払いが少なくなる。でも、それって、銀行の狙いとは全然違いますよね。

徳永 アナウンサー
高田さんの不安って話を後半しようと思いますが、私の不安を1つ言っていいですか?
日銀、ずっと日本の国債買い続けてますよね。むちゃしてないんですか? 何が起きるの? この先。5対4でしょ。これから日銀の方針を決めるっていう、偉い人たちっていうか、前が見えてる人たちが9人いて、4人は「やめとこうよ、マイナス金利」っておっしゃった。ということは、よっぽど、いいことも悪いことも両方あるんだろうと。
これずっと続けていって本当にいいんですか? その先は何が待ってるんですか?

加藤 さん
まず、この政策が始まる前、たとえば、リーマンショックのころに、日銀が持ってた国債は発行残高の6%ぐらいだったんですが、いま4割超えてきてます。相当の数を日銀が持ってるわけです。そうすると、まず1つは、国の利息の支払いが、おかげで減ってる部分があるわけです。日銀がいっぱい買ってるんで金利が下がっている。
例えば平成元年に国債の発行残高って161兆で、いま830兆ぐらいですから、5倍に増えてるんですけど、国の利息の支払いはむしろ若干減ってるぐらい。利息はとにかく下がってる。その分、国が将来につながる投資をやってくれてるならいいんですが、金利が低いと、結局、改革を怠けることができちゃうわけですね。金利が低いので痛みがないから。なので、なかなか将来につながる大きな改革というのが先送りされてしまっている。

飯田 さん
というと話は簡単に聞こえるんですけれども、まず、こういった金融政策、無理をしているっていうのはその度合いによるんですね。なぜかというと、ずっと続いたデフレを脱却するためには、大胆な政策をしないといけない。それをしないということは、金融政策、いままでどおりにやっていたら、結局ずっとデフレで、これは大学教員なんか実感するのは、就職活動の実績とかは、ここ数年であからさまに目に見えている。僕、14年大学教員やってますけれども、ここ2年はぶっちぎりでいいですよね。

加藤 さん
でもそれは金融政策のおかげではないと思います。そこは混同しちゃいけないと思います。

飯田 さん
いやいや、雇用がよくなってるのは確実ですよ。 そして、もう1つ、金利が低いと構造改革をさぼるっていうんですけれども、これ、全く証拠がない話だと思います。現在、ここ2年でどれだけ多くの法案が通ったか。

徳永 アナウンサー
因果関係分かんないけど、学生さんの気持ちはちょっと変わってるのは事実だと。ただ、むちゃしてることにも変わりはないんだと。

今井 解説委員
日銀が不安だということもそうだし、

あと、国の借金っていうのは先進国の中で最悪の状況なわけですよね。しかも、まだ増えてる。もしちょっとでも利払い、金利が上がると、これもう返せなくなるんじゃないかと。

加藤 さん
むちゃさの加減は世界突出でして、FRBとかヨーロッパの中央銀行もここまでやってませんから。とにかく壮大な実験だと思いますね。

髙田 さん
よく、国内の借金が1000兆円超えたって言いますよね。でも、日本は大丈夫なんだ。なんでかっていったら、国債だから、外に出てないからとかなんとかっていうじゃないですか。それを分かりやすく言うとどういうことなんですか? 大丈夫なんですか?

萩原 さん
日本の国債発行残高が1000兆円あっても、400兆円日銀が持ってるんです。例えばサラ金でお金借りてたら、家計が苦しくなったっていってすぐ取り立てに来るじゃないですか。ところが、日本の借金は、日銀が400兆持ってる。お父さんがお母さんにお金借りてるようなものなんですよ。そうすると、すぐには取り立てが来ない。ただ、家計全体ではどうなるかなっていうことを考えないといけない。

松本 さん
なんとかする方法はない?

加藤 さん
それは最後、帳尻合わせるとすると、すごいインフレで帳尻合わせるかって話にもなる。そうではなく、ちゃんと税収が増えて、国の借金を返せるようになるのがいちばんの理想。

今井 解説委員
だけれども、さっき言ったように、利払い費が減ってるということもあって、来年度の予算で見ると、非常に甘い計画になってるわけですよね。

飯田 さん
日本の場合は、まず1つは日本銀行という、ある意味でいうと同じ会社の中の違う部署が持ってる。なので、借金っていっていいのかどうかちょっと分からない面がある。
それともう1つは、日本の場合、政府が資産をたくさん持っているので、政府の資産と日本銀行の持ち分を合わせると、日本の財政、正直よくはないのは間違いないんですけれども、1000兆円借金があるっていうのは、ちょっと大きく言いすぎていう面はある。

徳永 アナウンサー
「マイナス金利」が気持ちを変えるための策であったことは事実です。僕や松本さんや高田さんの気持ちがどうなったかっていうのも結構大事だと思うんですが、ここまでデメリット、メリット聞いて、気持ちいかがですか?

松本 さん
気持ち回復してるとは思いがたいですね。

髙田 さん
思えない。

徳永 アナウンサー
そこで、高田さんが言った、不安。なんか不安の何かをちゃんと見てみようと思って、今回番組で視聴者の方にあえて聞きました。何不安だっけと。
主な声を集めました。


プレゼンテーション②

田中 アナウンサー
具体的な声ね、聞きました。いま一生懸命働いている、いわゆる現役世代の人たちの声。

視聴者の声

東京都・40代・女性
「老後の生活のため、どのくらい貯蓄が必要かと心配しています。子どもの教育費や習い事にどれくらい使ってもいいのかと考えてしまう」

千葉県・30代・女性
「介護や医療のため、貯蓄が必要なことが不安なんです。もう少し老後の保障をしてもらえないと、現役世代は消費できません」

神奈川県・70代・女性
「長い時間かけて作ったわずかな預金が、使ってもいないのに、実質、目減りしています」

70代・女性
「金利がつかない中で、老後のさまざまな施策が値上がりしそうなので、楽しみにしていた老後のプランを棚上げにしています」

松本 さん
若い世代なんか、もっと不安を抱えてますよね、年金は。

徳永 アナウンサー
こんな人いました。ツイッターいま来たんですけど、

視聴者の声

「欲しいものを手に入れたくても、親には貯金しろ、貯金しろとどなられています。そうやって切り詰めて何になるんだろう」

飯田 さん
これはいい話で、まさに若いうちに貯金しても、そもそも金利低いんで、ぜひ自分に投資し、勉強でもいいし、遊びでもいいと思うんですけれども。

萩原 さん
ただね、いま若い人がものすごい貯金志向なんですよ。いま大学生の半分は、卒業した時に奨学金という借金を背負ってるんです。借金を背負って世の中に出てく。それも、毎月払ってかなきゃいけない。そうすると、使う意欲よりも、ためなきゃっていうほうが強くなっちゃいますよね。

髙田 さん
せっかく大学出て就職したのに、借金返しながら生活することになるわけでしょ。

松本 さん
いま若い子堅実ですもの。

萩原 さん
いまね、日本っていうのは、教育費を世界の中でも出さない国なんですよ。OECD33か国中ワースト2位なの。だから、それを全部家計が出さなきゃいけない。そうすると、どうしても借金を負わなきゃいけないっていうことが、ものすごい将来不安、若い人たち。

髙田 さん
なんでそういうとこに国はお金使わないのかね?

徳永 アナウンサー
いま見えてきたのはね、さっきの模型でいうと、銀行にお金がいっぱいあるだけではなくて、企業も持っているし、みんなじゃないけど、持ってる家計もあるってことは見えてきた。お金はどうして回らないのかということですよね。不安だと。
答えはないんだけど、きょう、あえて皆さんに、専門家の皆さんに、ちょっとこの不安、誰が何すればちょっとよくなるんだろうっていうのをあえて書いていただいたんです。それをちょっとお出しいただけますか。

加藤さんは、「国は、"未来の不安"も語れ!」。

荻原さんは、「家庭では借金減らして足元かためる」。

飯田さんは、対になってるけど、「政府は「いまの不安」の解消に努めよ」と。

髙田 さん
まずね、未来の不安を語ってもらいたいね。いいことばっか言わない。

加藤 さん
別に不安をあおれというわけじゃなくて、ただ、長期的にわれわれの暮らしはどうなっていくんだろうってことを、もっとざっくばらんに話していかないと。実際は2020年代後半から団塊の世代の方々が後期高齢者になると、国の医療費負担が激増するんですね。ですから、われわれの財政赤字の本番っていうのは、2020年代後半から、これから本番が来るので、まだ前哨戦。

松本 さん
まだ? まだこれから? もっと?

加藤 さん
そうすると、そういうのに不安を感じて、優秀な若い人たちはそのうち外国に逃げちゃうかもしれませんし。そういうことがないようにしていくためにも、長期的にどうやっていったらいいかという見通しを、難しいのは難しいなりに示すことが必要です。
例えば、人口の問題をどうしようか。あるいは教育も、IT時代に適応した教育で日本が勝ち残っていくにはどうしたらいいかとか、企業がもっと自由に活動できるような規制緩和はどうしようかとか、一方で、社会保障も、その不安を和らげるような仕組みを財政の制約の中でどうやって組み立てようかとか、いろんなことを語らなきゃならないと思うんです。いまアベノミクスでは、いろいろとシングルヒットぐらいの改革はぽこぽこぽこっとあるんですけれども、本質的に長期的な、痛みを伴う改革、いまの政府では果実を取れないかもしれないけれども、長い目で見ると、よくあの改革をやったなということに取り組んでいかないと、ちょっとまずいとこにもう来ちゃってるんじゃないか。

髙田 さん
いかないとですよね。あそこを見てると、老後の、いま現在ね、お年寄りの人たちがこれだけ不安抱えてるわけで、こういうのを見てたら、若い人はね。

萩原 さん
老後のことで言うと、結局皆さん、お金持ってないわけじゃないんですよ。いま日本の世帯を見ると、60歳以上で6世帯に1世帯は4000万円以上の金融資産持ってるんです。そのほかにおうちとか田畑とかもあって、すごい資産を持ってるんだけど、ただ、ここずっと年金が減ってる。そうすると、この先どんどん減ってくんじゃないかとか、介護の問題がばんと噴出して、すごいいい施設に入らないと変なことになっちゃうとか、そういうことがあると、金融資産だけで4000万円も持ってるのに、それが使えない。不安が解消できなければ、お金は回ってかないですよね。

徳永 アナウンサー
両方の話聞くとおもしろくて、未来のことを語ろうっておっしゃったのに対して、飯田さんはね、いまっておっしゃってる。これの意味をぜひ聞きたい。

飯田 さん
1つ重要な話として、将来不安がない世の中っていうのはないんですね。世界中どう探しても、また、日本のどの歴史の時代を見ても、みんな将来不安なんですよ。将来への不安がいくばくかでも和らぐのは、いましっかりと稼げてること、何よりも雇用が安定していて、くびになる心配がないこと。これを重要視するというのが1つ。そしてもう1つ、現在であれば、子育て支援に金をちゃんと国が出すこと。理由は2つあって、子育て支援すると、もっと働けるようになる。外で働ける時間が長くなれば、それだけ稼げるっていう安心感と、そもそも子育て関連の財政支出、例えば国がお金を使うっていうのが、道路や橋の建設よりも非常に経済の波及効果が大きいこと。いままでとはちょっと違うところに財政を使ってみたらどうか。こういった視点を持つと、いま稼げて、いま雇用が安定してるというぐらい、将来について明るい展望を持ちやすい状態ってないんですね。
長期政権下だからできる社会保障の改革というのももちろん重要ですが、その一方で、いま足元をしっかりと豊かにしていく。そのために財政、金融政策をフルに活用していくって視点は必要なんじゃないかと思うんですよ。

萩原 さん
そこで、私は家庭なんですけど、まずね、私はずっとデフレは脱却できないって言ってきました。このマイナス金利の仕組み自体が回らないのが目に見えてますよね。そうすると、デフレが脱却できないんだったら、どうするのか。
デフレの中では、借金をたくさんすると、これはやっぱり負の資産になって自分の首を絞めちゃう。だから、これはなるべく減らす。あと、貯金はしても無意味だって言う人も居るけど、でも、こんな不安定な状況の中で投資やりますか?むしろ金庫だと思って、利息つかなくても、銀行で安全に預かってもらうほうがいい。たんす預金はオレオレ詐欺とか危ないから。それでしっかり現金ためて足元を固めとく。もしできれば奥さんにも働いてもらい、子どもも一生懸命働いて、家族で働いてちゃんと稼ぎがあって、それで借金がなければ、何となく気持ちも前向きになる。そこを一生懸命いまは家計はやるべきだと思う。

髙田 さん
銀行がいまね、力がなくなってきてるっていうニュース見たことあるんです。お金を借りてくれる人がいなくなってるからって。銀行の安定感はいま大丈夫なんですかね。中小ありますけど、いろいろ。

萩原 さん
銀行に私たちが預けているお金は、1000万円と利息まではちゃんと国で守られることになってます。一時、銀行がばーって潰れましたよね。あの時にあまりにも不安感が大きかったので、いまどちらかというと潰さない方向。あと、合併しちゃったり。皆さんに迷惑がかからないような方向でいま政府はやってるので、それは銀行に預けといても大丈夫。

飯田 さん
正直銀行って、堅いんですよね。だから、とにかくリスクを取りたがらない。かつてであれば、リスクが非常に低い住宅ローン、つまり、正社員でずっと雇用安定してる人に貸すとか、企業も、運転資金で十分余裕があるところにだけ貸すっていう融資。それを続けてたらいま貸すとこなんてないし、貸してほしいってところなんかないですよ。
一方で、しっかりとリスクを取って、かなり貸し倒れも生じるけれども、あまり担保持ってないところとか、そういう人に貸してる、結構業績伸びてる中規模の銀行もあるんです。

徳永 アナウンサー
結構この番組、ベンチャー企業の社長さんとか来てくださるんですけど、なかなか貸してくれないんですよっていう声聞きますよ。

萩原 さん
銀行は雨の日には傘を差さないって言われるぐらい、危ないなって思ったら貸さないんです。貸し倒れになっちゃうとマイナスになっちゃう。だから、安全なとこしか貸さないようにしようと思うんだけれども、安全なところは、内部留保という貯金が山のようにあるから安全。だから、いま銀行は何をしてるかっていうと、預金持ってこないでくださいよっていうことをやってるわけですよ。

徳永 アナウンサー
最後にすごい変なこと聞くんですけど、経済成長大前提ってずっと話を、デフレはだめっていうけど、でも、デフレでもいいんじゃないっていう人も結構お便りで来てるんですよ。昔に比べて、家電がどっと増えるとか、生活が明らかに便利になっていく右肩上がりっていう時代ではないという気もしないんですけど、やっぱり高い成長を目標として掲げ続けるのは無理してないのかな、それは必要なのかって、どうなんですか?

飯田 さん
例えば先進国の平均的な値だと、だいたい2%ぐらいで経済成長しています。これは、技術とかが進歩する、発展したり、人が仕事に慣れるということ。同じような仕事してると上手にできるようになるので、経済って少しずつ、2%ぐらいでは成長してしまう。
日本の場合、人口の問題があるので、1.5ぐらいまでは下がると思うんですけれども、そうやって技術が進歩してるのに経済が成長していないと、どうなるか。成長していないのに、それより少ない人数で作れるようになってしまったら、その分みんな失業しちゃうわけですよね。なので、やはり1.5%ぐらいの経済成長というのは必要だ。

萩原 さん
ただね、皆さん確かにデフレ脱却とか、あんまりものの値段が安すぎちゃいけないっていうんだけれども、いま何が起きてるかって、給料が上がらないというのがあるんですね。だから、こういう中では、デフレのほうが楽なんですよ、生活していくには、全然。

今井 解説委員
そこでも何か変えなきゃいけないと見てて、企業の役割って非常に重要で、先生もおっしゃってたように、いま企業の中にものすごい現金預金がある。それをこれから始まる春闘、本格化する春闘で、できるだけ給料の形で。企業は先行きが不安だっていうんですが、いつでも不安なわけですよね。不安を打破するためにも、賃金っていう形で出していく。

飯田 さん
企業が借金減らすんじゃなくて、企業は借金増やして、どんどん新しいことを始めるのが得だっていう社会にしないと回らない。

髙田 さん
投資していく。挑戦していく。

徳永 アナウンサー
さあ、これ、きりがないけど、これよりこれになったら本当いいな。気分を変えるためにもっと考えなきゃいけないことは分かりました。

髙田 さん
挑戦しにくい世の中になってきてるね。

徳永 アナウンサー
頑張りましょう、みんなで。ありがとうございました。

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