土曜の朝はしっかり!じっくり!週刊FU.KA.YO.MI

生放送!

NHK総合 毎週土曜 午前8:15〜9:28

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放送内容まるわかり!

2017年04月29日放送

ニッポン経済 トランプに立ち向かえる?

今月18日、日本とアメリカが経済の課題を話し合う「経済対話」の初会合が開かれました。「アメリカ第一主義」を掲げるアメリカは、TPP(=環太平洋パートナーシップ)の代わりとして、日米"2国間"での貿易協定に意欲を示し、"多国間"でアジア全体の貿易ルールを作りたい日本との意見の隔たりが鮮明になっています。今後、貿易のルールはどう変わるのか? 私たちの暮らしにどのような影響があるのか?とことん深読みします。

今週の出演者

専門家

細川 昌彦さん(中部大学 特任教授)
山口 義行さん(経済学者)
神子田 章博(NHK 解説委員)

 

ゲスト

マキタスポーツさん(ミュージシャン・俳優)
松本 明子さん(タレント)

今週のグラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん


首藤 アナウンサー
トランプ大統領、就任から早くも100日です。

松本 さん
ますます、ちょっと怖いですね。

マキタスポーツ さん
あの髪型に100日慣らされちゃったんですね、われわれは。

首藤 アナウンサー
そこですか(笑)。
街でも、不安なんだけど、具体的にはよく分からないとか、そういう声が多かったんですよね。日本への影響、どうなのか。経済の面で、日本とアメリカの関係、今後どうなっていくのか。まずは田中アナウンサーのプレゼンです。


プレゼンテーション

田中 アナウンサー
お待たせしました~!本日のメインイベント!日米経済対話第1ラウンド、選手入場です。赤コーナー、農業からIT、金融まで何でも強い。そして、でかい。世界の王者、アメリカ!

代表はペンス副大統領。

首藤 アナウンサー
迫力ある。

田中 アナウンサー
迎え撃つのは、青コーナー、資源はないが知恵で勝負、ハイテクを世界に売って大躍進、

日本!代表は麻生副総理。

マキタスポーツ さん
だいぶサイズ感が違いますね。

田中 アナウンサー
日米経済対話ってちょっと難しいなと思うかもしれませんので、こんな格闘技風の模型にしてみました。
まずは貿易について、お互いの主張を「ファイッ」!さあ、まずは日本がくり出したのはこれだ。

貿易のルールは「アジア太平洋地域」みんなで決めようぜという主張だ。
さあ、アメリカはどう出てきたか。アメリカの技はこれだ

いやいや「日米2国間」でやろうぜ。

首藤 アナウンサー
1対1ってこと?

田中 アナウンサー
こっちは「みんな」で。こっちは「1対1」だぜ。

マキタスポーツ さん
2人だけで「ちょっとこっち来いよ」って言われると、ちょっと弱い気がします。

松本 さん
ちょっとね。何も言いづらいですよ。大きいもん。

田中 アナウンサー
全く違う主張でにらみ合う両者。アメリカのセコンドは。

松本 さん
出た!

田中 アナウンサー
トランプ大統領。就任直後に「TPP離脱」という大統領令を出した。

松本 さん
アメリカも何年か前は、「みんなでやろうよ」的な感じだったんじゃないですかね?

田中 アナウンサー
トランプ大統領。就任直後に「TPP離脱」という大統領令を出した。
そもそもTPPって何だっけなっていうところから、いきますけれども、アジア太平洋地域の参加国が自由で公正なビジネスができるようにみんなで話し合って作る統一ルールで、日本も当然参加していたし、松本さんの言うように、アメリカだって当初はノリノリだった。12か国でほぼ合意。あとは発効を待つのみというところまでいったんだけど、ことしトランプさんになっちゃって、あっさり、「もうやーめた」。
さらに、アメリカ側の応援席にはこんな声があるぞ。

まさにトランプさんを大統領に押し上げた白人労働者の声だ。「TPP、こんなもんやったら、製造業、俺たちはどうなっちゃうんだ。雇用が奪われちゃうんじゃないか。」
こういう声を受けて、アメリカロボはリングに立っているわけです。アメリカが掲げる

「アメリカファースト」というこの分厚い盾で、彼らをがっちり守っている。
そして、攻撃は伝家の宝刀。

松本 さん
うわぁー、出たぁー。

田中 アナウンサー
「いやいや日本さんよ。いろんな課題あるけれども、1対1でそのあたりを2人で話し合って、じっくり解決していこうじゃないの」っていうのが、アメリカの攻撃でございます。
さあ、仕切り直しを迫られた日本はどう迎え打つのか。武器は「TPP」です。

アメリカが抜けちゃっても、なんとかこれで抵抗をしていこうと。
日本の応援席にはこういう声が上がっています。

「アジア太平洋地域の経済成長を取り込むんだ。」日本は少子高齢化で市場がどんどん先細っていく。もう国内では限界なんじゃないか。農業が衰退しちゃうといういろんな不安はあるけれども、それ以上に、マレーシアだとか、ベトナムだとか、これからどんどん伸びてくるであろう、こういう地域と一緒に大きくなっていくぞ。これこそが日本の生きる道だという声が。

マキタスポーツ さん
なんか向いてそうな気がする。みんなでやるって。

田中 アナウンサー
みんなでやるTPPのメリットというのがもう1つあって、大きな国が強いことを言っても、みんなで「自分勝手は許さないぞ」って言える。これもTPPという武器の強さの1つ。
だけれども、アメリカが抜けるって言っちゃったんで、日本の頼みの綱のTPPがいまちょっと宙に浮いちゃっている状態ということで、第1ラウンドは、とりあえずお互いの主張を真っ向から言い合うという形で、平行線でドローということなんですね。
日本が1対1の戦いは避けたいっていうのは、理由があるんです。

マキタスポーツ さん
理由?

田中 アナウンサー
これまでの戦いの歴史を振り返りましょう。

マキタスポーツ さん
あー、あった。「牛肉・オレンジ」ってとにかく覚えさせられた。

田中 アナウンサー
「日米貿易摩擦」っていう言葉、ありましたね。牛肉・オレンジもそうだし、自動車だって、日本の車ばっかり売れてんじゃないのか、俺たちの車も買えよってずっと言ってきた。アメリカは荒技で、次から次に日本へ攻撃をしかけてきた。自動車の輸出を減らせ。あんまりアメリカに入ってくるなと言われた。
日本はこれをどうやって対抗してきたか?

はい、自主規制をしました。

マキタスポーツ さん
素直だなあ。

田中 アナウンサー
分かりましたっていうことでございますね。
自動車はまあね、自動車はいいや。牛肉・オレンジ。輸入増やせなんて言ってきてる。さあ、日本はどうするか。これだ。

マキタスポーツ さん
どうした?

田中 アナウンサー
はい、分かりました。

松本 さん
いやいやいやいや、ちょっと、ちょっと。

田中 アナウンサー
輸入を増やします。これまで輸入量、いろいろ制限かけてましたけど、それも撤廃しまして、増やしていきますよ。

マキタスポーツ さん
ジャイアンとのび太みたいな関係ですよ、それ。

松本 さん
もうちょっと戦いましょうよ。

田中 アナウンサー
大きなお店、アメリカ資本の大型店舗を日本にも出させろとか言ってきたぞ。

松本 さん
よし、今度こそは。

田中 アナウンサー
3度目の正直だ。行くぞ、日本。

法律変えちゃいました。

マキタスポーツ さん
変えちゃった。

田中 アナウンサー
言ってしまえば、譲歩してきた歴史でございます。だって、アメリカって。

松本 さん
強いもんなあ。

田中 アナウンサー
ねえ。世界最大の市場だし、同盟国だし、強く出られない。だから、2国間だとこういうことがあるかもしれないから、

これ(アジア太平洋地域)なんだっていうことを言っているわけです。

次、第2ラウンドが年内に予定されています。第1ラウンドでは具体的な要求はなかったけれども、専門家の見立てでは、トランプさんだから、きっと第2ラウンドではこんなことを言ってくるのではないかと。

松本 さん
うわっ、いっぱい言ってきた。

田中 アナウンサー
自動車買えだとか、日本がずっと守ってきて聖域と言われていた米も、「アメリカの米、肉をもっと買えよ」って言ってくるかもしれない。
日本は1人で立ち向かうのか、それとも、もう1度ほかの国とみんなで戦うのか。第2ラウンド、年内開催。アメリカは、次はどんな技をくり出してくるのか。

首藤 アナウンサー
おーっと、第2ラウンド、年内開催。何が起きそうですか?

神子田 解説委員
第1ラウンドは、アメリカの政権の陣容はまだ整っていなかったので、具体的な要求はなかったんですけれども、まず言ってくることとしては、米とか肉とか、農産物の市場開放だと思うんですよ。
というのは、例えばいま日本が牛肉を輸入する時、関税が38.5%かかります。これはもともと1000円の肉が、日本にやってくると1385円になってしまうということなんですけれども。

松本 さん
結構プラスされますね。

神子田 解説委員
これが、いまオーストラリアから入ってくる肉は、関税27.2%。ちょっと安いんですよね。しかも、オーストラリアと日本は2国間の自由貿易協定というのをやって、今後、2031年度には19.5%。1195円まで下がる。アメリカは1385円だと。どっち買います?

松本 さん
そりゃ安いほうを、ねえ。ありがたいですよ。

マキタスポーツ さん
すでにオージービーフに結構お世話になってたり。

神子田 解説委員
ということで、何としても日本に関税を下げさせなければいけないというのがありますよね。
もう1つは、為替の問題。というのは、日本が円安ですと、日本からアメリカに輸出しやすいですね。ところが、アメリカから日本に対して輸出しにくいということで、トランプさんは製造業の労働者を守んないといけませんから、できるだけ輸出をして、輸入は抑えたいわけですよね。

松本 さん
そんな、ちょっと勝手ですよね。

神子田 解説委員
もともと勝手な人ですから。
そういう主張をしてますんで、為替の話については財務当局どうしでやろうというふうに言って、実は日米経済対話も、トランプさんとペンスさん、大統領と副大統領を引き離して、トランプさん、ちょっと黙っててくださいと。肝心なことは麻生さんとペンスさんでやりますからと。それでも、よくね、この間もドルが高すぎるとかいって、場外発言があるんです。

マキタスポーツ さん
「ちょっと待った!」させてください。
製造業守るとかってトランプさん言ってるんですけど、日本が製造業頑張ったんじゃないんですかね。日本の製品がいいから売れたんじゃないですか?アメリカは逆に、製品よくないから売れないんじゃないですか?

山口 さん
いま日本の消費者がアメリカの自動車をみんな欲しがってるかっていうと、そうじゃないですよね。どっちかいうと、外車というと。

首藤 アナウンサー
ヨーロッパのイメージですけど。

松本 さん
いま、ハイブリッドとかね、地球に優しいのが日本車で開発されて。

山口 さん
そうそう。技術力とか、消費者の嗜好に合わせるとか、そういう努力をして初めてものづくりって伸びていくんだけど、アメリカはそこんところをちょっとさぼってるわけですよね。だけど、日本が買わないのはけしからんと。僕はね、トランプさんが何か言ったからといって、日本の消費者が突然アメリカの車乗り始めるかっていうと、無理だと思うんですよね。
そうするとね、残りは何かというと、ちょっと出ましたけど、ドルを安くして、円を高くする。そうすると、アメリカの企業もうかるんです。
例えば日本のトヨタ。史上最高の利益を出してたんですけど、実はあれは円安の効果。1ドル80円の時だったら1万ドルの車を売っても80万円にしかなりませんけど、1ドル120円だと120万円になりますから、40万もうかるわけですよね。

松本 さん
なるほど。

山口 さん
そんなに車が売れなくても、日本の輸出関係はすごく大もうけしたと。それ横で見てたアメリカの自動車会社としては、うちもあれやりたいよと。今度は逆にドル下げてくれっていうことをいまトランプさんに言う。そうすると、トランプさんはいろんなところで、ドルが高すぎるってことを言うということなんで、為替の問題はいずれ深刻に出てくるっていう感じは、僕はしてますね。

細川 さん
あとね、製造業の話に戻すと、確かに自動車はそうなんですけども、例えば航空機。ボーイングからみんな買ってます。それから、ITの産業。アメリカ、ものすごい強いですね。アップルがあったり、マイクロソフトがある。だから、それぞれ「得意技」ってあるんですよ。だから、1つだけ見て、全部日本が製造業強いかっていったら、そんなわけではない。
それから、経済対話の話、これ、リングになってるじゃないですか。神子田さんがおっしゃったように、この場は何のために作ったかというと、「戦う」っていうのはアメリカのほうのイメージなんです。交渉して、日本から取ってきてやろうと。でも、日本は日本で、トランプさんがツイッターで日本批判いっぱいやってて、暴言を吐いてるじゃないですか。あれが、ほっとくと暴発するかもしれないと。だから、そうならないようにリングを作って、ここで戦うんじゃなくて、「対話」をしましょうよと。

松本 さん
話し合いしましょう。

細川 さん
そうそう。そこでトランプさんが何か言ったら、いや、ここで僕らはやってますから大丈夫ですと、なだめられるようにする1つの知恵なんですよ。
昔からこういう手法は日本政府使ってて、私も16年前同じようなことを、こういう場を作ってやったわけです。今後日本の立場から言えば、交渉じゃなくて対話にする。

松本 さん
でも、ちゃんと話し合ってくれるんですかね?

細川 さん
相手は言ってくるでしょうけども、対立じゃなくて協力の案件、例えば、アジアで日米一緒になってこんなことをやりませんか、とかね。

松本 さん
代わりにいい条件を出してくる。

細川 さん
そういうものを出していこうと思っているわけです。

神子田 解説委員
2月に初めて安倍さんとトランプさんが日米首脳会談やった時に、こういう合意ができたんですね。

要はですね、片や米国は「2国間」ですよね。片や「アジア太平洋地域」。これは日本の主張なんですけど。両方書いてあると。両論併記なんですけれども、言ってみれば、これは「同床異夢」。本当は同床異夢だから同じベッドに寝てないといけないんですけど、離してますが。

マキタスポーツ さん
うわー、冷めきった夫婦みたいな感じ。

神子田 解説委員
同じ床についても違う夢を見てるという、そういう舞台なんじゃないかと。

細川 さん
おっしゃるとおりで、アメリカは取った、取られたっていう交渉をやろうと。日本側は、アジアのこれから成長する市場で、一緒になって、お互いにプラスなことをやりましょうよ。こういう発想なわけ。

マキタスポーツ さん
そのほうがいいじゃないですか。

細川 さん
だから、これがこれからのせめぎ合いのポイントになるんです。

田中 アナウンサー
視聴者の方からツイート来てますよ。

視聴者の声

「やっぱり、そうはいっても、アメリカの腰巾着として生きていくしか活路ないんだよね」

「いままでアメリカとやり合えたことなんてありましたっけ」

「対等に意見交換すらできないのが現状じゃないですか」

「日本にはアメリカ側の強気に対抗できる人はいないのか。いろんな交渉できる人はいないのか。このままではだめだ」

首藤 アナウンサー
メールも来ています。

視聴者の声

鳥取県・30代・女性
「日本も少しはアメリカを見習い、アメリカの10分の1でも自国の主張をしてほしい。でも、日本がアメリカの言うことを素直に聞かなかった場合、トランプ政権がどんな手段をとるのか少し不安」。

首藤 アナウンサー
細川さんは、通産省の官僚として実際に交渉の場に立たれたことがあったんですよね。

細川 さん
アメリカと交渉する時って、こういう要求されたって受け身になって、守りばっかりじゃないですか。交渉というのは「攻め」もないといかんわけです。サッカーでも何でもそうです。攻撃と防御と両方あって初めてチームって強くなるんですよね。そういう意味では、例えば自動車だって、日本からアメリカに対して、向こうは関税というので守ってるんです。日本は関税ゼロですよ。アメリカに対して、おかしいじゃないのって。

松本 さん
不公平だ。

細川 さん
こういうことを言うとか、攻めを持ってやると、交渉力が出てくるのが1つ。
もう1つ大事なのは、日本とアメリカとだけ戦ってるんじゃなくて、例えば「仲間」を作る。TPPでもそうですけども、ヨーロッパ、アジアのほかの国と一緒になって交渉する。こういう交渉というのは、孤立したら負けなんですよ。だから、なるべく仲間を作って交渉していく。仮にリングで2人で戦ってたとしても、場外に仲間がいると。

松本 さん
応援がいたらね、心強いですよ。

細川 さん
EUと、ヨーロッパと一緒になって、こういう合意をしましたよと言うと、アメリカがあわてる。という形で、こういうふうに交渉力を高めていってるんで、かつてほどは...。
この20年ぐらいはだいぶ様子は変わってきた。でもね、変わってきたんだけども、日本人のメンタリティーというかな。

松本 さん
平和主義ですからね。穏やかですから。

細川 さん
それと、新聞を読んでもね、アメリカからこう言われました。どうしようっていうのばっかり報道されるじゃないですか。僕らは攻めてたんだけども。だから、ちゃんとそこは報道すべきだし、みんなそういう目で見てほしいなと思いますね。

山口 さん
例えばアジアで仲間を作ろうとしても、どうせ日本はアメリカの子分だよねと思われてると、みんなついてこないですよね。だから、どうやってアメリカとの距離感を示していくかっていうのは、これは大事ですよね。

首藤 アナウンサー
アメリカとの距離感。アメリカだからしょうがないっていうメールも来ていまして、

視聴者の声

埼玉県・60代・男性
「日本を守ってくれるアメリカには頭が上がらない。すべて言いなりはまずいのでは」。

福岡県・50代・女性
「日米経済対話=ジャイアンとのび太を連想するのは私だけでしょうか」。

松本 さん
分かりやすいね(笑)。

視聴者の声

「トランプと対立するんじゃなくて、一緒に中国でもうけようと促す必要もあるんじゃないの」

松本 さん
それはどういうことですか?

細川 さん
これはね、中国含んでアジア。アジアの市場というのはこれからどんどん人口も増えるでしょ。そうすると、日本とアメリカが一緒になってアジアのプロジェクトやりましょうと言って、この場でビジネスを展開していく。
そのためのルールをちゃんと作っとかないと、例えば出ていこうとしても、コンビニなんか、外資、外国企業はだめですよという国もあるわけですよ。そういうルールを取っ払うとか、公共事業をやろうとしても、外国企業だめですよという国もある。そういうのはいけませんよというのを、TPPで書いてあるわけですよ。
そうやると、日米が一緒になって、アジアのマーケットでビジネスが展開できるでしょと、こういうほうに持っていきたいなというところですね。

松本 さん
トランプさんがおいしいなって思う材料があれば。

神子田 解説委員
日米経済対話でどんなことを話していくか、第1回目で大筋合意したんですけど、その中に「第3国への懸念に対応する」というのがあるんですね。これは、名指しはしてないんですけれども、中国のことをほぼ指してます。
例えば中国に、「知的財産権」という企業にとっては大事なものを、守る法律はあるんですけど、きちんと実態として守られていないですとか。

マキタスポーツ さん
ちょっと違いますよね、スタンダードがね。

神子田 解説委員
あと、中国の国有企業が、政府から補助を受けたりしてまして、純粋な日本やアメリカの民間企業と公平な競争条件にはないんじゃないか。そういったことを日米一緒になって言っていこうという。

細川 さん
アメリカ企業だってね、映画とかアニメとか、ああいうものの海賊版、コピーでだいぶ損してるでしょ。日本企業も損してる。そうすると、中国でそういうことが野放しにならないようなルールをやっときましょうというのが、実はTPPの中にも書いてあるんです。

マキタスポーツ さん
TPPは、いま話聞いてると、いいことばっかりのような気がするんですけど、TPPのウイークポイントってあるんですか?

首藤 アナウンサー
そこ、聞きたいですね。

細川 さん
TPPっていうのは大きな柱が2つあるんです。1つはルール。いま言ったようなルールを作っていきましょうと。それから、2つ目が関税。例えば農産物が入ってくる時に、何%ってつけてるじゃないですか。あれを、日本の場合、例えば農産物だったら、ちょっと高すぎません?と言われて、下げるということをやらされてるわけですね。農家にとってみれば、そこは痛手になるというのはあります。

首藤 アナウンサー
そもそもTPP始まる時も、農家の人たちの不安とか、農業の不安っていっぱいありましたよね。

山口 さん
あと、投資のルールを決める、基本的には外国企業と国内の企業を差別しないということで、それ自体いいんですが、例えばアメリカの企業が日本に来て、公共事業をやらせてくれって言った時に、平等に扱いますというと、いま日本国内いろんな地域で、地元の中小企業を優先しましょうとか、いろんな公共事業をやる時に。そういうことができなくなるわけですね。そういうルールを、今度は東南アジアの人たちに日本の側からがんがんやっていくということが本当にいいかどうかという問題はあって、具体的にどの程度のところで収めるかっていうのも大事な点だと思いますよ。

松本 さん
それが進むと、日本の雇用とか、企業が、弱くなるとか。

山口 さん
日本の企業もそういう点では、ある地域で中小企業を優先してたら、けしからんといってアメリカの企業が訴えて負けたら、その施策全部できなくなりますからね。そういう危険性を持ってるんですよ。ルールだからっていうことになると。それを実際に、どううまく運用していくかっていうのが、非常に重要になります。

田中 アナウンサー
TPPに関しての視聴者からのツイートです。

視聴者の声

「TPPって昔はみんなノーって言ってたのに、いま推進派になったんだっけ?」

「日本人だから、日本の農業を守らないと。これは国産ファーストだよね」。

「保護貿易には保護貿易のいい面もあるんじゃないですか」

神子田 解説委員
TPPというか、2国間と、アジア太平洋地域イコール多国間、いろんな国でやるということなんですけれども、例えば先ほどの牛肉の関税。

韓国は2国間でアメリカと交渉をしたんですね。その結果、牛肉の関税がゼロまで下げさせられることになった。

マキタスポーツ さん
2027年までに0%になっちゃう?

神子田 解説委員
日本はTPPで交渉した時に、これは関税撤廃から除外してくださいということで、下げはするけれども、TPP発効から16年かけて9%。ゼロではないんですよ。
なんでそういう交渉ができたかというと、アメリカという巨大な敵を相手に、いろんな国があったから、1つ1つの国が少しずつ譲ってもアメリカにとってはたくさん取れたという形になりますよね。そういう意味で、多国間でやっていったほうが交渉上もいいんではないかと。

細川 さん
それと、韓国のように、急激にやると弊害が出てくる。だから、徐々にやるっていうのが大事だと思うんです。
それから、根本的にね、日本の、例えば農業について、いままで保護してました。それは大事なこともあると思います。でも、国を閉じて守ったほうがいいのか、開いて強化していいのか、このバランスが難しいんです。

松本 さん
どっちがいいのか分からないです。

細川 さん
例えば、牛肉・オレンジって、輸入自由化になっちゃって、あの時、わあ大変っていうことになったじゃないですか。その後、いまどうなってます? 和牛、いま生産が3倍ぐらいになって、海外でどんどん売れている。オレンジも、熊本のデコポンのほうが人気が出てね。それから、さくらんぼ。自由化して大変だって言ってたんですよ。でも、品種改良の努力をして、強くなってるんですよ。だから、こういう形で開いて強くするというのもやっていくというのはありだと思う。

マキタスポーツ さん
僕たち消費者の目線で考えたらそうなんですよ。だって、いろんなもの選べて、いろんなものがおいしくなってるようなイメージはあるじゃないですか。ちょっと奮発して、自分にご褒美みたいな感じで、国産のおいしい牛肉をお金出して買うことと、ふだん食べる肉は輸入のみたいな感じとかで分けてるから。

山口 さん
いわゆる高級な野菜とか高級な牛肉とかは開いていいと思うんですけど、でも、例えばオーストラリアと日本では土地の広さが全然違いますよね。競争条件全然違うんで、もし開くんだったらば安いものが入ってきて、日本でどう頑張ってもこの値段だと。外国はもっと安くて半分です。この部分を埋めてやるような、農業にお金出してあげるという。ほかの国はやってるんですよ。それをやってるから開放できるんで。

松本 さん
日本はどうなんですか? 農業に対して。

山口 さん
日本は所得保障って始めたんですけど、まだ全然不十分なんですね。 例えば、アメリカでも補助金出してるんです。直接的に、農家に。あんだけでかいところでも。日本は関税で止めようとしてるんで、どうしても無理があるんですね。
だから、個別の差を埋めるっていうことをやりますと、例えば国内で1万円のお米作ってます。輸入米が3000円で入ってきましたと。残り7000円を農家に渡すと、みんな農家にお金ばらまいたって言うんですけど、実は農家はそれでとんとんになるだけですよね。3000円でほかに売るわけだから。誰がいいかっていうと、消費者が3000円でおいしい日本のお米が食べられる。

松本 さん
そりゃあいいわ。

山口 さん
日本のお米が下がった分を、いろんな、お米で例えばパンを作るとかいうことをやっていくと、少し開いても伸びていく。一方で起きる農業の保護政策っていうのをちゃんとやるってことを前提にしないと、ただ開いちゃうっていうのは問題ですね。

首藤 アナウンサー
ちょっとここでひと区切りしたいと思います。田中さん、お願いします。


グラフィックレコーディング

グラフィックレコーダー
山田 夏子さん

田中 アナウンサー
イラストやコメントでこれまでの議論を振り返るグラフィックレコーディング。
まず、日米の歴史の中では

ずっと日本譲ってきたよねというところから始まって、

今後アメリカって何を要求してくるんだろうとか、日米関係の中で、これからどう交渉をしていけばいいんだろうって話。攻めを持つ必要、

強気に出るっていうことも必要なんじゃないか。
その中で、TPP。これから日本は多国間で交渉していくとか、どうやって交渉していけばいいのかなっていうところで、皆さん結構ツイッターも来ていまして、

視聴者の声

「日本はもっと自分の製品にプライドを持つべきだ。もっとプライドを持って、交渉もうまくやるべきじゃないか」。

「対米交渉、アジアと連合を組むっていうのはいい方向なんじゃないでしょうか」

「アメリカとの貿易交渉では、代替案で理論的な武装と同時に、相手も損ではないと思わせるウィンウィンの交渉力が必要なんじゃないか」。

細川 さん
最後のコメントはすごく大事なことで、アジアの市場、日米が一緒になってビジネスを展開していくっていうことが、これからものすごく大事だと。
もう1つは、これから中国ってどんどん台頭していく。でも、ルールがひどいところがあるわけです。知的財産権、さっきのコピーの話もそうでしょうし、国有企業が補助金どんどん国からもらってやってるとか、ちょっと不公平じゃないのとアメリカ企業も思ってる。
そういうところを一緒になってちゃんとしたものにしていくかという、こういう協力をどんどん前に出していきたいなというのが日本の思惑ですよね。

神子田 解説委員
トランプさんが保護主義的になったというのも、中国がルールを破ってアメリカへの輸入を増やしてる。それで労働者が傷つくというようなことで、だんだん保護主義的なことになってるんです。ただ、これも進みますと、例えばアメリカが中国からの輸入品に関税をかけて、高くして輸入できないようにする。そうすると、

中国はこういうことを取ってくる可能性がある。

マキタスポーツ さん
「報復関税」?

神子田 解説委員
中国はアメリカから入ってくる輸入品に対して高い関税をかけて、入ってこないようにする。そうすると、お互いに輸出ができなくなって、世界貿易が縮小して、世界経済が落ち込む。

松本 さん
お互い、また閉じて守り合う。

神子田 解説委員
縮小均衡になってしまう。こういう事態はちょっと避けたい。

細川 さん
もっとひどいことになったら、中国はボーイングから飛行機買いませんよとかね、アップルの製品売れないようにしますよとかね、言いだしかねないということだと思います。

首藤 アナウンサー
メールでですね、日本の姿勢について

視聴者の声

大阪県・50代・女性
「日本人が長期的に幸せに暮らせるかを中心に考えてほしい。農産物が安く買えていいという目先の考えには不安を感じます」。

宮崎県・60代・男性
「日本ファーストという意識を持った交渉をしてほしい。そして、長期的なビジョンを持って臨んでほしいと思います」

首藤 アナウンサー
という、日本が長期的に幸せに暮らせるために、どこを守って何を攻めるかっていうところ、そこを話し合いたいなと思うんですけど。

山口 さん
先ほど細川さんが言われた仲間づくりっていう点でいうと、例えば東南アジアの国々、急成長しましたので、水に困ってるとか、環境汚染で困ってる。そういうのって日本の得意技なんですね。日本の技術を使って向こうに貢献をして、日本との関係をもっと密にしていく。それがアジアの中の仲間づくりにもなるし、日本の中小企業などの技術も、向こうでものすごくいま欲しがられてるんですね。
日本の技術やものを押しつけるんじゃなくて、日本が培ってきたものを生かして、向こうが役立つようなもの、新しいもの、新しい市場を作り出していくということが必要なので。

松本 さん
お互いの得意分野を、みんなに。

山口 さん
生かして、新しいものを作っていく。何か取り合いのイメージじゃないですか。すでにもうマーケットは一定で、取り合って、けんかする。
そうじゃなくて、市場を作りながら全体を膨らましていくということが大事で、関税で報復し合うと縮小していっちゃうわけですよね。

細川 さん
アメリカから見ても、いくら日本を攻めたとしたって、その規模よりも、アジアのマーケットのほうが何倍も大きいんですから。成長する、人口も増えるのはここなんですもん。ここを日米で一緒になってというほうが賢いでしょということを、じっくり言わないと。これから勝負ですよ。このリングの中で。
それとね、もう1つ大事なのは、こういうリングの場で相手の政府の人に、もっと大事なのは、アメリカの企業の人たち、アメリカの農業団体とか、そういうバックにいる人たちに分かってもらって、確かに日本の言うとおりだな、そのほうが俺たちにとって得だなと思ってもらう努力。これが大事だと。

松本 さん
観客に納得させるのが先。

細川 さん
そうそう。彼らに、アメリカ政府よりも、日本が言ってるほうがいいんじゃないのと思わせる努力。これも大事。

マキタスポーツ さん
トランプさんはね、本当は5ぐらいの実を取れればいいのに、10ぐらいのこと最初から言ってるような気がするんです。だから、あんまりその威嚇に乗る必要はないんじゃないかというような気がする。

山口 さん
おっしゃるとおり。内向きで言ってますよね。支持してくれた人たちに、俺、頑張ってるぞっていうことを言いたいだけだっていうところはあるんで、どこまで本当に交渉になるかっていうのは、ちょっとまだ分からないですね。

細川 さん
政治ってそういう面がね、どうしてもありますから。

首藤 アナウンサー
日本とアメリカが、経済でどうつきあうかについて話し合ってきたんですけれども、最後、日本の取るべき道を。

神子田 解説委員
TPPはまだ終わっていなくて、残る11か国で、せっかく作った自由貿易の仲間づくりをなんとか続けていこうということなんですね。どんな形になるか分からないですけれども、ある程度の国で形を残して、多国間で国を開きあって、ルールを守り合ってやっていく。それがアメリカから見て、やっぱりこっちのほうがいいなって思ってもらって、世界のルールの中にアメリカをちゃんと取り込んでいくということが大事だと思います。

細川 さん
日米関係っていうのは基本的に日米だけを見てたらだめ。アジアとの関係、それから、中国に対してどう対応していくのか。あるいは、仲間づくりって僕は言いましたけども、ヨーロッパとどう仲間になっていくか。こういうのを全部含めて立体的に考えて、大局的に見ていって初めて日米関係がうまくいくということだと思います。

山口 さん
TPPでいまアメリカがいない状態っていうのは、アジアとの新しい関係を作っていく点ではチャンスだと思うんですけど、ただ、アジアの人たちはアメリカの市場を期待してTPPやりましょうって言ってたので、アメリカ抜きでどこまで本当に進むかっていうのは、まだまだ未知数だと思いますね。どう展開していくかっていうのは、あんまり過大な期待はできないと思います。

首藤 アナウンサー
日米経済対話は第2ラウンドが年内に予定されています。ウィンウィンいけますかね?

神子田 解説委員
のび太にはドラえもんがついてますからね。

マキタスポーツ さん
そのドラえもん、何なんだろう。

神子田 解説委員
それは「知恵」でしょう。

マキタスポーツ さん
知恵っていうドラえもんか。そうか。

首藤 アナウンサー
皆さん、どうもありがとうございました。

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